なんかジェイソンの見た目と能力持って転生したのでハッピーエンド目指して頑張ります 作:YONATSU
そういえばこの前アビドスの過去を深堀するべくアビドス3章を突破してきましたが、ムービー演出が出てきてびっくりしました!運営さんもっとそういうのください!(強欲)
今回は主人公君がカウンセラー()になります!
ではどうぞ!
2年前 アビドス高校 ジェイソンside
”ぜぇ、ぜぇ……。な、何とか……切り抜けたぞ……。思わずフルスイングしちゃったけど、ホシノは……大丈夫かな。骨折れてないといいんだけど……。まあ、こっちも割と笑えない状態だけどな。さっそく左腕を失うことになるとは……。”
何とかホシノとの攻防を終えることが出来たジェイソン。ホシノの心配をしているようだが、当のジェイソンも激しいダメージを負っていた。左腕の肘から先がなくなっており、血液が滝のように流れ出ていた。
”まずいなぁ……。本気で動き回ったせいで血がドクドク出てる。はよ止血せんとパタッと逝っちまうからな。えーと、服破いて縛るか?(ミキミキミキ)ほら、ミキミキ言ってるからはよ縛らんt……。え?ミキミキ?”
何とか応急処置を済まそうとあれこれしていると、患部付近から何かが生えてくるような音がした。視線を落とせばなくなったはずの左腕が骨や神経、筋肉を再生させながらこんにちはしてきていた。瞬間、ジェイソンの脳内は宇宙猫に支配された。
”???????? ん????あれ?俺幻覚見てる?さっきまでなかったよね、君。よし、落ち着け俺。こういう時は素数を数えるんだ。2、3、4、8……。いやいや落ち着くの無理やて!怖っ!よくよく思い出したら腕吹き飛ばされた時も全然痛みなかったし何なのこの体……。痛覚無効に再生能力……え、てことはこの体すでに痛覚とダメージに対して適応済みってこと?えぇぇ……。俺の気苦労は何だったんだよ。いや、まあ脳死で突っ込んで頭とか吹き飛ばされたらそれこそ(ホシノのメンタル的に)まずかったわけだが。”
そう、実はこの再生能力や痛覚無効は前の体の主がこの体になった時点ですでに獲得していた能力だったのだ。死なないようにいろいろ気遣っていたジェイソンはげんなりしたが、それはそれとして勝負に挑む前に知らなくてよかったと安堵した。
”まあ……、俺の方は万事解決ってことでええんかな?ならさっさとホシノを保健室に運ばないとな!”
自分の手を握ったり開いたりして元に戻ったのを確認し、ホシノが倒れている方へ向かう。
”気絶したフリとかしてないよね?……よし、骨も多分折れてないな。やっぱキヴォトス人すごいな。自分で言うのもなんだけど
ホシノと彼女の傍らに落ちていた
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現在 アビドス高校
『まあ、あとはホシノをベッドに寝かせた後血糊を拭こうとしたら消えててびっくりしたな。あとになって校庭を確認したら血だまりとか肉片も消えててな。どうやら再生すると自分の体から離れた部分は消えるらしいってことがそのあと分かった。そのあとはずっと二人の看病をしてちょうどタオルを洗いに行ったタイミングで二人とも起きた感じだな。じゃあ、バトンは返すとしよう。』
「なるほど、このタイミングになって初めて再生能力の存在に気づいたんですね。」
「にしても、血だまりが出来るほど血がドバドバ出てたのに何でそんな冷静にいれるのよ……。」
「あれじゃないでしょうか。アドレナリンが大量に出て逆に冷静になった、とかそんな感じでしょうか。」
『まあ、そんな感じだな。』
「うへー、バトンはもらったよ~。じゃ、続き行こうか~。」
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2年前 アビドス高校 ホシノside
夢を見た。悪夢だった。それもとびっきりの。
いつものようにコンパスと飲み水を持って砂漠にユメ先輩の捜索に出た。今回はいつも捜索していた方とは逆の方向に行った。
数時間ひたすら歩きながら人がいないかを探し続けた。砂に埋もれた廃墟や廃ビルの中までくまなく探し少しでもユメ先輩がいた痕跡を見つけようとした。
