賭博堕天録カイジ 24億日常編   作:筆先文十郎

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賭博堕天録カイジ 24億帝愛編

 帝愛事務所

「はぁっ……」

 重い溜息を吐きながら重厚な扉を閉めた男、24億&カイジたちの捕縛を目的とした追跡チームを任された遠藤(えんどう)勇次(ゆうじ)は椅子に座ると背もたれに疲れた身体を預けた。

 机の上にはカイジの最新情報……長期休載に入るまでの資料が乱雑に並べられていた。

「……おかしい、おかしいだろ……!」

 遠藤は頭を()きむしる。

「俺は捕まえないといけないんだよ! カイジを……! 取り戻さないと……24億を!」

 なのに、と遠藤は机を叩く。

「連載が……止まってる……。つまり物語は一歩も進まねえ……カイジの逃亡は止まっても俺達の追跡も止まるということ……! ……畜生ッ!」

 いてもたってもいられず、遠藤は立ち上がる。

「俺は命がけで追ってんだよ! あの悪魔の権化(ごんげ)の会長に脅され、無能な部下や債務者(クズ)どもに足を引っ張られながらも……!」

 遠藤の脳裏に思い浮かぶ。帝愛に関係する者にとって絶対に逆らえない悪神、兵藤(ひょうどう)和尊(かずたか)に死を強要されたこと。カイジをあと一歩まで追い詰められる距離まで迫っていながら油断や独断、洞察力や報連相の欠如がありすぎるせいでカイジ確保をみすみす見逃す部下。詰めの甘い情報提供がガセネタで追跡チームをかき乱しておきながら利益だけは主張する債務者。

 早くカイジ達を捕まえて24億を取り戻さなければ自分の命が危ないという恐怖と、自分をこのような目にあわせたカイジと無能な部下と債務者達への怒りで気が狂いそうになっていた。

 しかしそんな無能な部下や厄介(やっかい)な債務者の力を借りなければカイジ確保が出来ないことも遠藤は理解していた。

 

 無能な味方こそ厄介なものはない。しかしその無能な味方がいなければカイジ確保は達成できない。

 

そのジレンマが遠藤を苦しめた。

「俺は……俺は……いつまでこの地獄の中にいないといけない……!? カイジ(あいつ)のせいで24億奪還(こんなこと)のリーダーにされ、無能な部下と債務者(クズ)どものせいでカイジ達(あの野郎ども)が未だに捕まえられていない……上には脅され、下には上手く引っ張っていかないといけない……それも連載が進行しないと追跡は発展しねぇ……進行しなければ……俺は……この地獄を味わい続けるはめになる……!!」

 遠藤は天を見上げて叫んだ。

 

 

 

「頼む、作者……! もうこんな地獄は耐えられねぇ……! だから……早く連載を始めてくれっ……!!」

 

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