愉悦少女ノ魔女裁判   作:保温と後光

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〜証拠品ファイル〜
ヒロの万年筆
たいせつなもの、握ると力が湧く。

ボクのスマホ
昨日ミリアに誤って電話した時の記録がある。

ミリアのスマホ
ボクのと違って派手。データは消えている。

刃こぼれしたナイフ
切れ味の悪そうなナイフ、先端は尖ってる。

小さな鍵
ミリアの口の中から出てきた。

壊れた錠前
シェリーが壊す前は、閉じられていた。

拷問ショーの案内
20時にやるらしかった。
ココがラウンジから剥がしたらしい。


14日目-魔女裁判(前)

(エマ視点)

【魔女裁判】が、また開かれる。

向かう最中、ナノカに対して裁判所の道中であった。

 

「(ナノカちゃん、どこか思い詰めてる......?)」

少しばかり話したが、そんな様子を思う。

 

2人減って、10人。この中に、ミリアを殺した

【魔女】がいる。

出入り口に看守、高い位置にゴクチョーの配置も変わらない。

...一つ気になるのは、アンアンが、どこか前とは違う目をこちらに向けていることだった。

 

「黒部ナノカさん。今までどこにいたんですか。随分と探したんですよ。まあ今は魔女裁判が優先ですから、黒部ナノカさんの処罰については後ほど...」

ゴクチョーは言葉を続ける。

 

「魔女裁判のルールはもう理解していますよね?所で検事弁護士とか、私は何でも良いんですけど、どうします?」

ゴクチョーは、キレイに向かってそう言っていた。

 

「先日の魔女裁判で、失念していたのだが......ここにいる全員が容疑者で証人である。だからこそ弁護士検事などはこの話し合いの場において不都合が多いと理解した。今回は進行役を決めて、各々が思ったことを話し合う場にしようと思う。どうかね?」

 

みんなに向けてキレイは聞く。

みんなそれぞれ異論はなさそうだ。

「では、今回は進行役を僭越ながら私が務めさせて頂く...ゴクチョー、開始の宣言を」

 

「分かりました。ご自由に......

それでは、魔女裁判の開廷です!!」

 

━━━━━

開始の合図が響いた。

それぞれが思うことがあり、それを漏らす。

 

そんな中で、キレイが口を開く。

「それでは、僭越ながら進行役として...まずは事件の概要から説明しよう。各自、疑問に思うところがあれば発言するように」

 

「エマさん」

メルルが開始する前に話しかけてきた。

「どうしたの?」

「今回の事件、調査時間が短くて、それぞれバラバラに探索しましたよね。つまり、その人しか握っていない情報があるんです」

「なるほど!気になった情報は質問して聞いていけば良いんだね!」

「はい!精一杯サポートしますから、頑張りましょう......!」

 

そうして、キレイが語り始める。

「まずは、被害者について話すとしよう」

「あ?んなもんおっさんに決まってんだろ」

アリサの発言に、キレイは首を振る。

 

「そう、本来であれば被害者は当然だ。

しかし佐伯ミリアには【入れ替わり】が存在する。

本当に本人かどうかは分からない」

「でもさー、それって意味あんの?被害者がおっさんじゃなかったとしてもさー。犯行には関係ないじゃん」

 

ココの発言にキレイは

「レイア君の事件を思い出して欲しい。

【魔女因子】の殺人衝動、それは恨みや怒りといった感情に動かされる。であれば被害者が誰かという

それに付随する『動機』は重要な証拠になり得る」

 

レイアの動機...自分より目立つノアが許せなかった。

本来なら殺害には至らないだろう動機でも、

【魔女因子】を考えると動機になる。それを聞いて確かに納得が行った。

 

「もし入れ替わっているとすれば...今の佐伯ミリアは、桜羽エマではないかと私は思う」

「......え?」

 

