服装について
言峰キレイの服は、FGOラスプーチンの第一再臨。
血に染まったラウンジの中
少女達は恐慌状態に陥っている。
その室内を緩慢に動き回っているのは、
看守と言峰キレイだけであった。
あまりにも早く、二階堂ヒロの死体が片付けられていく。
...その光景を尻目に、恐怖に耐えきれずか、少女...紫藤アリサが地を蹴り駆け出す。
看守は反応し、強烈な勢いで追う。
...悲劇は、蓮見レイアにより避けられた。
看守は牽制だったのか、それ以上は追わずに
片付けられたヒロの死体を抱え、退出し...
注目されるのは、キレイだった。
「━━━主よ、この魂に憐れみを」
そう呟きながら、キレイはヒロの死体を見送っていた。
その異様な光景には、誰も話しかけることはできなかった。
一人を除いては
「あなた、本当にシスターだったのね?」
宝生マーゴ。様子を傍観していた少女だった。
「疑っていたのかね?これでも私は敬虔たる信者であると自負しているのだが」
「いいえ?でも...あなたの年齢で、そこまで信仰に向き合うのは珍しいのよ?死体を見ても慌てずに...まるでそうあれかしと追い込んだみたいに...一体、何があったのかしら♡」
「それは、ご想像にお任せしよう」
二人の会話が終わり、全員の息つく暇ができた。
あれほど漂っていた血の臭いすら、今はなかった。
倒れた場所に、本当に何もなかったかのように。
その状況の中、中央に立ったのは、
やはりレイアであった。
「みんな!私たちはここでの共同生活を強いられることになる。それがいつまで続くのかはわからないが...今は大人しく従おう。
知り合ったばかりではあるが、私は君たちをできる限り守りたい。
先程のヒロくんや、あの状況でのアリサくんの振る舞いは、全員に危害が及ぶ。今後は勝手な行動を慎んで頂きたい」
「チッ......」
アリサは言い返せず、気まずそうに舌打ちをする。
「まずは、自分のポケットを見てくれないか。
各自スマホを配給されているようだ」
そうして、レイアにより以下の説明がなされた。
・このスマートフォンは圏外で、外への通信はできない。
・【魔女図鑑】というアプリが入っていて、規則や牢屋敷のマップ、囚人情報が載っている。
「この【魔女図鑑】に記されたルールを遵守し、生活していこう。全員、目を通しておいてくれ」
しかし、アリサは納得いかず、ラウンジを出て行った。
キレイはそれを追いかけて行ってしまった。
その様子にやれやれ肩をすくめ
他のみんなは協力してくれるだろう?と問いかける。
しかし、ヒロを殺されたという理由でエマが
それに対し面白そうという理由でシェリー。
レイアが気に入らないという理由で小柄な少女、遠野ハンナが。
人見知りにより、ぴったり張り付いているメルル。
このメンツが反対側に立った。
こうして、メンバーは二分割された。
戻らなければならない時間ということで
レイア側の人が先に、後からエマ側の人が牢へと向かった。
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「待ちたまえ、アリサ君」
「...チッ、なんだよ。テメェも規則には従うべきだ、ウチは間違ってるって言いたいのかよ」
アリサを追いかけたキレイは、先に走っていたアリサを追い越し、行手を塞いでいた。まるで看守を思わせる程のスピードであった。
「いいや?別に君が脱走しようとどうしようと勝手だと思っているよ」「...じゃあほっとけよ!止める理由ねえだろ!!」
アリサは怒ったものの、キレイは構わず話を続ける。
「私は、君に協力しようと思う」
「...は?」
思いがけない言葉に、思わず耳を疑う。
「何、困っている者に手を貸すことが、そんなにおかしなことかね?」
「...テメェのその言い分が胡散臭いっつってんだよ。死体を一緒になって片付けてる奴の言うことなんか信用できるかよ」
「信用されずとも結構。それにしても良いのかな?