さらに数時間、私はかつてユメ先輩と一緒に宝が埋まってるかもと掘り返したオアシス跡に来た。
あの時は水が湧き出るかもと水着で掘り返していたのが懐かしいと思いながらオアシスの中心の方に目を向け、そして私は固まった。人が倒れていたのだ。
瞬間体が小刻みに震え始めた。まだそうと分かったわけでもないのに、本能で感じ取ってしまうのだ。そこに倒れている人は
それでも私はあきらめきれなかった。鉛のように重い足を上げ歩を進める。その選択によって深く後悔するとも知らずに……。
倒れた人の前にたどり着いた。視線を落とす。ここにきてようやく後悔した。倒れていた人物、それは紛れもない自分の先輩、梔子ユメだったのだから。目立った外傷はなくとても数週間さまよい続けたとは思えないきれいさだった。しかし、胸は一切動いておらず、心音もしない。その事実が私を絶望のどん底に突き落とす。
「ここにいたんですね……。ユメ先輩……。」
もはや考えることすらできなくなった私の口からボソッと出たのはそんな言葉だけだった。
ザッ
突然背後で足音がし、力なく振り返るとそこには仮面をかぶった大男が立っていた。すると大男はおもむろに拳を構えるが既に生きる気力すら失っていた私に避ける意思などなかった。
拳が私の鳩尾を捕らえ、強烈な痛みが走り意識が暗転する。
瞼の隙間から光が差し込む。目を開けば見たことのある天井だった。背中にふわふわとした感触があり、後頭部に柔らかい感触がある。瞬間自分が保健室のベッドの上で寝ていることと、今見たものが夢だったのだと理解した。
安心したと同時に早く捜索しなければと起き上がろうとする。しかしなぜ自分はベッドで寝ているのかと疑問に思ったが昨晩起こったことを思い出す。
物資補給のために帰ってきたら不審者がいてさらにベッドの上にユメ先輩が寝かされていた。そのことで冷静さを失い不審者に襲い掛かったが返り討ちにあった。
思い出したことでユメ先輩の安否を確かめるべく周囲のベッドを確認しようと視線を真上にあげたところで固まってしまった。視界の下半分は保健室の天井だったが、上半分は白い双丘で覆われていた。
そしてその双丘の上から見慣れた顔が出てきた。
「あ!起きたんだね!おはよう、ホシノちゃん!えっと……これは……ホシノちゃんがすごく苦しそうだったから膝枕したんだけどーー」
文字通り太陽のようにまぶしい笑顔と心を包み込んでくれるような優しい声、紛れもないユメ先輩だった。そう理解した瞬間視界が霞んだ。そして上半身をひねりユメ先輩に抱き着く。
「ユ˝メ˝せ˝ん˝は˝い˝……こ˝へ˝ん˝な˝さ˝い˝……。わ˝し˝の˝せ˝い˝て˝……わ˝た˝し˝か˝あ˝ん˝な˝こ˝と˝い˝った゛せ˝い゛て゛……」
ホシノはただただ謝罪の言葉を並べることしかできなかった。謝ったところで過去が覆るわけでも彼女の罪が消えるわけでもないのに、ただ謝ることしかできなかった。
「(ギュッ)大丈夫だよホシノちゃん。今回のことはホシノちゃんのせいじゃないし、ホシノちゃんが悪いなんて全然思ってないよ。今回は私の運が悪かっただけだから誰も悪くないんだよ。だから謝らないでホシノちゃん。……ほら、泣いちゃったらかわいい顔が台無しだよ!」
そんなホシノをユメは優しく抱きしめ返し、子供をあやすような声色で慰める。
「ぐすっ……はい……。……ユメ先輩。」
「?なぁに?ホシノちゃん。」
「おかえりなさい。」
「! えへへ、ただいま!ホシノちゃん!」
ホシノが落ち着くまで抱き合い続けしばらくの時間が過ぎた。
「ユメ先輩。」
「ん?どうしたの?ホシノちゃん。」
「この2週間の間どこにいたんですか?というかユメ先輩の近くに座っていた大男は誰ですか?」
「実は1丁目の方にある中央銀行に行こうとしてたんだけど、運悪く砂嵐に会っちゃって。それでコンパスとか水をなくしちゃってずっと砂漠を彷徨ってたんだけど、途中から意識が朦朧としちゃって記憶が曖昧なんだよね。あと、その大男さん?はよくわからないけど、意識がなくなる直前に私に水をくれた優しい仮面をかぶった大きな人は覚えてるよ!」
ホシノは昨晩戦った男の容姿を思い出す。
”仮面をかぶっていて大柄な人、昨日の大男と一致していますね。まさか!?”
