転生してイージーモード!   作:ハニラビ

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始まりはいつだって唐突に

 

 ヴァーチャルリアリティという言葉を聞いたことはあるだろうか。それはVRと略され、仮想現実とも呼ばれている。

 言葉通りデジタル上に作られた仮想的な空間をまるで現実のように体験する技術のことである。ただ、VRという言葉のもつ意味は時代を経る毎に変化しているので注意が必要だ。

 

 ヘッドセットを用いたVRを目にしたことは一度くらいあるだろう。それだけでも十分に画期的な技術ではあるのだが、物足りないと感じた人もいることだろう。

 

 

 

 そう、SF作品で取り上げられているような、人の意識そのものを仮想の空間に接続しデータ世界を自由に謳歌出来るのはいつになったら出来るのかと。全感覚没入型のVRというやつだ。

 2012年ともなれば娯楽小説や映画で全感覚没入型VRを題材とした作品を目にする機会も増える頃合いだ。

 

 

 

 しかし、この技術が実現する為には解決しなければならない問題があった。

 まず、脳から情報を読み取る出力系を確立しなければならない。さらに、仮想空間から得られる視覚や触覚などの情報を脳へ送り込む入力系も必要になる。情報の伝達は双方向でなければならず、また、身体を動かす指令が現実の身体に反映されないように遮断し、仮想空間側だけに切り替えなければならない。

 

 さらに、これらをリアルタイムで処理するための膨大な演算能力、悪用を防ぐための強固なセキュリティ、そして使用者の安全性を確保する必要もある。山積みの課題が壁となっていた。

 10年や20年程度でこの技術が確立されることはないだろうと誰もがそう思っていた。

 

 

 

 

 それが出来てしまったのだ。

 

 

 

 

 脳とコンピューターの間に双方向の超高帯域インターフェースを確立し、独自開発のNIS(Neural Interface System)によって課題となっていた一連の処理を可能にしてしまった。

 人間が手を動かそうとした場合、脳活動を読み取り、仮想空間上の手を動かす。そして、仮想空間で物体に触れたとすると、その結果に応じて感覚刺激を返す。それを脳が触ったと認識する。この一連のプロセスが可能となった。

 つまり、脳からコンピューター 、コンピューターから仮想空間 、そして仮想空間から脳という閉じたループができていた。

 

 

 

 たった一つの研究チームによって夢への橋渡しがなされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 琴音はこれ以上ないくらいワクワクした気持ちで今日が訪れるのを待っていた。

 

 

 

「これがあれば本当にゲームの世界を体験できる!」

 

 

 

 自室に置かれた大きな段ボール箱を前に、琴音は興奮を隠せないでいた。

 そう、この段ボール箱の中には全感覚没入型VRを可能にするデバイスが入っているのだ。

 

 

 

 ある日のことだ、全感覚没入型VRが作れちゃいましたの報道が世界を震撼させた。それも日本にある一つの研究チームが開発したと言うではないか。これには海外ニキたちも流石HENTAIの国だと口を揃えて言った。

 俺たちの国はゴーグルディスプレイの映像を見てリアルだって騒いでたんだ。その間にアイツらはリアルからログアウトしちまった!HAHAHA!なにワロてんねん。

 

 

 

 世界が湧き立つのも分かるだろう。当然琴音だって使ってみたかった。前世ですら全感覚没入型VRは生み出されることは無かったのだから。どんな技術のブレイクスルーが起きたのか知るよしも無いが、プレイヤー側からしたらどうだっていい。

 今世ではゲームから距離を置いていたが、こればかりは飛びついた。

 

 

 

(適応をフル活用した甲斐があった……!)

 

 

 

 以前にも行った幸運への適応、それが今回も大活躍してくれた。当選者として選ばれるのは、たった五十人。応募総数は五十万を超え、倍率はざっと一万倍だ。宝くじを当てるのと変わらない。

 何と言えばいいのか、適応してから応募ハガキをポストに投函するまでに随分時間がかかったし、なんなら最終的に数駅分くらいは距離の離れた場所まで移動した。

 その時の琴音の姿をみたらきっとリアル乱数調整と感じただろう。琴音は本気で、全力を出していた。

 

 なお、最初から玲奈に頼るという選択肢は無かった。友達ってそういうものじゃないしね。

 

 

 

 段ボール箱から関連デバイスを取り出して、説明書通りにセッティングしていく。新品特有の独特の匂いがする。

 両親にもちゃんと話を通して、高校受験も無事に終えて万全の状態に整えたのだ。ここで壊しでもしたら笑い話にすらならない。

 

 

 

(準備も適応に任せればミスもない、ヨシ!)

