裁判パートはエマ視点でやらせていただきます。
「ではまず刑事!現場の状況を!!」
レイアがそう宣言をした。
「了解した、簡潔に現場の様子を皆に説明しよう」
「(け、刑事!?)」
それに対して受けたキレイにエマは驚く。
それを気にせずにキレイは現場の状況を語る。
「被害者は城ヶ崎ノア、第一発見者は同室の夏目アンアン。
事件当時、夏目アンアンは体調不良により医務室で療養していた為、被害者は一人だった。
死亡推定時刻は、エマ君が最後に見た夕食時を考えると
皆が夕食を食べ終えた20時以降と考えられる」
「......ん?」
「(ココちゃん?)」
ココが疑問に持つ声を上げていた。気になるところがあったのだろうか。
「ここに疑問はあるかね?それ以降に見た人物がいるなど」
━━━しかし、見た人物は出てこなかった。
「つまり、ボクとメルルちゃんが見た夕食前の後には、誰もノアちゃんは見てないってこと......?」
「そ、そうなります.....ね?」
「なるほど、では話を進めよう。現場は、被害者のスプレーにより白く染められ、刺激臭が立ち籠っていた。血の臭いがしなかったのはその為だろう。
乾き方からして、昨日の夜に塗られたものだ。足跡がないため、内部に入った人間は普通であれば被害者のみ。凶器は、死体の横に転がっていた矢だ」
「そう見た理由は何かな?キレイ君」
レイアが合いの手を入れる。
「先端に血が付着しており、
傷の細さから見ても間違いはないだろう」
レイアはふむ、と一息を付き。
「ありがとう、というわけで、検察側は最も疑わしい遠野ハンナを犯人として告発する!」
「ちょっと待ってよ!」
その発言にミリアが異議を立てる。
「何かな、ミリア君」
「それだけでハンナちゃんを犯人と決めつけるのはおかしいんじゃないかな?時間が20時以降だったら、他にも可能な人はいるでしょ?」
それにエマが続ける。
「それに、現場に残された証拠は、まだ2つ証言されてないはずだよ」
「...本当かい?キレイ君」
レイアがキレイに対して問う。
「ええ、しかし事件には関係のないものだと思っていましたので省かせてもらった。被害者の遺作と、床の傷跡の二つで合ってるかな?」
「遺作?」
「ああ、床に描かれた血の蝶だよ。現場に描かれた、恐らくは被害者の血痕。そこまで関係はないと思ってね」
「関係するか、しないかは...そちらで決めることじゃありません......!!」
メルルが控えめに、それでいて強く反論する。
「分かった。確かにその通り、次から気をつけるとしよう」
そう話をしていると、シェリーが声を上げた。
「待って下さい!それは被害者のダイイングメッセージではないでしょうか!!」
「ダイイングメッセージ、か。ふむ。では証人、証言をお願いするよ」
レイアは興味深そうに、発言を促した。
「はい!名探偵シェリーちゃんにお任せください!!」
【ダイイングメッセージ】
「恐らく、ノアさんの絵はダイイングメッセージだったんですよ!
ノアさんは死ぬ間際、自らの血を筆に吸わせ、蝶の絵を書いたんです!
そして蝶といえば、マーゴさん!マーゴさんの衣服には蝶があしらわれています。ノアさんは最後に見た光景を絵に書いたんです!!」
━━━━━
「...ふむ。では弁護人、何か意見はあるかね?」
「うん、あるよ」
キレイの言葉に、エマが返す。
「シェリーちゃん。まず、筆で書くって言うのは間違ってるよ」
「そうなんですか?」
>床に書かれた蝶
「うん、ノアちゃんは基本的にスプレーで絵を書いているし、それに、ノアちゃんの魔法は、自分でも言ってた【液体操作】だから、魔法で自分の血で、蝶の絵を描いたんじゃないかな」
エマの発言に、レイアが反応する。
「......なるほど、この牢屋敷では普通の犯行の他に、【魔法】が選択肢に入ってくるんだね」
「うん、それに...」
>アンアンのスケッチブック
「ダイイングメッセージっていうのも考え難いんだ。アンアンちゃん、スケッチブックを見せてくれないかな?」
エマはアンアンに促す。
アンアンの捲ったスケッチブックには、現場と同じ蝶の絵が描いていた。
『ノアが勝手に描いていった。意味も知っている、マーゴを表す意味ではない』
「だから、蝶の絵は事件とは無関係なんだよ」
「そうなんですね〜...じゃあ私は発言を撤回します!事件とは関係ありません!!」
「随分と素直だな」
「はい!間違っていた推理は撤回するに限ります!私はスケッチブックの情報を知りませんでしたし!!」
「そうだね、私もてっきり、求めていた芸術が己が内にあると知ったノア君がテンションを上げて描いたものだとばかり」
「テメェはテメェで何言ってんだよ...?」
シェリーに突っ込んだアリサが、シェリーの発言に乗っかったキレイの発言に少し引く。
「その調子です、エマさん......!
