聖戦士アムロ   作:くまぷーⅢ世

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いつもありがとうございます。

戦闘描写は難しいですね……

拙い文章ですが、オーラの力を呼びつつお楽しみ下さい!


7:閃光のアムロ

 ガラリアが覚悟を決めた頃。

 

 トッド・ギネスはダークブルーの専用ダンバインのコックピット内で焦りまくっていた。

 

「おいおい! 二機も追いかけて来てるぜ!?」

 

 ガラリアの率いるドロ隊に任せておけば安心だろうと言うトッドの楽天的予想を打ち砕き、二機のオーラ・バトラーが高速で迫って来ているのだ。

 

『なにやってんだよガラリアさん! 墜としてくれよ!!』

 

 トッドの叫びを聞き、ぎょっとしてリアビュー・カメラのスクリーンを確認したトカマクの怒鳴り声が無線から響く。

 

 逃げるが勝ちとばかりに戦場から脱兎のごとく飛び去ったトッドとトカマクのダンバイン二機だったが、ガラリアが指揮するドロ隊を出し抜くようにして森の中から舞い上がったミイナのラナウン・シーと、それにドロ隊が気を取られた隙に急加速で抜け出して来たニーのダーナ・オシーに猛追されていた。

 

「遅いぞトカマク! 追いつかれちまうぞ!?」

 

 だが、トッドは元戦闘機パイロット候補生という事も有り、飛行するイメージが上手く出来ているようでかなりのスピードで飛べているのに対し。

 

『そんなこと言ったって俺は飛んだことなんかないんだ! 上手くやれっこないだろ!!』

 

 トカマクは元戦車兵だったゆえか空を飛ぶというイメージが上手く出来ないらしく、スピードが上がらずトッドからかなり遅れてしまっていた。

 

『こちらトカマク! ドロ隊応援頼む!!』

 

 無線機に向かい必死に叫ぶトカマクだったが、ドロ隊は残った敵戦力を相手にするので手一杯なのか返信は来ない。

 

『くそっ! 返事がないぞ!? と言うか、青いオーラ・バトラーが速い!! もうすぐ追いつかれちまう!!』

「何言ってんだ!! どっちも青いだろ!!」

『お前のダンバインも青いだろうが!!』

「それ今関係あんのかよ!?」

 

 ニーのダーナ・オシーとミイナのラナウン・シーは濃淡は有れどどちらも青系統で塗られている。

 だが、もはや混乱の極致にある二人は必死の形相で突っ込み漫才の様な状況になっていた。

 そして、先に追いつきつつあるのはミイナのラナウン・シーである。

 

「トカマク! 避けろ!!」

 

 余裕が無く前方を注視するしかないトカマクに対して、かなり先行しているために多少の余裕が有るトッドがリアビューカメラの映像を見ていると、ラナウン・シーがガン・ポッドを構えてトカマク機を狙っているのに気付き、慌ててトカマクへそれを知らせたのだが。

 

『ぐわっ!?』

 

 時既に遅く、素早く放たれたラナウン・シーの射撃は狙い違わずトカマク機の右腕付け根付近を捉え、爆発とともに右腕を吹き飛ばした。

 トカマクは必死で立て直そうとして、操縦桿とペダルを力の限りとばかりに操作するが、混乱し追い詰められた状況ではどうにも出来ず落下して行く。

 

『くそっ!! どうすりゃいいんだよ!?』

「トカマク!!」

 

 トッドは一瞬速度を緩め、トカマクの救援に向かおうか悩んだが。

 

「もう間に合わねえ! それに、もう一機がこっちに向かって来てる!! すまねえ、トカマク!!」

 

 トッド自身もニーのダーナ・オシーに猛追されているので、トカマクの救助を諦めて詫びながら再加速するしかなかった。

 

「くそう、なんで誰も助けに来ないんだよ!? ……そういえば、ジャップの……ショウのダンバインはどうしたんだ?」

 

 全速力で逃げながら、ふとショウ機がいないことに思い当たるトッドだったが。

 

「多分、もうやられちまったんだろうな……くそっ! 生き残れたのは俺だけか! というか、俺もヤバいんじゃないか!? いや、こんな所で死んでたまるかよ……ん? なんだ、ありゃ? キラキラ光ってる何かが、物凄いスピードでこっちに向かって来てるが……うわっ!?」

 

 眩い光を放ちながら猛スピードで飛んできた物体があっという間に近づいて来たかと思えば、トッドのダンバインを吹き飛ばすような勢いですれ違い飛び去って行く。

 

「な、なんだ今のは……オーラ・バトラーっぽかったが、速過ぎて良く解らなかった……」

 

 リアビュー・カメラのスクリーンを見ても、猛烈に光る物体が遠ざかっていく事しか確認出来ない。

 

「っと、とにかく今は逃げなきゃ! トカマク、ショウ、敵はいつか取ってやるからな!!」

 