 

 

 

 因みに危険性は無いのかについて気になる人もいることだろう。ざっくりとした説明がここにある。

 

 

 

ーーーーーー

 

【開発者Q&A】

 

Q. 仮想空間に取り残されてしまうことはありませんか?

A. そのようなことはありません。

 

 本システムは、使用者の意識そのものを仮想空間へ転送する技術ではありません。

 ですから、何らかの理由で仮想空間との接続が途切れた場合、使用者の意識が仮想空間に取り残されることはありません。

 

 これは、脳から取得した情報をもとに仮想空間内での身体を動かし、さらに仮想空間から得られる視覚・聴覚・触覚などの情報を脳へフィードバックすることで、『自分が仮想空間に存在している』という感覚を再現しているだけだからです。

 

 加えて本システムによって仮想空間との間で情報が完結しているため、仮想空間内で身体を動かしたとしても、現実の身体が同じように動くことはありません。例えば仮想空間内で腕を上げても、現実の腕はぴくりとも動きません。

 そのため仮想空間内でキャラクターが死亡するなど、ゲーム内で発生した出来事が現実の身体に影響を及ぼすこともありません。

 

 

 

Q. 使用中の安全性に問題はありませんか?

A. 安全性については、開発段階から最優先事項として設計しています。

 

 バッテリーのような発熱、出火の可能性があるものはヘッドデバイスから予め分離した構造になっております。

 

 システムの異常や使用者の体調不良など、何らかの問題が発生した場合には、強制的に接続を終了させるシステムも構築済みです。また、本テストにおいて仮想空間内には常時監視を行うスタッフが配置されています。

 

 加えて、本テストに先立ち、必要な安全性試験および各種検証を実施しています。

 これらの検証結果をもとに、関係各機関による審査を受け、国内での使用について必要な認可を取得しています。

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 琴音は準備を終えるとヘッドデバイスを装着し、ベッドへ横になった。

 説明書に従って電源を入れると、視界が暗転した。

 

 

 

『使用者認証を開始します。』

 

 

 

 機械的な女性の声が響き、それから数秒後。

 

 

 

『認証完了。各種バイタル、正常。神経活動、正常。安全確認、完了。仮想空間への接続準備が完了しました。』

 

 

 

 琴音は思わず息を呑む。これから自分は、未知の世界へ行く。その事実を実感した瞬間、胸の鼓動が一気に速くなった。

 

 

 

『接続開始コマンドを入力してください』

「シンクロスタート。」

『接続開始。』

 

 

 

 その瞬間。世界が、移り変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 バスケットボールくらいの大きさのボールを両手で掴み、構えて投げる。

 

 

 ボールは弧を描いて飛んでいくがゴールネットを揺らすことは無く、ボードにぶつかって跳ね返っていた。

 

 

 

 視界に映る身体は出来の悪いマネキンみたいだ。周囲を見渡せば同じようなのっぺらぼうのマネキンが各々動いている。今立っている場所は、雑にテクスチャの貼られたハリボテ。

 

 

 

(なんだこのクソゲー!!??)

 

 

 

 琴音は失念していた。まだ、これからが期待の技術なのだ。プロジェクトは始まったばかりで、これはゲームとすら呼べない何かだった。あくまでデバイスの動作確認や、複数人による接続負荷の確認が主目的で作成されたものだからだろう。

 言葉を濁して、オブラートに言うならクソである。

 

 

 

 琴音が今いる空間は、見た目は体育館が一番近しい。ただ、かなり広さがありバスケットコート、テニスコート、など区画が分かれている。

 琴音がいるのはバスケットコートだ。一人でボールを転がしている。何故一人でいるのかは聞いてはいけない。きっと深い事情があるのだろうから。

 

 

 

 琴音はボールを拾い上げ、もう一度投げた。今度は先ほどよりも強くだ。ボールは妙に素直な軌道を描き、ボードすら飛び越えて明後日の方向へ跳ねていった。

 

 

 

(これ……絶対慣性が変だし、仮想空間の作りが甘いとか?)

