言峰キレイは、死者のために動く。
(裁判はキレイパートになります。なんとか間に合いました)
「━━━君が輝けるような、そんな話をしに」
レイアは目を見開き、次にこう言った。
「へぇ、私が輝けるような話...確かにキミにはサッカーなどを提案して貰ったね。そのような話かい?だが、今は人が死んでいるんだ。その話は━━━」
「弁護士」
レイアの口が思わず止まる。キレイは語る。
「このままでは、全ての議論は二階堂ヒロが犯人であることを前提とした議論が進んでしまう。いやまあそれでも良いのだが、話し合いの場というのは、公平かつ公正でなければならない。一つの可能性にのみ目を向けるのは、それは話し合いではなくドッチボールと言える」
レイアはその言葉に考える。
「...つまり、キミは私にヒロくんの弁護をしろ、と言いたいのかな?確かに、ヒロくんに情状酌量の余地はあるかもだし、それが仲間ってものだからね」
一人で頷いているレイアを他所に、また語る。
「キミには、二階堂ヒロが無罪である可能性を追い続けて貰う。無論、私も裏方となり全力でサポートしよう。それに、ただ一人最も怪しい人物を庇うそれは、誰から見ても、限りなく目立つぞ」
レイアは驚いた表情から、微笑んだ。
「......ああ、そこまで言われたのなら仕方ない。私が、ヒロくんの無罪を証明しようじゃないか!」
よし、動かせたと思いつつもキレイは聞く。
「そういえば君は死体発見の1時間の間は、ココ君とミリア君、そしてハンナ君と共にいたらしいね。その時に何か気になったことは?」
ふむ、と考える。そしてふと思い出したようだ。
「ああ、私含め4人で集まって、スマホの機能を確認していたんだ。立体音響などの録音機能を試している時に、耳を澄ませたから聞こえたんだ。事件の【40分前】に、【割れるガラスのような音】を聞いたんだ。音の正体は分からないが」
キレイはふむ、と考えて次に進む。
「ああ、如何なる小さな疑問点であろうと、それが被告の無罪を証明する手掛かりになる。覚えておいたほうがいい」
レイアは頷き、キレイに対して聞いた。
「そういえばキレイくん。君は事件の1時間前からどこで何をしていたんだい?」
キレイはただ答えた。
「外で祭壇を作っていた。明日は日曜日だからね、礼拝を行うために作っていた。私としてはかなりの出来栄えなのだが、良ければ見るかね?」
「ああ、一人でいることにアリバイはないが、その祭壇の出来次第であればアリバイとして成り立つかも知れないからね」
こうしてレイアと共に牢屋敷前へ行く。木製だがしっかりと作られており、施工途中であることが明らかだ。加工するにしてもかなりの時間がかかっているだろう。
「...これは、凄まじいな。これを一人で?」
「ああ、礼拝は行わなければならないからね。2日目にはサッカーコートを夜時間の間に作ったりと大忙しだ。この時間帯しかなくてコツコツと作って今日ようやく仕上げに入ろうと思った矢先にこの事件だ」
心底悲しそうに言った。
「...災難だったね。アリバイとしては成り立つかは不明だが、どうか完成することを祈るよ」
しかしキレイは真面目な顔に戻る。
「それはそれとして、だ。氷上メルルを殺した犯人は見つける。死者の無念を晴らすためにもね」
そう言って、キレイは立ち去る。
...その背後で次に情報を知り得ているであろう、あの人物を探しに。
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ラウンジにて、ココは寝そべっていた。
「...うげ、キレイっち」
「随分な挨拶だね、私は君に何かしたかな?」
すっごい嫌そうな顔をしながら、ココはこっちを見る。
「こっちはこっちでいじわるされた記憶が...それで何?キレイっち。あてぃしの持ってる情報って何かあるわけ?」
キレイは、ただ一つのことを言った。
「儀礼剣とトレデキムについて」
すっごい嫌な顔をする。
「...分かんないっての!なんでアレがあそこにあんだよ!なんでそれで【黒幕】が死んでるんだよ!!」
ああ、その表情は嘘を言ってないと感じた。
「...その件は後だ。確かあの剣は金庫の中に置いたまま、トレデキムは一つの瓶だけ抜いて、他はしまったはず...しっかりと持っているね?」
「う、うん...」
そう言ってココは懐からトレデキムの瓶を取り出す。確かに13というラベルのある透明の液体だった。
「...ココ君。君に聞きたい。あの金庫の番号を知っているのは黒幕と君だけだ。だが君はわざわざ持ち出すような真似はしないと思う。よって質問だ。あの地下室の存在を知り、金庫の番号を知らずとも開けることは可能だと考えるか?」
ココは必死になって考えながら、答えを出す。
「......できる、かも。ヒロっちとかノア以外にもあてぃしが水精の間に入り浸ってたのは知ってる奴も多かったし、確かセイラム魔女裁判の始まった日時?がパスワードだっていうから、魔女について詳しい奴がいれば開けられ......」
ふと、何か可能性に思い至った顔をした。
「どうしたのかね?ココ君」
ココは思いっきり首を横に振り、その可能性を振り払うようにして、その質問にこう返した。
「いや、多分あてぃしの考えすぎだと思うし......それよりキレイっち、これ預かってて!!」
そう言ってココに手渡されたのは、トレデキム。透明の瓶であった。
「......良いのかね?」
「良いの!!黒幕が死んだ今、あてぃしが対抗手段として持ってる意味も少ねえし、なんだったらこれであてぃしが狙われるのやだから!」
だからこそキレイに預けたらしい。
「ふむ、承知した。ではこれは私が大切に預かり、肌身離さず持っておくことにしよう。安心しろ、私は約束を守る」
そうキレイがいうと、ココは安心した様子だった。
「よろしく。言っておくけどそれでキレイっち狙われても文句は聞かねえからな!!分かった!?」
そういうと、ココは走り去っていった。
「......」
その様子を、狙撃手はずっと見ていた。
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こうして、できる限りの情報を集め、初めての魔女裁判へと挑んでゆく。
犯人であろう【魔女】を、人として主の元へと送る。その決意を以て、魔女裁判へと挑む。
【魔女図鑑:人物】
[ことみね きれい]
囚人番号671番。 誕生日:12月28日
15歳
【魔法】奇跡
一つのリンゴを全員に行き渡るように渡す。
水をぶどうジュースに変えるなど
神の子と近しいことができる。
それだけではなく、実現可能な範囲ならどんな願いも叶えられる。
敬虔なるシスター、目が死んでいる。
蓮見レイアを焚き付けることで裁判を円滑に進めようと企み、レイアを焚き付けることに成功した。
ついでにココに対して確認をとった。
ひとまず集められるだけの情報は全て集めた。
後は、皆で公平な議論を行うだけだ。