 トッドは悔し紛れにそう叫び、ペダルを踏む足に力を込めた。

 

 

 

 

 一方、ニー陣営ではトカマク機に攻撃を当てたミイナがはしゃいでいた。

 

『やった! ニー当たったよ!!』

「ああ、見事だミイナ!」

 

 ニーはそうミイナをそう褒める。が、

 

(……あれではもう、パイロットは助からない。これで、本気でやるしかなくなったか……)

 

 落下していくトカマク機を視界に入れ、内心ではむしろ苦々しい思いを強くしていた。

 もちろん、ミイナを責める気も無ければだいたいニーに責める資格などない。こちらの……ギブン家の勝手な都合で異世界であるバイストン・ウェルへと召喚し、本来ならば戦いなどとは無縁の平和な世界からやって来た若い女性を戦場へ狩り出しているのだから。

 

 これまでのドレイク軍との戦闘において、ギブン側もドレイク側も重要な人物や隊長クラスの者に重傷者や死者を出していなかった。

 もちろん、戦闘であるので前線で闘う村人出身の領民兵士などには僅かな死者といくらかの重傷者は出している。

 しかし、ドレイク軍が仕掛けてくるときも牽制程度の軽めのものであったし、ギブン軍もドレイク軍が撤退すれば領境を超えて追撃することはしなかった。

 

 だが、禁破りとはいえドレイク側が苦労して召喚した地上人を殺めてしまったら、もう後戻りは出来ない。 

 

(バーン、ガラリア……ドレイク様。そしてリムル。すまない……)

 

 ニーはこの期に及んで強く悔いていた。

 

 元々、ニーはドレイク領への遊学中に交流を持った友人たちや、下手をすれば父親であるロムンよりも尊敬できる存在の領主ドレイク、そして何よりも愛しい恋人のリムルの方へ心情は傾いていたのだ。

 だからこそ、自分がどんな手を使ってでも父ロムンを説得……なんであれば、無理やりにでも隠居させて自分が領主の座についていれば良かったかもしれない、と。

 

 だがしかし、後悔先に立たず、である。

 

「もう、やるしかない!」

 

 ニーは気持ちを切り替えるために敢えて声に出し、飛び去るトッド機に向かいダーナ・オシーが手に持つミサイル・ポッドの照準を合わせた時。

 

『なに、あれ!?』

 

 万が一、上手く着陸でもした時に止めを差すつもりだったのか、落下していくトカマク機を追っていたミイナが叫ぶのを聞き、

 

「どうした、ミイナ?」

 

 ニーが聞き返すのと同時に。

 

「うわっ! なんだ!?」

 

 強烈な閃光をまき散らしながら、何者かがミイナのラナウン・シーとすれ違った。

 

『えっ……きゃあ!?』

 

 と同時に、ミイナのラナウン・シーの頭部が切り飛ばされ、その衝撃でミイナが失神でもしたのか落下を始める。

 

「ミイナ! 大丈夫か! ミイナ!?」

 

 ニーは必死に無線機に怒鳴るが、ミイナからは返事が無い。

 

「いかん、あの高さではラナウン・シーでも危ない!」

 

 ニーはトッド機への攻撃を諦め、ミイナを助けるために落下するラナウン・シーへと加速する、が。

 

「うわっ!?」

 

 背後からすさまじい衝撃を受け、ニーのダーナ・オシーも弾き飛ばされてしまった。

 

「いったい、なんなんだ!?」

 

 さすがに場数を踏んでいるニーは辛うじて機体を制御し、姿勢を回復してホバリングに移行する。だが、制御が不安になっており、機体の異常を示すコーションランプがいくつも点灯し、ブザーが鳴り響いていた。

 

「な! 右腕が無い!?」

 

 異常の確認をしつつコックピットハッチから周囲を見回すと、ミサイル・ポッドを握っていた右腕が付け根から失われている。

 いったい、あの一瞬で何が有ったのか? あまりの事にニーは一瞬呆然と仕掛けたがハッと我に返り、

 

「そ、それよりもミイナは!?」

 

 何者かに墜とされたらしいミイナがどうなったかを確認しようと、落下していった地面に視線を向けると。

 そこには、頭部のみならず両腕両脚を付け根から切断され、ダルマのようになったミイナのラナウン・シーが転がされており、その横にはミイナが墜としたはずのグリーンの新型オーラ・バトラーがうつ伏せ状態で置かれている。

 

「な、なんなんだ……?」

 

 両機とも爆発などはしておらず、恐らくパイロットも死んではいないだろう。

 今度こそ、ニーが愕然としていると。

 

『えーと、無線機の電源とチューニングはこれで良いのか……』

 

 少々の雑音とともにコックピットに通信が入る。

 

『聞こえるか、青いオーラ・バトラーのパイロット。おっと、動かないでくれ。もう、出来れば人を殺したくないんだ。』

 