 

 

 

 琴音は軽くその場でジャンプした。ジャンプの最中、ふわっと身体が一瞬浮いたような感覚があった。着地した際の衝撃も妙に弱い。

 足裏から伝わる床の感覚は再現されているものの、どうにもそれっぽいだけなのだ。

 

 琴音は周囲を見渡す。自分と同じようにバスケットボールを触っている人もいれば、ただ歩き回っている人もいる。他には卓球や、バトミントンらしきことをしている人が目に映った。

 他の参加者たちも、この体育館のような場所で与えられたアイテムで遊んでいる。

 

 

 

(あっちの人は……。)

 

 

 

 そんな中で一人のマネキンが壁に向かって走っている。

 壁にぶつかるかと思った瞬間、身体がガガガガガガッと小刻みに震え始めた。そして次の瞬間。ぬるっと、壁を半分ほど身体にめり込ませながら、横方向へ滑っていった。

 琴音はそっと視線を逸らして見なかったことにした。

 

 

 

(うん、……これはゲームじゃない。根本的に勘違いしてた。)

 

 

 

 全感覚没入型VR。その響きだけで、琴音は勝手に未来の光景を想像していた。

 広大な仮想世界、精巧な街並み、現実と区別がつかないほどのグラフィック。自由自在に動き回れる身体。そんな世界を期待していたが、ところがどっこいこれが現実である。ご馳走が出てくると思って待っていたら、豪華な装飾のコップにお冷やだけが注がれたみたいな、そんな気持ちにさせられた。

 

 

 

 琴音は改めて周囲を見渡した。一般のテスト参加者は全部で五十人とあったが、ここでテストしている人数はそれより明らかに少ない。恐らく、別にもう一つ体育館があって、人数を半分くらいで分けているのだろう。なんだか、体育の授業を思い出してしまってセルフデバフをくらっている。

 マネキンの頭上には名前が表示されており、琴音の頭上にはK10sとある。恐らく琴音はパスワードを使い回すタイプだろう。

 

 

 

 琴音は深く息を吐いた。モーションだけで実際に息は出ていないし、声も無い。

 マネキン同士がジェスチャーで何かしているが、ボイスチャットが無いから身振り手振りでどうにかするしかないのだ。

 

 

 

(ゲームの世界に入れるのは凄い技術だけど、……これは流石に。)

 

 

 

 研究者たちにとって重要なのは、ゲーム性ではないということだ。プレイするゲームが面白いかどうかなど、優先順位としては遥か彼方にある。

 琴音のやる気ゲージはみるみる下がっていた。なんなら、ラグかフレームレートが低いのが原因で酔いそうである。

 

 ただ、直ぐに止めるわけにはいかない。今回琴音はテスターで参加しているので、体調不良などのやむ終えない場合を除いてある程度プレイしないといけないのだ。

 それに、やらなかったら当選に落ちた人から袋叩きにされそうで怖い。

 

 

 

(もう適応に任せて休んでおこう。)

 

 

 

 仮想空間内でも適応は可能なのかと疑問に思う人もいるだろう。結果は単純で、可能だ。

 別に仮想空間内に精神だけ入っている訳ではないのだ。実際に仮想空間内の動きを決めているのは脳からの信号であるので、適応した状態の身体にバトンタッチするだけで現実にいる時と何ら変わらない。

 

 

 

(あ、あんな感じでいいか。このVRシステムに適応してパフォーマンスでもして貰おう。)

 

 

 

 視界に映ったのはブレイキングダンスをしているマネキンだった。この空間内での行動に制限はないので何をして時間を潰しても大丈夫だ。

 であれば、適応中の身体にテストを任せて自分は休んでしまってもいいだろう。怠けるなと言いたくなるが、虚無ゲーが目の前にお出しされてしまえば現実逃避したくなる気持ちは分からなくもないが、有罪。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 バシッという音が鳴り、何かがドンッと板にぶつかった音がする。そしてまた、バシッと蹴り上げる音がして、何度も一定の間隔で継続されていく。

