なんかジェイソンの見た目と能力持って転生したのでハッピーエンド目指して頑張ります   作:YONATSU

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暫く投稿できなくてホントにすみません。
新学期始まってほぼ書く時間が取れなくてこんなに時間掛かっちゃいました。
重ねて謝罪になりますが、今回の話に前回の予告で言っていたヒロイン()は登場しません。その人が登場するシーンを書く前の段階で分量がえげつないことになってしまったので次回、確実に登場させます!
謝罪だらけの前置きになってしまいましたがどうぞ!


番外編3:強盗退治と飯作り

ども、ユメパイセンに腰周りを破壊されて死にかけたジェイソンです。

いやモノホンのジェイソンさんがやってたことを逆にやられるとは思わなんだ……。再生能力あってほんとよかったよ。キヴォトス人パワー恐るべし……。

ま、死ななかったからいいんだけどさ。

にしてもちょっと安心したよ。前世で見てたSSとかだとさ、ユメって常にポジティブシンキングでお馬鹿さんな印象ってのが結構強かったけど、ちゃんと苦しいとか辛いっていう感情も持っていることが分かって、よかったって思ったよ。ずっとこの子の精神が既に壊れてしまっているんじゃないかって心配してたんだけど、杞憂だったみたいだし。

さて、結局まーた二人とも寝ちゃったからどうしたものか。そいえば、この子ら少なくとも昨日から飯食ってないよな。飯作るか!

って言っても材料とか調理場どうしよ……。調理場は最悪家庭科室借りるとして、材料の調達をどうするかよな。一応財布やらスマホは持ってるからお金はあるんだけど、如何せんこの姿で出歩いたら100%もしもしヴァルキューレ案件だしな……。

うーん、とりあえずここで悩み続けても仕方ないし気分転換に屋上にでも行くか!

 

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アビドス高校 屋上

 

”いやー、外の空気はうまいね~。”

 

屋上に来たジェイソンはアビドスの街を見ながら深呼吸をした。

 

”意外にもこの辺はまだ建物いっぱい残ってるんだな。人も案外いるみたいだし。まあ、この辺だけなんだろうけど……。この街にもどんどん砂漠が迫って来てるのかな。何とか止めたいけど、大元の原因が自然災害だからなー。”

 

およそ5,6階くらいの高さのビルが並ぶ場所や少し離れたところには一軒家が立ち並ぶ住宅街も見える。公園では少なからず子供も遊んでおり、商店街のような場所も意外にも賑わいを見せていた。

そんな街にも刻々と自然の驚異が迫っている現状を何とかできないものかとジェイソンは思案するが当然名案が浮かぶことはなかった。

 

”そいえば、アビドスの衰退の理由って確か大規模な砂嵐だったっけ?砂嵐が起こった原因……そいえばアビドスってエジプト神話が元ネタだったよな。神様が怒って砂嵐を起こしたとか?まさかな!…………。そいえばエジプト神話で確かいたよなそんなの。確か、セヌ?セタ?……あ!セトだ!……ん?ブルアカにいたよな。確か、セトの憤怒だっけ?あのビリビリ野郎。制約解除決戦にいた記憶があるんだよな~。……もしかして、あいつが原因じゃね?たしかオシリスを56した後ホルスに王位継承戦で負けた嫌われ者の神様だったよな。オシリスはユメパイセンの神秘で、ホルスはホシノの神秘の筈。となると、もしかして原作でユメパイセン4んだ原因ってセトの仕業なのか?やべ、アビドス3章見てない弊害がここでも出てきた……。”

 

砂嵐の原因を探るジェイソンだったが自らが立てた仮説という名の不吉な方程式と前世のエジプト神話とブルアカの知識が化学反応を起こしたことによりかなり現実味を帯びた説が出来てしまった。そしてここでも前世で実質アビドス過去編である3章を見ていなかったことを後悔している様子。何やってんだこの人は

 

”んー、でもワンチャンメインストーリーに絡んでない可能性もあるし、とりま頭の片隅にでもしまっておいて今は目下の問題の解決だな!「くぉらぁー!待ちやがれ!!」どうやって食料を調達するかだよなー。「だれかー!そこのトラックを止めてくれーー!!」ん、なんだなんだ?”

 

自らが立てた説に身震いしつつ一旦忘れようとしたとき、誰かの怒号が聞こえてきた。そちらを見ると、荷台が幌で覆われたトラックとその50m後方にトラックを追いかけるチーターの獣人がいた。獣人は頭に鉢巻、そして法被を羽織っていていかにも大将な見た目をしており、全力でトラックを追いかけていた。そしてトラックの運転席を見ると派手な塗装の施されたチンピラと思わしきオートマタ2名が乗車しており、確認しなくても強盗に遭っていることが分かった。

 

”あれま、強盗。相変わらず治安が終わってんなー、ここ。それはそうとあの獣人すげーな。60kmくらいは出てるだろうに食らいついてんの普通にやべえな!あ、少しずつ突き放され始めてる……ちと、手助けしますかい!テレポート!”

