エーテル・スペアの処生術   作:くりぢゅん

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『泥濘の安息、あるいは空白の始まり』

 

 

 

シェルターの鋼鉄の扉が閉まった瞬間、世界から音が消えた。

いや、消えたのは音ではなく、俺の「緊張」だったのかもしれない。

 

「……あ、……ぁ…………」

 

隣で、雅が俺の服の裾を握ったまま、崩れるように座り込んだ。

彼女の小さな肩が、震えている。

 

後の「虚狩り」が見せる凛とした姿などどこにもない。母親を失い、家を失い、住み慣れた街が地獄に変わる様を目前で眺めてきた、ただの幼い少女の姿。

 

「雅、大丈夫だ。ここは安全だよ」

 

俺は震える手で、彼女の泥に汚れた頬を拭った。

だが、その手を握り返してくる彼女の指先は、氷のように冷たい。

 

「……おにいさん。……なんで、……あんなに…………」

 

雅が、掠れた声で呟く。

彼女が何を言いたいのか、俺には分かっていた。

俺がどうやって彼女を助け、どうやってアキラとリンを見つけ出し、どうやって「最短ルート」を知っていたのか。

 

子供の直感は、時に鋭すぎる。

彼女の瞳には、俺という救世主への感謝と共に、説明のつかない「異質さ」への畏怖が混じっていた。

 

「……運が良かっただけだ。それより、休め」

 

俺は彼女の問いを遮るように、無理やり笑ってみせた。

説明できるはずがない。俺が二十回以上、彼女の目の前で肉塊に変わり、その死体を踏み越えてここにいるなんて。

 

「おにいさん、これ、飲んで……」

 

少し離れた場所で、アキラが配給されたばかりの泥のような水を持ってきてくれた。

彼の後ろでは、リンがまだ怯えた瞳で俺を見つめている。

彼らにとって、俺は「レン」という名の、命の恩人だ。

 

「ありがとう、アキラ。……リンも、怪我はないか?」

 

俺が名を呼ぶと、びくりと肩を揺らした。

そうだ。まだ一度も、彼らの名前は聞いていない。

この世界(時間軸)では。

 

「えっ……。……なんで、ぼくたちのなまえを?」

 

アキラの瞳が、驚愕に揺れる。

しまった、と脳内の警報が鳴った。

十数回のリピートの中で、俺は彼らの名前を呼び、彼らと対話し、彼らを救うための言葉を繰り返してきた。

その記憶が、今の俺にとっては「たった今の出来事」でも、彼らにとっては「まだ起きていない未来」なのだ。

 

「……名札が見えたんだ。ほら、服に書いてあるだろ」

 

咄嗟に吐いた嘘。

アキラは自分の胸元を確認し、「あ……本当だ」と納得したように息を吐いた。

だが、俺の心拍数は一向に下がらない。

死に戻りの代償は、肉体的な痛みだけじゃない。

 

こうして、「自分だけが持っている記憶」と「他人が持っている現実」のズレが、少しずつ、確実に俺の精神を蝕んでいく。

 

(……怖い)

 

死ぬことよりも、自分の脳に刻まれた「死の記憶」が、誰にも理解されないまま降り積もっていくことが。

雅の感謝も、アキラの信頼も、リンの純粋な瞳も。

すべてが、俺が「死んでやり直した」から得られた、歪な報酬にしか見えなかった。

 

暗いシェルターの片隅で、俺は自分の右手をじっと見つめる。

そこには、さっきまでエーテリアスの爪に引き裂かれていたはずの熱が、まだ残っているような気がした。

 

 

 

 

避難所(シェルター)の隅、薄暗い非常用灯の下。

配給されたパサついたパンと少量の水を前に、俺たちは肩を寄せ合っていた。

周囲では、家を失った者たちのすすり泣きや、苛立ち混じりの怒号が絶え間なく響いている。ここは安全だが、平穏ではない。ホロウの汚染がいつここまで及ぶか分からないという、目に見えない死の気配が常に漂っていた。 