 最初、周囲のテスターたちは特に気に留めてはいなかったが、段々と何かが変なことに気づき始めた。

 

 

 

 不思議に思った幾人かのテスターたちが視線を向け、固まった。

 

 

 

 一人のテスターがボールを蹴っている。K10sとネームが頭上に表示されているのを見るに、同じテスターの筈だ。

 ただ、やっている事が異常なのだ。コートの中央に立ち、蹴られたボールは勢いよく飛んでいく。バスケットゴールのボードに当たったボールが、跳ね返り、綺麗な放物線を描いてテスターの足元へ戻ってくる。

 

 それを何度も何度も繰り返しているのだ。一度や二度では無い、十回、二十回と回数が積み上がっていく。それだけ続いても、ボールの軌道がほとんど変わらない。蹴った音と、ボードに当たって跳ね返ったSEだけが響く。

 

 

 

 同じテスターだよなという、疑問が浮かぶ。プレイヤーネームを見て運営側の人間ではないと判断は出来るが、やっている事が人間離れしている。

 

 

 

 それ単体でも現実的に難しい事であるのに、もっと困惑させる部分がある。それはこの場所が仮想空間内であるということだ。

 アバターの操作性は決して良くないし、ラグという問題も少なからずある。そんな状況でこんな事が可能なのか。凄いと感じるより先に疑問に思うだろう。実際、運営側の用意したNPCなのか疑うテスターもいた。

 

 なお、適応状態の身体さんはこっちはラグ前提で動き作っとんねんと奮闘中だ。

 

 

 

 とはいえだ、他のテスターたちはこの謎のテスターの近くに集まり出した。それこそ、運営が用意したイベントが始まっているのかと考えたからだ。

 バスケットコートの周囲に、釣られるようにして人が集まり始めた。

 

 

 

 ログインしているテスターが引き寄せられたことで人だかりができる。見た目はマネキンなので一瞬ホラーゲームかと思えてしまいそうな光景だ。

 

 

 

 周りに人が集まったのを確認したのか、K10sの動きが変わった。

 跳ね返ってきたボールを、今度はゴールボードに向けてではなく高く蹴り上げる。ボールはK10sの頭上へと真っ直ぐに上がり、K10sはその場でポーズを決めた。

 

 右手をゆっくりと横へ広げ、背筋を伸ばした後、ほんの少しだけ身体を前へ傾ける。広げた右手を胸元へと優雅に動かして一礼した。

 まるで舞台に立つマジシャンが、これから始まるショーを観客へ告げるように。

 

 

 

 残念ながらボイスチャットが存在していないので、観客の声は聞こえてこない。それでも他のテスターは拍手をしたり身振り手振りで反応を示している。中々の好評だ。

 ただ、忘れていることが無いだろうか。そう、蹴り上げたボールだ。当然のようにボールが落ちてきて、そしてポーズをしているK10sの頭に直撃した。

 

 

 

 K10sはその衝撃をコミカルに演出するように、頭を軽く抑えながら数歩前へとよろめく。頭を撫でた後、肩を落としながら他のテスターたちにやれやれとジェスチャーした。

 周囲のテスターは、腹を抱えるようなジェスチャーをしたり、音のしない口笛をしたりと楽しんでいる。

 

 

 

 するとK10s は何事もなかったかのように、床へ転がっていたもう一つのボールを直ぐさま蹴った。

 自然とテスターたちがボールの軌道を目で追う。目線の先には先ほど頭に当たって跳ね上がったボールが、まだ空中にある。なんと新たに蹴ったボールは、一つ目のボールを打ち抜いた。

 

 

 

 神業の連続に驚きの視線が向けられる中で、空中で衝突した二つのボールが弾かれ合う。

 押し出されるようにして一つ目のボールはゴールネットへと飛ばされ、綺麗にネットを揺らした。声が出せていればどよめきが上がっていたことだろう。

 

 

 

 そして、弾かれた二つ目のボールは、衝突の反動でK10sの方向へと飛んでいった。先ほどまでの勢いは失われ、斜め下へ落ちていく。つまりは床へと落ちて、数度バウンドしたボールはK10sの足元へと辿り着いた。