 

ヒュン

 

そこそこの速度で走行しているトラックに普通に追従している獣人に驚きつつ、強盗を鎮圧するべくジェイソンは行動を開始する。

そしてテレポート先はまさかまさかのトラックの真ん前である。

 

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少し前 チンピラオートマタside

 

「へへっ 今日はツイてるぜ!これでしばらく飯には困らねえな!」

 

「ああ!あの大将が間抜けでよかったぜ。キーを刺したまんま荷積みしたら盗まれることぐらいわかるだろw」

 

二人のオートマタが盗み出したトラックの中で談笑している。どうやらチーターの大将がトラックに荷物を積んでいる間に盗みだしたらしい。しかし会話の内容とは裏腹にオートマタ達の雰囲気は良くない。その理由はといえば……

 

「チッ、あの大将いつまで喰らい付いてくるんだよ!良い加減バテてろよ!」

 

そう、チーターの大将がずっと追いかけてきているからである。オートマタ達はすぐに振り切れるものだと思っていたが、さすがはチーターの獣人というだけあって道路を爆走するトラックにかろうじて食らいついていた。

 

「この先、長い直線だ。そこで突き放せばいいさ。」

 

「OK~!しっかり捕まっとけよ!」

 

オートマタは獣人を突き放すためにアクセルを踏み込む。グッと加速しメーターは時速80kmを指す。バックミラーを見ればチーターの獣人が少しずつ離れて行っているのが見えた。

 

「へっw爺さんはおとなしく店番でもやってな!あばよ!」

 

そのことを確認した運転しているオートマタは嘲笑する。しかしその余裕も一瞬で消え失せることになる。

 

ヒュン

 

「!?おい馬鹿!前見ろ!」

 

「うお!?(キーーー!!)」

 

いきなり目の前に大男が現れたことで順調だった逃走劇に終止符が打たれたのだから。

急ブレーキをかけたことでトラックは完全に停車し、そのことにブチ切れた運転手のオートマタが窓から顔をだし怒鳴りつけようとした。

 

「てめえ!どこ見t……は?あいつどこ行きやがった!」

 

「おい!いねえならさっさと行くぞ!あいつに追いつかれる!」

 

「チィ!あの野郎次見つけたらただじゃおかねえからな……クソ!エンストしやがった!さっさとかかりやg(ガチャン、グイッ!)うわぁー!!」

 

再び逃走を再開しようとするが古めのトラックであったためか中々エンジンがかからない。再始動に手間取ることにイラつき悪態をついていると突然運転席のドアが開き運転手をしていたオートマタが外に放り出された。

 

「なに!?くそっ!もう追いつかれたか!これでもくらe……え?」

 

助席に座っていた相方が下手人に反撃しようとAK47を取り出すがそこには誰もいなかった。放り出されたはずの相方も見当たらない。しかしその一瞬が命取りとなる。

 

「(ガチャン、グイッ!)うお!!(ドガッ)グハッ……。」

 

助席にオートマタも同様に車外に放り出されて、壁に叩きつけられた。その拍子に手に持っていたAKは落としてしまった。

衝撃でセンサー類が麻痺してしまい動けないでいると首根っこをつかまれ持ち上げられた。センサー類が本調子を戻し顔を上げると、仮面を被った見知らぬ大男が自分をつまみ上げていた。否、先ほどトラックの前に一瞬だけ現れた大男にシルエットが似ている。そして反対側、大男の左手には同じく首根っこをつかまれた相方がいた。

 

「おい!てめぇ、さっきはよくもやってくれたなぁ!さっさとこの手を放しやがれ!じゃねえとこの腕へし折るぞ!」

 

「ばっ!よs(ゴチン!)」

 

改めて大男を観察するが当然ヘイローはなく、オートマタに改造された形跡もない明らかに外の世界の人間である。そのことに二人とも気づく。運転手をしていたオートマタはパワー的にこちらに分があると判断し大男の腕をつかみ脅しをかける。しかし相方は150kg近くある自分たちを軽々投げる様子や一瞬でトラックの反対側まで移動できる速力*1など完全に人間離れした力を持つ大男の実態に気が付き調子に乗る運転手のオートマタを止めようとする。だが既に手遅れだった。

