Pokémon World Online 作:アラワナイアライグマ
「いらっしゃい、防具はあっちのコーナーですよ」
装備品専門店『バトルギア』に足を運ぶ。
入店早々に防具のコーナーへ案内させられるほど服に困ってますオーラが出ていたのだろうか。まぁ、何も着てないのだから服以外を買いに来たとは思えないよな。
NPCに案内された方へと向かう。
壁や棚に飾られた商品を見ると、目の前にウィンドウが表示される。商品名や金額などが大まかに記載されている。
俺の手持ちを考えるとみずタイプかひこうタイプに関するもの、メインで使ってるケロマツを考えるとみずタイプが戦闘で有利になる装備がいい。リスト機能で効果などを絞っていくと二つに絞られた。
・ヘイガニ装備一式(個別購入可能)
4部位:7500円
・ヒトデマン装備一式(個別購入可能)
4部位:5000円
ウッウヘルムって序盤にしては高かったのか。全財産は先ほど手にした3000円と集めてきた素材たちぐらい。
「手持ちの素材って売れますか?」
「買取可能ですが、素材をお持ちなら製作も可能です。材料をお持ちいただければお安く作れます」
ウィンドウが表示される。
製作システム。
ポケモンを倒した際にドロップする素材、採取した素材などを用いることで装備品やアクセサリーを作成することができる。
『製作者』は素材を用いて装備品やアクセサリーの作成、修理が可能となる。
チュートリアルを読み終えてウィンドウを閉じる。先ほどまで無かった『製作品』と表示されたウィンドウを押すと必要素材と幾分か安くなった値段が映された。
といってもヒトデマンなど倒したことないので、必要な素材はほとんど足りていない。
「頭以外を買ったら?」
「3500円になります」
「……この素材を売って買います」
「かしこまりました。少々お待ちください」
フィールドボスを倒した際に手にした3000円にコラッタなどの素材を売りまくりヒトデマン装備を購入する。
安さを優先しすぎて性能や見た目を確認するのを忘れてしまった。装備名や先ほど見た素材から考えると特攻か素早さに補正がかかるはずだ。ケロマツに補正をかけるなら、防御力よりも素早さや攻撃、特攻に補正をかけたい。真正面から攻撃を受けるような状況に持ち込ませないことを優先するべき。
「お待たせいたしました。代金をお願いいたします」
表示されたウィンドウに金額を入力する。
「お買い上げありがとうございます!装備されて帰りますよね」
「まぁ、こんな半裸で持ち帰りますとは言わないわな。装備してきます」
上半身装備
・ヒトデマンスーツ上
砂底や海辺に生息するヒトデマンをイメージして作成されたスーツ。胸元には宝石をあしらった高価な見た目をしているが値段は何故か安い。みずタイプの技を発動した際に威力が少々上がる。
下半身装備
・ヒトデマンスーツ下
砂底や海辺に生息するヒトデマンをイメージして作成されたスーツ。上下で着こなすとピチッとしたシルエットになる。みずタイプの素早さが少々上がる。
脚装備
・ヒトデマンブーツ
砂底や海辺に生息するヒトデマンをイメージして作成されたブーツ。みずタイプの素早さが少々上がるが、戦闘時間が長くなるほど効果が弱まる。
半裸よりはマシだとは思うが、鳥頭にピチッとタイツを纏った姿は果たしてまともに見えるのだろうか。3分間しか戦えない異星から現れたヒーローを思い出させる質感や見た目をしている。
ギリ通報されそうなレベル。先ほどまで半裸だったんだから、服着てるだけありがたいと思って欲しい。
さて、次はアクセサリーだな。金がないから、欲しいものを製作するために見るだけだが。
街が広いこともあり、どこかに何があるか地図を見ながらでないと分からないのでウィンドウを広げながら軽く散歩する。
『デュオシティ』について、もう少し詳しく確認していこう。
街の周囲をミアレシティのように城壁で囲まれており、地図を見る限り入口は東西南北の4ヶ所。俺は南から入場したことになる。
ヨーロッパ風の建物ではなく、どちらかというと大都市を思わせるビル群が立ち並んでおり、自動車もバスも走っているほど近代的な作りだ。チラッと見るとプレイヤーが運転している様子も見えるので購入できるのだろう。
建物中には基本的に入ることができるようで、場所によっては購入することもできるとかなんとか。すれ違ったプレイヤーが話していたので確認は必要だが。購入する目印として装備品は『バトルギア』、アクセサリー、持ち物は『チャームボックス』、アイテム含めて色々買えるのは『フレンドリーショップ』と覚えておくのが良さそう。先ほど入った『バトルギア』は3号店らしくデュオシティには他に何軒か装備品を買えるお店があるらしい。
「サウス大通りでトップランカー同士がやり合うらしいぞ!」
「マジかよ! 見にいくしかないな!」
トップランカー同士の対決。
そんなの見にいくしかないだろ。前を走るプレイヤーを追いかけていく、人集りができているところを見つけたので何とか人を割って前の方へと行く。
サウス大通りにあるスクランブル交差点の中心。
2人のプレイヤーを囲むように半透明なガラスが目の前に広がっている。
1人は真っ赤な髪に、黒縁の眼鏡をかけている神経質そうな顔つきをした細身の男。インテリヤクザにしか見えないが、装備品は上等のスーツを着ていることがここから見ても分かる。
もう1人は海賊帽を被った大柄の髭男。恰幅が良く、左腰には装飾が施された剣がぶら下げられている。金の装飾があしらわれたコートを肩にかけている。
