新しきヘラクレス   作:アーっr

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先に言おう
ゼウス、ヘカテ、テュポン、ヘラクレス以外にヘラクレスが負けることは許されていない
これは古代ギリシャ人達の総意だと思ってくれ


天の意向

 

 女神アテナ。

 メティスを呑み込んだゼウスの頭から生まれた女神。

 

 智慧、戦争、都市の守護を司る女神であり、アテナ、メデューサ、メティスの成す三相一体の女神であり、大地と冥界を支配する地母神でもある。

 

 母と同一視され、『蛇』とも関連付けられる智慧ある地母神たる彼女が厭う相手は───

 

 「我が⋯⋯⋯我ら(・・)が父」

 

 (メティス)を殺した夫/父たるゼウスに他ならない。

 

 「『己を退ける息子の予言』如きで母を殺した女々しい神だ。名を呼ぶことすら恨めしい」

 

 「しかし、王であるなら当然でしょう。特に父上の場合、自分がやったことですから」

 

 ゼウスは神々の王になる際、父であるクロノスを殺すことでその座を奪った。

 奪う者は奪われる恐ろしさを知っている。

 

 そして、予言とは神でさえ抗えない絶対的なものなのだ。

 

 「『メティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、もし男児であったらゼウスの地位を脅かすであろう』」

 

 「だからなんだ。クロノスに立ち向かった母を襲い、孕ませ、裏切ったのだ」

 「到底赦してはおけぬ⋯⋯⋯!」

 

 女神は怒りながらも冷静に物事を考えている。

 事実、《蛇》を取り返したと言うのに大人の姿になっていない。

 

 《鋼》は《蛇》を逃さない。探知されることを避ける為、アテナはアテナであり続けている。

 

 己では勝てない。───だからなんだと言うのだ。

 元よりこの身は智慧の女神。野蛮に突撃するだけが争いでは無いのだ。

 

 「アレは神話をやり直すため、我が身(メティス)を喰らい、智慧を再び奪おうとしている」

 「力を貸せ、人界に並ぶ者無き英雄よ」

 

 

 

 

 

 闇の中で嵐が空を覆っていた。

 

 「───メティス。我が妻、メティス」

 「我が前に姿を晒せ。神々の王たる我の礎となれ」

 

 古代、嵐とは神であり、雷とは神であり、即ち空とは神そのものであった。

 

 世界中の神話を見ても最も古き《鋼》。

 様々な神話と混ざり合いながらも神々の王の座を誰にも渡さなかった最高神。

 

 「ゼウス‥‥こんなところまで追ってくるか」

 

 立ち向かうのはその娘。神々の王になり変わる可能性すらあった女神アテナ。

 既に《蛇》としての在り方を取り戻し、その力は周囲に闇を齎している。

 

 「───捧げよ。その身、その力、このゼウスに捧げよ」

 

 「拒否する。《鋼》は須く嫌悪する対象だが、貴様はその中でも一等気持ち悪い」

 

 《鋼》と《蛇》は反発する。殺す者と殺される者は共存出来ない。

 

 彼方で雷鳴が轟く。目の前を視認出来ない程の闇に包まれる。

 

 「ならば 奪うのみ」

 

 「世代交代だ。その座、明け渡す時が来たぞ!」

 

 戦いが始まる。

 二柱の神が、ギリシャで激突する───!

 

 「───そんな愚行は犯さない」

 

 ぐさり、と。あり得ない音が聞こえた。

 

 「この、槍は──」

 

 知っている。その槍は他ならぬゼウスが与えたもの。黄金に輝く名も無き神槍。

 

 知っている。闇に紛れ、槍で己の背を刺した男を、ゼウスは知っている。

 それは巨人(タイタン)殺しの為に作った英雄(むすこ)。死後神の座に迎えた大英雄(スーパーヒーロー)

 

 「ヘラ、クレス──!」

 

 「偉大なる父よ。神話の再現(やりなおし)など、すべきでは無いのです」

 

 冥界の女神の要素を持つアテナの闇。それに紛れて槍を刺したヘラクレスの技量。無名とは言え神の武装である槍。

 

 三つが合わさり、ゼウスを不意打ちするという偉業は遂げられた。

 

 しかし、この程度でゼウスが死ぬ筈がない。槍で不意を打たれただけでは────

 

 「こ‥‥これは この『毒』は──!」

 

 「古今東西、《鋼》は《蛇》の毒によって滅びる。貴様であっても例外ではあるまい」

 

 竜を殺し、その血を被った英雄は竜の力を得る。

 ギリシャ最強の猛毒。不死であっても死を望む苦痛を与えるヒュドラの血毒。

 

 ヒュドラの血を被った新しきヘラクレスは、その血をヒュドラの毒に変えられる。

 

 「終わりだ。まつろわぬ神といえ不死では無い」

 「(メティス)に与えた屈辱を後悔しながら消えなさい」

 

 知恵の女神が正面から戦う訳もない。

 女神は冷ややかな目で、死を目前に控える父神を見つめていた。

 

 

 

 「───まだだ」

 

 嵐は未だ吹き荒れている。雷鳴が来る。

 

 「認めよう。神話の中のゼウスならば、そのままならば、我は負けていた」

 

 神々の王の肌が、槍が刺さり毒に犯されている部分が、少しずつ青くなっていく。

 

 「あり得ない」

 

 智慧の女神が掠れた声で言う。それは自分を納得させる為に出たような情けない言葉だった。

 

 「これは、(インド)で差し向けたあの《鋼》の───!」

 

 「オレはゼウス。まつろわぬゼウス」

 「他の神話を塗りつぶし、まつろわせる(ゼウス)である」

 

 




アテナ
 (アイギス)は有名だが槍は無名。神話上でも説明が無い。戦いの象徴という体裁のためにそれっぽく槍を持たせたと思われる。

 ゼウスにストーカーされた時に障害として野生の《鋼》を差し向けていた。
 なんでこんなことになってるの???

ヘラクレス
 毒のオンオフは出来るので安全に献血出来る。
 敵を背中から不意打ちするという卑劣な策を使ったけど相手が相手だからしゃーなし。

 なんでこんなことになってるんだよ!!!

まつろわぬゼウス
 メティスを吸収する前の姿だがそれでもやっぱり神々の王。
 様々な神話を潰して消して習合させた侵略神。

 神話をやり直してまた自分で支配したい。今度は本当に全部を思い通りにしたい。

 インドで邪魔をして来た《鋼》から権能を奪っている。
 最高神なので当然まだ隠し玉もある。
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