 

「……お兄さん、食べないの?」 

 

リンが、自分のパンを握りしめたまま、俺の顔を覗き込んできた。

俺の分もあるのだが、喉を通る気がしない。胃の奥には、死に戻りの際に味わった「内臓を掻き回される感覚」がこびりついている。 

 

「あ、ああ、あとで食べるよ。……ごめんな、心配させて」 

 

無理に笑ってみせるが、今の俺にとって彼らは何度も救い出し、何度も対話した、命に代えても守るべき「家族」のような存在だ。

だが、彼らにとっての俺は、まだ出会ったばかりの「見ず知らずの恩人」でしかない。

この埋まらない記憶の溝が、俺を酷く孤独にさせていた。 

 

「なあ。……俺のこと、『レン』って呼んでくれないか?」 

「えっ……?」 

 

アキラが目を丸くする。リンも、不思議そうに首を傾げた。 

 

「呼び捨て……ですか? でも、お兄さんは僕たちの命の恩人で……」 

「いいんだ。年上とか、恩人とか……そういう風に呼ばれると、なんだかお前たちが遠くにいるみたいで落ち着かないんだよ」 

 

それは、半分は本音だった。

俺は今日、何十回も死んだ。

その死の記憶のすべてを、彼らは知らない。俺が勝手に彼らを家族だと思い、勝手に彼らのために命を投げ出したのだ。

 

せめて、名前を呼び捨てにされるくらいの「近さ」がなければ、俺の精神は、この一方的な関係の重さに耐えられそうになかった。 

 

「…………っ、レ、レン?」

 

リンが、試すように小さく俺の名を呼んだ。

茹で上がったように顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに視線を泳がせながら。

その瞬間、胸の奥に詰まっていた冷たい塊が、ほんの少しだけ溶けたような気がした。 

 

「ああ。それでいい、リン」 

「じゃ、じゃあ……わかった。レン、ありがとう」 

 

アキラも少し照れ臭そうに、けれど真剣な眼差しで俺の名を呼ぶ。

 

「……レン、さん」

 

 避難所(シェルター)の片隅、膝を抱えて俺たちのやり取りをじっと見つめていた雅が、消え入りそうな声で俺の名を呼んだ。

 アキラやリンと違って、彼女にとって俺の名を呼ぶことは、どこか祈りに似た切実な救いのように見えた。 

 

「雅、どうした。……まだ眠れないか?」 

「……ううん。……ただ、呼んでみただけ」 

 

 アキラたちのように「呼び捨てでいい」と言う勇気は、今の俺にはなかった。 雅が俺に向ける瞳には、子供の純粋な感謝とは違う、もっと重くて鋭い――魂を凝視するような何かが混じり始めていたからだ。 

 

「そうか。……もうすぐ治安当局が来る。それまで体を休めておけ。アキラ、リン。お前たちもだ」 

「うん、レン……。おやすみなさい」

 

 俺の腕や服の裾を、まるで離せば消えてしまうとでも言うように握りしめたまま、二人はようやく眠りについた。 

 

 ……25回。

 この一日で、俺が支払った「死」の対価。

 彼らが「レン」と呼んでくれるたびに、その温もりが俺の「死の記録」を肯定してくれるようで、同時に裏切っているような罪悪感に(さいな)まれる。 

 救われた側の笑顔は、時に、死を繰り返した者にとって一番の毒になるのだ。

 

「……っ、……はっ、あ…………!!」

 

 不意に、視界が跳ねた。

 一瞬の微睡(まどろ)み。その隙間に、()はいた。

 一度目の死で俺を喰らった侵食体の、あの巨大な(あぎと)。 二度目の死で俺を押し潰した、瓦礫の冷たい感触。

 

 死ぬ間際のあの熱さ、そして魂が抜けていくような寒気が、泥流のように脳内を蹂躙(じゅうりん)する。 

 

(やめろ……もう終わった。今は、安全なはずだ……!)