そこまで思い出し、ホシノは気づく。自分は何かとんでもない勘違いをしてしまったのではないかと。
その時、ドアがノックされる音が部屋に響く。
コンコン
ガラガラ
返事を待たずに扉が開かれ、姿を現したのは昨晩戦った大男その人だった。
ホシノはすぐに銃を手に取ろうと体を動かそうとするがユメによって止められた。
「ユメ先輩!?」
「大丈夫だよホシノちゃん。この人は私たちに危害を加えるつもりはないよ。ほら、手に持っているものを見て。」
そう言われ大男の右手を見る。そこには金属製の桶に入った濡れたタオルがあった。しかしそれよりも気になったのは、昨晩自分が気絶する直前に吹き飛ばしたはずの左腕が元に戻っていることだった。自分が昨晩見たあの光景は幻覚だったのかと一瞬思ったが、男の左腕部分の服だけなくなっているため吹き飛ばしたのは確かである。改めて昨晩の自分は自覚はなかったとは言え目の前の大男を殺そうとしてしまったことをいやでも実感してしまう。
すると入り口でこちらを見たまま立ち止まっていた大男は保健室の中に向けて歩を進め始めた。思わず身構えてしまうが、大男はこちらではなく部屋置かれた今は使われていないホワイトボードの方へ向かった。一体何をしようとしているのか思ったが、大男はペンを手に取りホワイトボードに何かを書き始めた。
しばらくして、大男がペンを収め書かれたものが顕わになる。そこには、
『ごめん、俺話せないから申し訳ないんだけどこれ使わせてもらってもいい?いろいろと誤解とかを解きたいしさ。』
驚いた。しかし昨晩私が質問した時や戦闘中に一言も声を発さなかったことには納得した。まさか話さなかったんじゃなくて話せなかったとはと。だがこれで信用できるかは置いておいて敵意がないことは分かった。ユメの方を見て頷くことで承諾の意を伝える。
「大丈夫ですよ!私達も聞きたいことがたくさんありますから!」
ユメがそう言うと大男はこちらに親指を立てサムズアップした後ホワイトボードに書かれたものを消して再び何かを書き始めた。見た目に反して意外とフランクな話し方をするのはすごく違和感があるが。
またしばらくして、書き終わった大男はペンを収めた。
『まずは学校への無断侵入、備品の無断使用、そこのピンク髪の少女への暴力行為その他もろもろに対する謝罪をさせてほしい。本当に申し訳ない。』
ホシノたちが声に出してそれを読み終えたとき、大男の方からゴッと硬いもの同士がぶつかり合うような音がし、そちらを見る。ホシノは信じられないものを見るような目になる。なんと大男はホシノたちに向けて土下座をしていた。文字通り額を地面にこすりつけこちらに謝罪をする目の前の大男にホシノは言葉を失う。今まで彼女たちが相対してきたオトナは何か過ちを犯したときほぼ例外なく謝罪なんてものはしてこなかった。されても形だけで特に感情のこもっていない「すまんな」の一言だけであり、基本的にほかの何かやひどいときは自分たちに責任を擦り付けて、逃げられることがほとんどだった。
だからこそ目の前で行われているプライドなんて一切感じさせない最上級の謝罪行為がにわかには信じられずホシノは固まってしまう。対するユメはすぐにベッドから飛び降り大男の傍らに行き、
「あ、頭を上げてください!むしろ謝らないといけないのは私達です!見ず知らずの私を助けてもらってさらに看病までしてもらったんです、感謝してもしきれません!ほら、ホシノちゃんも何か言ってよ!」
ユメから話を振られたのと同時にホシノは無意識に口を開く。
「なんで、なんで謝るんですか!私はあなたを撃ったんですよ!最悪命を失うかもしれなかったあなたがなんで……。その気になれば私にすべての責任を擦り付けることだってできたのに……。なんで私のこと責めないんですか……。」
