ミラに関しては後々。
ピピピピピ………
耳障りな音が部屋いっぱいに広がる。……あぁ、うっせぇなぁ。ま、とりあえず殴っとけ。
するとバキ!っと嫌な音を立てふっとんでいく。
間違われたら困るが、ショウは別に朝が弱いわけではない。問題は布団の中にある。
「はぁ、仕方ないのか?これは…」
そう、布団の中にはアキオと山奈ミラが俺に抱きつくように寝ているのだ。山奈ミラとは、今絶賛アキオと魔法の修行中の見習い魔導師的なポジションの女の子だ。魔力が元から多く、俺も見つけては物凄い魔力と反して物凄い孤独感が漂っていたので、気にかけてはいた。そんなある日、友達と喧嘩したのか木の下で泣いていたところを偶然通りかかった俺が発見したので、話しかけたことがきっかけで今に至る。
え?今に至るまでの説明が足りてない?……うーん、じゃあ少しだけ。あれは木の下で話しかけた時のことだな…………
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『うっうっう……』
『なーに泣いてんだよ。綺麗な顔がだいなしだぞ?』
『き、きれ!!て、あなたは誰ですか!?』
顔を真っ赤にした女の子が慌てながらも弄られたくないのか話題を変える。……仕方ない、変えてあげよう。
『ははは、ごめんごめん。あまりにも可愛いくてついね。ところで俺が誰かって話だけど、俺は綾瀬ショウ。普通にここの生徒だから警戒しなくてもいいよ?』
……といっても無駄みたいだ。完全に警戒されてるよ……
『ところでショウさん、私に何かようですか?』
目尻に少し残っていた涙を拭いながら問いかけて来る。
『いや、いい天気だなぁ!どっかで寝たいなぁ!って思ってたら泣いてる女の子見つけちゃったから慌てて来ちゃった………て感じ?』
最後に首を傾げながら俺は彼女にこたえる。彼女は予想もしてなかった回答が来たみたいな顔をして止まってしまった。
『え?…………それだけですか?』
『かわいい女の子を泣き止ませたいと思うのは誰でも一緒だと思うよ。その証拠にね』
『証拠に?』
『上を見てご覧』
そう言うと、彼女は素直に上を見る。するとそこには、アキオが枝に足をかけ立っていた。
『あちゃー、ばれちったか』
『あれで自分の存在を隠してたつもりか?まったく、まだまだ詰めが甘いってことだな……』
と、2人で会話をしていると彼女が何かを聞きたそうにしているので、先に答えてあげよう。
『この上から降って来た女の子は不動アキオって言うんだ。俺との関係はまあ、保護者兼師匠みたいなもんかな?』
『な、なるほど。しかし、アキオさんと証拠になんの関係があるのですか?』
『アキオはさ、ミラのこと俺くらいに気にかけてんだぞ?だから実は影ではずっとアキオが見てくれていて、守ってくれていたってわけだ。今まで周りの人にわざと冷たく当たっていたわけではないからといって、周りの人の心象ってよくないだろ?悪巧みを考えるやつだっていたはずさ。でもそいつらが実行に移す前に潰していたのがアキオだったって話。』
『ま、私としては恩を売りたかったわけではないしさ、畏まらないでよ?私としてはあんたに興味があったんだ。一緒に魔導の研究をしないか?』
いままで1人でいたミラにとって闇の中に差し込んできた光のようにそれが見えた。1人は寂しい、悲しい。ミラが選ぶ選択はすでに決まっていた。
『よろしくお願いします、アキオ先輩。ショウ先輩。』
『おう!任せとけ!!』
『ま、仲良くしようぜ』
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っていうことがあったわけだ。おっと、そろそろ起きるぜ?