 そして、穏やかな声色で語り掛けられた。

 そう、ニーのダーナ・オシーの真後ろに、正体不明のオーラ・バトラーがソードを構えてホバリングしている。

 ニーが恐る恐るリアビューディスプレイに視線を投げると。

 

「な……ゲド、だと!?」

 

 それは、ニーも見慣れたブラウン色の旧式オーラ・バトラー、ゲドであったのだ。

 

 ただしニーの知るそれとは明らかに様子が異なり、本来ならばぼんやりとしか光ることが無いはずの両目からは黄金色の光が眩しく放たれ、開かれたオーラ・コンバーターの出力部のみならず関節や装甲の合わせ目などからは蒼い光が……そう、まさにオーラ力が色付きながら溢れ出ている。

 

『こちらはいつでもそちらを撃破出来る。大人しく二機のオーラ・バトラーを寝かせてある場所まで降りて欲しい』

 

 ゲドの腕には一振りのソードが握られ、その切っ先はダーナ・オシーの背部——コクピットの真後ろにピタリと付けられている。

 またそのソードの刃の周りにも蒼い光が零れ出しており。

 

「これが、本当のオーラ・ソードってやつか……」

 

 ニーは呆然となりながら、そう無意識に呟いていた。

 

(抵抗は無意味どころか、愚行だろうな……)

 

 そう考え、ニーは通信機に向かって口を開く。

 

「わかった、降参する。下降するので攻撃しないでくれ」

『了解した、助かる。俺もまだここには来たばかりで状況も事情も良く解っていない。良ければ、色々と教えて欲しい』

「……わかった、俺にわかることならば答えさせてもらう」

『ありがとう、よろしく頼む』

 

 これほどの力を持ちながら穏やかかつ冷静な態度を崩さないゲドのパイロットに、ニーは驚きながらも潔く負けを認められた。

 そして、どこか爽やかな気分さえ感じながら、大人しくダーナ・オシーを降下させ始めた。

 

 

 

 

 その頃、トッドは追って来ていたニーのダーナ・オシーがリアカメラのディスプレイに映らなくなったのを確認して、ようやく安堵していた。

 

「ふう……なんとか逃げられたか。それにしても、あのすれ違ったヤツは何だったんだ?」

 

 一瞬のことで何が何だか分からなかったが、光り輝いていたあれはオーラ・バトラーだった様に思える。

 

「バーンさんが助けに来てくれたのか? いや、さすがにあんなスピードは無理だろ? いや、しかし……」

 

 トッドがそう悩んでいると。

 

「ん? また何か飛んで来たな。まさか、先回りした敵じゃないだろうな……?」

 

 前方から、先程のモノとは比べるべくもないがかなりのスピードで接近してくる物体を見つけ、またしても冷や汗をかき始めた。

 

『こちらゲドのバーンだ! そこにいるのはトッド・ギネスか?』

 

 だが、通信機から聞こえて来たのはバーンの声だったので、トッドはホッと胸を撫で下ろした。

 

「こちらトッドだ! バーンさんかい? こっちは敵に襲われてトカマクが墜とされちまった! ガラリアさんたちのドロ隊はどうなったか分からないが、恐らくショウの奴もやられちまったと思う!」

『なんだと!?』

 

 いまだ状況が掴めていないバーンは、トッドの言葉に驚いた。

 

(アムロは間に合わなかったのか? しかし、あれ程のスピードで飛び去ったのだからとっくに接敵していると思うのだが……)

 

 が、焦りを押し止めてトッドに尋ねる。

 

『トッド、ここに来るまでにゲドと……いや、光り輝く何かとすれ違わなかったか?』

 

 よしんば、トッドのダンバインとアムロのゲドの飛行高度が違っていたとしても、あの輝きを見逃すとは考えにくい。そう考えたバーンの質問であるが。

 

「あ、ああ。なんかやたらまぶしく光ってる物体がこっちを弾き飛ばすような勢いですれ違って行ったが……ありゃ一体なんだったんだ?」

 

 その、トッドの返答を聞き、バーンはニヤリと笑った。

 

『そうか。それは行けば分かるので、私の後を付いて来てくれ』

 

 そして、トッドにそう指示する。

 

「はぁ!? 冗談じゃないぜ! こちとら、命からがら逃げて来たってのに!」

 

 せっかく戦場から離脱したのにそんなことを言われたトッドは叫んで拒否をしたが。

 

『大丈夫だ。我々が着く頃にはすべての状況は終了しているだろう。戦闘にはならないさ』

 

 バーンにそう言われてしまい、渋々と機体を反転させた。

 

「ったく、本当に大丈夫なんだろうな? まさか、俺以外全員墜とされちまってて、死体の回収でもさせるつもりか?」

『聞こえているぞ。いいから文句を言わずについて来るんだ』

「はいはい、わかりましたよ!」

 

 そして、不貞腐れたトッドのダンバインを従え、バーンの駆るゲドはゆっくりと加速を始めた。

 

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