カイ・シャンクス「安いもんだろ、お前が残業するくらい。」
作者「ぅ……ぅぅ。」
カイ・シャンクス「泣くなよ社会人だろ?」
作者「うわああああああああ!!」
無事に文化祭の演劇を終えたあと、王子くん役をもちかけて来た綾瀬沙羅に改めて感謝された。
正直、悪い気はしなかった。まあ全部オートで身体に任せていただけなので眺めていただけなのだが。
それから彼女の母親である綾瀬麗華さんから役者に興味はないかと言われて、多少悩みはしたけど断ることにした。
何となくモテそうなイメージがあったので心惹かれたのだが、役者って沢山の人と必然的に会話する必要があるだろうから今の自分だとまともにコミュニケーションすら取れない気がしたのだ。最近、あまりにオートに頼り過ぎて日常会話すらままならなくなっていることに気づいた。流石に危機感を覚えたので解消されるまでは見送ることにした。
それから、元々王子くん役をやる予定だった怪我をした女の子からも感謝された。
あれだけ練習していた舞台が台無しにならなくてよかったと言っていた。大変さは身をもって知っているからこそ自分のミスで失敗に終わらなくて良かったと思ったのだろう。
王子くん役が出来なかったことは悔しかったけれど、でも九条さんの演技を見てたら怪我で出られなかったことも悪くないって思えたとも言っていた。
琴音が知り得ないことだが、彼女は怪我をしなければ究極完全体な琴音が出てくることもなかったし、この綺麗で可愛くて、美しい芸術品を眺めるチケットが自身の怪我なら安いものだと思い至っていたのだ。
そんな内心を知らない琴音は王子くん役をやってくれたことへの感謝を述べられながら、顔をガン見されて舐め回すように見られていることに気づいていなかった。
で、問題はここからだった。
「僕と、付き合ってください!!」
「……え、と、……その。」
言葉につまりながらしどろもどろしている。演劇を終えてから琴音を迎えたのは男子からの告白ラッシュだった。
(何だよぉおもおおお!!またかよぉおぉぉおおおお!!!)
男子に告白されるという経験ほど悲しいものはない。前世が男であることを知る人がいないのでそれも仕方のないことなのだが。琴音は心の内で絶叫していた。何ならちょっと涙目だ。まあ外面だけ見たら瞳をうるうるさせた引っ込み思案な美少女である、そのうち詐欺か何らかの法に接触することになるだろう。
男子からしてみれば男の影もなく、浮ついた話もまったく無い琴音はワンチャンがある相手だと見られていた。男子に生まれている時点で琴音からしたらワンチャンなんて無く、ノーチャンであるのだが。
元々、隠れた美少女枠だった琴音を狙っていた男子も少なからずいたが、文化祭で披露した演劇でその顔面が顕になったことで火がついた、というよりガソリンを撒いて着火した。
それに時期も悪かった。琴音は中学三年生でこの機会を逃せばもう無いと玉砕覚悟でぶつかったのだ。琴音からしたらいい迷惑である。
(告白する勇気があるのは凄い!その点は前世のわたしより何倍も凄いな!でもな、会話したことすらない相手にイケるって思えるんだ!?逆に女子と付き合うにはこれくらいの行動力が無いとダメってことなのか!?)
