ゼンレスゾーンゼロ ~ホロウ彷徨うエージェント~ 作:アキ1113
それでは、どうぞご覧ください。
カリンを出口まで送った後、ノクスたちは急いで列車が通るルートに向かっていた。そして、そのルート通りにトンネルへ入ると……
『マスター、間もなく列車が予定地点を通過します。ノクス、並びに依頼人共々、行動できるよう準備してください』
遂に爆薬が積んである列車に追いついたのだ。
「プロキシ、ノクス、今だ!」
「分かってる」
猫又がそう言った直後、ノクスはイアスを抱えて列車の屋根へと飛び乗った。そうして屋根の上を進んでいくと……
『私はここからだね』
「僕は側面から行くから、そっちも充分に気を付けてね」
『うん、ノクスもね』
『この列車のメンテナンスハッチは、液体のような猫又でさえ通れないほど小さいですが……今や、熟練の忍者がスイカを割るくらい簡単なはずです。貴方様は世界の王ですから。さて王よ、運転室に向かい、戴冠式を終えてください――――』
『はいはい。緊急停止ボタンを押せば、任務完了っと!』
そうFairyに返しながら、イアスはメンテナンスハッチから列車の中へと入った……が、
「ちっ、面倒くせぇな。任務とはいえ、こんな格好しなきゃならんとは……」
「少しは我慢しろよ、俺だって靴が合わなくて辛いんだ」
「おい、列車がルートを外れていると隊長が言ってるぞ!どういうことだ?」
「ん……?」
無人とされていた列車の中には、治安局の格好をした一団がおり、メンテナンスハッチから入ってきたイアスに銃を突きつけてきた。
「あー、隊長。上から喋るボンプが落ちてきたのですが、パールマン長官に引き渡しますか?……はっ!今すぐ処理し――――」
「ふっ!」
「ぐわぁ!?」
「せやっ!」
「ぐあっ!?」
イアスが銃で撃たれそうになっていると、列車の屋根にいたノクスと、列車と並走していた猫又はガラスを突き破って中に入ってきたのだ。そして、猫又はイアスを回収すると……
「こっちだ!」
『うわぁ!?』
先ほど割ったガラスの間から、列車の外へとイアスを脱出させた。
「ここは僕らに任せて先に戻って」
『で、でも――――』
「キャロットがあるから大丈夫、後でお店に行くから!」
どうやらノクスと猫又は、列車の中の治安局に扮した何者かを倒し切った後で、イアスの後を追いかけてくるつもりのようだ。
「もしもし?一体、何があったんだ?」
『何かがおかしい……今から店に戻るから、それまで待ってて!』
◇
「カリバーモード!」
「はぁっ!」
「「ぐあっ!?」」
猫又と共に列車に残ったノクスは、狭い空間を活かしながら次々と相手を無力化していっていた。そして……
「これで決める」
「ランチャーモード!」
ブレイカムバスターにショックカプセムを装填し……
「猫又こっちに!」
「!」
猫又にこちらへ来るように言ったのだ。猫又は持ち前の俊敏さでノクスの後ろに移動し……
「ブレイカムキャノン!」
「ふっ!!」
『ぐああああああああっ!?』
それを確認したノクスが電撃をバスターから撃つことで、そのまま全員を気絶させたのだ。
「そんなこともできたのか……!」
「早く脱出するよ」
「う、うん!」
敵の無力化に成功したノクスと猫又は、窓から飛び降りることで列車から脱出し、その後全速力でビデオ屋へと向かうのだった……。
「……」
(あの反応……猫又、何を隠してるんだ……?)