【審問開始】━━━

「私は、【入れ替わり】があり得るのなら

“桜羽エマしかいない“と考えている。まずは

【入れ替わり】の魔法について話すとしよう。

ナノカ君、説明を頼む」

 

「魔法で見た【入れ替わり】の魔法の条件は三つ。

一つ“互いの手が触れ合っている”必要がある。

二つ“互いが許可していること”

そして三つ“その魔法は本人にしか使えない”わ」

 

「待て、本人しか使えないって......」

「ええ、佐伯ミリアは大人ではない、ただの...少女よ」

「......マジ?じゃあ何でおじさんとか言ってたの?」

「それは後で良いんじゃない?ナノカちゃんの言ってた事は本当よ。私も一回試して貰って、ミリアちゃんになったもの♡」

「証言ありがとう。これで【入れ替わり】については共通意識ができたかな?」

━━━━━

 

>桜羽エマしかいない

・【質問】どうしてそう思ったのか

 

「待ってキレイちゃん!どうして【入れ替わり】を使われるならボクなの?」

「簡単な話だよ。君は魔法を未だ使えていない。本人と成り変わりをするにはうってつけだからね。それに......気球が壊れる前の日、君とミリア君があっているのを見ていたんだ。中庭だよ」

 

確かに、その日中庭でミリアと話をしていた。

「一番最後に”接触“が確認できたのは君で、尚且つ判明していないため証明が困難。だからこそ

【入れ替わり】なら君、と思ったわけだ」

>接触

・手は触れていない。

 

「それはおかしいよ。キレイちゃん、ナノカちゃんの言っていたことと中庭の出来事だと矛盾があるんだ。

だって、側には近付いたけど、ボクとミリアちゃんは手を触れていないんだ」

「確かに、触れていなかったね」

キレイはそう素直に認めていた。

 

「だから、ミリアちゃんとボクとが入れ替わっているのは無理なんだよ。他の人とかなら居るかもしれないけど......」

「基本的にミリアさんは三人一組で動いてましたけど、そこまで触れていたという記憶はありませんね!」

 

「あてぃしおっさんと大体一緒にいたけど、あてぃしってことはキレイっちが証明してくれるっしょ?」

「ああ、その点は異論ないよ」

シェリー、ココがそれぞれ証言する。

 

「アンアンさんは......」

「......【放っておいてくれ】」

「は、はい......」

メルルがアンアンに声をかけたが、アンアンの魔法が発動したのか、メルルの気質かすぐにメルルは引いた。

 

「.....キレイちゃん。これでもボクがミリアちゃんだって言う?」

「━━━いいや?すまないね。確認する必要があるかも知れないと思ってね。あの騒動でも手を触れた者はいなかった。

しかしこれで、佐伯ミリアは入れ替わっていないことが証明できたわけだ」

「何の時間だったんだよ!!」

 

ココのツッコミに、エマも内心同意する。

「(確かに、キレイちゃんにしては無駄な横道を走っている気がする......)」

 

ふと、アンアンの様子が目に入った。

「.......ぁ...ぁ」

 

魔法の効果か、誰も気がついていなかったが、アンアンは小さく震え、顔が青ざめていた。ミリアに懐いていた彼女は、まだミリアが生きていると言う希望を抱いて、それがないと分かってしまったからだろうか。

 

「では次は現場の様子について話そう。現場はミリア君が囚われていた懲罰房。凶器は懲罰房内にあったナイフであることから計画性はなく、突発的犯行だった可能性は高い。

 

荒れた痕跡は当然ながらなく、腹を入念に刺された後、心臓を一突き。腹を狙う理由があったのかも知れないね。私からは以上、他分かることがあるものはいるかね?」

 

キレイの問いに対して、ハンナが声を上げた。

「わたくしが、第一発見者ですの」

 