 

 早鐘を打つ心臓。全身から吹き出す嫌な汗。 喉を締め上げるような恐怖に、俺は自分の胸を強く(おさ)えた。 

 

「……レン、さん……?」 

 

 暗闇の中から、鈴の音のような声がした。

 見ると、雅がいつの間にか俺のすぐそばに座っていた。

 小さな体をさらに小さく丸め、大きな瞳でじっと俺を見つめている。 

「……起こしたか。悪い。……何でもない、ただの夢だ」 

「うそ……。おにいさん、すごくいなそうな顔、してた」 

 

 雅の視線が、俺の指先に向けられた。 俺の手は、自分でも制御できないほど激しくガタガタと震えていた。 

 

「……うなされてたわ。『ごめん』って……泣きながら、何度も」 

 

 雅が、そっと俺の手の上に自分の小さな手を重ねた。

 子供の体温とは思えないほど冷たく、けれど今の俺には痛いほど熱い。

 

「……おにいさん。どうして、そんなに壊れそうなの?」 

「変なことを言うな。俺はただ、お前たちを助けるために効率的に動いただけだ」 

「……ちがう。私を助けてくれたときも、あの子たちのときも……。あなたは、自分が死ぬことなんて、最初から決まってるみたいに動いてた」 

 

 雅の瞳には、子供特有の残酷なまでの純粋さが宿っていた。

 邸宅で地獄を見た彼女は、本能的に理解しているのだ。目の前の男が、自分たちとは違う理の中にいることを。 

 

「……ねぇ、かくさないで?あなたの目は、ずっと『血』を見てるもん」 

 

 その言葉に、息が止まりそうになる。

 俺が今日、何回死んだかを知られたら、彼女はどう思うだろうか。 俺が「効率」のために、彼女が目の前で殺される世界を一度()り捨てたことを知られたら――。 

 

(……救ったはずなのに。なんでこんなに、後ろめたいんだ) 

「……雅。お前には関係ないことだ」

「……関係、ある。……私、おにいさんのこと、忘れないもん。おにいさんがこんなにボロボロなのは……私のせいだって、わかってるから」

 

 雅はそれ以上何も聞かず、ただ黙って、俺の隣に寄り添った。

 アキラやリンの信頼は、俺に「生きる理由」をくれる。

 けれど、雅のこの鋭すぎる視線は、いつか俺が隠し通さなければならない真実を(あば)き、俺を、そして彼女自身を壊してしまうのではないか――そんな予感が、暗闇に溶けていった。 

 

 シェルターの壁の向こうで、また一つ、大きな崩落の音が響いた。

 それは、俺たちの平穏が、いかに歪な犠牲の上に成り立っているかを告げる葬送曲のようだった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜。避難所(シェルター)の平穏は、あまりにも唐突に、そして残酷に終わりを告げた。

 

「おい、見ろ……通気口から、霧が……!」

 

誰かの悲鳴が、重苦しい静寂を切り裂いた。天井のダクトから、薄紫色の不気味な靄が糸を引くように漏れ出している。

エーテルの残滓。それは死と変異の象徴だ。 

 

「ホロウ汚染だ! 全員、反対側のブロックへ逃げろ!!」

 

怒号が飛び交い、シェルター内は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄へと変貌した。

出口へと殺到する群衆。突き飛ばされる老人、親とはぐれて泣き叫ぶ子供。

 

「……っ、アキラ! リン! 雅!」

 

俺は跳ね起き、まだ眠りの中にいた三人を強引に引き寄せた。

視界の端では、霧に触れた避難民が苦悶の声を上げながら崩れ落ち、その皮膚が黒い物質に侵食されていくのが見える。 

 

(……今ここで汚染に飲まれて死ねば、数時間前に戻れるか?)

