「応援のほどありがとう。書き手としては未熟だが、これからも精進して行くとしよう」
言峰キレイは、色々な人から警戒されている。
「悪い人じゃないと思うんだけど、ちょっと目が怖い」
「おはよう諸君」
朝の食堂にて、挨拶をするキレイ。
それぞれがまたレイア組、エマ組、逸れ組の3つに分かれていた。
「あ、キレイっち、これお願い〜」
そういって紙をココが渡して席に戻る。
「ああ、分かった」
「...何頼まれたんだ?言峰」
「少々野暮用を。そういう君は、脱出できないか探していたんだろう?」
「...ちっ、ダメだった。遠くまで行くと監視のバケモンフクロウが大量にいた。それに高い塀があって、燃やそうとしても不思議な力で火が消えた。どうなってんだ...」
そういって話すアリサはストレスが溜まっているようだ。
「塀にも何か魔法がかけられている、と考えるべきだろう。
しかし、良く火種を持っていたね。
厨房から塀まで遠いだろうに」
「...ウチの魔法だ。【発火】。これで火を付けようとした」
そういってアリサは指先から火を灯した。
「ほう?なるほど...私も塀に行ってみるとするよ」
そう言って、キレイは食べ終わり、食堂を出て行った。
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キレイは自由時間、塀の前に立っていた。
あまりにも高く聳え立ち、自身の何倍の高さがあるだろうか。
そんなことを考えつつ、キレイは瓶を手に、奇跡を使う。
「主よ、この想いを届けたまえ」
キレイは大きく腕を振りかぶり、もの凄い勢いで塀の向こう側へと瓶を投擲した。
瓶は何かに阻まれることはなく、素通りし...ぽちゃんという音が聞こえたような気がする。
「...何やってんだ言峰」
後から追いかけて行ったアリサは、その奇行のようなものを見て引いていた。
「朝の運動を。それよりアリサ君、喜びたまえ。」
「あぁ?」
「見たのなら分かるだろう?上空に投げた瓶は素通りし、向こう側へと渡った。つまりは、飛ぶことができれば脱出は可能ということだ」
「...で、どうやって飛ぶんだよ」
「そこは君たちで考えたまえ。私はなんでも知ってるわけではない」
「ちっ.....。だが、礼はする。ありがとな言峰」
「では礼ついでに、頼みたいことが」
「...なんだよ」
「後で牢屋敷の前に来て欲しい。ある仕事をして欲しい」
「...ああ」
そう言って、二人はそれぞれ別の道を帰っていく。
「おお、これは枝豆、唐辛子...ふふふ、久しぶりに心が躍る」
野草を摘みながら...少女は計画を練っていた。
━━━━━
牢屋敷前
キレイは木の棒を持ち
自らの持つ鍛錬により得た肉体で地を荒らしていた。
深く深く、地にその存在を示すように。
牢屋敷前の土地を荒らすのは禁止されていない
看守は飛んでこない。
しかし、一つの黒い影が、キレイに向かい飛んできた。
背後からの不意打ち。
常人であれば反応はできない。
しかしキレイは震脚、足を大きく踏み込み
怯んだ隙に拳を叩き込む...寸前で止めた。
「おや、ナノカ君...だったかな?
すまない、少々やり過ぎただろうか。
...それで、何か用かな?」
全員を観察するようにしていた、
銃をなぜか持った黒い少女。黒部ナノカだった。
「...触れようとしただけよ。
危害を加えるつもりはなかったわ」
「であるなら、正面からくれば良い。
挨拶の際に握手でも、ゴミが付いていたでも可能だろう?」
ナノカはその言葉に驚いた様子を見せながらも
「...あなた、何をしていたの。
人を殺すための準備?」
「物騒な、私はただ畑を作ろうとしていただけだよ」
「...畑?」
ナノカは周囲を見回す。
確かにふかふかな土になっており、畑のようだ。
しかし、なぜ...。
「私も少々この牢屋敷の食事に嫌気...と言うわけではないが。
ある料理が恋しくなってしまってね」
「...驚いたわ。あなたはこの生活に適応してると思ったから」
「今夜の食事にそれを出すつもりだ。良ければ君もどうぞ」
「...遠慮しておくわ」
そういうと、彼女は去っていき
...入れ替わりでアリサがやって来た。
「...来てやったぞ。何をさせる気だ?」
「良く来てくれた。では早速...この山になっている草を燃やして灰にして欲しい」
「...は?」
〜少しして〜
「...おい本当になんだよ。草を灰にしたと思ったら灰撒いて混ぜて水撒いて」
「...やったぞアリサ君。畑が完成した」
「...畑?ウチに手を貸すってのは嘘か?
何日かける気だよ!!」
「...かの神の子はある時怒り、
木に永遠と実が付かないようにした。であれば」
キレイは野生の唐辛子やにんにく、枝豆など、
区間を定め、埋めていく。
「...主よ、この地に豊穣を与えたまえ」
彼女は祈り、その言葉を言う。
変化はその時だった。
地に埋めた植物が、みるみるうちに花が咲き、実を成らせた。
目の前には、今にも食べられそうな野菜があった。
「逆もまた然り、だろう?」
「...それが、テメェの魔法か」
「ああ、【奇跡】。少々、恐れ多くもあるがね。
今日は少し早い収穫祭だ。折角だ、絶品料理を振る舞おう」
「良いな、あの料理に飽きて来た所だ」
こうして、キレイは目的を達成した。
牢屋敷に、過去最大の危機が迫っている。
━━━━━━
自室に戻り、キレイは...
「〜で、あてぃしの推しがね〜?」
ココの配信を見ていた。
どうやらスマホには配信という機能もあるらしく
推しに付いて熱く語るココをキレイは
羨ましくも思っていた。
「(...私に人が愛せていれば、こうも熱く語れただろうか)」
それは、ある種の想いであった。
一途に熱心に愛を与えてくれた相手に
ココも愛を返している。
それは、キレイにはできないことであった。
こうした時間を過ごしつつも、キレイの朝の自由時間は終わりを迎えた。
【魔女図鑑:人物】
[ことみね きれい]
囚人番号671番。 誕生日:12月28日
15歳
【魔法】奇跡
一つのリンゴを全員に行き渡るように渡す。
水をぶどうジュースに変えるなど
神の子と近しいことができる。
それだけではなく、実現可能な範囲ならどんな願いも叶えられる。
敬虔なるシスター、目が死んでいる。
ある計画を立てている。
ネタバレ:計画によりアリサは死ぬ(死なない)