◇
「ただいま!」
「戻ったよ」
イアスが店まで戻って来てから数分後、ノクスナイトから擬装を解除したレイヤと猫又がビデオ屋へと戻ってきた。すると……
「ノクスのおかげで早く戻れたぞ!私のキャロットだけだったら、遠い方の出口しか分からなかったよ――――あっ、そうだ!爆破が遅れるってニュースで見たぞ!でも、いずれ発車することには変わりないから、ニコたちがまだ安全ってわけじゃないけど……これからどうする?すぐに他の方法を――――」
「その前に猫又……隠していることを全て話してくれない?」
レイヤが急に、そんなことを猫又に訊いてきたのだ。
「わぁ……ノク――――じゃなくて今はレイヤか……何か雰囲気が怖いぞ……?耳の毛が逆立っちゃ――――」
「今はこっちの質問にだけ答えてくれると嬉しいんだけど?」
レイヤの声色はいつものものだったが、猫又を見るその視線は冷たさを帯びていた。さらに……
「猫又、茶化さないで全部話してくれ……君と邪兎屋は一体、どんな面倒事に巻き込まれているんだ?あれは爆薬の輸送列車だと報道されてただろう?なのに、なぜ治安局に擬装したやつらが乗っている?それに、彼らを前にした君の反応は、とっさの出来事に驚いた……という感じでもなかった」
「猫又、正直に本当の事を言って。私たちのこと、こっそり嵌めようとしてない?」
「!あ、あたし……そ、その……」
「パエトーンのサポートがまだ欲しいのなら、リンの質問に答えるんだ。隠してることを、全て教えてくれ」
リンとアキラまでもが、猫又にそんな言葉を投げかけていた。
「隠してるつもりなんてない!列車の中に人がいるなんて知らなかった、あたしはただ、他の場所で同じ格好のやつらを見たことがあるだけ!あんたたちの言った通り、あたしと邪兎屋はとんでもない面倒事に巻き込まれた!でも、それは人助けのためなんだ!」
「人助けって……そんなこと、今まで一度も言ってなかったよね?」
「だって、だって……信じられないことの連続で、ちゃんと説明できる自信がなかったんだ!それにこの前は列車を止めなきゃって必死で、ボンプの視覚記録を最後まで見られなかったし……そうだ、ニコのボンプ!あれが全てを記録してる!あの一部始終を見れば、あんたたちもきっと分かってくれる!」
猫又は映像データをFairyに取り出して貰うということと、自身の口からはこれ以上なにも言わないことを言った……どうやら猫又は、3人に映像だけを見て信じてもらうことにしたようだ。それから3人は再び記録映像を再生した。
そこには猫又の家族の形見を探している邪兎屋と猫又が映っていた。それからデッドエンドホロウ内を進んでいた4人だったが、デッドエンドブッチャーであろうものの痕跡が次々と見つかったため、安全に進むためにも当初の予定とは別のルートで探索することにしたが……
『こ、子供!今、子供があっちに!』
『あーもう!追いかけるわよ!』
猫又がこの場にはまずいないはずの子供を見たというため、ニコ達は一先ず子供を探して救出することにした。そうしてホロウの深部まで来たものの、ここまで子供どころか人1人見ることもなかった……が、
『いたぞ!』
ビリーが猫又が見たという子供を見つけ、それを全員で追いかけていく。その後、エーテリアスに襲われていた子供をビリーが助け出したものの、突然子供がビリーを殴り飛ばしたのだ……子供の話を聞いたところ、ホロウの中で迷子になっていたのではなく、デッドエンドブッチャーの縄張りにいる4人の事を救出してあげたという……その時――――
『GyAAAAAAAAAA!!』
『!?』
近くの壁が破壊され、そこからデッドエンドブッチャーが出現してしまった。ニコ達は迎撃体制を取るも、運よく裂け目がその場に出現したことで、難を逃れる……それから裂け目から出た5人が出てきたのはカンバス通りで、そこにはヴィジョンの爆破工事によって既に避難したはずの住民たちの姿があったのだ。
それからニコは、住民たちを避難させるために援軍として猫又にパエトーンとノクスを呼びに行かせた……というわけだ。
「これが真相……ニコ達はひとまず工事エリアで委任状を集めて、ヴィジョンの動向を探るって言ってた。そしてあたしの任務は、パエトーンとノクスに助けを求めることだった……ニコたちと別れた後、あたしは1人デッドエンドホロウを抜けて、あんたたちの店に来たんだ」
