小城探偵事務所   作:無月

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ストックはありますが、とりあえず一話だけ。

読者の反応見ながら投稿してみようかと思います。


プロローグ

「兄さん! 所長いる!?」

 

 きつそうな顔立ちの女性が事務所の扉を乱暴に開き、大きな声で問いかけた。

 

「どうしたんだい? 舘羽(タテハ)

 そんなに慌てて」

 

 女性とは逆に落ち着いた様子でパソコンに向かっていた青年が顔をあげれば、舘羽は溜息をつきながら彼の隣にある自分の机へとツカツカと向かって行く。

 

「それより質問に答えてよ!

 あの人の行動や行き先をしっかり伝えられてるのなんて徹兄さんぐらいなんだから」

 

「いや、そうでもないんだけど・・・」

 

 乱暴に席に座る不機嫌な舘羽と困った顔をする徹に助けようと動いたのは彼女達の上の妹・揚羽だった。

 

「まぁまぁ、姉様。コーヒーでも飲んで落ち着きましょう?

 兄様もいかがですか?」

 

「あぁ、欲しいかな」

 

 妹の申し出に優しく頷く兄とまだまだ不機嫌な姉にコーヒーを入れながら、他の所員にも視線をいきわたらせる。

 

「檜山さん、狩谷さん、千家さん。皆さんもいかがですか?」

 

「俺、砂糖三つ」

 

 一人の目つきの悪い青年がサバイバルナイフを研ぎながら応え。

 

「中国茶をお願いします」

 

 俳優でもしていそうなほど整った顔立ちの青年が、資料を見ながら告げ。

 

「僕はもうあがるんで、いらないです」

 

 色の白い青年が立ち上がり答えた。

 

「あんたたちは所長がどこに行ったか知らないの!?」

 

「矛先をこっちに向けんなよ、舘羽」

 

 サバイバルナイフを研いでいた青年が嫌そうに眉間に皺を寄せ、ナイフをしまって頭を掻く。

 

「姉様、落ち着いて。

 所長は今、午前中にやってきた子どもに頼まれて猫探しに行っていますよ」

 

「それじゃぁどれくらいで戻ってくるかわからないわね・・・」

 

 今にも舌打ちをしそうな様子の舘羽に皆が何事かと視線を集め、その視線に気づいた舘羽は溜息を零した。

 

「皆、今日はバイトの金田一くんが休みなのは知ってるわよね?」

 

「えぇ、姉様。

 それがどうかしたんですか?」

 

 代表して揚羽がコーヒーを差し出しつつ応えれば、舘羽は言葉を続けた。

 

「美雪ちゃんから連絡がきて知ったんだけど、金田一くんがどこかに出掛けているらしいわ」

 

 その瞬間、事務所の空気が凍り付き、所員の顔が硬直した。

 そして、千家は一人静かに上着を羽織り、すぐさま事務所の出入り口へと向かっていった。

 

「千家くん、あがりを理由に一人だけ逃げるなんてさせませんよ?」

 

 が、そんな抜け駆け行為を許すほど同僚達は優しくない。

 

「いや、定時なんであがらせてくださいよ!?

 僕、これからデートなんですって!」

 

「お前、俺らがそれ言った時なんて言ったか忘れてねーよな?

 俺達全員、必ず一度はあいつにデートをお釈迦にされてんだからなぁ」

 

 逃げ出そうとする千家の両肩を掴む狩谷と檜山。

 そして、話を聞いてわかる通り、この三人は揃いも揃って美人な彼女持ちというリア充どもである。

 だが、リア充にもかかわらず、日々を金田一という名の死神・・・ もとい某探偵の孫にデートを邪魔されるのだから哀れである。

 

「はぁ・・・ 明日は母さんとるりの買い物に付き合う予定だったのにな」

 

「また、調べ物の毎日ね・・・

 彼と一緒に行動してる友人の素性は勿論その親戚関係の洗い直し、故郷で起こった過去の事件の有無の確認。あとは・・・ 遺伝子関係も調べておく?」

 

 深い溜息を零す徹と左手を顔に当てつつも、右手では調べていく要項のメモを取っていく舘羽。

 

「檜山さん」

 

 そして、残ったのは事務所の良心ともいえる揚羽。

 彼女は先ほど姉を案じた時と同じ優しい微笑みを浮かべながら、千家に絡んでいた檜山に声をかけた。

 

「今すぐ所長の安否確認をお願いできますでしょうか?」

 

「よーし、わかった。

 揚羽さんがパニックになってるのはよくわかったから、落ち着け? な?」

 

 笑顔のまま力なく舘羽の隣にある自席へと座り、元々白い肌は血の気を失ったように青ざめる。

 

「揚羽、大丈夫だよ。

 所長の危機管理能力はずば抜けているし、金田一くん(ゴキブリ)並みの生命力はないけれど運はある方だ」

 

「そうよ、揚羽」

 

 兄姉揃って妹を落ち着かせてやろうと髪を撫でたり、手を握ってやったりとしていると、事務所の扉が再び開かれた。

 

「ただいま、皆。

 千家くん、檜山、狩谷? 三人して肩を組んでどうかしたのか? 仲が良いのはいいけど、入り口は邪魔だから。

 ・・・あれ? 舘羽くんはこの時間はまだカフェの手伝いじゃなかったっけ?」

 

「!!

