ゼンレスゾーンゼロ ~ホロウ彷徨うエージェント~   作:アキ1113

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 お久しぶりです。2ヶ月以上ぶりの更新となってしまい、申し訳ありません……作者の方がここ2ヶ月くらい忙しかったり、他の小説を執筆していたりと、書くのが遅くなってしまいました。ここから少しずつ頻度を増やしていけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 それでは、今回の話もどうぞご覧ください。



Case6 惑う

 

 「ニコ、戻って来るのが早すぎない?まさか、また信号無視したんじゃないよね?」

 

 Random Playへと戻って来たニコは、リンにそんなことを言われていた。

 

 「そんなことないわよ!普通の青信号と、R値255の青を通過しただけだから!あっ、それから……来る途中に確認したけど、尾行はされてなかったわよ?」

 

 「レイヤ、R値255の青って―――」

 

 「間違いなく赤だね」

 

 ビリーの疑問に、レイヤはホロウへ入る用の装備を片付けながら即答した。

 

 「ニコ、従業員たちを助けてあげたんだ。そろそろツケを払ってもらえないか?」

 

 「待って!まだ終わってないでしょ?あたしの依頼は『人とモノ、どちらもホロウから出すこと』……ほら、半分しか終わってないじゃん!」

 

 「モノのことなって何かあったっけ?お兄ちゃん、レイヤ、覚えてる?」

 

 「あんた、お店の評判を落とすようなこと言ってる自覚ある……?」

 

 「とにかく、あたしたちの金庫を取り戻すまで、依頼は完了じゃないんだから!」

 

 すると……

 

 「分かってるよ、ニコ。兄さんと姉さんも単なる冗談で言っただけなんだから、ね?」

 

 レイヤは冗談でニコがあんなことを言ったのだと、純粋にそう思っていたのだが……

 

 「!ソ、ソウダヨ……」

 

 「あんたね……」

 

 その発言を聞いたリンは、思わずカタコトになりながらそう反応した。それを見たニコは、思わずリンにジト目を向ける……。 

 

 「俺たち金庫自体は見つけたんだけど、そこで赤牙組の親玉が……えっと……あのエーテリアス、何て言うんだけっか?」

 

 「ホワイトスター学会での登録名は『デュラハン』。上級エーテリアスよ」

 

 「そう、それだ!赤牙組の親玉も運が悪いな……強烈なエーテル物質に侵食されて、高危険度のエーテリアスになっちまった。俺とアンビーで金庫を奪おうとしたけど、あいつが尋常じゃないくらい強くてさ。撤退するのがやっとだったんだ」

 

 それを聞き……

 

 「レイヤって、デュラハンとは戦ったことあるの?」

 

 アンビーがレイヤにふとそう尋ね、全員の視線がレイヤに注がれた。

 

 「もちろん、戦ったことはあるよ。だから動きとかは分かると思う」

 

 「おぉ、助かるぜ!」

 

 その言葉を頼もしく感じたのか、ビリーは少し安堵したようにそう言った。

 

 「それよりもニコ、あの金庫の中って何が入ってるの?」

 

 「それ俺も思ってたぜ親分!ここまで体を張る価値があんのかよ?」

 

 レイヤとビリーは、ここまでしてニコが金庫に必死になっている理由を訊いた。

 

 「じゃ、早速答え合わせをしましょう―――これを見て!」

 

 ニコはそう言うと、赤い牙のついた首飾りを取り出す。

 

 「これ……ちょっと変わったペンダントに見えるけど、ほんとはメモリディスクだよね?」

 

 「そう、これは小型のメモリディスク……シルバーヘッドの所有物よ。十四分街から抜け出す時に、あたしがビルの中で拾ったの!事前に調査した結果だけど……あのクソおやじ、これを肌身離さず持ってたらしいわ。きっと、何か重要なことが隠されているはずよ!あの金庫の暗証番号と何か関わりがあるに違いないわ!」

 

 なのだが……

 

 「でも、少し破損してるみたい……」

 

 「……本当だ、焦げちまってるぞ!」

 

 どうやら一部が破損しているらしく、中にある重要な情報を見ることが困難になってしまっていた。 

 

 「ねね、パエトーン!なんか方法はないの?あんたたちの店にある、あの複雑なコンピューターは使えない?」

 

 「H.D.Dのスペックは、ほとんどホロウデータの処理に割いている……けど、内部のデータを取り出すくらいでいいなら……」

 

 「!ホントに?」

 

 「リン、僕がインターノットの演算パワーを拝借して復元してみるよ」

 