「んん……もう朝ですか?あぁ、ショウさん、おはようございます」
抱きついた状態のまま挨拶をしてくる。俺は頬をぽりぽりとかきながら
「あぁおはよう。たく、昔は羞恥心で初対面の人とは緊張でまともに話せなかったようなミラが、いまじゃぁアキオみたいになったなぁ」
「ショウさんは私にとって師匠であり、兄であり………なにより孤独から救ってくれた正義のヒーローです。そ、その……なんと言いますか……」
顔を真っ赤にして俺のお腹に顔をうずめた。その行動にかわいいなぁと思いながら、俺は反対側のアキオを見る。ミラと違って口を大きく開いて寝ている。……アキオらしいとクスッと笑ってしまう。それに気づいたミラが
「どうかしたんですか?ショウさん」
まだ顔が赤い状態のミラが俺に上目遣いで尋ねて来る。……破壊力凄いなぁ……
「い、いやな。ただアキオの寝顔を見ているとさ、昔のことを思い出しただけだよ」
「昔のことですか……そういえばアキオとショウさんの出会いとはどういうものだったのですか?」
興味津々に聞いてくるミラをチラッと見て、目を閉じる。
「そうだな、あれは俺が学園をテーマの研究でサボってみて、その上で遠出したときのことだったな………」
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7年前くらいの話だ。俺はただただ歩いていた。
「ふむ、研究といってただ単にさぼってみればいいだけの話ではないのか……」
研究について、いろんなことを試そうと思っていたショウではあったが、こればっかりは無意味と悟ったのか。もはや研究というより遠出を楽しんでいた。
学園から結構歩いたところで一つの街を発見した。結構大きな街のようだ。俺はポケットに手を突っ込んだ何時ものスタイルで、街の中へとずんずん入って行く。
俺の住んでいる街も結構賑やかだが、ここもなかなか賑やかな街だ。何より人と人の仲の良さが伝わってくるのだ。どんな人でも助けるような優しい心を持った人が多いんだなと、一目でわかる。………でもやはりここは街だ。旅人が立ち寄ることもある。俺の目の前の飯屋では、柄の悪い武装した5人組が店で騒いでいる。綺麗な街にこんなやつらは似合わないなと俺は眉間にシワを寄せながら思う。
そんなことを思っていると、前から小さいシスター服を着た俺と同い年くらいの女の子がお母さんらしきシスター服を着た女性を引っ張って歩いている。女の子は無邪気に笑いお母さんを引っ張っる。それにお母さんはいやな顔一つせず黙ってニコニコしながらついて行く。その家族の光景を街の人も微笑ましそうに見ている。やはりこの街はいい街だな。
しかし、女の子がお母さんをみながら走っていた時に前を見ていなかったせいか女の子が店からでてきた5人組にぶつかり、女の子は尻餅をついてしまう。
「いてぇなぁ!きゃっ!じゃねぇんだよ!」
「まあまあ、兄貴。こいつらなかなか上物の女じゃないですか?」
「ふん、そうだな。……悪くない。よし、お前ら捕まえろ!」
「「「「おう!」」」」
そういい、2人に飛びかかろうとする4人。リーダー的な存在の男はニヤニヤ気色の悪い顔を浮かべながら後ろで悠長にかまえている。………仕方ないか。
「きゃあああああ!」
「捕まえぐはっ!!」
1人目が女の子に触れようとした瞬間、俺が手加減をして蹴りを入れてやる。………かなり手加減をしたはずなんだが、結構吹っ飛んだな……まあいい、自分の行いを悔ろ。
「なんだてめぇ!」
「邪魔するんだったらぶっ殺すぞ!」
後ろで武器を持ちだしたやつらが騒いでいるが、完全に無視。今はこの女の子だ。今だにいろんなことに驚いてぼーっとしている。
「大丈夫か?怖〜いやつらはみんな俺が倒してやるから、とりあえず起きようか?」
笑顔を浮かべ手を差し伸べる。女の子は少し落ち着いたのかコクっと頷き手を掴んでくれた。そのまま引き上げ、お尻を軽く払ってあげる。
「あ、ありがとう……」
恥ずかしそうに顔を赤くしながら、お礼をきちんと言って来る。賢い子だ。
「本当にありがとうございます。なんとお礼を言っていいのやら……」
お母さんらしき女の人は子供の俺にもお礼を告げて来るが、俺は首を振る。
「お礼なんてよしてください。俺は偶然ここを通りかかり、街の人たちやあなた達をみていろんな暖かい感情を頂きました。充分ですよ。それに…………この程度の相手、あなたでも倒せましたでしょ?」
本心だ。一目見た時にこの人は強いと感じた。こんな雑兵の集まり見たいなやつらに遅れを取るような力には見えなかった。
「私の力にお気づきでしたか……そういうあなたも子供にしてはなかなかの実力を持っているようですね」
そう言ってくれるが、この女の人が見ている俺の力は本当の力ではない。俺が霊視を受けて見られてしまう魔力をコントロールしているため、この女の人が見ている魔力は俺の魔力の1/10にも満たない。
「まぁ、とりあえず詳しい話や自己紹介などは置いておいて、あいつらをかたずけましょう。俺があいつらを片付けるので、この女の子を守っていてください」
「申し訳ありません、よろしくお願い致します……」
女の人は申し訳なさそうに頭を下げる。聖女であるシスターが、街中で暴力沙汰なんてシャレにならないのだろう。俺が一肌脱ぐしかないよな
「が…」
女の子が聞き取れるか聞き取れないかの狭間のような声で声をかけてきた。それに気づき、しゃがみ目線を合わせ言葉を待つ。
「頑張って……ね?」
…………上目遣い頂きました。もうこれは負けられないな。
「ありがとう。頑張ってくるよ」
ニコニコと笑いながら、女の子の頭を撫でてあげる。さっきよりも落ち着いたのか、やっと笑ってくれた。
さて………面倒だから一気に行くか!