ホシノは絞りだすように声を出す。なぜ早とちりで自分を殺そうとした奴なんかに謝るのか、なぜ私のことを責めないのか、と。
すると大男は立ち上がり、再びホワイトボードに向き直り何かを書いていく。
『もし左腕を吹き飛ばしたことを言ってるなら別に気にしてないよ。なんか再生したし。それに過ぎたことをクヨクヨ言ったって過去は変えられないじゃん。だから今回の失敗を次に活かしてくれれば俺からは特に何もないよ。俺の場合は特に何かがなくなった訳じゃないけど君たちの場合は実質拠点荒らされた挙句正当防衛したら返り討ちに遭った訳じゃん。それで謝罪の一つもないのはさすがに人としてどうかと思うよ、ってことで謝った訳だがOK?まあ、もし何か罪の意識みたいなのがあるならさ、互いにやらかしちゃったんだからチャラってことにしとこうよ。』
ホシノは驚愕した。命を狙われたという事実をなんでもないかのように流して、自分のしたことの方がよっぽどひどいとさえ言ってしまったのだから無理もない。何ならホシノの内心を見透かしたかのようなフォロー付きなのだからなおさらなのである。ホシノの中で大男の見方に変化が生じた瞬間だった。目の前の
「……謝罪の件は分かりました。……私も早とちりであなたを襲ってしまった件、すみませんでした。」
いくらか心の中にモヤが残っている感覚だったが、一旦納得したホシノが今度は頭を下げた。ここで土下座に踏み切れなかった自分に嫌気がさしたのは言うまでもない。
対する大人は再びサムズアップして謝罪を受け入れた。
「うんうん♪これで二人とも仲直りだね!それで私だけお話についていけないんだけど、私が寝ている間に何があったのー?」
一旦昨晩のいざこざに関する謝罪合戦がひと段落したところで一人置いてけぼりを食らっていたユメが昨晩のことについて聞いてきた。
「分かりました。少し時間がかかりますがいいですか?……えっと、あなたはどう呼んだらいいですか?」
説明に少し時間がかかるため目の前の大人に許可を取ろうとするが呼び方に困ってしまい、名前を聞いた。
すると大人は少し考えるそぶりを見せた後、ホワイトボードに書いていった。
『俺の名前はジェイソン・ボーヒーズ。ジェイソンとでも呼んでくれ!』
大人ことジェイソンはそう名乗った。
「ジェイソンさんっていうんだね!かっこいい名前だね!」
「かっこいいかはさておきジェイソンさんは少し時間をもらってもいいですか?」
そうホシノに問われたジェイソンは右手の親指と人差し指で丸を作り快諾の意を伝えた。
「分かりました。では説明しますね。」
「私視点ではこんな感じですね。」
ホシノは昨晩起きたことは包み隠さずありのまま話した。するとユメが目にも止まらぬ速さで立ち上がり全力謝罪を開始した。
「私の後輩が大変ご迷惑をおかけしました!」
ヘッドバンでもしているのかというくらいの速度で頭を下げ続けるユメに対し、ジェイソンは慌てた様子でユメを止めようとしていた。しかし彼は話せないため、いそいそとホワイトボードに文字を書き連ねていった。
『俺はもう気にしてないから!だから止まって頂戴!ピンク髪の子!この子を止めて!』
「私はホシノ、小鳥遊ホシノです。そしてこっちは梔子ユメ先輩です。ユメ先輩、ジェイソンさんがホワイトボードに書いてますよ。」
そこまで言ってようやくユメが止まり、状況は落ち着きを取り戻していった。しかし空気は地獄と化していた。アビドスコンビがどちらもガチへこみしてしまいジェイソンはどう話題をそらそうかと考えるが何も浮かばないためとりあえず頭に浮かんだ話題を
『二人とも体調は大丈夫?ユメさんは多分熱中症と脱水症状でホシノさんは思いっきりぶん殴っちゃったけど骨とか折れてない?』
「私はジェイソンさんが看病してくれたおかげで元気だよ!」