 「よし、じゃあ約束ね!こっちは何とかしてホロウにある金庫の位置を確認するから、手掛かりがあったらまた連絡するわ!」

 

 そうして今後の方針も決まり……

 

 「あたしから金庫の回収作業の連絡が来るまでは、他の仕事をしててもいいわよ―――あっ、メモリディスクからデータを抽出するのも忘れずにね?」

 

 「じゃあまたな、店長、レイヤ!」

 

 「では、また」

 

 邪兎屋の3人はビデオ屋から去っていった。それからレイヤたちもビデオ屋の中に戻り……

 

 「……よし。しばらく待てば、復元も終わると思う」

 

 「お疲れ様、兄さん」

 

 「ありがとね、お兄ちゃん!」  

 

 「あぁ、2人もお疲れ様」 

 

 今やれることを終わらせた3人なのだが……

 

 「……本当にあれ、使わなくても良かったの?」

 

 レイヤが急にそんなことを訊いたのだ。

 

 「大丈夫だよ!」

 

 「それに、レイヤに頼り切りになるわけにもいかないだろう?」

 

 「……2人がそう言うならいいけど………」

 

 レイヤの言う『あれ』とはリカバリーカプセムのことで、そのカプセムは文字通り怪我を癒す力を有しているが、それは有機物だけではなく無機物にも及び、このカプセムの本当の効果は『万物の復元』と言っても過言ではないものなのだ。

 

 「その能力はいざという時だけに使ってほしい……もし万物の復元が可能ということがバレたら、厄介なこと間違いなしだ」

 

 アキラの言う通り、その能力をなるべく使わない理由としては可愛い弟に頼り切りにならないというのはもちろん、厄介事を避けるためでもある。

 

 「分かってるよ。でも、何か手伝えることがあったら言ってよ?」

 

 「うん、ありがとね!」

 

 それから3人は、今日のうちにやれることはやったため休むことにし―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ノクス、準備はいい?」

 

 「うん、もちろん」

 

 数日後、ニコから金庫の座標が分かったということで連絡が来たため、レイヤは邪兎屋と共にホロウに入ることになった。レイヤはヴォーカを胸に巻くと、早速…… 

 

 「イレイス!」

 

 「オ・オ・オンユアマーク!オンユアマーク!」

 

 「……擬装」

 

 「インヴォークナイトシステム!」

 

 「イレイス!」

 

 ノクスナイトへと擬装を遂げた。それから4人と1匹はホロウ内へと入り、リンの案内で順調に進んで行っていたのだが……

 

 「ねぇ!そっちに進めばいいのね?」

 

 『……』

 

 途中からリンは黙り込んだままで、エーテリアスに襲われそうになっても何の反応も示さなかったのだ。

 

 「ちょっと!これ以上黙り込んでるなら、インターノットで低評価つけるわよ?」

 

 『……』

 

 そんなイアスの様子を見て……

 

 「おかしい……ホロウに入った時ならまだしも、途中から全然ガイドしているようには見えない」

 

 ニコがさすがにおかしいと思ったようだ。

 

 「……まさか―――」

 

 「あっちで何かトラブルがあった………としか考えられないよ。それに、こんなことは初めてだし」

 

 2人と共に依頼をいくつもこなしてきたノクスも、こんな事態になることは初めてみたいだ。

 

 「!ノクスもそう思うわよね……ねぇ、何かあったの?」

 

 『……』

 

 「反応なし、ね……」

 

 「おいおい、あっちじゃ何が起きてるんだよ?」

 

 ビリーがそう言うと……

 

 「もしかして……ハッカーにシステムを乗っ取られたとか」

 

 『!?』

 

 ノクスの予測に、3人は驚きの表情を見せた。その間にも……

 

 『GyAAAAAAA!!』

 

 エーテリアスたちはお構いなしに迫ってきていた。そのうちの1匹がイアスへと襲い掛かるが……

 

 「バリア!」

 

 『!?』 

 

 「フッ!」

 

 『GyA!?』

 

 ノクスがバリアを張ることで攻撃を防ぎ、エーテリアスが一瞬動揺しているところを見逃さず、一撃で斬り倒したのだ。そしてノクスは、バスターにイレイスカプセムをセットして回転させ……

 

 「ブレイカムバースト!」

 

 『『『『GyA!?』』』』

 

 周りにいるエーテリアスたちを一掃したのだ。

 

 「ふっ……」

 

 「流石だぜノクス!」

 

