「……いやだ……そんなの、認めない……!!」
カイの視界の中で、トリガーダークの巨大な拳がシェルターを粉砕し、瓦礫の下で家族が息絶える光景が広がりました。弟が最期に伸ばした手、母の悲鳴――。
しかし、その瞬間。
弾け飛ぶ火花とともに、カイの意識は現実へと引き戻されました。
1. 絶望の淵での「予知」
今見たのは、オーブリングを失った絶望が生んだ「最悪の未来」の予知夢か。
現実は、まだトリガーダークがシェルターに手をかける数秒前。カイはビルの屋上で、血の海に倒れ伏していました。全身の骨は砕け、開いた傷口からは絶え間なく血が流れ出しています。指一本動かすたびに、脳を焼くような激痛が走ります。
「……あ、きらめ……ない……っ!!」
カイは、折れた腕を支えにして、必死に立ち上がりました。家族を救えるのは、もう「救世主」と呼ばれたオーブではない。今、ここにいる、ただのボロボロの少年だけ。
「僕が……みんなの……笑顔を守るんだ!!」
カイは、自らの血で染まった屋上の縁を蹴りました。
死へ向かうような落下。しかしその瞳には、オーブの時とも、サンダーブレスターの時とも違う、神々しいまでの黄金の光が宿っていました。
2. 真実の光:ウルトラマントリガー覚醒
落下の衝撃が地面に届く直前。
カイの胸の奥から、数千万年の時を超えた太古の光が爆発しました。
『ウルトラマントリガー!!』
ドォォォォォォン!!
漆黒の空を黄金の光柱が貫きました。
現れたのは、光の化身――ウルトラマントリガー(マルチタイプ)。
それはカードの力を借りた姿ではなく、カイ自身の「諦めない魂」が呼び覚ました、彼自身の真実の姿でした。
3. 逆襲の鉄拳
「ハアアアアアアアアッ!!」
着地と同時に、トリガーは大地を蹴りました。
家族に手をかけようとしていたトリガーダークの顔面に、怒りと希望を込めた右ストレートが炸裂します。
ドッゴォォォォォン!!
「…………ガァッ!?」
これまで微動だにしなかった闇の巨人が、たった一撃で数百メートル後方まで吹き飛び、並び立つビルを次々と粉砕しながら転がりました。
トリガー(カイ)は、言葉を発しません。しかし、その全身からは「絶対に家族を殺させない」という凄まじいまでの圧力が溢れ出していました。
4. 2ちゃんねる(実況スレ)の狂乱
550 名無しの特撮: 待て待て待て!! 今の光、何だ!?
555 名無しの特撮: オーブじゃない! 新しいウルトラマンだ! めっちゃティガに似てるけど、金色の装飾がカッコよすぎる!!
560 名無しの特撮: カイ君、屋上から飛び降りて変身したぞ……。あのボロボロの体で……。
565 名無しの特撮: 伝説の一撃www トリガーダークがゴミみたいに吹っ飛んだwww
570 名無しの特撮: 立て、カイ! 行け、ウルトラマン! 今度こそ、今度こそアイツをぶっ飛ばせ!!
5. 決意の再戦
トリガーダークが呻き声を上げながら立ち上がります。
しかし、カイの心にはもう恐怖はありませんでした。家族を守るための「本当の力」を手に入れた彼は、黄金に輝く手刀を構え、闇の巨人に向かって静かに一歩を踏み出しました。
「(……未来を、築く……!)」
カイの強い意志に呼応するように、トリガーのカラータイマーが、力強く、そして清らかに脈打ち始めました。