俺は思い切り振り返って走りだし、目の前の男に近寄り殴りかかる。
「アホかお前!剣に拳が勝てると思うなよ!」
そう叫び俺の右手を真っ二つにしようと上から剣を振り下ろす。拳と剣が接触した時に、少し魔力を解放し拳を強化する。
「どっちがアホだよ!」
バキンッ!と音を立て剣が根元から折れ、そのまま前の男の顔面に拳を叩きつける。血を出しながら吹っ飛び、そのまま気を失っている。
「次は誰が来る!」
そう叫んだ時には左右から剣を持って飛び込んでくる2人と正面に魔力で撃つ銃を持った男がいた。なるほど、剣で足が止まった間に撃つって作戦か?………単純すぎる。
「おらぁ!死ねやぁ!」
「俺らの剣がさっきみたいに折れると思うなよ!」
ふむ……よく見ると確かに剣が強化されている。仕方ない、もう少しだけ本気を見せてやる。身体的な方でだがな。こんなやつらにメイガスモードを見せるまでもない。
「おらぁ!」
俺は二つの剣を片手片手で受け止める。その格好はまさしく正面がガラ空きだった。
敵視点
銃を持っていた男はチャンスだと思った。逆に剣を持っている男は変な感覚にあっていた。
この男の手の力が弱いのだ。
そんなことはありえない。さっき剣を折り、仲間を吹っ飛ばした手だ。何かあるに違いないと思いながらもこのまま押し切れるのではないのか?という気持ちが湧き、力をぐいぐい入れていく。勝てる!勝てるぞ!という感情に飲み込まれ、不信感を捨ててしまった。
これが男たちの敗因だった。
ショウ視点
わざと少しずつ手の力を抜き、敵に勝てるという気持ちを与える。このことにより、相手に空きができなんでもし放題になるわけだ。
銃を持った男がニヤッと笑ったと思うと、こちらめがけて撃ってくる。俺もそこでニヤッと笑い、消える。
正確には上へ飛び上がった。早すぎて他の人たちが気づかなかっただけだ。
そこでさっきまで剣を俺に叩きつけようとしていた男たちは急に俺がいなくなったことで力のバランスが崩れ、2人ともがこける。そこに先ほどの弾が飛んできて、2人ともが吹っ飛ぶ。そんなに威力があるわけでもないだろうし、せいぜいして気絶くらいだろう。
撃った本人の男はやってしまったと焦りだし、慌てだす。そっと後ろに回り込み、トンっとあたまを叩いてやる。すると糸が切れた人形の様に崩れ落ち、泡を吹きただした。
さて、これで残ったのは1人か。
俺とリーダー的なやつは見つめ合う。相手の目を見るだけでわかる、あいつはかなり焦っている。それはそうだろう、仲間が4人も一瞬で倒されたのだ。焦りもするだろう。
僕は目をつぶり、心をおちつける。それは何時間に渡っただろうか。静かな時間が二人の間を流れる。
俺は一気に目を開け、飛び出す。男は目にわかるほど動揺しているが、やられたくないようで剣を構える。
勝負は一瞬でついた。
男が膝から崩れ落ち、倒れた。やれやれ、やっと終わったと歳もとってないのに溜息を深く着く。
「あの……ありがとう!」
女の子が俺のそばまでよってきてお礼を言ってくれる。
「いいっていいって!見たことろ同い年っぽいし。あ、あと自己紹介してなかったよな。俺の名前は綾瀬ショウ。よろしくな!」
そういい笑いかけると、女の子もニコッてして話しかけてくる
「よろしくショウ!私の名前は不動アキオ!」
2人はニコニコしながら握手を交わした。2人でいろんな話をしていると、そんな2人を温かい眼差しで見つめているアキオのお母さんをみつける。
「すみません、自己紹介が遅れました。俺の名前は綾瀬ショウと申します。」
俺はそういい頭を下げる。
「そんな、頭を上げてください。私の名前は不動サクヤと申します。この度は助けて頂きありがとうございました。小さいのにお強いのですね」
テレを隠すようにショウは頬をぽりぽりとかく。それをアキオとサクヤはニコニコしながら見ていた。
それからは楽しかった。ショウはアキオとサクヤの恩人ということで街の人からも祝福され、アキオとサクヤの家に泊めて頂いた。この街のよさをたくさん教えて貰ったり、アキオと遊んだりした。あぁ、この幸せがずっと続いたらいいのにと思った。
しかし、長続きはしなかった。
ある日サクヤに見守られている中アキオと遊んでいると、上から光が降って来る。とっさにサクヤは俺とアキオを守ろうとしてくれたが、俺は大丈夫という。
「アキオ、残念だけどお別れだ。」
泣きそうな顔で俺を見つめるアキオにそう告げる。
「え……そんな!最近会ったばっかりなのに!」
「これを止めないとみんな死んじゃうんだ。また会えるから?ね?」
そういい、空に俺は跳ぶ。
それからショウは姿を消した。
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「そんで、まあ街の人もみんな助かったし。めでたしめでたしと」
「だいたい分かりましたが、どうやって謎の光を打ち消したのですか?それにいつアキオと再開したんですか?」
「まあ、その話は後日してやるよ。あー、いろいろ話をしたら眠くなってきたなぁ。もう一回寝よ」
そういい、一瞬で寝てしまった。ミラもやれやれと思いながらもスヤスヤと寝ているショウの顔を見ていると自分も眠くなり、そのまま寝てしまった。
(もう離さないぜ、兄貴)
アキオは心でそう誓った。
お疲れ様でした。
次話もがんばります!