ゼンレスゾーンゼロ ~ホロウ彷徨うエージェント~ 作:アキ1113
それでは、どうぞご覧ください。
デュラハンとの戦闘を開始してから数分が経った。戦況は、数で勝る邪兎屋とノクスが優勢だったが……
「うおっ!?」
「あぁもう!しつこいわね……!」
どうやらこの個体は通常のデュラハンよりも強い個体のようで、戦い慣れているノクスといえども苦戦までとはいかずとも、攻めあぐねているようだ。
「くそっ!あんまり効いてないぞ!」
「手強いわね……」
その状況を見たノクスは、あるものを取り出した。
「……試してみようか」
それは黄色いカプセムで、そこには衝撃波を起こす人のようなものが描かれていた。ノクスはヴォーカーにセットしていたイレイスカプセムを外すと……
「ショック!」
そこに黄色のカプセムをセットしてレバーを押した。
「オ・オ・オンユアマーク!オンユアマーク!」
それからノクスは左手で拳を握ってから、セットしたカプセムを回した。すると、さっきまでオレンジ色だった身体のラインが黄色く変色し、目元のアンテナ部分も赤くなっていき……
「インヴォークナイトシステム!」
「ショック!」
ノクスは『ノクスナイト・ショック』へと、その姿を変えたのだ。
「えっ!?」
「おぉ!?」
「姿が変わった……?」
『な、何それ!?そんなことできたの!?』
その姿を見た全員が、それぞれの驚いた反応を見せる中……
『GyAAAAAAAAAAAA!!』
デュラハンがノクスめがけて剣を振るう。
「ショック!」
「ハァッ!!」
『GyA!?』
それに対し、ノクスはカプセムを回転させると、衝撃波を乗せたパンチを直接デュラハンに当て、そのまま近くの壁まで吹き飛ばしてしまったのだ。さらに……
「フッ!ハァッ!!」
バスターで連撃を加え、デュラハンを圧倒していく。それからノクスは、ヴォーカーにイレイスカプセムをセットし直して、最初の姿に戻ると……
「これで終わりだ」
ヴォーカーのレバーを3回押して、セットしているカプセムを回した。
『GyAAAAAAAAAA!!』
そして、自身に向かってくるデュラハンに対し、敢えて背を向けると……
「……消えろ」
「イレイス―――フェイタル!」
『GyAAAAAAAAA!?』
そのまま回し蹴りを放ち、カウンターキックを食らわせたのだ。ノクスのカウンターキックを食らったデュラハンは、先ほどのダメージもあったのか限界を迎え、ノクスたちの前から跡形もなく消滅していった。
「やったぞ!!」
「流石ねノクス!」
「それにしても、あんなことができたなんてね」
『みんなお疲れ様!』
邪兎屋の3人はデュラハンを倒したことを喜び、リンはノクスたちに労いの言葉をかけていた。
「それに……やっと……やっと……みーつけた!!」
ニコは目の前にある金庫を見て、喜びの声を上げようとしたが……
「水を差すようで悪いんだけど……喜ぶのはまだ早いよ!ニコ、落ち着いて聞いてね」
「……?」
「全部あの悪玉ハッカーのせいだよ!私がホロウを脱出するために用意したデータを削除したの」
「え……てことはつまり……」
「ここから出られない……ってことだね」
「えぇえええええええええ!?」
リンの言葉を聞き、嫌な予感を決定的なものにするノクスの発言に……
「あ、あんなに苦労して、やっと元に戻ったと思ったら、まさかこれで終わりだなんて……」
「くそっ、モニカ様とデートしたこともねぇってのに、悔しいぜ……けど、なかなか悪くない人生だった」
「2人とも落ち着いて、他の手がないか考えてみる」
ニコとビリーの2人は悲観的になってしまい、アンビーは何とかしてこの状況を打破する方法を考え始めた……が、
「その必要はないみたい……だよね?」
『?』
ノクスは4人の中で1人だけ冷静な様子でおり、イアスの方を向いてリンにそう訊いたのだ。
「さっすがノクス!よく分かってるね!3人とも、そんなに悲観的になる必要はないよ。とっておきの切り札があるんだ!まぁ、それをやるにはニコの同意が――――」
「同意する!」
「え?受け入れるの早くない?」
「即答……」
リンによると、ハッカーが言うには金庫にはロゼッタデータ並みに価値のあるものが入っているらしく、それがあれば自由にホロウを出入りできるらしい。切り札というのは、そのハッカーの話に賭けて金庫の中身を使い、ホロウから脱出するというものなのだ。
「だから、ニコが同意してくれれば――――」
「同意する!さっきから言ってるじゃん!」
「え?そんなあっさり?依頼人の方はどうするの?」
「生きるか死ぬかの瀬戸際なのよ!第一あたしがここから出られなかったら、誰がその金庫を渡すっていうの?開けちゃっていいわ!」
そうして、あっさりとニコの同意も得たところで……
「暗証番号は?」
「それは分かってるよ」
早速、暗証番号を入れて金庫を開ける。その中から出てきたのは、一枚のメモリーカードだった。
「でも正直……私も何が保存されているかは分からないんだ。強制的にデータを読み取った結果、何が起きるかは……」
『……』
「けどもちろん、失敗した時の代替案も用意してある。H.D.D.システムがインターノットに、救援依頼を出してくれることになってる。その時は──」
「必ず助けに行く」
「!……ありがとね、ノクス」
そして……
「じゃあ、行くよ――――」
リンがイアスの頭部にメモリーカードを差し込むと……
『ンナナ―――!!』
『!?』
イアスから光が発せられたかと思えば、そのまま地面に倒れてしまった。
「て、店長!?」
「ちょっとプロキシ!?」
「っ!」
それを見て、ノクスがいち早くイアスへと駆け寄る。
「姉さん!……姉さん!」
ノクスが珍しく大声で呼び掛けるものの、反応が返ってくる様子はない。すると……
『……』
イアスは独りでに立ち上がると、そのまま黙ってどこかに歩き始めたのだ。
「プロキシ?」
「もう大丈夫なの?」
『……』
「何も反応ねぇぞ……?」
そんな事態に邪兎屋が揃って困惑する中……
「……試しについて行ってみよう」
『!』
「今は、これに賭けるしかない」
ノクスはそう言い、率先してイアスについて行く。そのノクスの言葉に、邪兎屋の3人も同じように思っていたのか、後に続いていくのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます。
今回は、オリジナルフォームであるノクスナイト・ショックを登場させました。見た目はノクスナイトをロードファイブの色に変えた姿となっています。
次回でこの章は最後となります。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。