 K10sはボールが足元へ届くと、つま先で転がってきたボールを引っ掛けてボールを浮かせた。浮かび上がったボールを手に取り、最後に一礼で締めくくった。

 

 

 

 

 拍手をするように両手を叩いているひと。両手を頭上に掲げている人。その場で飛び跳ねている人。K10sへ向けて親指を立てている人。

 どうやら、パフォーマンスを気に入ってくれて、かなり盛り上がっているらしい。

 

 ぼんやり適応中の視界を見ながらうつらうつらしていた琴音が表に出てきた。

 

 

 

(これだけやったら今日は十分でしょ。人、というかマネキンが増えてなんか怖いし、もうログアウトしよう。)

 

 

 

 適応をやめた琴音はそんな事を考えていた。琴音なりにパニックになりそうな状況だが、思っていたより冷静だ。

 というのも、全員マネキンで、尚且つ声もチャットも実装されていないから、コミュニケーションが皆無で琴音にも余裕があるのだろう。加えて、仮のアバターで、場所も仮想空間内で現実では無いというのが心理的負担を減らしているのかもしれない。

 

 仮想空間は実は陰の者にも優しかった?

 

 

 

(……あれ?まって、なになになに!?)

 

 

 

 と思ったのも束の間、周囲のマネキンたちが琴音を取り囲むように円陣を組み出した。突然のことに琴音は焦りだす。

 もちろん、彼らに悪意はない。むしろ逆だ。先ほどのパフォーマンスが凄かったので、賞賛したかったのだ。

 

 

 

 琴音は一歩後退りしたが意味は無い。琴音を中心として、マネキンたちの輪が出来上がり、何を思ったかマネキンたちは琴音を囲んだままぐるぐると回り出した。

 ボイスチャットが無い。ならば身体を使って感情を表現するしかないと喜びの舞をしているのだ。

 

 

 

(ひんっ、怖い怖い怖い……っ!!??何か悪いことしたかなぁ!?)

 

 

 

 一定の距離を保ちながら、円を描いて回るマネキンたち。まるで獲物を逃がさないように取り囲んでいるようにしか見えない。

 琴音は心の中で絶叫し、逃げ帰るようにログアウトした。

 

 仮想空間でも陰の者には厳しいのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

【奇跡】当選したから質問に何でも答える【全感覚没入型VRテスト】

 

名無しのスレ主:

帰ってきたで

質問あるなら答えられる範囲で答える

 

 

 

名無しの敗北者:

おかえり

 

 

 

名無しの敗北者:

生還したか

 

 

 

名無しの敗北者:

マジで仮想空間に入れた?

 

 

 

名無しの敗北者:

ゲームの中に入るって感覚なの?

 

 

 

名無しの敗北者:

グラフィックどう?

 

 

 

名無しのスレ主:

正直に言うと、ガチで感動した

 

 

 

名無しの敗北者:

おお

 

 

 

名無しのスレ主:

ログインした瞬間、目の前に広がってる空間が画面越しの世界じゃないんだよ

普通にそこに立ってる感じがする

 

 

 

名無しの敗北者:

すげえ

 

 

 

名無しの敗北者:

語彙力死んでるぞ

 

 

 

名無しのスレ主:

ガチ、仮想空間内に入れた

ログインは一瞬だったし、目を瞑ったらもう仮想空間内だった

 

 

 

名無しの敗北者:

痛覚とか触覚はどうなん?そこまで再現されたらゲームが出た時にやるか迷うんだが

 

 

 

名無しのスレ主:

痛覚とかはどう設定してるか次第じゃないか

今回のテスト環境では痛いって感じはなかったが、物を触った感覚はあった

 

 

 

名無しの敗北者:

じゃあ殴られても大丈夫なんやね

 

 

 

名無しのスレ主:

たぶん

 

 

 

名無しの敗北者:

たぶんは草

 

 

 

名無しの敗北者:

じゃあ高いところから落ちたら?

