・鬲泌・ウ陬∝愛を続ける。
(??視点)
「さあ、用意したぞ!13人の魔女と......儀礼の剣!姿を見せてもらうぞ━━━」
ヒロが、高らかに剣を掲げ、裁判所中央の方へ向けようとしていた。それを全員が、注目していた。だからこそ、気が付かなかった。
━━儀式の邪魔をするものがいることに。
その者の拳は、頑丈かつ芸術的な剣を、跡形もなく粉砕した。その者の拳は破片により血に濡れるも、気にする様子はなかった。
ただ全員が、唖然とする。
「なに......してんだよ!━━言峰っ......!!」
アリサが、思わず叫んだ。何よりもこの儀式に協力して、誰よりも牢屋敷でみんなを助けていた少女が、このタイミングで儀式を、台無しにした。
「儀式とは、形が必要だ。どの魔法にも、条件が必要なのはわかっているだろう?死、言葉を発する、手をかざす、念じる、見る......。
この儀式に必要なのは、13人の魔女と、儀礼の剣。その剣は今、私が壊してしまった。これで大魔女は呼び出されず、君たちの希望も失われた」
キレイの言葉が、少女たちに響く。
絶望し、叫ぶ者。理解ができず、呆然と立ち尽くすもの、何故やったと、必死で呼びかける者。その中で、最も強く反応したのは、ヒロだった。
「ずっと、これを狙っていたのか......!キレイ!!」
キレイはその言葉に振り返り、答えた。
「ふむ、なんと言うべきか。つい先ほどまでは、君の計画に最後まで付き合う予定だった。それは本当だ。そのつもりだったのだが、まあ、やめてしまった」
あまりにもいつもの様子で、悪びれもせずにそう言いきった。キレイは続けて、こうも言った。
「ふむ、実にいい。君たちのその絶望は、これ以上なく芳醇だ。今までで一番、美味い酒が飲めただろうに、手元に水すらないのが、今は残念で仕方がない」
体の様子に、何も変化がない。両手も、顔も傷一つ、ヒビ一つない。つまり魔女化は進行していないということで。
「なぜだ!君はなぜこのタイミングで!」
「積み上げたものが、一瞬のうちに崩れ落ちるものほど、絶望する瞬間はない。ましてや後戻りできなくなったその瞬間に」
何かヒロが言おうとして、キレイが遮った。
「それにしても良いのかね?私だけに注視して」
周りを見れば。
「会え、ない......?大魔女、様......に......?」
「......どうしてだよ、どうして!!」
大魔女にもう会えないことを知ってメルルが、何よりも言峰に裏切られたというショックでアリサが。その二人が、他の誰よりも魔女化が更に進行していた。
そして、最も見るべきは、彼女だった。
「う......あぁぁぁぁ!!!」
エマの魔女化が進行し、絶叫した。エマの瞳には、憎悪しかなく......言葉を口にしようとしていた。
「みんな━━━!!」
「エマっ............!!」
ヒロは駆けるが間に合わない。その言葉が告げられる方が早い。最期にキレイは、嗤って言った。
「━━こうした終わりも、悪くはないだろう?」
「━━━━しね......!!!」
それを最後に、暗闇のみが映る。
少女たちの希望は、たった一人の少女の気まぐれにより、跡形もなく粉々に砕け散り、やがて人類は滅亡した。
━━━━━━━━ BAD END━━━━━━
...それを、
「全く......詰めが甘いですね、ヒロ。......さて、見えてますか?【千里眼】の魔法少女。今あなたに、【念写】と【幻視】の魔法を掛け合わせた未来の映像を見せました」
混乱しかない。幻覚だと思っていた世界の相手に話しかけられて、しかも普通に声をかけられてあんな映像を見せられて。
「混乱していると思いますが、あなたにしか頼めないことがあります。【千里眼】を持つあなたに......その直前に、待ったをかけて欲しいんです。詳しい話は、師匠と姉弟子に任せます」
そう言ってロリっ子がフェードアウトして......おい待て!!あてぃしなんもわかってないんだけど!?
そんなことを思っていると、また現れた。銀髪赤目のブルマのロリっ子と剣道着来たあの怒鳴ってきた奴......!
「祝!!本編登場!!」
「やったーーー!!!」
なんか二人してすっごい狂喜乱舞してる!?なんか、えっと......うるさい......!!!
その思いが通じたのか、ピタっと止まった。
「いやー、こうした場所に立つことなかったからついつい。というわけでこんにちは!
悩みを即時サクッと解決!