ちょっと感心しそうになっているが、行動力があっても接点無しは9割無理だろと琴音に答えてあげられる人はいない。
面白いことに琴音は急に告白されることが増えたと思っている。
普通の思考ならその容姿が顕になったことが原因だと思うだろう。それこそよほどの馬鹿でない限り。琴音は馬鹿なのだが、今回はそれとは別件だ。
喉元過ぎれば熱さ忘れる、何故前髪で顔を隠すようにしたのかをすっかり忘れて生活していた。
つまり、前髪を伸ばして顔を隠していた効果はあったのに、その状態が普通になり過ぎていた。年単位での生活が大切なことを頭からすっぽり抜けさせていたのだ。
文化祭を終えて自宅で洗面台にある鏡を見た時、あまりの美少女フェイスに目が離せなくなっていたのにだ。自分の容姿を気にかけない時間が長すぎて他者からどう見られているのかまで考えが及んでいない。
今の琴音は適応してなんでも出来る身体が凄過ぎて、内心の琴音はそれに比べて何にも出来ないからと自己評価がとてつもなく低い。そんな琴音が他者からどう見られているかについて思い至ったとしても身体が凄いだけだよなとなるだけなのだ。
何でもこなせてしまう身体と、それを眺めているだけの自分とで無自覚に分けて考えてしまっている。また前髪が伸びるまで、琴音はその美貌を惜しげもなく晒すことになる。
これによって生まれたのはとんでもない美少女フェイスで無差別爆撃を行う勘違いTS娘である。なんて傍迷惑な存在なんだ。
(女子と友達にすらなれてないのに、告白されるなら女子がいいんだが……。)
尚、女子に告白されたらされたで琴音はこの身体のおかげだよなとあんまり喜ばない。男としてのダメダメな琴音(自覚あり)を好きになってくれる女性を求めているからだ。なんてめんどくさい奴なのだろう。
馬鹿は死んでも治らないというし、非モテ童貞が死んでも変わらないのだろうか。そうだとしたら悲しすぎるのでなんとかして欲しい所だが……。何にでも適応する身体があるせいで随分とややこしいことになってしまっている。
因みに容姿を顕にしたことによる女子からの反応はそこまで悪いものでもなかったりする。
あまりに隔絶した戦闘力(容姿)は「あいつワシより強くねー?」と思わせるものだった。勝負にすらないないとなれば、張り合った時点で引き立て役にしかならない。そこまでいくとあれは殿堂入りだから例外だと割り切れるものだ。中にはそっちの気がある人を沼に引き摺り落としてしまっているのだが、琴音は何も知らずに呑気なものだ。
その筋の有名な専門家が言った言葉なら「ま……まあ、あんたほどの人間がそういうなら……。」と一般人は引き下がるだろう。
実際、前髪伸ばしてた時の方がヘイトが大きかったりする。
「……ご、ごめん、なさい。」
「そ、そっか……。その!もし良かったら友達から……!」
琴音がなんとか告白を断るが、なおも男子生徒は諦めない。男慣れしていなさそうな琴音にまだワンチャンあるかもと希望を抱いているのだ。琴音は人から好意を持たれる経験が前世も含めて殆どなかったから、こうしてストレートに気持ちを伝えられると無下に出来ずにまごついてしまう。
いくら押されても男子と付き合う気など微塵もないのに、相手はなんか押したらいけるかもという気にさせてしまう。こいつはもう隔離した方が世の為になるのかもしれない。
「連絡先だけでも!」
男子の攻勢は続く。まるで納豆みたいな粘り強さを発揮して琴音を追い詰める。
「あ、九条さんここにいたんだ。先生呼んでるよ。」
たじたじになっている琴音に救いの手が差し伸べられた。女子生徒が琴音に声をかけたことで難を逃れられた。琴音は内心でほっと息をつく。
「その……、呼んでる、らしいので、失礼します……。」
「あっ、……うん。」
哀れ、男子生徒。琴音は女子生徒に連れられて離れた。
◆ ◆ ◆
女子生徒について行きながら琴音は先生に呼ばれるようなことなんてあったかなと思考していた。
まあ、男子に告白されることに比べたら全然いいので心理的余裕は段違いだった。暫く歩いた先で女子生徒は立ち止まって琴音に言った。
「ここまで来ればいいでしょ。」
「その……?先生、は……?」
「ただの方便。ま、……九条さんに手助けなんていらなかったかな。」
疑問に思った琴音がここまで連れてきてくれた女子生徒の顔を見る。下ばっかり見ているからまともに相手の顔を見ない弊害だ。
普段会うこともないけれど、彼女のことは覚えている。去年のバレンタインデーの日にも会った、西園寺玲奈だった。
「西園寺さん……。」
「前にも言ったけど、呼び捨てでも、……下の名前でもいいから。」