「私もとくには。体の頑丈さには自信があるので。」
『OKOK!じゃあ、ちょっと俺からも聞きたいことがあるんだけどいいかな?』
両方の無事が確認できたため今度はジェイソンが質問してきた。
「「大丈夫ですよ(!)」」
『では失礼して、なんでユメさんは砂漠で倒れてたの?』
「そういえば1丁目の中央銀行に行こうとして遭って遭難したところまでは聞きましたが、そもそもなぜ中央銀行に行こうとしたんですか?まさか融資を受けにでも行こうとしたんですか?」
「ひぃん……。ホシノちゃん……そんなに一気に聞かれても答えられないよぉ……。とりあえず目的から説明するね。ちょっと説明に必要なものがあるから取ってくるね!」
そう言いユメは保健室から出て行った。部屋が二人きりになりしばらく静かな時間が続き、ジェイソンが再びホワイトボードに何かを書き始めた。
『ひどい隈だけど一体何徹したの?』
そう、ジェイソンの言う通りホシノの目の下には深い隈が出来ていた。
「ほぼ2週間です。ユメ先輩を探すために気力だけで起き続けたので、正直今も限界ですよ……。」
『そりゃ、やばいね。えっと、お話明日にして一旦寝とく?体は大事にせんといけんよ!』
「そうしたいのは山々なんですが私達には時間がないんですよ。借金の返済はおろかその利息の用意すら危うい状況ですから。」
ユメ捜索の間は精神的に追い詰められていたことで睡眠不足だろうと普段のようにふるまっていたが、ホシノは現在ユメが見つかったことで緊張の糸がほどけており睡眠不足も相まって本音が出やすくなっていた。
『あれま、借金あるの?いくらくらい?』
「もう数えるのすらやめましたが大体9億ちょっとありましたかね……。」
それを聞いた瞬間ジェイソンは固まるが、すぐにホワイトボードに書き始めた。
『途方もないな。ちなみにだがこの学校の全校生徒数は?』
「私とユメ先輩の二人だけですよ。ほかの人たちはみんなアビドスを捨ててどこかに去っていきましたよ。お笑いですよ。こんな限界の自治区を、たった二人で、借金まみれの状態で守り通そうなんて。」
半ば諦めたような声色でアビドスの現状を話していくホシノ。しかしジェイソンは迷いすら見せずにペンを走らせた。
『誰だって君たちを笑う資格なんてないさ。アビドスを去った人たちの中には断腸の思いだった人もいただろうが君たちはそれ以上に頑張っているよ。君たちはそれだけこのアビドスを愛してるんだから誇ってもいいことだと思うよ!』
ほぼ殴り書きに近い形で書かれた文を読みホシノは驚いた。
「あなたは自分が何を言っているか分かってるんですか?私たちはただ無意味な抵抗を続けてるに過ぎないんですよ。」
『俺はそうは思わんな!君たちが頑張ってるからこそ、この街は残ってるんだし。そこまで言うならホシノさんはなんでここに残ってるんだい?』
ほぼ自虐に近いことを言うホシノに対しジェイソンはそうは思わないと一蹴する。
「分かりません。強いて言うならユメ先輩をほっておけなかったからでしょうか。」
『なるほどなるほど、ホシノさんにとってユメさんは大事な人ってわけだ。唯一の先輩なんだから大事にしなよ!』
睡眠不足で判断力の鈍っているホシノは、ぽつぽつと本音を吐露していく。ジェイソンが聞き上手でありホシノが欲しい答えをその時その時に書いていたのも原因の一つなのだろう。
「私にユメ先輩を守る資格なんて既にないも同然ですよ。私はあの人にひどいことを言ってしまいました。いえ、常日頃から素直に感謝の気持ちすら伝えず強く当たっていたのですから今更ですか。」
『ふむ、まあ素直になれない人ってのはよくいるからね、ゆっくり直していけばいいさ。あとさ、一体ホシノさんは何にそんなに怒ってるの?』
「……私、怒ってるように見えましたか?」