証言中に、違和感がある箇所や、事実と異なるものがあったとしたら、それはその人が知らないことがあるのか、嘘をついていると思うんです。そこを突いていって、3人でハンナさんの無罪を証明しましょう!」
「うん!分かった!頑張ろう、ミリアちゃん!」
「う、うん。おじさんもできることはやるよ」
「あ、ならミリアちゃんが知らないこともあるよね。これが、こうで」
「ありがとうねーエマちゃん」
そしてまた、キレイが語り出す。
「では、メルル君に叱られてしまったし、現場の傷についても触れるとしよう。現場の傷は矢とは反対方向にあった。何か鋭いもので引っ掻いたような傷だ、それが部屋が白く塗られる前か、後に付いたかは分からないがね」
>床の傷跡
「多分だけど、後に付いた傷なんじゃないかな?」
エマの持つ証拠品を見たミリアが反論をする。
「これ見て欲しいんだけど、傷は黒く見えてるわけだし、塗った床が削れて、元の床が見えたんじゃないかな。前だったら、その傷も白く塗られているはずだよ」
「なるほど、確かにその通り。だが、現場には傷が付くような鋭いものはなかった。矢にも塗料は付いていない。
では、それがどう意味するのだね?」
「それは...」
ミリアの言葉が詰まる。
そこに反応を返す者がいた。
「━━━現場にいた何者かが持ち去った。ということね?」
マーゴが、言葉を発し、それにシェリーが反応する。
「なるほど!確かに、傷を付けたものを持ち去ったのなら、現場には誰かいた!ということになりますもんね!!」
「ええ。だから確実にいるのよ、この中に、ノアちゃんを殺した【殺人鬼】が」
マーゴの言葉に、辺りは騒然となる。
「(ボクたちが今証明したのは、この中に犯人がいるってだけみたい...)」
「エマさん、ミリアさん。着実に真実には近づいています...!だからファイト、です!」
「(メルルちゃん......!)」
メルルの励ましに元気をもらった。
レイアが、沸き立つ会場を割った。
「そこまで。次に何故遠野ハンナを疑うことになったのかについてだ。
刑事、説明を!」
「了解した。簡潔に情報を抜かず説明をしよう」
【遠野ハンナが犯人なわけ】
「まず、現場には足跡がなかった。
それでいて、“床の傷”から“何者かが現場にいた”ことが証明された。
それでいて、凶器のボウガンの矢だが、諸事情でボウガンは使えない状態のためボウガンの射出はありえない。
つまり犯人は“中に入り”、被害者をボウガンの矢で直接刺し殺すしかなかった。
よって、犯人は【浮遊】の魔法が使える遠野ハンナしかあり得ないというわけだ」
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「ボウガンは使えないの?」
ナノカが口を挟む。
「ああ、先程の証人がボウガンを持ち帰った後力付くで解体してね。
使えない状態になっている。それが昨日の夕方以前だったかな?
弁護人、説明できるかね?」
>ボウガンの残骸
「うん、事件前に捨てられてるのを、ボクとメルルちゃんが見ているよ」
エマが告げると、そこにシェリーも反応する。
「はい!構造を理解しようとしたらやっちゃいました!」
メルルも言葉を続ける。
「後、私もその部品を気になって持って行っちゃったので、直すのは難しいかと......」
その流れに、アリサが口を挟んだ。
「待てよ、別に入らなくたって、そこのハエ女がボウガンと一緒に持ってった矢をぶん投げたってのも可能性としてはあるんじゃねえか?」
「それも難しいと考えている。
確かにそれなら現場の外から狙えはするが、一撃で仕留めるというのはかなりの修練が必要になる。
それにシェリー君の魔法は【怪力】
もし被害者を奇跡的に撃ち抜けたとして、
貫通して壁に刺さらないとおかしいと思うがね」
「そうですね!私そういった力加減とかできませんし!」
「確かにそうだな......」
「誇ることじゃねえですわ......」
そこにナノカが口を挟む。
「聞いて、凶器に使われると思ってボウガンを毎日見ていたんだけど、ボウガンに使う矢は一昨日の時点で、既に無くなっていたわ。だから橘シェリーが犯人というのは考えにくいわ」
レイアがそれを聞いて、発言をする。
「ナノカ君、キレイ君。証言ありがとう。
どうだね、弁護人。これが完璧な証言だ。
君達には申し訳ないが、やはり遠野ハンナ以外には不可能な犯罪なんだよ」
そのレイアの言葉に対して、2人が反発する。
「まだ決まったわけじゃないよ!!まだ話し切ってもないし、他の可能性だってきっとあるはずだよ!」
「ハンナちゃんは絶対犯人なんかじゃない......!
ボク達はそれを証明してみせる!」
その二人に、メルルが語りかける。
「二人とも、私もハンナさんが犯人じゃないって信じてます。
キレイさんの証言に隙はありませんが、ハンナさんが犯人だとすると、おかしな部分が生まれるはずです...!」
「うん、分かった!」
「(絶対に、証明するんだ!)」
ハンナの無実を証明し
犯人の犯行を証明する【魔女裁判】は、まだ始まったばかり。
エマ達は、どう乗り切るのか。