運転手の脅しを聞いた瞬間大男は両腕を広げそのまま勢いよくつかんでいた二人の顔面同士をたたきつけた。あまりの衝撃で二人の頭部内の回路やセンサーが破損もしくはエラーを起こし、強制精神保護システム*2が作動し気絶した。

 

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同刻 ジェイソンside

 

”なんだろ、ホシノ相手した後だからか知らんけどこいつらめっちゃ弱く感じるな。まあ楽だったからいいんだけど。”

 

「はあはあはあ……。くっそ……久々に……全……力で走った……から……。」

 

気絶した二人のオートマタを縛っていると先ほど見えたチーターの獣人が息を切らしながらやって来た。いや、今すぐにでもぶっ倒れそうな様子だったためジェイソンはペットボトルの水を手渡し座るように促した。

 

「ごくごくごく。……ふう。だいぶ落ち着いてきたよ。こいつらを捕まえてもらってさらに水までもらっちまってほんとにありがとよ!」

 

『いやいや、大丈夫ですよ。困ってる人がいたら助ける、当たり前のことをしただけですよ。』

 

獣人から礼を言われジェイソンは持って来ていたメモ帳に返事を書いた。

 

「なんで筆談なんかするんだ?俺と話すのは気に食わねえか?」

 

当然の疑問である。話せるならこんな回りくどい方法で会話などしないのだから。しかし、

 

『俺声帯死んでて話せないんですよ。めんどくさいかもしれないんですけど了承してくれればなと……。』

 

「悪いこと聞いちまったな……。すまねえ……。筆談のことは俺が拒否する理由はねえから全然かまわねえよ。おっと自己紹介がまだだったな。俺は猟豹 八百市(りょうびょう やおいち)だ。ちょっと離れたとこで小っちぇえスーパーをやってるんだよ。」

 

『まあ気にしないんで大丈夫ですよ。自分はジェイソン・ボーヒーズって言います。一応今は旅人みたいな感じでいろんなところを彷徨ってます。にしても俺にビビらないんですか?自分で言うのもなんですが結構やばい見た目してると思うんですけど。』

 

「何もない状態で会ったらそりゃビビりもするが、あんたがお人よしだと分かってんなら話は違うさ。にしても旅人か……。食料とか大丈夫か?せっかく助けてもらったんだ、何か恩返ししなきゃな。なんか好きなもの持ってっていいぞ。」

 

話せないことを知りすぐ謝罪し、人となりが分かるのだからビビる必要がないという八百市。この人からは柴大将と同じ匂いがすると思いつつひとまず怪しまれないために適当に旅人と職業を偽るジェイソン。すると、思ってもみない提案が出てきた。

 

『本当ですか!寝泊りする場所にそこのアビドス高校に一室を借りれることはできてたんですが、食料には困っていたので助かります。』

 

「ほう、あの子たちが他人に部屋を貸したのか……。あんた運良いぜ。普通なら門前払いを喰らってただろう。あそこの新人、かなり荒いからな。もう一人の方はお淑やかでいい子なんだがな……。」

 

『ホシノさんのことですかね。確かに最初は厳しかったですが話してみればちゃんと根はやさしかったですよ。それに彼女たちには世話になりましたしこれからも世話になる予定ですから何か作って恩返ししたかったんですが、こんな成りなもんで町を出歩けなかったんでほんと助かります。』

 

ホントは勝手に居座っているだけだが3人分の食材を手に入れるために偽のシナリオをくみ上げていく。

 

「なるほどな……。確かにその姿でうろつくのはキヴォトスでも通報されるだろうな。となると今このトラックに乗っけてるものを渡す方が都合がいいな。分かった、ちょっと見てみてくれ。」

 

そう言われトラックの荷台に積まれていた食材たちを見る。ニンジンやキャベツなどの野菜類、豚肉や鶏肉などの肉類、しょうゆや胡椒などいろいろ積まれていた。

瞬間ジェイソンの脳内の引き出しからレシピが出力される。伊達に20年近く一人暮らしで自炊してただけありお料理レベルはそれなりである。

 

『じゃ、お言葉に甘えて。下のメモにあるものください。もし多かったらその分は払いますよ。(↓メモ)』

 

「あいよ!なーに、こんくらいなら全然持ってってくれていいぞ!ちょっと待ってくれや。」

 

そう言い八百市はメモに書かれたものを手際よく箱に詰めていった。

しばらくして、

 

「はいお待ち!一応漏れがないか確認してくれ。」

 

そう言い八百市から食材の入った箱を受け取る。中を確認し漏れがないことを確認した。箱を置き再びメモに文を書く。

 

『大丈夫でしたよ。こんなにありがとうございます。あと、さっきのチンピラはどうするんです?』

 

