2026年1月11日。
深夜。潜伏している一軒家でカイジは安物のコタツに潜り込みながら缶ビールを開ける。
プシュッ、という音が空しく響く。
「なぁ……俺達、いつになったら逃げきれるんだ……?」
机に顔を伏せながら泣き崩れるカイジにチャンとマリオは困り果てる。
「カイジさん、またその話ですか?」
「そうですよ、カイジさんがやけ酒したところで事態は動きませんって」
「お前らな……」
缶ビールを一気飲みするとカイジはバンッ! と机に叩きつけるかのように置く。
「俺達はまだ目的を果たしていねぇ……もし
(いや、マリオ(僕)がデパートで袋の鼠になった際、たかだか数時間のことで数巻も費やした作者なら絶対今も逃亡生活を描いていると思いますよ……)
そう思った二人ではあったが、言ってもどうにもならないと諦めカイジをなだめる。
「ま、まぁ……細かいルールとかこの辺の独自ルールを守らないといけないというのはキツイですよね……」
「僕なんてこの間の町内掃除で掃きが甘いって怒られましたし……」
「そうだよ! 帝愛より隣人の方が怖いってどういう状況だよ……! そもそも作者が完結させずに連載をストップしたせいで『24億日常編』という二次創作が作られるハメになってんだよ……!」
カイジは飲み終わった缶ビールをゴミ箱に投げ入れる。缶ビールはゴミ箱の角に当たって弾かれる。その缶ビールをため息をついたチャンが捨てる。
「まぁ、でも僕らはまだマシな方だと思いますよ、カイジさん。世の中には一晩の麻雀で10年以上やっていた……なんて話があるんですから」
「確かに10年以上同じ卓で同じ相手と血を失う恐怖と戦っているのと比べたら……」
「
天井に向かってカイジは叫ぶ。
「俺達は長期休載中。休載ということは物語は一歩も進行していない。進行していないということは帝愛の連中に捕まることがない。と同時に帝愛の追撃という恐怖が終わらないということ……! だからこういう風に日常を送るしかないということ……!」
ズルンッと鼻を啜りながらカイジは続ける。
「俺達はいつまでこんな生活を続ければいいんだ!? 帝愛よりゴミ捨てや掃除とか近所トラブルに怯え、帝愛からどう逃げ切るかじゃなく近所のスーパーで店員が半額シールをいつ張るかを他の客と争う生活を……!」
「……」
「……」
かける言葉が見つからず呆然と自分を見る二人をよそに、カイジは再び机に顔を埋めた。
「頼む……作者……! 俺達を……動かしてくれ……!!」
小さくもはっきりとしたカイジの切実な願いが作者に届くか否かは……誰も知る由はなかった。