『まあ、初めて会ったときは言わずもがなで、目が覚めてからも常にイライラしているような感じには見えたよね。』
「……そうですね。私は常に怒っていました。自分勝手な大人たちに、崩壊していく自治区に、誰も手を差し伸べてくれない他学園に、自治区を諦めて去った生徒や住人に、能天気な先輩に、素直になれない自分に、私はあらゆることに怒ってますよ。……なんでなんですか。なんで自分たちだけが苦しまないといけないんですか……。私たちが何をしたというんですか……。私は……何のために生きてるのでしょうか……。」
ホシノは既にいろいろ限界が来ていた。それは精神も例外なくだ。途中からホシノの手は震えていた。
それを見かねたジェイソンは机の上にあったメモ帳と鉛筆を手に取りホシノの隣に座り、書いたものを手渡す。
『生憎俺に君たちのこの現状を何とかできる魔法は持ち合わせていない。でも話を聞くことはできる。初対面のオジサンでもよければぜひ話してほしいんだ。』
「なぜ……なぜあなたは出会ってすぐの私にそんなに優しくしてくれるんですか?首を突っ込めば厄介なことになるのは分かりきっているはずです。」
『俺は君のことを詳しくは知らない。それでも君は本気で苦しんでて、心のどこかで助けを渇望してる、ってのは分かるんだよ。俺はそういう人間をほっとけないんだ。理由なんてそれで十分だ。というかこの都市ろくな大人がいないみたいだな。子供を助けることこそ大人の本分だろうに。』
ホシノは迷う。この大人にこれ以上弱みを見せても良いのかと、まだ信用できるかも分からないこの大人に。判断力が鈍っているとはいえ心を許したわけでもないため最低限の警戒はしていたホシノはまだ、この大人も裏切るのではないかと、現在進行形でだまされているかもしれないと思った。しかし同時にこの大人は本気で私達を心配してくれてるのではないかとも思ったのだった。
そうして返答に迷っていると、視界が再び暗転した。
”あっ、まず……い。体のげん……かいが……。”
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”ホシノおおおおお!!大丈夫かああああ!!”
ユメがモノ取りに行ってからホシノのお悩み相談してたらいきなりこっちに倒れてきた。
なんとか受け止め、速攻でホシノの状態を確認するが、呼吸や顔色は特に異常はなかった。
”寝不足が限界を超えた感じかな?どちらにせよ今日はここまでだな。”
ひとまずホシノをベッドに寝かせ、状況を整理する。
”一旦名前は前世の名前じゃなくてジェイソンの本名でやっていくことにしよう。その方が都合よさそうだし。あと、アビドス3章に過去おじとかユメパイセンが出てくるのは知ってたけど、見てなかったのが悔やまれるな……。改めて本人たちの口からこのアビドスの現状を聞くことになった訳だが、ひでえなほんと。紫大将とかいい大人がいるのは知ってるんだけどさ、それにしたってまともな大人が少ないんだな……
そうこうしていると、探し物をしていたユメが戻って来た。
「二人ともお待たせ!やっと見つかったよー、って!ホシノちゃーーーーん!!!大丈夫!?」
勢いよく扉を開けたユメは寝てるホシノを発見し、思わず驚愕の声*2を上げてしまう。
幸いホシノは起きなかったがジェイソンは口の前で人差し指を立て静かにするよう注意した。
「あ、ご、ごめんなさい!ホシノちゃんは大丈夫なんですか?」
『うん、大丈夫だよ。寝不足で限界を越えちゃったみたいでね。ただ眠っているだけだから安心して。』
「よかったです。……ホシノちゃんはいつも頑張っているからこんな時くらいはしっかり休んでね。」
ホシノの無事が確認でき安堵したユメはホシノの頭をなでつつ、そうつぶやいた。
