このストーリーはアラタが出てくる数年前から始まります
内に秘める思い
ショウ。それが俺が昔ある方から頂いた名だ。綾瀬ショウはフルネームで表した時だ。
ショウは街の屋根の上から下を見下ろす。
時刻は夜の8時だろうか。夜中だというのに、光が絶えず溢れ人がいきかいあちらこちらで賑やかな喋り声が聞こえる。右を見れば何やら飴のようなものを売っている出店やいい匂いのするパンを売っている店が見える。左を見てみると夜になって少し冷える風が吹いてきたせいか、足早に家に帰っているような人が特に目立つ。そして中央を見て見れば、この街のメイン通りなだけあり時間に縛られずたくさんの人が行き来する。そのため、この時間にもたくさんの人が楽しそうに笑ったり、泣いたり、怒ったり。
ショウはつい、クスッと笑ってしまう。そして思い出す。あぁ、俺や仲間たちが守りたいものは『これ』なんだと。そこまで思うとショウは屋根の上に夜空を見上げるように寝転がる。
「しっかし、夜遅くまで街で遊んじまったなぁ。これじゃ怖〜い怖〜い妹様が迎えに来ちまうな」
「誰が怖いって?たく、こんな愛らしくて可愛い妹のどこが怖いんだか……」
後ろから歩いてくるのは俺の妹……的な存在の不動アキオ。なかなかガッツリした性格の女の子ではあるが、そこは個性というものだろう。俺たちの通う王立ビブリア学園の制服を着くだし、下は膝が全く見えないくらいのこれも学園の指定のスカートを着用している。アキオは身長が女の子にしては結構高い方だ。まぁ、俺の方が高いが。
あぁ、アキオがきちゃった。と内心思っているうちに、俺の隣まで寄ってきた。そして俺の横に座る。
「ほら、兄貴。ここは冷えるから帰ろうぜ?……それとも、わざわざこんな可愛い妹が迎えに来てるっていうのに拒否したりしないよな?」
そう言い、俺の顔を覗き込んで来る。かわいいなぁ
「拒否なんかしないよ。ただ、ただなアキオ。この街の景色をしっかりと覚えておけよ。俺たちが命をかけて戦って守っているものはこういういろんな人たちの表情だ。これを絶やさせたら街は崩壊したも同然だ」
「どうしたよ兄貴。そんなこといつも言ってるだろ?いきなり改まってどうしたんだ?」
「…………俺はこの世界で一番怖くて悲しいことってなんなんだろうなぁって考えてたんだが、それってこのたくさんの人の表情や笑い声が消えてしまうことかなと思ったんだよね。まぁ、俺の考え方なんだけどな」
街をまっすぐと見つめながらそういい、俺はまたクスッと笑う。横をチラッと見ると、アキオは頭にハテナマークを浮かべそうな不思議な顔をしている。……少し難しい話だったかな?するとアキオは腕を組んで考え出した。
「う〜ん、それはつまり何が言いたいんだ?いつもの兄貴のことだから深い意味があるんだろ?」
そうアキオが言うと、俺は少し驚く。そして気づく。『あぁ、アキオには難しすぎたか』と。分からなくてもいい。とにかく今は俺の言葉を覚えておいて欲しい。そして、『崩壊現象』が起きた時に思い出し、力を出せる限りだして解決に当たって欲しい。
崩壊現象。
決まった地域、範囲が重力震動や磁場発生により大破壊を引き起こす現象と言われている。一度でも引き起こすと廃墟と化し、生命そのものも消滅する。
一方で、崩壊現象が完遂する前に崩壊現象の「基点(コア)」を破壊すれば、その現象もストップして、元来いた生命も戻ってくる。
基点があるならいい。しかしない場合の崩壊現象ならば、多くの人が死んだことになり2度とその命は戻ってくることは無い。考えただけでも嫌になるようなことなので、ここらへんにしようか。
「なぁ〜なぁ〜!そんなことよりさっさと帰ろうぜ兄貴。お腹が空いたし、何にか作ってくれよ♩」
隣でニコニコしなが話しかけてくる。…………たく、そんな笑顔で言われると断る気にもならなぁじゃねぇかよ。ま、断る気もないけどな。
「はいはい、愛しい姫様のために俺の料理を振舞わせていただきます、よっと!」
そういい、勢いよく飛び上がる。
「ほんじゃま、帰りますか!」
「そうだな、帰るか」
アキオは両手を頭の後ろに回してニコニコしながらついてくる。俺は普通に学園指定の制服を着ているので、そのポケットに手を突っ込み屋根を伝って学園に帰る。
屋根の上をすごいスピードでかけて行く二つの影が噂になったのは秘密だ。
この後、2人を含む後のメンバーもアラタの戦いに巻き込まれるのだが、それは今から3日後の話である…
お疲れ様です!
次話も頑張っていきます!