目の前にバトル開始を伝えるメッセージウィンドウが表示された。
「バトルが成立したみたいだな」
「『
メッセージウィンドウには対戦形式、プレイヤーネーム、選出するポケモンの数などが表示されている。この世界で初のPvP戦、それもさっきの人の話ではトップランカー同士らしいのでワクワクしている。
「……これがトップランカーなのか」
「いやいや、トップクランのメンバーではありますがランカーではないですよ初心者さん」
俺の独り言に反応する少女の声が聞こえた。
横を向くと、ブラウンの鹿討帽を被った亜麻色の髪の毛が見える。
「えーっと?」
「すみません。あまりの奇抜な格好に興味が湧き話しかけてしまいました!」
「奇抜な格好……否定はできん」
「まぁまぁそんなことは置いておいて。始まりますよ」
視線を前に戻す。
睨み合う2人、そしてゴングが鳴り響く。
「踏み潰せ!ガオガエン!!」
「やっちまえ!キングラー!!」
モンスターボールからガオガエン、そしてキングラーが現れる。どちらも最終進化ポケモンであり、この世界ではもちろん初めて見たポケモンたちだ。
ガオガエンは咆哮を上げてキングラーを睨め付け、大きな爪をシャキシャキと鳴らして威嚇するキングラー。
「ガオガエン DDラリアット!」
「キングラー クラブハンマーだ!」
正面突破した2匹のポケモンが拳と爪を勢いよくぶつける。
衝撃で地面に亀裂が入り、どちらのポケモンも後方へと飛んで移動する。
コマンドシステムではないので、格ゲーのような判定になるのだろうか。メッセージウィンドウに表示されているHP残量は、ガオガエンが少し多めに減っているように見える。タイプ相性やら技の威力によって、受けるダメージが変わってくる感じ。
「キングラー かげぶんしん!」
「積んでる暇なんか与えるか! かみなりパンチだ!!」
「当たらなければいいだけだ!」
残像により数が増えたキングラーに翻弄されるかのように、雷を纏った拳をガオガエンが振り回しているが本体の姿は見つけられていないの、攻撃を当てても空を切るように残像を消すだけ。
「キングラー クラブハンマー!」
「DDラリアット!」
「あれなら、相手の能力変化に問わず当てられますね。ちょっと技の切り替えが遅いですが」
「外野から見てると確かに思うところがあるが、実際にやるとなると難しいやつ」
ゲーム問わずスポーツでも言えることだが、意外と簡単にやるもんだから自分でもできそうに思えるけど、手持ちポケモンの技種類、相手の技種類、ダメージ、距離とかを考えながらやらないといけない。
一瞬でも判断を間違えると、
「ガウァ!」
モロに技を喰らっちまうってわけだ。
本体には当てられそうではあったが、先に行動を移していたキングラーの方が圧倒的に早かった。
半分以上削られており、すでにHPゲージは緑色から黄色に変化している。
「そういえば初心者さんお名前を聞いていませんでした」
「俺はハルだ。そっちは?」
「『ペリッパー郵便』所属のペンシルです。ゲーム内でのことをブログや新聞といった形で提供しております」
戦闘の勝敗はほぼ見えてきたこともあり、興味は先ほどから横にいる少女に変わる。
身長は俺の肩ほどで探索者を思わせる装備を纏っている。白いシャツにブラウンのベストとジャケット、黒のショートパンツ。着ている服装も相まって、記者っぽいとは思っていたが間違いではないなかったみたい。よく見ると帽子についているバッチがペリッパーの形をしていた。
「ブログか、今度調べてみるよ」
「ありがとうございます!これも何かのご縁ですしフレンド登録しときましょうか」
「こんな初心者でもいいのか?」
「普段は登録しないのですが、私の直感がビビッときまして……ハルさんといると良いニュースが入ってきそうだなと」
よく分からないが、この世界の先輩プレイヤーと仲良くできるなら断る理由も特にない。ブログとかをやっているぐらいだし、色々と聞いたり教えてもらったりできそう。
フレンド登録依頼のメッセージウィンドウが表示されたので登録のボタンを押す。
『ペンシルとフレンドになりました』
「想定通りではありますがキングラー勝利で終わったみたいですね。あの二つのクラン顔合わせればいつもあんな感じなんですよね」
「なにか似てると思ったが、昔ゲームにいた『マグマ団』と『アクア団』だ」
「ハルさん大正解ですよ。ちなみにそこら辺も『ペリッパー郵便』のブログで少しまとめてたりします!」
「クラン関係も書いてるのか。って、ここに長居するのもいけないか」
試合が終わったこともあり、透明な壁のようなものも人集りも消え始めている。ゲームの中とはいえ、赤信号の真ん中にいるのは恐怖感を覚えるので小走りで移動した。
何がもなかったかのように、NPCやプレイヤーが運転する車が流れて行く。異常な光景に見えるが、日常的な感じなんだろう。
「もう少しハルさんとはお話ししたかったのですが、あいにくの予定がありまして」
「色々と教えてくれてありがとう。気が向いたら連絡してくれ」
「分かりました! 必ず連絡しますね!」
社交辞令のつもりだったのだがいいか。
ブンブンと手を振りながら、走っていなくなってしまうペンシルに軽く手を振る。
俺もアクセサリー屋とか持ち物を見にいかなくちゃいけないんだった。
未だヒロインの設定を何も考えていないまま書いています。
ヒロイン…出てくるのかな(白目)
ルビとかは勉強中です。