遅れて彼女が助けてくれたのだと理解した。先生が呼んでいるというのは嘘で、ただあの場所から連れ出す為の理由付けでしかなかったのだろう。
「その、……ありがとう。」
言葉を選びながら口にすると、玲奈は小さく首を横に振った。
「お礼はいいから。九条さん一人でもどうにでもなったでしょうし。」
玲奈は助けた側であるのに随分と居心地が悪そうだった。
「それじゃあ、もう行くから。」
短く告げて、玲奈は踵を返した。その理由に心当たりがある。十中八九、小学生の時のイジメの件だろう。
「……西園寺さん。」
呼び止めた声に、彼女の肩がわずかに揺れる。振り向いた西園寺玲奈は、すぐに視線を逸らした。
それ以上会話が続くことを望んでいないような、どこか距離を置く仕草だった。
「……その、もう気にしなくて大丈夫、ですよ。」
「……。」
「もう……謝罪は受け入れたので。」
いくら鈍い琴音でも分かることはある。去年チョコを貰った時にも謝罪をされたけど、今も彼女は小学生の時のことをずっと後悔しているようだった。
これが人生2週目ではない普通の人間であるなら根に持っても不思議ではないし、怒りを抱いていてもしょうがないだろう。ただ、二度目の人生の琴音からすれば小学生相手にされたことであるし、何ならちょっとした意趣返しもした後だ。だからこそ、ここまで気にされ続けると、逆に困る。
琴音からしたら去年のバレンタインの時に謝罪をされるまで記憶に残ってすらいなかったくらいなのだ。
「九条さん、これは私なりのけじめだから。」
自分は気にしていないのに相手がもの凄く気にしていたら何だか後味が悪い感じが残ってしまう。
ただ、口でどうにか伝えようとしても殆どコミュ障な今の自分では彼女をどうにもしてあげられない。
(身体に任せて何とかして貰うしかないか。頼むイケメン女子、あの時みたいに上手い具合にしてくれ!)
直ぐ逃げる、そういうとこだぞ。結局、身体に頼るしかないと考えた琴音は、小学生の時みたいにイケメン女子を適応させて何とかすることにしたようだ。
意識してしまえば、身体は勝手にそれに合わせて動く。琴音自身は他人事のようにそれを眺めているだけだ。
肩の力が抜け、動きが自然と堂々としたものになる。
「ねぇ、玲奈。」
「ッ!!」
背を向けていた玲奈の肩が、大きく震えた。
「今、名前――」
「好きに呼んでいいんだよね?」
軽く首を傾げながら言う。柔らかい声なのに、妙に距離が近く感じる言い方だった。
「ぅん、うん!いいよ、……コホン、い、いいけど?」
慌てて取り繕うように咳払いをする玲奈。耳がほんのり赤い。まるで恋する乙女のようだった。
西園寺家は、名の知れた有名な家だ。家柄も影響力もある。そんな西園寺建設ホールディングスを纏める西園寺家の娘が玲奈だ。
人付き合いというものに関して徹底的に叩き込まれて育ってきた。それに浮ついたこともおいそれと出来なかった。
だからこそ。
小学生時代に初めて「一緒にいたい」と思えた相手の視線が、別の人間に向いたとき。その衝撃は小さくなかった。
西園寺家の娘として厳しく育てられてきた彼女にとって、そういう感情を抱いた相手は初めてだった。
イジメの始まりは、ただの私怨だ。
――九条琴音。
前髪で目を隠している地味で目立たないはずの少女。
同時に、玲奈は本能的に感じ取っていた。この相手と正面から争うのは危険だと。だからだろうか直接ぶつかることはしなかった。
ただ一言、女子たちに言っただけだ。九条琴音とは関わらないように、と。それで女子たちは琴音を無視するようになった。
皮肉なことではあるのだが、結果的にその選択はクラスを守っていたのかもしれない。もし琴音に関わらないことを女子に指示していなかったら、女子たちの嫉妬はより苛烈な形で現れて、男子たちはそれに反対する形で混ざってクラスはもっと酷い空気になっていただろう。
琴音の立ち回りが上手ければ、それこそ女王のように君臨出来ていればまた話は変わったのだろうが、まあ結果はお察しである。結果的に琴音の美貌による学級崩壊には至らなかったというだけだ。
では、そんなイジメを主導していた玲奈が、過去のことを気にしなくても済むようにするにはどうすればいいのか。
ここで一つ琴音にとっての誤算があった。
琴音の目的はなんかいい感じに玲奈が過去のことを気にしなくていいようにすることで、それをイケメン女子に適応した身体に任せた。
そう、琴音的には小学生時代のイジメについては謝罪も受けたし、意趣返しもしたからチャラでいいと考えていた。
では、そもそも玲奈が気にしているのは琴音のことを女子たちに無視させてイジメたことだけなのか?