【審問開始】

「わたくしとココさんが死体を発見したんですの。時間は21時頃ですわ!」

「うん、お嬢とあてぃしの二人で行ったんだ。あてぃしは紙見てこれどうしようかなーってなっててさ」

「ええ、ラウンジに貼られていた【懲罰房で拷問が行われる】みたいなのが書いてあるメモがあって、わたくし許せなくて、“メモに書かれていた通り”行ったんですわ!」

 

> 拷問ショーの案内

「ハンナちゃん、それっておかしくないかな?」

「何がですの!?」

「この紙なんだけど、行われる時間は20時って書いてあるんだ。ハンナちゃん死体を見つけた時間は21時、どうして1時間もズレてたのかな?」

 

ココは言いずらそうに

「お嬢がズレてた理由は知らないけどさ、あてぃし一人で行きたくなかったんだよ。懲罰房って暗くて狭いしさぁ?それに夜中で助けも届かなそうな場所に行きたくなんてないってーの。お嬢がいてよかったわ」

「わたくしのこと、頼りにしてくださったんですね.....!」

 

「お嬢なら囮になるだろうし、襲い掛かってきても返り討ちにできそうだしね」

「酷い理由でしたわー!?」

そんな漫才みたいなことをしている中、マーゴが

 

「ココちゃんが遅れた理由はわかったけれど、ならハンナちゃんはどうして遅れたのかしら?」

「実は...わたくしが懲罰房へ行くのは“2度目”だったんですの」

 

ハンナは、20時前にラウンジで張り紙を見つけて、どうしようかと悩んでいると......アンアンが現れた。共に20時、懲罰房へ様子を見に行くと、悲鳴が聞こえたと言う。

 

「それでわたくしたち、怖くなって帰って来たんですの。これがその時の、音声データですわ」

 

【音声メモ】

━━━━━

(電子音)

『きゃああああー!!』

『ひっ』

『ミリアの声......』

『悲鳴でしたわ!!』

『拷問、始まったのか』

『そんな......!』

『......』

『......アンアンさん、顔色が優れませんわ』

『......戻ろう』

━━━━

「......その後は、医務室に戻った」

重い口を開け、アンアンがそう言った。

 

「ええ、わたくしたちが医務室へ行ったらメルルさんがいましたわ」

「はい、20時過ぎ頃にお二人が来ていました。その後はアンアンさんが残って......」

「わたくしは、ミリアさんのことが気がかりになって...ココさんと共に行くことになった、と言うわけですわ」

「だとさ」

ココがそう締める。

 

「なるほど〜!そういう経緯だったんですね!」

シェリーが反応した。

「しかしそうなると、一つ分かったことがありますね」

「何がですの?」

ハンナの問いかけに、シェリーが答える。

 

「犯行時刻です。ミリアさんの悲鳴が聞こえた20時から21時の間に、ミリアさんは殺害された。

つまり!その時間帯にアリバイがない人が犯人です!」

そう言ったシェリーに、各々が反応をしようとする中。

 

「━━━異議あり」

今まで黙っていたキレイが、口に出した。

「(キレイちゃん!?)」

予想外のタイミングで口を挟んできたキレイに対して、エマは驚く。

「えー?私おかしなこと言ってませんよね?」

シェリーがそう聞くと

 

「ああ、今のままではおかしな点は無いよ。ただし...私の知っている情報とは違う点があるからね、そこを明らかにして頂きたい」

「何か知ってるの?キレイちゃん」

エマの問いかけに、キレイは返す。

 

「ああ、違う点は主に二つだよ。一つは第一発見者と、もう一つは...死亡推定時刻」

「それって.....全部じゃありませんの!!」

「先に言えし!!」

ハンナとココがそう反応するも、キレイは気にせず。

 

「では、本当の第一発見者に話を聞いておくとしよう。ナノカ君」

「......ええ」

 

「(ナノカちゃん......!!キレイちゃん、今回はナノカちゃんと協力して.....いつの間に!?)」

エマが混乱する中、また、審問が始まる。

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