「ん?ああ、さっきヴァルキューレに連絡したからしばらくしたら来るだろうさ。どうする?あんたも連中への状況説明するか?」

 

『いえ、自分がいるとややこしくなりそうですし、自分はこれで失礼しようと思います。自分のことは適当に誤魔化しといてくれると嬉しいです。』

 

「そうかい?じゃ、解散しようか。ああそうだ、何にもないとこだが、もししばらくここに留まるつもりなら今度はうちの店に来てみてくれ!サービスするぜ!」

 

『ありがとうございます。しばらくいる予定ですのでまたお世話になります!では!』

 

そう書かれたメモを八百市に見せ、ジェイソンは箱を抱えつつ学校に戻って行った。

 

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アビドス高校 家庭科室

 

”さて、作っていきますか!と、その前に手を洗わないとな。(大男手洗い中)水道代とかガス代とかはあとで払うとしてー、鍋はどこだー?できるだけでかいのが望ましいけど。”

 

学校に戻って来たジェイソンは箱を抱えて家庭科室にやって来た。ちなみにしばらく学校内を迷子になっていたのはここだけの話である。*3

そして、何やら大きな鍋を探しているようである。そして教室の奥の棚にお目当ての鍋が見つかる。見た目は家庭でよく使うような少し深めの鍋、というか大きめのフライパンである。

 

”お、あったあった。これこれ~♪よし、じゃ、作っていきましょうかね~。"

 

半刻後

 

”よっしゃ、できた!”

 

下処理したもらい物たちをコトコト鍋で煮込むジェイソン。

果たして、その鍋の中の中身といえば。

 

”完成!親子丼の具!いやー、やっぱ簡単に済ませるならこれでしょ。それにあの子達しばらく何も食べてないから胃とかも弱ってるだろうしこいつなら食べやすいだろ!まあ米はレンチンレトルトでご愛敬って感じだがな。”

 

自分が作った親子丼の具にご満悦のジェイソン。しかし、右手のお玉で中身を混ぜつつ左手を腰に手を当てる姿はまさしく怪異のそれである。もし誰かがこの様子を見たらサクラコ様並みの勘違いを起こすのは言うまでもない。

いい感じに煮込み終わり火を止める。何によそおったものかと考えるが当のふるまう相手である二人はまだ夢の中である。

 

”二人とも起きてないし一旦冷蔵庫入れとくか!起きたらまた火にかけて卵で閉じてお出しするとしよう!”

 

冷蔵庫に鍋ごと親子丼の具をしまうジェイソン。その時、ふとジェイソンは疑問が頭に浮かぶ。

 

”そいえば俺、少なくともここ(キヴォトス)に来てから飯食ってないし寝てないよな。おっかしいな~、この体の記憶的に一徹しても死にかけるし、一日食事抜いても死にかけるくらい健康的な生活をしないとやべえ体だったはずなんだけどな~。前の体の主よ、もしかしなくてもそっち方向も適応した感じ?なるほど……これが人間離れか……。便利……なんだけどなんだろ、この感じ……なんとも言えない感覚だな……。”

 

どんどん発覚していく自分の体の特異現象にまたもや感情をぐちゃぐちゃされ仮面で隠れたこめかみがある位置に手を当てる。

 

”……ま、悩んでもなっちまった物はどうしようもないしな、切り替えてこ!つってもやることないしまたあの二人の看病だな。”

 

しかしちょっとすれば、なるようになれ、と気持ちを切り替え次の行動に移ろうとする。この男、結構楽観主義である。

思い立ったが吉日と洗い物を済ませ、ジェイソンは保健室に向かった。

 

==========

その日の夜ーー

 

目を開く。

見覚えのある天井が見える。ここ数日を過ごしている保健室の天井だ。

そよ風が頬を撫でる。ふと窓の方を見るとこれまた見覚えのある人物が座って何か本を読んでいた。

すると相手はこちらに気づいてようで本を持っているのと反対の手でこちらに軽く手を振ってきた。

 

「おはようございます。すみません、途中で寝てしまって。」

 

『いやいや、全然大丈夫よ!なんならもっと寝ちゃって貰ってもいいんだよ?それにユメさんもなんやかんやあって寝ちゃったし。』

 

意識が落ちる直前のようにメモ帳に文を書いてこちらに渡して来た。

それを見て、反対方向を見るとユメ先輩が気持ちよさそうな寝顔で寝ている。と、思ったら微かに瞼が動いたのを確認した。

ユメ先輩はゆっくりと目を開け、起き上がり大きく伸びをしながら欠伸をし、眠そうに目を擦りながら顔をこちらに向けて来た。

 