琴音は知らないことであるが、中学生になってからは女子たちに釘を刺して琴音にヘイトがいかないように陰ながらコントロールしたり、ヤバそうな案件も琴音に伝わる前に処理している。
玲奈は自分がしたことの罪滅ぼしとして、琴音を今日助けたように裏で色々としていた。
では罪滅ぼしの為だけに三年も裏でそんなことをするだろうか?答えは否である。
玲奈は小学校卒業の前日のあの日、琴音によって脳を焼かれていた。
ほんの短い会話、それだけだったのに琴音が適応したイケメン女子によるちょっとした意趣返しによって玲奈の心は奪われてしまった。
子供の時の禁欲は弾けた時に何倍も大きなものとなる。
気になっていた男子のことなんて頭からすっぽ抜けて、琴音に目を奪われた。
玲奈は人の上に立つ為の教育を受けてきたし、実際そうやって生きてきた。しかし、自分を掴んで引っ張ってくれるような、導いてくれそうな存在を見せつけられて玲奈の脳はバグってしまっていた。
誰かの上に立つ人間としての教育は、自分が下で付き従うことへの背徳感をもたらした。
ただあの時の関係はそれっきりで、悶々とした思いを玲奈は抱え込んでいた。ただその感情を隠すように陰ながら琴音を助けて「罪悪感」として一括りにして、これまで感情に蓋をしていた。
そして今。
目の前にいる琴音は、あの時と同じ空気を纏っていた。
「玲奈。」
優しく名前を呼ばれる。それだけで胸が跳ねる。
「……っ。」
玲奈は思わず視線を逸らした。琴音は玲奈の顔を掴んで無理矢理琴音へと視線を向けさせた。
心臓の音がうるさい。あの日の記憶が、嫌でも蘇る。
そんな状況についていけていない人物が一人。内心でこの光景を眺めている存在。
(なになになに!?何でそんなことをして、ひぃっ、お、ぉおお巡りさん!お巡りさんこっちです!!いや、捕まっちゃうぅぅ!)
そう馬鹿だ。間違えた、琴音だ。
今更適応をやめて戻ってもどうにもならないと適応を止めることも出来ず内心で慌てることしかできない。
琴音は気が動転しているからか、玲奈の表情も認識しておらず、何でこんなことになっているのかすら分からないままだ。
玲奈の顔を掴んだまま、琴音の身体は距離を詰めた。互いの呼吸が触れるほどの距離だった。
玲奈の瞳が揺れる。普段は冷静で整った表情のはずなのに今は完全に余裕が消えていた。耳も、頬も赤く、完全にキャパオーバーである。
一方で――
(ちょ、ちょっと待って待って待って!距離近い!近い!!顔掴んでる!!なにこれぇ!!)
