【ヒロの万年筆】
たいせつなもの、握ると力が湧く。
【ナノカの銃】
冷凍室に落ちていたナノカの銃。
6発の内3発が発射されている。
1日に1発補充される。
【ナノ仮面の残骸】
ナノカの持っていた仮面のなれはて。木製。
服の内側で粉々になっていた。
【氷塊の弾痕】
1発の銃弾が残っている。
【透明な液体】
使われた形跡のある正体不明の液体。
【資料】
牢屋敷の資料。様々な情報があり、全員分のプロフィールも書かれている。
【巨大な門】
巨大な扉。開けられずに、小さなものしか覗き窓から入らない。
【金庫】
ナンバーロック式、既に開いており、幾つかの数字に血がついている。
【通気口】
操作室から冷凍室に繋がる通気口。
人ひとりがギリギリ通れそうなサイズ。
フタが破壊されており、1発の銃弾が残っている。
【操作盤】
昨日落として壊したはずのもの。
【ナノカの死体】
口から血を流しており、指先にも血が付着している。外傷はない。
(エマ視点)
「(この中に、ナノカちゃんを殺した犯人がいる)」
証言台に立ち、辺りの少女を見渡す。
ココ、マーゴ、メルル、キレイ。
全員が全員、静かに証言台に立っていた。
「まさか1日で二度目の裁判なんてね」
「さっさと終わらせようぜ〜、あてぃしもうへとへと〜...」
二人はそれぞれ疲れている様子で
「......」
キレイは、いつものように笑って佇む。
「エマさん......」
メルルは、不安そうにこちらを見つめていた。
それに、エマはしっかりと頷いた。
(...絶対に、魔女を見つけないと)
エマは万年筆を握りしめて、決意を抱いた。
開廷の合図が、鳴り響く。
「それでは、魔女裁判開廷です!」
━━━━━
いつも通りに、キレイが語る。
「では...被害者は黒部ナノカ。
死因は不明だが、体は凍り始めていることから死後から時間は経っていることは確かだ。裁判中には既に死んでいたと見るべきか...
最後にナノカ君を見たのは君だね?」
そう言って、エマの方向を見る。
エマはその質問に答える。
「うん、ボクがナノカちゃんを最後に見たのは8時、そこから水精の間にずっと立っていたけど、ナノカちゃんは出てこなかったし、誰も入ってきてなかった」
「なるほど、つまりナノカ君の死亡推定時刻は8時からアリサ君の死体を見つけた10時ほどまでとなるね」
キレイは話を続ける。
「では目立った要素についてだが...これもあまりない。口は上顎を鋭いもので傷付けたような痕はあったが、後は指に血が付着していた。後は処刑台で死体が見つかったことだね」
キレイは話を続ける。
「地下の冷凍室では、ナノカ君が活動をしていた痕跡が残されている。通気口に残った弾痕だね」
「それに、氷塊にも弾痕はあるし、ナノカちゃんの銃だってあったよ」
「なるほど、説明ありがとうエマ君」
そう言って、キレイは話を終えた。
「つーか、これに関して言ったらエマっちが一番怪しくね?」
話を聞いたココがそう言った。
「だってあてぃしらからすればその話が本当かは分からないわけだし、エマっちが殺した後にあのデッカい扉開けて処刑台に乗せたんじゃねーの?エマっちが黒幕ならあり得る話っしょ」
その言葉に対して、思いもよらない反論が起きる。
「ココちゃん、その発言には問題点があるわ」
「はぁ?問題点?」
マーゴの発言にココが聞き返す。
「私はさっきゴクチョーに確認したのだけれど、地下には処刑台の搬入口があって、ゴクチョーでも自由には開けられないらしいの」
「(ゴクチョーでも開けられない...!?)」
マーゴは続ける。
「なんでも電子制御で開ける扉で、人力では開けられないくらいには大きいらしいわ。昨日から今日にかけて開けられた記録はないし、開けられても牢屋敷全体に響くほどの大きな振動が起こるから、誰でも分かるらしいの...だから、ココちゃんが言うようなやり方では無理ということね」
「うぐぅ!!」
ココがぐうの音を上げると、そこにキレイは言った。
「...では、問題が残るね。『どうやってナノカ君は処刑台に入ったのか』という問題が」
「ええ、アリサちゃんの死体は10時頃裁判所で見つけて、それ以降はキレイちゃんや私、遅れてココちゃんがいたから裁判所からは処刑台へ入れず、地下からは勿論無理よ」
キレイの発言に、マーゴが乗る。
「......シェリー君なら喜びそうな題材だね」