「……。!? あああー!ごめんなさいジェイソンさん!せっかくお話を聞いてくれていたのに寝てしまって!」

 

先程まで寝ていたことに気づいたユメ先輩は数秒前まで眠そうに目を擦っていたのが嘘のようなテンションでジェイソンさんに謝り始めた。こういう光景は本当に見ていて飽きない。

対するジェイソンさんはアワアワとしながらこちらに助けを求める視線を向けて来ている。デジャブだ。

 

「おはようございます、ユメ先輩。いい加減その謝り癖を治して下さい。正直うざったいです。」

 

「ひぃん…ホシノちゃんが辛辣だよぉ……。」

 

「私は事実を言っただけです。それはそれとして、また私たちの世話をしていただきありがとうございます。」

 

『大丈夫だよ!ぐっすり眠れましたなら何よりだよ。それに昼間に面白いこともあったしね。』

 

「面白いこと、ですか?」

 

私がそう問うとジェイソンさんは再びメモに何かを書き始めた。だが書き始めてすぐに、

 

ぐぅぅーー

 

部屋に獣の唸り声のような音がした。音の鳴った方を見ると赤面した顔で両手でお腹を押さえるユメ先輩がいた。

 

「ひぃん……。しばらく何も食べてなかったからお腹が空いちゃって……。」

 

「はぁぁぁ、なんでうちの先輩は毎回タイミングが悪いんでしょうか……。分かりました。何か買って来ますから待っていて下さい。」

 

そう言い、私はベットから降りて立ちあがろうとする。しかし、

 

グラ

 

「!?」

 

「ホシノちゃん!」

 

ダッ

 

足に力を入れようとした瞬間一気に力が抜ける感覚に陥る。しかし私の顔面が地面にぶつかることはなく、ジェイソンさんが間一髪のところで抱えてくれたおかげで危機を逃れた。そして、

 

ぐうぅぅぅーー

 

先ほどよりも大きな腹の虫の声が聞こえて来た。

またユメ先輩かと一瞬疑った私だったが、自分の腹部に感じる確かな虚無感と振動が、先ほどの音が自分の腹から鳴ったことを嫌でも自覚させた。

自分の顔がどんどん熱くなるのを感じる。

ついさっき先輩の空腹音に盛大にため息をついた直後にした自分の腹のもっと大きなアピールに耐えられなくなった私は抱えられたまま赤くなった顔を隠すことしかできなかった。

 

「もう……いっそ56して下さい……。」

 

「えへへ、ホシノちゃんもお腹空いてたんだね!」

 

「うぅぅぅ……///]

 

ジェイソンさんによってベッドに戻された後、ユメ先輩からほのぼのとした視線を向けられた私はただ悶えることしかできなかった。

するとジェイソンさんがメモに文を書き始めた。

 

『ちょいと待っててください。』

 

そう書かれたメモを見せた後ジェイソンさんは保健室を後にした。

一体どこに行くつもりなのかと気になった私は傍に立て掛けられていた愛銃を手に取り、それを杖にして立ちあがろうとした。

 

「どうしたの?ホシノちゃん。」

 

「あの人が何か変なことをしないか確認しに行きます。今私達が弱ってるのをいいことに連れ攫われたりしたら困りますかr(ぎゅー)!!」

 

しかし私が立ち上がることはなく、横からユメ先輩に抱きつかれて阻止された。そして子供をあやすかのように背中をポンポンと叩き始めた。

 

「ちょっ!?ユメ先輩!私は子供じゃありません!離して下さい!」

 

またしても頬を赤くしつつ、抵抗する。しかし、空腹が限界に達して大した力が出せずユメ先輩の抱擁を振り解くことは叶わなかった。

 

「大丈夫だよ、ホシノちゃん。ここにはホシノちゃんが怖がるものは何もないからね。だから安心して休んでもいいの。ホシノちゃんはちょっと頑張りすぎちゃったんだからね。」

 

それはまるで怖がる我が子を慰めるような声色で語りかける。

 

「私ね、ホシノちゃんにはこれから入ってくる後輩ちゃんや他の学校の人とも仲良くなってほしいなって思ってるの。ほら、私は今年でいなくなっちゃうでしょ。私、ホシノちゃんにひとりぼっちで寂しい学校生活は送ってほしくないの。だから、少しでもいいから私以外の人も信じてあげてほしいな。」

 

「……。分かってます。あの人が悪い人でないことぐらい……。ですが……やっぱり怖いんですよ。もしも裏切られたら、もしも今までの言動が全て自分達を欺くための演技だったら、と……。私は、大人が嫌いです。ですが、自分達を助けてくれたあの人を信じることが出来ず、先輩にも当たってばかりの自分がもっと嫌いです……。」