お助けコーナー・タイガー道場出張編でーす!」
「押忍!妹弟子が増える生活を続けてわいわい楽しめる日々がとっても楽しい弟子1号っす!」
あてぃしの困惑を他所に二人で話し始める。
「さてそれじゃあ。本当に久しぶりにお悩み解決と行きましょうか。今までギャグにもお悩み解決にも振り切れてなくて存在意義を問われ続けてきたからね」
「師匠!それ言っちゃダメっす!!」
あんたらの存在がもうギャグじゃねえの?そう思ってもあっち側には届かない。話を続けられる。
「さて弟子1号!あの映像、どうして今まで受動的に愉悦してきたあのキレイちゃんがあんな行動を取ってきたの?」
ロリっ子が答えた。
「押忍!簡単に言うと好感度を上げすぎたことによるルート分岐っす!」
あてぃしの頭に?が浮かんだ。
「好感度系かぁ。セイバーちゃんとはまた違った感じ?」
弟子1号と呼ばれた少女が頷いた。
「まあそうなるねー。麻婆......キレイちゃんの行動見ればわかるけど、ヒロちゃんを介錯したり、アリサちゃんに死ぬなら自分を頼れって言ったり、シェリーちゃんに自分の過去を話したり、ココちゃんの配信ずっと見たり。特定の人に特に肩入れしてる」
あ〜......と納得したらしい。
「自分の恋人も父親も苦しめたくなる言峰綺礼の性かぁ......それがこのタイミングで爆発しちゃったのね。つまり今回の対策は?」
「押忍!ちゃんとキレイちゃんの中にあるわだかまりの解消と、問い続けてきた問いの答えを考えてあげることっす!」
キレイっちのわだかまりと問いの答え......?それってなんなのさ......!てゆうか急に言われても訳わかんねえし!!
「文句あり気な顔をしているけどこれ以上は聞きません!と言うよりそれはその場にいる少女たちよ!君たちが考えること!あくまでお助けコーナー!答えを出してはいけないのです!」
うんうんとロリっ子も言った。
「そもそも私たちもその答え知らないしね〜。てなわけでそろそろ以上となる前に、ついでにユk......大魔女ちゃんのお知り合い、同じ大魔女の幽霊さんから伝言預かってるからそれもついでに伝えておくね?」
戸惑っている間にあてぃしに伝言が伝えられた。これを復活させる大魔女に言えって!?なんであてぃし......しか見える奴いねえからか......!!
「ココちゃん、一人で大騒ぎしてる......」
「エマさんっ......!今二人が通話中です......!」
エマっちにメルルっ!?ていうかあてぃしの思ってること全部聞こえてるんじゃねーか!!
「あっバレたっ!!じゃあ私たちはこの辺で!頑張れ少女!希望となる未来に向けて!」
「頑張ってね!ずっと見守ってるよ!」
勝手なことばっか言って切られたっ......!あてぃし一人でやれっての?無理だって......でも、キレイっちには色々悩み色々聞いてもらったし?あいつが悩んでるってなら......でもそれ言うのやだな......
そういや見た記憶でキレイっち躊躇なくあてぃしの死体に穴開けてたな......ムカついてきた。
あてぃしはそうして前を向くと、ヒロっちが剣を掲げようとしているところだった。掲げられる前に、あてぃしは叫ぶ。
「ちょっと待て!!」
━━━━━
(ヒロ視点)
思わずその声に振り返る。ココがそう叫んだのを全員が見ていた。
「ヒロっちさぁ。あてぃしたちみんな魔女になったってのにさ、キレイっちだけ何もないの納得いかないんだけど?」
そう言ってきた。
「......だが、人数は既に足りている。それをする理由がない」
ココはそれに対して言った。
「あてぃし、キレイっちになれはてになって死んだ後に刺されて死体利用されてんだよ」
純粋な恨みがそこにあった。
「なんの躊躇もなしにさぁ?あてぃし結構それにムカつてるし、ちょっとは仕返ししたい気分なんだけど?」
その言葉に、賛同する者がいた。
「えっとその、ボクは魔女になってたとはいえ......一方的にやられ続けたからココちゃんの気持ちは、わかるんだ」
エマがそう言った。他にも少女たちが続けて、不満を言ってきた。
「記憶を見てわかったのだが......キレイくん、私よりずっと目立っているじゃないか......!」
「私、キレイちゃんに心の内側丸裸にされちゃってるのよ。キレイちゃんの心の内側も曝け出して貰わないとね♡」
レイアにマーゴを筆頭に、小さくだが不満の声が上がっていく。それはみんなの心を一つにしていた。
「......みんな、キレイに思うところがあるのか。
━━私も同じだ!!」
私はキレイを嫌っている。人間的に合わない、そう思っているからこそ、高みの見物に苛立っている。
・大魔女を呼び出す。
>魔女裁判を続ける。
「さあ、魔女裁判を続けよう!言峰キレイ。これに何の意味もないが、君にも魔女になって貰おうか!」
キレイは目を丸くした後、目を閉じて面白そうに笑みを浮かべて、佇んだ。目を開き、いつもの笑みで、辺りを見回していった。
「よろしい。無駄なことをするのも人間らしい営みだ。それに付き合うのも悪くはないね。では、祝祭を始めよう。
━━━私が魔女であることを証明したまえ」
こうしてキレイ対13人の魔女による、魔女裁判の幕が今、開いた。それは無駄だが、意味のあるものだと、誰もが心で感じていた。
悔恨一閃
少女は、過去の過ちや選択を切り裂いて、新たな道を進んでゆく。それは、みんなにもう一度会いたいと言う想いからだった。