キレイがそう呟く。この場は密室であり、エマの証言が正しければこの話は成立しない。
「なら簡単な話じゃん?エマっちが嘘ついてるって話じゃん」
「エマさんが嘘をついているなんて...そんな...!」
ココやメルルがそう呟く。
「......さてエマ君。このままでは水掛け論だ。話が進むこともないだろう。というわけで、他に気になる点はあるかね?」
ふと、キレイがそんなことを聞いた。
「(他に気になる所...?)」
>ナノカの銃
「...あるよ。ナノカちゃんの銃の弾が、1発足りないんだ。通気口に1発、氷塊に1発...3発使用されてるから、後1発が消えたんだ」
「では、どういうことだと考える?」
キレイが更に問いかける。
「...ナノカちゃんは、通気口から冷凍室に入ったと思う」
「確かに。キレイっちがぶっ壊して開けるまでは完全に操作室と冷凍室の扉って閉まってたしな」
ココが同意する。
「でも、ナノカちゃんはきっと銃を置いてきたと思う。あそこはギリギリボクやココちゃんが入れる大きさだったから」
「でも冷凍室にナノカの銃はあったじゃん?それに氷塊?にもあったんでしょ?あれは誰が撃った後だってのさ!」
その問いに、答えを出した。
「それは、ちゃんと操作室の扉を開けられて、ナノカちゃんの銃を持って入れた「もう一人の人物」が撃ったんじゃないかな」
「もう一人、そこにいたっての!?」
ココが驚く声を上げる。
「ちょっと待って、エマちゃん」
そこで、マーゴが待ったをかけた。
「そこに別の人物がいたとして、その扉を開けられる人なんているのかしら。エマちゃんもココちゃんもナノカちゃんも開けられずに、最終的にキレイちゃんが壊したんでしょう?」
エマは、堂々と答えを出した。
「この牢屋敷を良く知っている、黒幕なら開けられた筈だよ。黒幕なら、地下の扉を自由に出入りできた筈だしね。
少なくとも【通気口】と【扉】の二つを通った人物がいた筈、通気口がナノカちゃんだとすると、扉には黒幕しかいないんだ!」
推理が繋がった感覚をエマは覚える。
「(きっと、残る3発目は)」
しかし、それに待ったをかける者がいた。
「確かに、あなたの言いたいことは分かったわ。ナノカちゃんが地下で死んだのだとしたら、別の誰かが関わっている。でもそれはあり得ないと、さっき説明したでしょう?この壁を、どう乗り切るのかしら?」
マーゴは、エマを試すように言った。
少しは信頼してくれたようだ。
そこに、キレイが語りかける。
「...では、可能性を探っていこう。地上では私やマーゴ君が、更には途中でココ君もいたね。そして地下では巨大な扉...小さな覗き窓で小さなものなら入れる大きさの穴しかない。
君の推理が正しければ、これを突破する手段がある筈だ。...持ち主がどうなっていたのか、表す証拠があるかも知れないね?」
その発言に、エマは首を傾げる。
「(持ち主が、どうなっていたか...?)」
>ナノ仮面の残骸
エマは、ある真実に辿り着く。
「...これを見て欲しいんだ」
「何その木片...いやどっかで見た気がするんだけど」
「...ナノ仮面?」
ココが頭を傾げて、マーゴがそれに気がつく。
「そう、これはナノカちゃんの服の内側にあったんだ。それがバラバラになって......発見されたんだ」
「何...?何が言いたいわけ...!?」
エマは喉から、答えを絞り出した。
「...ナノカちゃんも、同じだったんだ。このナノ仮面みたいに......バラバラになってから......覗き窓を通って行ったんだ」
「......は?」
それは、誰の声だったか。声が漏れていた。
「そんなの、何もかも......【通らない】だろ...!?」
ココが、そう言った。
そこで、キレイが語りかけてくる。
「...エマ君。既に分かっているのだろう?君は後、それに目を向けるだけで良い。君が見張っていたのは10時まで、つまり犯人はずっと現場にいたことになる。
そして戻ってきた時に、━━━誰がいなかった?」
それは、エマが見ないようにしていた真実だった。
しかし、それならば説明ができた。
何故、ナノカに傷がついていなかったのかも、何故、アリサが死んだのかも、全て全て、繋がってしまった。
エマは、その名を告げる。
「...そうか。君が...君が黒幕だったんだね。
━━━氷上メルルちゃん!!」