そろそろ牢に戻る時間だ。ここで捕まってしまえば、1秒でも早く出るという君の言っていた言葉が果たせなくなってしまうが?」
「.....チッ!!!」
大きな舌打ちをつく。しかし納得はしたのか、自分の足でアリサは牢へと足を運んでいく。
それを見てキレイも、続いて牢へと戻って行った。
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牢へ戻ったキレイは、メルルと会話をしていた。
「あ、おかえりなさい...その...大丈夫でしたか?」
「心配ありがとう。思ったよりも素直だった
根気強い説得が必要ではあるがね」
少しばかり談笑をしつつ
キレイは、スマホの規則を眺める。
『囚人は、強いストレスを受けると魔女因子が高まり、魔女化が進む』
『魔女になった者は抑えきれない殺人衝動で、殺人を犯す恐れがある』
「(...恐らくは、ヒロ君も魔女化が進んでいたのだろう)」
周りの環境を見る。
薄暗い部屋、硬いベッドに薄い布団。
衛生環境も良いものではない。
「(これは、そのうちに起こり得るだろうな)」
それを望んでいる自分に思わず嗤いながらも、日課の修練を行う。
メルルからは怯えと困惑の表情で見られながらも、時間は過ぎて行く。
すると、通知音が室内に響いた。
内容はゴクチョーから。
『皆さん、夕食の時間です。速やかに食堂へ集合してください』
並ぶ牢屋が、一斉に開錠されて行く。
「ふむ、ではメルル君。私は先に」
「えっあっ、は、はい...!」
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食堂にて
自室にてスプレーで絵を描くとの理由で、ラウンジを好き勝手に弄っていた少女、城ヶ崎ノアを除く囚人は、食堂に集合していた。
レイア組、エマ組と分かれ、ハンナがレイアに対して睨みを効かせている中...どちらにも属していないアリサと、追いかけていたキレイが逸れ組としてそこにいた。
「...ヒデえ味...クソっ」
「そうは言いつつも食べている辺り、真面目さが見られるがね」
「黙ってろ。飯が更に不味くなる」
「おっと、これ以上逆鱗を踏まないためにも、黙っておいた方が良さそうだ...」
ふと、エマ組が騒がしい。耳を立ててみると、どうやら魔法について話しているらしい。
「私、不思議な力なんて持ってないですよ〜。特技って言えば」
「あっ...」
シェリーがエマのリンゴを持ち上げ、それを片手でグシャっと握り潰す。
力を入れた様子がなく、潰れたりんごが周囲に飛び散り、床を汚す。
「あ......あ......」
ハンナが絶句して、目の前の光景を見る。
「ちょっと力が強いかなってくらいで」
「ボクのリンゴ...」
シェリーはにっこりと、エマはしょんぼりとそう呟く。
「それのどこがちょっとなんですの!ゴリラ女!!」
「酷いです〜。りんごくらい誰でも潰せますよね?」
「はいそれあなたの魔法!!」
「ボクのリンゴ...」
少し注意が必要かもしれない。
「そっかぁ......私って魔法使えたんですね〜。照れますね〜...と、キレイさん?どうかしたんですか?」
「何、楽しそうなので釘を打ちに。シェリー君。食べ物を粗末にしてはいけない。それも人のものをね」
「それはそうですね。ごめんなさいエマさん!」
「え、ああうん。大丈夫、大丈夫だよ?」
「気をつけた方が良い。私が勤めている教会ではイギリス人と日本人の高校生カップルがご飯の問題で破局寸前に陥る所だったことがあるくらいには、食料問題は危険だ。
ほら、エマ君。私のリンゴを分けてあげるから機嫌を直しなさい」
そういうとキレイは、リンゴを袖から取り出して、エマに手渡す。
「...!!リンゴ!!ありがとう!キレイちゃん!!」
「次から気をつけますね!そう言えばハンナさんはなんの魔法を使えるんです?」
「仕方ないですわね〜そこまで見たいんだったら...」
これでよし、と自分の席に戻る。
戻ってエマ組を見ると、自信満々にハンナが自分の魔法で10cmほど浮遊しているのが見えた。どうやら
シェリーは【怪力】ハンナは【浮遊】のようだ。
...何やら隣のアリサ君の目が冷たい
「お前何個リンゴ取ってんだよ」
「一個だが?」
「嘘つけあそこのチビと猫耳にも一個分けてただろ」
レイア組を見るとスケッチブックで
『わがはいはチビではない』
と意思表示をしてきた夏目アンアンと
「〜♪」
我関せずとリンゴを食べている沢渡ココがいた。
「嘘はついていないのだがね...ほら、食べるかね」
「...食べる」
「では、私は先に失礼」
食堂でキレイは、ひと足先に食堂を後にした。
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キレイが向かった場所は、ノアのいる牢屋。
そこで、信じられないものを見た。
赤 赤 赤
部屋全体が真っ赤に染まっている。
「...ノア君。少し良いかね?」
「?あ、キレイちゃんだ!どうしたの?」
「ご飯を食べていないと聞いてね、これを届けに来た」
「リンゴだ!そういえばお腹空いてたかも!ありがとう!」
「では、私はこれで。お絵描きを楽しむように」
「はーい」
その状況をキレイは放っておくことにした。
その方が、キレイにとって望むものが手に入ると思ったからだ。
...その後、シンナーの臭いと赤い光景により、同室のアンアンが医務室に運ばれた。
複数人を巻き込んだ騒動にキレイは「これはこれで」
という風に満足したという。
こうして、牢屋敷生活の一日が幕を閉じた。
【魔女図鑑:人物】
[ことみね きれい]
囚人番号671番。 誕生日:12月28日
15歳
【魔法】??
敬虔なるシスター、目が死んでいる。
リンゴを袖から何個も取り出している。
本人曰く取ったのは一個だけらしい。