当の本人の内心もキャパオーバーだった。しかし、身体は止まらない。琴音の親指が、玲奈の頬をそっとなぞった。
「……っ!!」
玲奈の肩がびくっと跳ねた。琴音は落ち着いた声を出す。
「まだ、そんな顔してる。」
「そ、そんな顔って……。」
琴音の身体は、ほんの少しだけ眉を下げる。
優しい表情。
「玲奈、……もう終わったことだよ。」
「……でも。」
「でも?」
名前を呼ぶ声が柔らかい。琴音は少し笑った。それはとても綺麗な笑顔だった。文化祭で男子を虐殺した顔面である。
それを至近距離で浴びた玲奈の思考が完全に停止する。
そんな玲奈の額に――コツンと、琴音の額が軽く触れた。
「……え。」
まるで情報が完結しない。玲奈の思考が完全にフリーズする。
なんだか怪しい雰囲気を醸し出しており、本当に大丈夫なんですよねと琴音は内心で焦りまくっている。心臓だってバックバクだ。
ただ、もし琴音がオート状態の身体と意思疎通が出来ていれば自信満々に返されていただろう。
私がこうすることで喜ばぬ人間はいなかった、と。
「ずっと気にされてる方が、困るよ。だからさ、……これで終わりにしよ?」
指示通りに身体は最も効率よく罪悪感を消す方法を選択した。
そして導き出した答えは、より強い感情で上書きしてしまうことだった。標的は彼女の内に眠っている琴音への感情。
次の瞬間。
琴音は玲奈の手を引き、ぐいっと自分の胸元に引き寄せた。
「っ!?」
玲奈の顔が琴音の胸へと倒れ込む。玲奈の顔が胸元に埋まる。玲奈は至福の柔らかさといい匂いに包まれながら昇天してしまいそうだった。
ドクン、ドクンと琴音の心臓の鼓動音が玲奈にも伝わる。
「心臓の音、聞こえる?」
「……うん。」
「玲奈が気にしてるなら、こうしてる私が馬鹿みたいじゃないかな。」
そんな琴音の物言いに玲奈は驚きの声を上げた。
「……え?」
「嫌な相手に、こんなことすると思う?」
「……し、ない。」
琴音は軽く肩をすくめて、再びその柔らかい笑顔を見せた。
「だからさ。」
玲奈の手をぎゅっと握り、そのまま指を絡めた。恋人繋ぎである。玲奈の顔が完全に茹でダコになった。
「次は友達から始めよ?ね、まだ自分が嫌われてると思う?」
玲奈の脳が限界を迎える。それは玲奈にとって都合の良すぎる展開であった。
「……む、無理。」
「うん?」
「思えるわけ、ない。」
玲奈の声は震えていた。琴音はふっと笑う。
「よかった。」
そして、琴音は玲奈の手の甲に――軽くキスした。
「ふふっ、仲直りの証。」
琴音の行動に玲奈が沈黙して数秒、数十秒、そして状況を理解し始めて玲奈の顔が、ゆっくりと真っ赤になっていった。完全に茹でダコである。
「……玲奈?」
声をかけるが反応がない。少し経ってから玲奈が小さく呟いた。
「……これ。」
「うん。」
「夢?」
玲奈の手が震えている。琴音は現実だと知らせるように手を握る。
「夢だったら困るよ、せっかく友達になれたのに。」
「……本当に?」
「本当に。」
玲奈はゆっくり顔を上げ、視線が合う。
「……私。」
「うん。」
「今なら死んでもいい。」
そう言った玲奈が膝から崩れた。
「おっと。」
完全にキャパオーバーだったのだろう。あまりの情報の奔流に倒れる玲奈を、琴音の身体は自然に支える。腰に手を回し抱き寄せる形だ。玲奈は琴音の胸に軽く寄りかかった状態になっていた。
「……好き。」
小さい声で呟かれた言葉はーーー。
(終わったああああああああああああああああ!!通報される!!通報されちゃう!!)
内心の琴音の絶叫によって本人に届くことは無かった。
誰かこの馬鹿にビンタしてくれ。
【後書き】
玲奈は琴音が普段は大人しい子の演技をしているのだと思っています。実際、文化祭の演技を見てそれが確信に変わりました。(実際はおどおどしている方が本体なのですが……。)
それとタイミングよく琴音の前に玲奈が現れたのは……、まあそういうことです。