 所長、よくご無事で・・・ おかえりなさい」

 

 何気なく戻ってきたのはこの事務所の主である小城拓也その人であり、所員の誰もが彼の無事に安堵する。

 いち早く揚羽が立ち上がって彼から上着を預かり、その帰還を笑顔で出迎える。

 

「無事? 舘羽くん、もしかして・・・」

 

「えぇ。所長、緊急事態よ。

 金田一くんが美雪ちゃん無しで、しかも彼女に場所の詳細も伝えずにどこかに出掛けたらしいわ」

 

「・・・おっと、報告書をあの子達の家に忘れたみたいだ。取りにいってくるよ」

 

 舘羽の報告にすぐさま身を翻し逃亡を図ろうとする所長の行動を、一本の腕が遮った。

 

「所長、所員に丸投げして自分は逃げるなんてしませんよね?」

 

「ハハハハハ・・・ はぁ・・・ そうだね」

 

 狩谷の問いかけに苦笑いを浮かべた後、小城は仕方なく中央の自分の席へと向かい腰かける。

 

「千家くん、悪いけれど君の今日のデートはなくなった。

 いや状況次第では、皆の休みは当面なくなると思ってくれ」

 

 全員に聞こえるはっきりとした声音で告げる小城に千家はうなだれ彼女に連絡を取り、他の面々も苦い顔をしたり、諦めたような溜息を零したりと忙しない。

 だが、そんな面々の表情を見渡しながらも、所長である小城は冷静だった。

 

「それじゃぁ千家くん、君は美雪ちゃんから金田一くんの今日の行動を聞いてくれ。

 僕と檜山はその情報がわかり次第、彼の捜索。発見し次第尾行を開始する」

 

「所長、檜山くんと千家くんの配置に異論はありませんが、所長が動くことには反対です」

 

「どうしてだい? 徹。

 この辺の地理は檜山より僕の方が詳しいと思うんだが?」

 

 副所長である徹の言葉に小城が問いかければ、彼は小城の言葉に頷く。

 

「もし事件が起こった場合、剣持刑事や明智警視に直接連絡取れるのは所長しかいないでしょう。

 それに万が一にでも所長が巻き込まれたら、僕達だけじゃ動きが取れなくなる」

 

「そうよ、所長。

 金田一くんが事件に巻き込まれるのはよくあることだけど、所長まで巻き込まれたらどうするのよ」

 

「所長・・・ お願いですから、事務所から動かないでください・・・」

 

 須賀兄妹による説得・心配・泣き落としの連携攻撃に身を引きつつ、狩谷からも諦めろという視線を送られる。

 

「はぁ・・・ わかったよ。

 檜山、千家くん。君達に頼むけど、くれぐれも深入りはしないように。危険を感じたらすぐにその場を離れること」

 

「はい!

 周りにいる面子の名前もわかり次第、報告します!」

 

「わかってるっつの。

 んじゃ、いくぞ。千家」

 

 小城の言葉に即座に上着を羽織って事務所から出ていく二人を見送り、残った面々へと視線を向ける。

 

「徹、舘羽くん。君達は二人から情報が入り次第、傍にいる者の経歴等の調査。

 狩谷は今回の件が事件になった場合に備えて仮眠をとってくれ、千家くんと交代してもらうだろうからね」

 

『了解』

 

「じゃ、仮眠室に向かいます」

 

 それぞれが指示通りに作業に向かう中、指示を出した小城と指示を出されなかった揚羽のみが暇を持て余し、小城はなんとなく事務所を見渡した。

 

「どうかなさいましたか? 所長」

 

「ん? いや・・・ 人が増えたなと思ってね。

 初めは僕一人だったから」

 

 クスクスと笑いながら揚羽が入れてくれた甘いミルクティーを楽しむ小城に、揚羽も自然と笑みがこぼれる。

(本当に、人が増えたなぁ)

 

 




・・・冷静に読み直すと、このプロローグの説明するのにあと三話投稿必要じゃね?

まぁ、反応見つつ次話はそのうち投稿します。
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