 

自分の中に秘めていた思いを吐露する。

それを聞いたユメ先輩は背中を叩いているのとは反対の手を後頭部に回して、撫でくれた。雛鳥を包む親鳥のように優しく頭を撫でながら言葉を紡ぐ。

 

「大丈夫。嫌いになる必要なんてないよ。あとは、ホシノちゃんが自分を許せるかどうか、だと思うな。そうすればホシノちゃんの心にゆとりが出来て世界が広がると思うの。だから今の自分を嫌いにならないで!しっかり受け入れてあげるの!」

 

「………。私にはまだ分かりません。ですがそうあれるように努力はします。ありがとうございます、先輩。」

 

その言葉を聞きユメ先輩は満足そうな顔をしながら抱擁を解いた。

少し名残惜しい気もあったが心が軽くなった気がした。

自分を受け入れる。文字にしてみれば簡単に見えるがやはり難しいものだ。どうやれば良いのだろうか……。

 

コンコン

 

そう悩んでいるとノック音がした。

どうやらジェイソンさんが戻って来たようだ。しかし、昨日のようにすぐ入ってこない。どうやら返事を待っているらしい。ユメ先輩がOK出して大丈夫?という目でこちらを見て来ていたので軽く頷いて了承の意を伝える。それを確認したユメ先輩は返事をする。

 

「はーい!大丈夫ですよ!」

 

ガララッ

 

返事を聞いたジェイソンさんは扉を開けて部屋に入って来た。両手でお盆を持ち、その上には二つの丼がのっておりほんのりと出汁のいい香りがした。

そしてベットの間に机を設置し、その上にお盆を置き丼の中身が露わになった。

 

「これは……親子丼、でしょうか?」

 

そう問うとジェイソンさんはサムズアップした。どうやら合っているらしい。確か家庭科室にしまっておいた丼に入っていたのはご飯の上に出汁で煮た鶏肉と玉ねぎの卵綴じをかけたシンプルな親子丼である。

材料は一体どこから?聞いてみなければ分からない。

 

「すごい!これジェイソンさんが作ったの?美味しそう!」

 

しかしユメ先輩は速攻で置かれたスプーンを手に取り、キラキラした目でジェイソンさんを見つめ、早く食べたいと催促する。

私は一瞬何か盛られているのではと疑ったが先ほどの会話を思い出す。この人は私達の為にここまでしてくれたのだ。そんなことはしないだろうと、ジェイソンさんを信じようと思いスプーンを手に取る。

ジェイソンさんはメモを手に取り、

 

『どうぞ、召し上がれ!』

 

許可が降りたことで私たちは丼の中身を掬い上げ口に運ぶ。

瞬間口の中に広がるバランスの取れた旨みと塩味、そして一噛みすれば鶏肉の美味しい脂や出汁の染み込んだ玉ねぎ、それらを引き立たせる米の甘さ、半熟トロトロの卵が私達の食欲を刺激する。

私達はその欲を満たすために必死に丼を掻き込んだ。その間もジェイソンは椅子に座りながらいつも私を見るユメ先輩のような雰囲気で私達を見ていた。数分すれば丼の中はあっという間に空になった。しかし、私達の空腹は収まることはなかった。

それを察したかのようにジェイソンはメモを取り出し、

 

『おかわりいりますかい?』

 

と聞いて来たので、私達は大きく頷いた。

ジェイソンさんは丼をお盆に戻し再び保健室を後にした。

しばらくしてお盆を持ったジェイソンさんが再び入室してきて私達の間の机に置いた。私達はそれを手に取り胃に流し込んでいく。

その後も3杯お代わりをしてようやく私たちの空腹は収まった。

 

「は~~あ……。おいしかった!もう食べられないー。」

 

「そうですね。ここ最近カロリーマイト*4しか食べてませんでしたから久しぶりに満腹感を感じた気がします。」

 

『お気に召したようで良かったっす。じゃ、ちょっと洗い物してくるんで休んでて下さい。』

 

「私も手伝います。というか私がやります。流石にこれ以上貴方のお世話になる訳にはいきません。」

 

「あ!私も手伝う!」

 

『分かりました。じゃあみんなでやりますか!』

 

こうして全員で家庭科室に向かうことになった。

 

==========

家庭科室 ジェイソンside

 

"いやー、二人の口に合って良かったよーホント。それに2人も洗い物手伝ってくれてるから速攻終わりそうだし。"

 

「ジェイソンさーん!これどこにありましたかー?」

 

ユメが先程の丼を手にして聞いて来た為、部屋の奥にある棚を指しておく。

 

「了解!」

 

"相変わらず元気な子だね〜。っと、こっちも洗い物終わったな!さて、夜も更けてきたし、今からどうしようかね?"