 「ありがとう……一先ずここから離れよう。またエーテリアスが来るかもしれないし……ニコ、それでいい?」

 

 「そうね……うん、そうしましょう」

 

 「私たちが前に出るから、プロキシ先生のことはお願いね」

 

 「了解」

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 それからノクスと邪兎屋は周りのエーテリアスを全て倒し、隠れられそうな物陰に潜んでいた。因みに今は、ノクスが見張りに出ている。

 

 「しっかし、ノクスがいて助かったよな」

 

 「そうね、ノクスのあの……カプセル?」

 

 「カプセムよ、ニコ」

 

 「そうそれ!あれのおかげで、怪我や侵蝕を治すことができるしね」

 

 ノクスがいない間、邪兎屋はそんな話をしていたが……

 

 「にしても、どこであんなもの手に入れたんだろうな?」

 

 ビリーがふとそんなことを口にした。

 

 「確かに……あのナイトインヴォーカーもそう、それに前にノクスは、あの姿のことを『ソルジャーX』って言ってたわ」

 

 「私たちも詮索して来なかったけど……ノクスってそもそも何者なの……?」

 

 すると……

 

 「戻ったよ」

 

 『!?』

 

 気配もなく戻ってきたノクスが急にそう声をかけてきたのだ。

 

 「な、何――――って、なんだノクスじゃない……!」

 

 「び、びびったぜ……」

 

 「流石の隠密スキルね……私でも気付かないとは」

 

 ノクスが気配もなく戻ってきたことに、邪兎屋の3人が驚いていると……

 

 『何をそんなに驚いてるの?』

 

 「いや何をって、急にノクスが――――って、その声はプロキシ!?」

 

 「おぉ!店長戻って来れたのか!」

 

 ずっと通信が途絶えていたリンが、イアスからそう声をかけてきたのだ。

 

 『何とかね……そっちはどうだったの?』

 

 「ノクスのお陰で、負傷も侵食もないわ」

 

 『とにかく、みんな無事で良かったよ……!』

 

 「それで……そっちは何があったの?」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なるほどな……連絡が途絶えたのは、ノクスの読み通りだったってわけか」

 

 「良かった。ニコが依頼料をケチってたのを怒ってたわけじゃないんだ」

 

 『ちょい待ち、ホントはもっと払えたの?』

 

 アンビーの言葉を聞き、リンはすぐさまニコにそう訊いた。

 

 「アンビー!余計なこと言わないで!――――それで、原因はあのメモリディスクだったの?」

 

 『H.D.Dの脆弱性診断を行ったけど、その可能性が一番大きい』

 

 「じゃあ、赤牙組の連中も誰かに依頼されて金庫を奪った……てことになるわね」

 

 「俺達と一緒だな!」

 

 どうやらそのメモリディスクを介して、システムを乗っ取ったハッカーはパエトーンに辿り着いたようだ。最初はハッカーが有利だったが、リンとアキラはパエトーンとしてのアカウントをハッカーに渡した後で治安局に通報し、ハッカーを逆に追い詰めたのだ。

 

 「ニコ、ノクスの力があるとはいえ、ホロウでの捜索を急ぐ必要がある。それに金庫の近くにデュラハンがいないとも限らない」

 

 「そうね……あの化け物よりも先に、金庫を回収しなくちゃ!」

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 リンのガイドで金庫の探索を再開してから少しして……

 

 「!見つけた……!」

 

 目的の金庫を発見することができたのだ。

 

 「おぉ!今日はツイてるぜ!」

 

 「あたしの金庫!」

 

 『ニコのってわけじゃないでしょ?』

 

 そう言いながら、全員で金庫に近づこうとした………その時、

 

 「全員回避!!」

 

 『っ!?』

 

 何かを感じ取ったのか、ノクスが突然そう声を上げた。その直後、上級エーテリアス―――デュラハンの剣がアンビーに振り下ろされる……が、

 

 「っ!」

 

 『GyA!?』 

 

 それをノクスがバスターで受け流し、すぐさま蹴り飛ばしたのだ。

 

 『2人とも無事?』

 

 「えぇ……助かったわ、ノクス」

 

 「どういたしまして。それよりも……」

 

 「!そうね……今は―――」

 

 「今日は本当にツイてるぜ……」

 

 「あ・た・し・の・金庫!」

 

 ノクスたちは武器を構えると、デュラハンとの戦闘に突入するのだった。

 

 

 

 

 




 読んで下さり、ありがとうございます。

 次回は、ノクス&邪兎屋VSデュラハンとなります。

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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