 

どす黒い思考が脳裏を掠める。自分の命を、状況を書き換えるための使い捨ての道具(スペアパーツ)として数え始めている自分に、吐き気がした。 

 

「レン! 早く、逃げないと……!」

 

アキラの叫びで、俺は思考の泥沼から引き戻された。

俺は三人を連れて、群衆とは逆の、汚染が薄い非常階段へと走った。 

 

「おにいさん……こわい、……こわいよ」

 

雅が、震える小さな手で俺のシャツを握りしめている。

非常階段を駆け下り、外の通りへと飛び出した瞬間、俺たちの目に飛び込んできたのは――辺りを埋め尽くす侵食体(エーテリアス)の群れだった。 

 

「……っ、こっちに来る!」

 

アキラが顔を蒼白にする。

数体、いや数十体の化け物が、獲物を見つけた飢えた獣のようにこちらへ向かってくる。

「ッ!」

 

 

その時。

空を切り裂くような鋭い銃声が響き、飛びかかってきた侵食体(エーテリアス)の頭部が弾け飛んだ。

 

「――新エリー都防衛軍、ライアー小隊だ! 民間人は全員、我々の誘導に従え!!」

 

瓦礫の山の上から、黒いタクティカルスーツを纏った一団が姿を現した。

(ライアー小隊...!トリガーが所属していた少数精鋭か!)

 

「皆さん! 11時の方向にある大型防空壕の方へ走ってください! 止まらずに、前だけを見て!!」

 

隊員たちが、必死に逃げ惑う一般民間人へ声をかける。

その中には、冷静にスナイパーライフルを構えている少女がいた。若き日の、トリガーだ。 

 

「レテ、コキュートス、ステュクスは民間人の退路を確保! アケロン、トリガーは私と共にここで敵を食い止める! 1秒でも長く時間を稼げ!!」

 

小隊長の正確な力強い号令が飛ぶ。

彼らは圧倒的な物量を誇る化け物たちを相手に、文字通り命を賭した時間稼ぎを始めた。 

 

「……はぁ、……はぁ……レン、おまわりさんたちが助けてくれるんだよね?」

 

リンが息を切らしながら、縋るような瞳で俺を見上げる。

だが、俺には「見えて」いた。

数分後、この防衛線は突破される。

軍人たちの必死の抵抗も虚しく、ここは死体で埋め尽くされることになる。

 

「…………」

俺は立ち止まり、握っていた手をそっと離した。

 

「レン? どうしたの、早く行かないと……」

 

アキラが不安げに俺の顔を覗き込む。

 

「お前ら、先にあの軍人たちが言った場所へ行け。……俺は、見捨てれない」

「……え?」

「雅、リン、アキラ。……ごめんな。先に安全なところに行っててくれ」

 

俺はそう言って、三人の頭を順番に、丁寧に撫でた。

それは、自分でも驚くほど穏やかな、そして「これが最後ではない」と確信させるための欺瞞(ぎまん)に満ちた仕草だった。 

 

「レン、だめ! いかないで! おにいさん!!」

 

雅の叫び声が背中に刺さる。

俺は一度も振り返ることなく、銃火と悲鳴が渦巻く前線へと、ただ淡々と、合理的に走り出した。

 

(……これでいい。俺が死ねば、確率は変わる)

 

ポケットの中にあった、誰のものかも分からない拾った錆びナイフを握りしめる。

感覚を研ぎ澄ませ。

因果の糸が縺れる「分岐点」は、すぐそこにある。

 

 

 

 

 

 

 

「総員、撃ち続けろ! 1歩も引くな!!」

 

鋭い号令が、侵食体(エーテリアス)の咆哮にかき消される。

ライアー小隊の面々は、押し寄せる化け物の群れを前に、決死の防衛線を築いていた。だが、物量は絶望的だ。

隊員の一人が爪に弾かれ、防護壁が砕ける。 

「……っ、ここまで、なのか……」

 

その時。

軍人たちの視界を、一筋の「影」が通り抜けた。 

 

「――危ないぞ」

 

