全肯定合法ロリ娘の本性を誰も知らない 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
つらぴ。
授業が終わるとそれぞれが帰宅や友人との交流に時間を割いていく。私も例に漏れず友人との交流をしようじゃないか。
れな子達のいる方向へ視線を向けると、そこではれな子と紫陽花と美羽が朝と同じように雑談をしていた。していたのだが、なんだ、次は紫陽花が美羽を抱きしめている。自身の膝の上に乗せ、頭をなでながら。
……最近は美羽を抱くのがブームなのか?
「美羽ちゃん暖かいね。髪の毛もサラサラだし」
「紫陽花ちゃんのナデナデも気持ちいいよー。慣れてるの?」
「うん。私、弟が二人いるから」
「そうなんだ、だから紫陽花ちゃんといると安心するのかなぁ」
「ふふ、こうしてると美羽ちゃんが私の妹になったみたいだね。美羽ちゃんみたいないい子でかわいい妹がいたらいっぱい甘やかしちゃうだろうなぁ」
「私も紫陽花ちゃんみたいなお姉ちゃんがいたらそれこそいーっぱい甘えちゃうかも。ね、紫陽花お姉ちゃん」
「っ、うん、うん!美羽ちゃんかわいいよ〜!わしゃわしゃ〜!」
「わ〜い」
ふむ、確かに二人は雰囲気や性格が似ているし本当の姉妹のようだね。見ていて思わず口元が緩んでしまいそうだ。教室に残っているクラスメイトのみんなもほっこりしているよ。
「ふへへへへ」
……だがれな子、君は口元どころか顔全体がふにゃっふにゃになっているぞ。少なくとも友人達を見てするような表情ではないと思うのだが、それはいったいどういう感情なんだ?
君の想い人が他の女の子とイチャイチャしているんだぞ?思うところはないのか?まさか恋心を自覚していない弊害か?
あ、ついにはスマホで二人を撮りだした。それでいいのかれな子。
ふとれな子から視線を外すと、香穂と紗月も三人の近くまでやって来ていた。なにやら紫陽花と美羽を見て話をしているようだ。
「ぐぬぬ、羨ましい〜!」
「それはどっちが?」
「どっちも!」
「でしょうね」
ウガーッと地団駄を踏んでいる香穂に対し、紗月は呆れているようだ。なんだかんだあの二人はよく一緒にいるな。仲がいいのか、それともどこか波長が合うのか。
「あーちゃんにナデナデして欲しいしみうみうもナデナデしたい〜!……ハッ!私があーちゃんの妹でみうみうのお姉ちゃんになればいいんだ!これで仲良し三姉妹!完璧だぜー!」
「そう言う割には行かないのね。いつもならすぐ割り込むのに」
「だって今は濃密なあじみう空間だし。そういうのはちょっと」
「……香穂の判断基準はよく分からないわ」
二人はどうやら静観するらしい。香穂の言っているあじみうというのは名前の響きからして紫陽花と美羽のことだろう。仲の良い二人のやり取りを邪魔するのは悪い、という判断か。香穂は優しいな。
だが私には関係ない。紫陽花や美羽に突撃して邪魔をしたい訳では無いし、行っても二人の邪魔にはならないだろう。それに私は王塚真唯だからな。なんとでもなるとも。
そう考え、私は三人の方へと向かった。
「やあ、二人とも仲がいいね」
「あ、真唯ちゃん」
「ふふふ、今の私は美羽ちゃんのお姉ちゃんなの」
そう話す紫陽花はニコニコとご機嫌な様子。美羽の頭を撫でる手は止まらずに動き続けていた。美羽もそれを受け入れているようで特にアクションは無い。
ここまで紫陽花が嬉しそうなのは珍しいな。普段から笑顔が絶えないような人ではあるが、今は全身から喜びという感情が滲み出ているようだ。やはり二人の周りだけ空気が違う気がする。ポワポワとした空気が二人を覆っているような気さえしてきたよ。
「真唯ちゃんも美羽ちゃんのお姉ちゃんになる?」
「姉というのはそんな簡単になれるものなのかい?」
「ちょっと待ったぁ!!」
大きな声を上げながら突如乱入してきたのは香穂だった。
「私も!私もみうみうのお姉ちゃん立候補する!」
私の隣に立ち、片手を大きく挙げてブンブンと振っている。その後ろからは紗月がゆっくりとやってきており、その顔には先程よりも更に呆れが強く浮かんでいた。
「割り込まないんじゃなかったのかしら」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ!みうみうのお姉ちゃんになれちゃうんだよ!?こんなチャンス見逃すわけにはいかないじゃん!さーちゃんも立候補する!?」
「はぁ、しないわよ」
「えー勿体ない!」
勿体ないとかそういう話なのか?本人の許可も何もない話だったと思うのだが。いや、当の本人はにこにこしているから大丈夫か。私達のやり取りを見て楽しむくらい余裕はあるらしい。
私の周囲にいるみんなを見渡し、気付く。紫陽花や美羽、香穂に紗月、そしてれな子。全員がこの場に居るはずなのにれな子だけが静かだ。