そう言った後、猫又は必死にこう頼んできた。
「お願い、パエトーン!ノクス!あたしと一緒にみんなを助けに行って!」
「……猫又、あんたの言う事は信じるよ。ただ、プロキシのエキスパートとして、私達はその件に首を突っ込むリスクを警告する義務があるの」
「あぁ。住民達全員を救い出すとなれば、ヴィジョンとの正面衝突は避けられない……」
それを聞いた猫又だったが……
「今更あたしを試さなくてもいい。出発した時、心に決めたんだ──何としてでも、皆を爆破エリアから救い出す!今のあたしには、それしか考えられない!」
猫又は既に決意を固めている様子でいた。
「ふぅ……分かったよ。依頼人がそう決心したなら、私達もこれ以上は言わない……レイヤもそれでいいよね?」
「もちろんだよ……それにヴィジョンのやり方、あいつらみたいで許せないから……」
「あいつら……?」
「レイヤ……」
「……」
猫又はレイヤの『あいつら』という部分に疑問を覚え、リンとアキラは心配そうな表情をレイヤに向けていた……。
「……さて、そうと決まったなら早速、救助計画を考えよう――――邪兎屋と住民たちは現在、カンバス駅通りに閉じ込められている。こことパールマンの居る監視拠点とは、数キロも離れているんだ」
アキラは気を取り直し、目の前のモニターに今の状況を簡単に示したマップを表示させながら話を進めていく。
「だけど、パールマンは住民たちを閉じ込めるために、治安局の武装部隊に偽装した連中を列車で送り込んだ……」
「そういえば、僕達が遅らせた列車がそろそろ目的地に着く頃だ。となると、住民達を見張る人がまた増えてしまう」
「うん……私たちの力じゃ、正面突破は無理だよね。けど、防御の穴を突くことはできる」
「え?それってどういう意味?」
猫又が疑問符を浮かべていると……
「閉じ込められている住民たちは、ほとんどがエーテル適応体質じゃない……だから武装部隊は、正面だけを警戒する。監視拠点の兵士も数が多くても無限じゃない。大勢が正面の警備にかかりきりなら、ホロウを通って背後に回れば部隊の不意を突くことができる……そうでしょ?」
レイヤがリンの言葉を引き継ぎ、猫又にそう説明した。
「ホント、うちの弟は優秀だね?」
「ニャイスアイデア!それで、それで!?」
「急いで監視拠点の列車を奪ったら、ホロウ内の線路を使って、カンバス通り駅まで向かうの。住民たちには、最初から駅のホームで待っててもらうわけ。そしたら、たった数分で全員を爆破エリアから運び出せるでしょ?」
「あったまいい!それに列車自体にもきっと侵蝕体制があるはず……なる早でホロウを出られれば、住民たちも侵蝕に晒されずに済むぞ!」
「万が一侵蝕症状が出ても、これを使えばいい」
レイヤはそう言い、リカバリーカプセムを取り出した。
「ホント便利だよね、それ」
「それって、ニコが言ってたカプセムってやつ?」
「そう。このカプセムは侵蝕症状とかからも回復できるから――――というかニコ、勝手に喋ってるし……」
レイヤが勝手にカプセムのことを話しているニコに呆れていると……
「Fairy、列車をホロウから新エリー都まで、最短で運転できる?」
『可能。既に最短ルートを計算済みです』
「よし、準備が整ったら、すぐに行動を開始しよう」
「それじゃあレイヤ、これを」
『ンナッ!』
レイヤはリンからイアスを渡される。
「まずは2人がニコと合流して、計画を説明しよ。後は……」
「うん……後は、決着をつけて――――」
「ヴィジョンを潰すだけ……!」
読んでくださり、ありがとうございます!
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。
今後投稿するストーリーは、原作の順番通りに全部を書いた方が良いか、レイヤに関係する話を中心に書いて行くほうがいいか、どちらがいいでしょうか?
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全部書く!
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レイヤの話を中心に!
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作者に任せる!