 

「そういえばふと思ったんですが先程の丼の材料、どこで手に入れたんですか?冷蔵庫には水以外入ってなかったはずです。」

 

ユメが元気よく敬礼で返事をしたタイミングでちょうどこちらの洗い物も終わり今から何をしようか思案しているとホシノからの質問が飛んでくる。

 

"あー!そいえば全く説明してなかったな。今日遭ったこと。じゃ、ちょっとお話ししますかね!ほら座って座って!"

 

3人分の椅子を部屋の隅から持ってきて、2人に座るように促す。

そして促されるがままに座った2人の対面の椅子に腰掛ける。そして美術室に放置されてたスケッチブックを取り出し説明を始めた。

 

『まず材料に関しては貰い物って言ったらいいかな。』

 

「貰い物ですか?」

 

『そそ!2人が寝てる間に近くで強盗があったね、それを捕まえたら被害に遭ったスーパーのおやっさんからお礼にって貰ったの。』

 

「すごい!ジェイソン強盗捕まえたの?」

 

「いや、なんで近場のコンビニに行くような感覚で強盗捕まえてるんですか…と言いたいところですが貴方なら強盗の1人や2人くらい簡単に捕まえれますよね……。」

 

『なんか変な方向に信用されてる気がするけど、まあいいや。材料の件は納得してもらえたかな?』

 

「はい、特に不審な点もありませんし大丈夫です。」

 

『よし!そしたらせっかくだしこのタイミングで聞きたいんだけどユメさん。昨日のあれの続き、聞いてもいい?』

 

ホシノに納得してもらえた為自分も質問、もとい昨日聞こうとして聞けなかったユメが砂漠でぶっ倒れてた理由を問うた。

 

「あっ!そういえば昨日は寝ちゃって説明できなかったんだった……。了解です!ちょっと昨日持って来た書類を持って来ますね!」

 

そう言ってユメは家庭科室を後にした。

しばらくして…

 

「お待たせー!持って来たよ!」

 

元気よく部屋に再突入して来たユメは机の上に一枚の紙を置いた。

それは誓約書だった。内容と要約するとこう書かれていた。

 

《アビドス生徒会はネフティスより砂漠横断鉄道における関連施設の使用権を買い入れる。その買い入れ額は100万円で、アビドス生徒会は契約金の一部として1万円を即時支払うことを約束する。また、本契約の締結後2年以内に残金を全て支払うこと。》

 

後は遅延したらどうだの色々細かいことが書かれていたが大事なとこはこんなものだろう。

後はこの契約書にネフティスの代表と思われる者のサインと、ユメのサインが書かれていた。

色々言いたいことはあるけどまずはこれを聞かなければならない。

スケッチブックを手に取るが、突然ホシノが立ち上がりそばに置いていた愛銃を手に取ってこちらに振り向き、

 

「すみません、急用ができたのでちょっと出かけてきますね。」

 

声のトーンは普通だし顔もとても笑顔だった。しかし、その背後には文字通り鬼が顕現していた。だがそうなるのも仕方ない。なんせ彼女たちには既に9億近い借金+クソ高い利息があるのだ。そんな中で使えるかもわからない権利に100万円である。余程の理由でもなければ自分の意志で買うことなんてないだろう。つまりこのサインは脅しか何かによって書かされたと考えるのが自然だ。それはそれとして、

 

”こっわ……。ほんまに高1かこの子……。”

 

「ちょっ、ちょっとホシノちゃん!どこ行くの?」

 

「どこって……ちょっとネフティスの本社に行こうかなと。大丈夫ですよユメ先輩。何か脅されてそんなバカげた契約を結ばされたんですよね。ですので私がお話(・・)して無効にしてもらおうかなと。」

 

”あかん!ネフティスさん逃げて!超逃げて!ガチギレホルスがそっちに向かおうとしてるから!”

 

「ダメだよ!すぐ暴力に走っちゃいけません!それにこれは私が望んで結んだ契約だから破棄しなくていいんだよ!」

 

”まさかのまさかかよ……。いやいや一体どんな理由でこんなもん買ったんだよ!”