なぜだ?いつもならもう少し会話に参加しようという姿勢が見受けられるはずなのだが、今日に限っては一言も喋っていない。美羽に関する話題なんて普段から積極的に参加しているというのに。
小さな違和感を覚えれな子の様子を伺えば、そこにはどこか遠い目をしながらぼんやりと私達を見ているれな子がいた。
「れな子……?」
「……え?あっ、なに!?どうしたの王塚さん!」
私の呟きが耳に届いたのか、れな子はハッとしたように目を見開いてこちらを向く。その顔はいつも通りのれな子だった。私とれな子とのやり取りにみんなの視線が集まる。
私の見間違いか?だがそれにしては……。
「いや、どこかぼーっとしているようだったからね」
「あ、あはは、授業が終わって疲れちゃってたのかも!昨日は夜ふかしもしちゃって!」
たはは、なんて後頭部に手を当てて弁明しているが、どうにも違和感が消えない。するとれな子の言葉を受けて紫陽花がそちらに話題を切り替えた。
「れなちゃん大丈夫?美羽ちゃんいる?」
「え〜!ください〜!」
さっきから紫陽花は美羽をなんだと思っているんだ。いや、れな子なら喜びそうではあるが……というか欲しがっているな。
「れなちんって結構頻繁に夜ふかしするよね〜。夜ふかしは乙女の天敵なんだぞ〜」
「あはは〜、良くないことだっていうのは分かってるんだけどつい」
「香穂、そういう注意は意味無いわよ。甘織がそういうことを気にするような人とは思えないもの」
「ちょっと!?偏見が酷くないですか紗月さん!」
「じゃあ違うのかしら」
「…………イエ、チガイマセン」
……変わらない。普段と変わらないやり取りが目の前で行われている。やはり私の覚えた感覚は気のせいだったのか?それとも心配のしすぎか?本人に聞くのが早いかもしれないが、一度はぐらかした以上無理に聞くのは好感度的によろしくないかもしれないな。
「……れなちゃん?」
ふと聞こえてきた小さな声の出どころに視線を向けると、そこにはれな子を心配そうに見ている美羽の姿があった。会話に夢中になっているみんなは気付いていない。れな子本人ですらも。
一歩引いた場所から全体を見ていた私だけがそれに気付いた。そして、そんな私に美羽が気付いた。パチリと視線がぶつかり合う。
「……ふふっ」
何も言わない。何も伝えてはこない。ただ"目と目が合ったから微笑んでみせた"美羽は自然体のままいつも通り会話に参加し始めた。
「れなちゃんって昔からよく夜ふかししてるのにお肌綺麗だよね」
「えっ、そうなの!?ズルじゃん!乙女の天敵はれなちんだったか!シッシ!」
「ええっ!?なんで!?わたし何も悪いことしてないのに!!」
そこから先はいつも通りだ。みんなで雑談し、時間が過ぎては帰宅する。たったそれだけ。みんなの雰囲気も何も変わらない。変わらない一日はいつも通りに終わった。
結局その次の日も、更にその次の日もれな子はいつも通りだった。みんなと楽しそうに会話をしている。あの時に見たれな子の表情は私の気のせいだったのか。いや、そんなはずはない。見間違いなんてありえない。
……美羽か。
あの時、れな子の異常に美羽は気付いていた。そしてその後はなんでもないようにしていた。文字通りなんでもなかったんだ、美羽にとっては。
たった一日で、私が動く前に、みんなが気付かぬ間に解決してみせた。
……これは手強いな。
おまけ
〇れな子の脳内
(天使と天使が戯れてらっしゃるッッッ!!!!これは保存不可避ッッッ!!!!)
(あの天使とわたしが幼馴染って本当なのかな。というか美羽ちゃんはみんなに囲まれててすごいなぁ。わたしって本当に陽キャになれるのかな。今は金魚のフンもいいところなのに……)
(うへぁっ!?王塚さんに怪訝な眼差しで見つめられているんですけど!!マズい!!これはマズい!!陰鬱なオーラが今漏れてた気がする!!違います!!違いますよ!!わたしは陽キャなんです!!信じて!!お願い!!王塚グループに居させてぇ!!)
(ふぅ、なんとかなった……学校も後は帰るだけだからって少し油断してたかも。明日からはちゃんと頑張らないと!)
〇美羽の脳内
(紫陽花ちゃんのナデナデ気持ちいい!これはもう抱っこだよね!ぎゅーだよね!全身で紫陽花ちゃんの愛情を感じる!紫陽花ちゃんは私のお姉ちゃんだったんだ!いたずらしたら"メッ"ってしてほしい!もしくはかわいいいたずらで仕返ししてほしい!うへへへへ!……紫陽花ちゃんの弟くんとか前世でどんな徳を積んだっていうんだ)
(あ、みんな来た。みんな私のお姉ちゃんになってくれるの?やったぁ!お姉ちゃんがいっぱいだぁ!我が世の春が来たぁ!)
(あー、れなちゃんもしかして自己嫌悪モード入ってたのかな。あ、真唯ちゃんと目が合っちゃった。今日も美しいねっ!顔がいいねっ!ちゅっちゅっ!)
(不健康な生活を続けてるのに肌綺麗でスタイル抜群の美少女が生成されるとか普通に考えてズルでは???香穂ちゃんは正しいのでは???)
恋は盲目
↑そうだね。