 

 

 

名無しのスレ主:

実際にやってはないから知らんけど、身体が落ちてる感覚は再現されるだろうから、普通に怖いだろ

ただ現実の身体には何も起きないし、大丈夫でしょ

 

 

 

名無しの敗北者:

これゲーム作る側もやる側も革命どころじゃないだろ

 

 

 

名無しの敗北者:

RPGとかVRで絶対やってみてぇ

 

 

 

名無しの敗北者:

そのうちVRMMOが出るのかな、夢が広がりんぐ

 

 

 

名無しの敗北者:

まだデバイスのテスト段階だぞw

 

 

 

名無しの敗北者:

分かってる

でも近い将来プレイできるって考えるとワクワクが止まらん

 

 

 

名無しのスレ主:

スレ主の俺よりVRの方が人気でつらたん

 

 

 

名無しの敗北者:

当たり前だろ

きりきり情報を吐きな

 

 

 

名無しのスレ主:

はい……(なんでコイツこんな偉そうなんだ?)

グラフィックについてはまだまだ

今回は技術検証が目的だからか建物とか人とか、かなり簡素になってた

 

 

 

名無しの敗北者:

ちなみに何が一番すごかった?

 

 

 

名無しのスレ主:

自分が仮想空間内にいるって感覚

こればっかりは実際に体験しないと凄さが伝わり辛い

想像の何百倍も感動するぞ

 

 

 

名無しの敗北者:

ほんま羨ましい

 

 

 

名無しの敗北者:

ところで尿意ってどうなってるんだ?気づけないとヤバくないか

 

 

 

名無しのスレ主:

安心して欲しい、仮想空間内いても感じるで

 

 

 

名無しの敗北者:

草

 

 

 

名無しのスレ主:

ちな、しばらく無視してたら消えたで

 

 

 

名無しの敗北者:

???

 

 

 

名無しの敗北者:

?………!!???

 

 

 

名無しの敗北者:

漏らしたりしてないよな?

 

 

 

名無しのスレ主:

……

 

 

 

名無しの敗北者:

おいおい嘘だと言ってくれ

 

 

 

名無しの敗北者:

研究者「貴重なデータが取れました」

 

 

 

名無しの敗北者:

やめろwww

 

 

 

名無しの敗北者:

それにしてもよく当てたよな

当選者五十人しかいないんだろ?

 

 

 

名無しのスレ主:

そこは本当に運が良かった

これは朗報だけど、特に情報規制とかは無いからスクショとか動画なりがアップされる筈

 

 

 

名無しの敗北者:

じゃあそのうち動画祭りになるな

 

 

 

名無しの敗北者:

動画だと普通のゲーム画面にしか見えないんじゃねww

 

 

 

名無しの敗北者:

実際に体験するとでは全然違うんだろうな

 

 

 

名無しの敗北者:

テスト内容自体はどんな感じだった?

 

 

 

名無しのスレ主:

体育館みたいなフィールドで各々自由に動く感じ

あと色々な大きさのボールがあって好きに使えるのと、対応したコートがある

テニスコートにバスケットコートとか、卓球台みたいな

 

 

 

名無しの敗北者:

ゲームってより本当にテストって感じだな

 

 

 

名無しのスレ主:

ほんまそれ

ただ面白いことしてる人がいた

K10sってプレイヤーなんだけど

 

これ俺視点な

動画編集とか出来ないから該当箇所だけ切り抜いてきた

https//*********

 

 

 

名無しの敗北者:

へへっ、いいもん持ってんじゃん

 

 

 

名無しの敗北者:

なんやなんや

 

 

 

ーーー視聴後ーーー

 

 

 

名無しの敗北者:

ファッ!?なんやこれぇ

 

 

 

名無しの敗北者:

?????

 

 

 

名無しの敗北者:

最初はループしてるのかと思ったけど、これ同じ角度で蹴り続けてたのか

こいつ人間じゃねぇ!

 

 

名無しのスレ主:

俺が見てた限りでは最初のやつだけでも二十回以上は続いてた

 

 

 

名無しの敗北者:

いやいやいや

 

 

 

名無しの敗北者:

VRだから出来るんじゃないの?

なんかこう、決まったモーションアシスト的なのがあるとか

それかNPC?

 

 

 

名無しの敗北者:

むしろVRだから難しいんじゃね

だってラグあるんだろ?