 

「すみません、よく聞こえなかったのですがまさかユメ先輩が自分の意志で結んだ訳ではありませんよね?」

 

「えっと……、違うのホシノちゃん。これはその……、ひぃん……。ジェイソンさん助けて……。ホシノちゃんが怖いよぅ。」

 

笑顔の奥に烈火の如き怒りを宿したホシノを止めるために自分の意志で結んだ契約だと言い張るユメ。どうやらその言葉に偽りはなく本当に自分の意志で結んだらしい。そのことを理解したホシノは笑顔のままユメを直視していた。

何とか弁明しようとするユメだったがその視線に耐えられずジェイソンに助けをこう。

 

『ホシノさん、一旦話聞きましょ。説教はそれからでも遅くないっすから。ね?』

 

「……。分かりました。聞くだけ聞きましょう。」

 

ひとまず話を聞く方向にシフトチェンジできた。あとはユメが地雷を踏み抜かなければ大丈夫だろう。

 

「特に深い意味はないの。私は今年が終わったらこの学校を卒業してどこかの会社に行くことになると思うの。もちろん時間があればすぐに顔は出しにくるけどね!それで私がいなくなっちゃったらホシノちゃんは一人になっちゃうかもしれない。だから人を呼び戻すためにあの鉄道を使えないかなって思って、ネフティスの人と取引して結んだのがこの契約なの。あ、お金は全部私が出すつもりだったんだよ!だから、これは私のわがままなんだ。ホシノちゃんにも後輩ができて楽しい学校生活を送ってほしいなーって!」

 

"……。こんなものなんて言ってすみませんでした!この子いい子すぎでしょ……。なんだってこんな後輩思いの優しい子がこんな大変な状況なんだよ!バニタス過ぎるだろ!俺に何か出来る事があればいいんだけど……、この姿金稼ぐのに不便すぎだろ!……いや待て、ブルアカは別名透き通る世界観のGTA5。犯罪者もとい指名手配犯が沢山いるはず。ワイほぼゲームのジェイソンと変わらん能力&多分おそらくメイビー不眠不休食事なしで活動可能。こんな属性持っててキヴォトスでやれる職業なんて一つしかないやろ。傭兵やるか!"

 

心の中で先ほどの(心の中の)発言を謝罪する。そしてなんとか彼女達を手伝えないものかと思案していると天啓が降って来た。

しかし、今はそれよりも目の前の二人のやり取りを見守らなければならない。

 

「……。…………。」

 

「えっと……、ホシノちゃん?」

 

ユメの話を聞き黙り込んでしまったホシノ。ユメはもっと怒らせてしまったのではないかと恐る恐るホシノに呼びかける。

しかし、ホシノから先程のような怒気は感じられず俯いたまま手は握られた状態で小さく震えている。ただし頬が微かに赤くなっているのを確認した。さては照れてるな、このツンデレ娘め。多分相談も無しにデカい買い物したことを怒りたいんだろうけど自分の為と知って怒るに怒らなくなったのだろう。ここは助け舟を出しておくか。

 

『ここは素直にありがとう、ですぜホシノさん。お小言はその後でもいいんじゃないですかい?』

 

「!!……そうですね。とりあえずありがとうございますユメ先輩。気持ちは嬉しいです。」

 

「ホント!!よかったよー!」

 

「ですが!」

 

ジェイソンの助言によりようやく素直に感謝の気持ちを伝える事が出来たホシノ。後輩が喜んでくれていると分かって声のトーンが上がるユメ。

しかし、とホシノは話を続ける。先程の柔らかい声とは打って変わっていつもお説教をする時の声に早替わりし、ユメはこの後の自分の運命を悟った。藁にもすがる思いでジェイソンを見るが、首を左右に振る事で返答された。

 

「こんな契約をするなら事前に私にも相談してください!!!自分で払うからいいってわけじゃないんですよ!!」

 

「ひぃん……。」

 

その後30分程ホシノのお説教は続き、終わった頃には午前0時を回っていたためこの日は解散となった。

余談だがユメは長時間正座してた影響で暫く立たなかったためジェイソンにおんぶされてベッドまで連れて行かれた。

*1
実際にはテレポートを使っているが

*2
記憶や精神データを保存しているメモリを保護するシステム。この世界のオートマタはメモリさえ生きてれば死にはしません。つまり体をばらばらにされようと生き残りますよ、やったね!

*3
ほんまに分校か?ここ。めっちゃ教室多かったんだけど……

*4
誤字にあらず




次回で過去編は一旦終わりです!
過去編が終わり次第本編に戻ります。
あといくつか過去に投稿した話に変更点があります。まず、主人公くんがシャーレに所属したい旨を先生に伝えてましたがそれは無しにして傭兵のままにしようと思います。
また、kikikiki mamamamaの設定も変更しました。
気になった人は過去話を見てみてください!

高評価やコメント待ってます!

皆さんにお聞きしたいのですが4000~5000字の短めと7000~8000字の長め、どちらの方が読みやすいですか?

  • 短めの方
  • 長めの方
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