淡々とした、あまりにも場違いに落ち着いた声。

気づいた時には、トリガーを襲おうとしていた侵食体(エーテリアス)の眉間に、錆びたナイフが深く突き立てられていた。 

 

「あなた……!? なぜ戻ってきたの、早く避難を!!」

 

トリガーの叫びを無視し、次の獲物へと視線を向けた。

彼の動きには、およそ人間らしい「迷い」や「恐怖」が一切存在しない。 

 

(……右から3体。2秒後に中央が跳ねる。そこが――分岐点だ) 

 

レンは、敵の攻撃を避けることを放棄した。

あえて左腕を肉壁として差し出し、敵の挙動を固定する。骨が軋む音さえ、彼にとっては目的を達成するための「コスト」に過ぎない。 

 

「ガッ……ア……」

 

喉元を貫かれ、霧散していく化け物。

それを見送ることなく、レンは次の「正解」へと踏み込む。 

 

「おい、あいつ……わざと食らってねえか?」

「避けずに、最短で殺すために……。……まるで、自分の体を部品か何かだと思ってる……」 

 

戦場を共にする隊員たちの間に、戦慄が走った。

彼らプロの軍人が見ても、レンの戦い方は異常だった。感情が欠落し、ただ効率だけを追求するその姿は、英雄というよりは「壊れた兵器」に近い。 

 

だが、その異常な蹂躙が、絶望的だった戦況を劇的に塗り替えていく。

レンが「コア」を突くたびに、敵の勢いが崩れ、隙が生まれる。 

 

「……7時の方向。一斉射撃だ。道は、俺が作る」 

 

レンの、死の淵から響くような静かな指示。

圧倒的な「死」を振り撒くその少年の背中に、隊員たちは畏怖を、そしてどうしようもない救いを感じていた。

この地獄のような旧都で、彼らもまた、奇跡を求めていたのだ。 

やがて、最後の一体が灰となって消えた時、シェルター周辺には奇妙な静寂が訪れた。

 

「……助かった、のか?」

 

一人の隊員が、震える声で呟いた。

トリガーは、肩で息をしながら、血塗れのまま佇むレンを見つめた。 

「……あなたは、一体……」

「……レンだ。それより、怪我人を。……まだ終わってないだろ」 

 

レンの素っ気ない言葉に、隊員たちが顔を見合わせ、それから不敵な笑みを浮かべた。

 

「……ああ、そうだな。……恩にきるぜ、レン。あんたは――最高の戦友(せんゆう)だ」 

 

その時、遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「レン!!」

「おにいさん!!」

瓦礫の向こうから、アキラ、リン、そして雅が駆け寄ってくるのが見えた。

三人は俺の姿を見つけるなり、弾かれたように走り寄り、俺のボロボロのシャツに縋りついた。 

 

「レン、大丈夫!?」

「死んじゃわないか心配したんだよ! なんで一人で行っちゃうの!!」

「おにいさん、……血が……。痛い? 痛くない……?」 

 

雅の小さな手が、俺の傷ついた腕をそっと包む。

俺は彼女の頭を、血のついていない方の手で優しく撫でた。 

 

「……悪かったな。……約束しただろ、戻ってくるって」 

 

その様子を、トリガーは静かに見守っていた。

彼女はライフルを収めると、レンたちの方へ歩み寄り、一礼した。

 

「……レンさん、ですね。あなたと、その子供たちの安全は、我々ライアー小隊が責任を持って保証します」 

 

彼女の言葉と共に、後方から援軍が近づいてくるのが見えた。

 

「この車両で、安全な避難区画までお送りします。……行きましょう。ここも、いつまでも安全とは限りません」 

 

俺は三人を促し、車両のハッチへと向かった。

旧都が燃える炎を背に、俺たちは平穏という名の、さらなる泥濘(ぬかるみ)へと一歩を踏み出した。 

 

 

 





だいぶキャラへの解釈力が求められますよね……。頭に浮かぶ、こうしたいっていう展開が何話先かもわからないものすぎて、今が進まないんよ。
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