『ユメさんだって頑張ってるよ。ホシノさんから聞いたよ。たった二人で9億近い借金を返そうとしてるらしいじゃないの。』
「……そうですね。でも私はホシノちゃんの足を引っ張るばかりで何もできていません。すぐに詐欺に引っ掛かっちゃうし、自分で自分の身を守れるほど強くもないし……は!?ごめんなさい、お客さんにこんな話をしてしまって……。」
そう自分のことを語るユメはどこか悲しそうな顔をしていた。自分がもっとしっかりしていれば、自分がもっと強ければ後輩に迷惑をかけることもないのにと、そう思っているようにジェイソンは見えた。
実際明るくポジティブ思考なユメだが、それでもこの3年間、いやそれよりも前から突き付けられていたアビドスの現実は確実に彼女の心をすり減らしていっていた。そして半ば押し付けられる形で就任したアビドス生徒会長という役職の重責がさらに彼女を蝕んでいた。
しかしそんな状態でも彼女は弱音を吐かなかった。全ては彼女の唯一の後輩であるホシノを不安にさせないためだった。
だがホシノと違い、ジェイソンに心を許していたユメはふとした拍子に弱音を吐き出してしまった。
『君たち仲いいね!ホシノさんもあなたのことをとても大事に思ってたよ。2週間不眠不休であなたを探そうとしたくらいにはね。それにユメさんだって頑張ってるよ!それは未だ生き続けているこの街が証明している。あなたたちはもっと他から評価されるべきだしもっと誇ってもいいと思うんだ。それにユメさんがこの学校を守っていたからホシノさんもこの学校に入ってきたわけだし、足を引っ張ってばかりじゃないと思うよ!だから自分をそんなに責めないで、もっと自信を持とう!辛いならオジサンが話を聞くからさ!長々と書いちゃってごめんね』
そんなユメの弱音に対するジェイソンの返答はこうだった。
そしてそれを見たユメの頬には涙が伝っていた。
ジェイソンは何かまずいこと言ってしまったのではとあたふたしてしまうが、
「あ……これは(ゴシゴシ)違うんです。そんな風に言ってもらえるのが初めてで……うれ、しくて……うぅ……すみま……せん。お客さんにこんなとこ見せちゃいけないのに……。」
”ホシノもそうだけどこう、なんで子供がこんなクソ重い業を背負うのがここだと当たり前みたいになってるんだろうな。……なに嘆いてるんだよ俺。ハッピーエンド目指すって誓ったばっかじゃねえかよ。誓ったからには成すべきことをなさなきゃ。ひとまずユメの方を何とかしないとな。”
改めてこのキヴォトスという魔境の理不尽さに嘆きつつも自分が成すべきことを確認したジェイソンは一旦ユメを何とかするべく背中を擦りつつホシノの時と同じように文の書かれたメモを手渡す。*3
『大丈夫大丈夫。泣きたいなら思いっきり泣けばいいし、愚痴があるなら全然聞くよ!今この場には君を笑う人も咎める人もいないからさ。』
「!?……うぅぅ……うわああああん!!」
ジェイソンの
その後ユメが泣き止むまでジェイソンは背中や頭をなで続けた。
ちなみに加減を知らない全力の抱き着きによりいたるところの骨が折れたのは言うまでもない()*4
アビドスコンビの脳が焼けていく音がしますね~
安心してください、まだまだ火力は上がっていく(予定)ので!
そして主人公君もまた、二人のお悩み相談で脳を焼かれた模様
次回はあのヒロイン()が登場します!こうご期待!
高評価やコメントお待ちしております!
皆さんにお聞きしたいのですが4000~5000字の短めと7000~8000字の長め、どちらの方が読みやすいですか?
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短めの方
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長めの方