 

 

 

名無しのスレ主:

モーションアシストは確認した限り無かった

後で同じようにボールを蹴ってみたけど再現は不可で、そもそもボールを蹴った感覚もちょい変だった

やっぱ仮想空間内だからか物理演算に違和感がある感じ、つまりは真っ直ぐ飛ばすのも難しい

 

プレイヤーネームの表示的に恐らくプレイヤー

運営側の常駐している人はネームが赤色で強調されてたから

 

 

 

名無しの敗北者:

つまり人力でこれ?

エグすぎでしょ

 

 

 

名無しのスレ主:

俺もその場では運営のイベントかと思ってた

プレイヤーの筈ではあるけど、断定はできないって感じ

 

 

 

名無しの敗北者:

NPC説が有力だろ

 

 

 

名無しの敗北者:

流石に運営側の仕込みか?

 

 

 

名無しのスレ主:

パフォーマンス的には見てておもろかったからどっちでもいいけど

頭にボール落ちてくるシーンとかかなり好きだ

 

 

 

名無しの敗北者:

わかる

めっちゃキメてるのにスコーンって頭に直撃してるのシュールでオモロい

 

 

 

名無しの敗北者:

本人も災難だぜみたいな動きしてて草なんよな

確信犯だろ

 

 

 

名無しの敗北者:

マネキンなのに妙にコミカルで腹立つw

 

 

 

名無しの敗北者:

なんなら頭に当たって飛んでったボールを、別のボールで弾き飛ばしてゴールネットにシュートするという

その、普段は何をされてる方なの?

 

  

 

名無しの敗北者:

なんで当たるんだよ

 

 

 

名無しの敗北者:

最後二個目のボールが足元に戻ってきてるの芸術点高いわ

 

 

 

名無しの敗北者:

何この大道芸

 

 

 

名無しの敗北者:

VRテスト会場で一人だけフリースタイルしてて草

 

 

 

名無しの敗北者:

何者なんだよ

 

 

 

名無しのスレ主:

俺も知らん

話しかけようとはしたんだけど、ボイチャ無いからコンタクト取れないし

 

 

 

名無しの敗北者:

円陣組まれてわちゃわちゃされてガチ困惑してるK10s草

 

 

 

名無しの敗北者:

なんかこんなのに慣れてるのかと思ったけど、人慣れしてないのか動きからぎこちなさが伝わってくるんだよな

うーん、これは陰

 

 

 

名無しの敗北者:

これ製品化されるのが楽しみだな

FPSの臨場感ヤバそう

 

 

 

名無しの敗北者:

現実では陰キャだけどVRでは無双してしまった件

 

 

 

名無しの敗北者:

ラノベかな?

 

 

 

名無しの敗北者:

そのうち美少女アバターでVRMMO始めてそう

 

 

 

名無しの敗北者:

そして現実ではぼっち

 

 

 

名無しの敗北者:

やめてくれ、それは俺に効く

 

 

 

名無しのスレ主:

VR系のゲームが出たらK10s探してフレンド申請する

 

 

 

名無しの敗北者:

K10s「……誰?」

 

 

 

名無しのスレ主:

やめてくれ、事実だけどさ言っていいことと悪いことがあるじゃん

 

 

 

名無しの敗北者:

悲しい未来を予知するな

 

 

 

名無しの敗北者:

K10sって名前どっかで見たような

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【後書き】
ここまで書いておいてアレですが、別にVRがメインになる訳ではないです。この作品は変わらず琴音のわちゃわちゃを見るだけです。それはそれとして琴音ぇ、ホラーゲームをやらないか?
べ、別にネタ切れした時の為に、直ぐにネタを引っ張ってこられるようにした訳じゃないんだから!勘違いしないでよね!
設定上、現代日本としていますが、これくらいなら許される筈。(一応、タグにVR要素(少々)と付け加えておきます。)

現実に全感覚没入型VRゲームが実現したらやりたいことが無限に増えそう。
VRMMOとか、ロボット対戦もの、FPS系に、マイクラとか7大豆みたいなサバイバル。みなさんはVRでどんなゲームがしたいですか?
作者的には好きなキャラが横にいて作業を見守ってくれる系がやりたいです(欲望ダダ漏れ)
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