小城探偵事務所   作:無月

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独自解釈、原作改変、盛沢山。

事件の後日談。サラッとしか触れてない気もします。

というか、上中下がそれぞれ文字数が多かったからか、後日談がえらく短く感じる!
でもこれを(下)にくっつけるには区切りが悪かったからなぁ・・・

ストックがあと一本・・・ ふ、増やさなきゃ。
いや、なんか楽しんでくれてる方が多いからって調子に乗って連日投稿してたから仕方ないんですけども。
先に言っておきますが、ストックなくなったら書けたら投稿するようになるのでご理解を!


魔神村遺跡殺人事件 (後日談)

 磨陣村でのやりとりを終えて数日経ったある日、事務所にはるい子とさつきがお菓子を持って訪れた。

 

「あら、さつきちゃんにるい子ちゃん、いらっしゃい。

 所長、二人が来てくれたわよ」

 

「お久しぶりです、舘羽さん。先日はお世話になりました」

 

「ごめんなさい、小城さん。

 前もって連絡すべきとは思ったのだけど、学校帰りだとそうも行かなくて」

 

 二人の来訪を受けた舘羽が嬉しそうに出迎え、揚羽もすぐにお茶の準備を始め、声をかけられた小城も笑顔を返した。

 

「いらっしゃい、二人とも」

 

「これ、先日のお礼です。皆さんで食べてください」

 

 そう言って持ってきた紙袋を来客用のテーブルに置かれ、やや驚く。

 

「そんな・・・ 気にしなくてもよかったのに。

 依頼のお金は宗像氏からいただいたし、結構強行軍だったからむしろ申し訳なかったんだけど」

 

「依頼のお金は父からですけど、このお菓子はせめて私からと思ってるい子ちゃんと手作りしたんです。

 だから美味しくなかったらごめんなさい」

 

「ありがとう、事務所の皆でいただくよ。

 それで今日はどうかしたのかい?」

 

「いえ、本当に今日はこのお礼の品を届けに来ただけでこれといった用事はないんですけど・・・」

 

「最初に来た時の檜山さんの続報が気になったの。お話を伺ってもいいかしら?」

 

「るい子ちゃん、本当にそれ聞くの?」

 

「あら、さつきは気にならないのかしら?

 浮気調査でオカマバーに潜入なんて面白そうな話、他じゃ絶対聞けないわよ」

 

「それはそうだろうけど、檜山さんはあれだけ嫌がっていたし、本当に潜入したかなんてわからないじゃない」

 

「それも含めて聞くのよ」

 

 るい子がさつきに向けていた視線を小城に流せば、小城も涼しい顔でコーヒーをすすった。

 

「勿論行かせたよ、仕事だからね。

 昨日の夜に仕事を終えたみたいだから、そろそろ事務所に顔を出すと思うよ」

 

「流石小城さんね」

 

「小城さん、ちょっと悪い顔になってますよ?」

 

「ちゃーっす。

 あれ? さつき先輩とるい子先輩、来てたんすか」

 

 二人に笑みだけ返していると、金田一が入ってくる。

 

「あ、そーだ。所長。

 なんか事務所の前にア〇パ〇マ〇がいたんすけど、事務所で新しくパン職人とか雇ってないっすよね?」

 

「君はウチの事務所をなんだと思ってるんだい?

 ジャ〇おじさんとバ〇コさんもいないし、乳製品なワンコもウチにはいないよ?」

 

「ちーっす」

 

 金田一と小城がそんなやり取りをしていると檜山の声で入ってきたのは円形の顔をして、頬を真っ赤にしたア〇パ〇マ〇。

 

「・・・金田一くん。君って奴はついに事件や犯人だけでなく、彼まで呼び寄せる体質になったのかい?」

 

「俺が好きで巻き込まれてる訳じゃないこと知ってますよね!?

 てか、流石に俺が一言名前を呼んだだけで来るんだったら、そもそも事件だって彼に解決してもらいますって!」

 

「ア〇パ〇マ〇さん・・・ 飲み物は何がいいでしょう? 兄様」

 

「うーん、あんパンにはミルクが合うからミルクでいいんじゃないかな?」

 

 すっかり混乱している揚羽が徹に聞けば、徹は少し考えたふりをしながら笑顔で答えているが揚羽以外には彼の顔に書かれた『どうでもいい』の文字がはっきりと見えていた。

 だがそんな中、舘羽だけがプルプルと震えながら机に突っ伏していた。その姿で彼女が事情を知っていることは明らかだ。

 

「そこで楽しそうに震えている舘羽くん、昨日の時点で事後報告を受けてるんだろう? おそらく檜山であろう彼の現状について、説明してくれるかな?」

 

 小城にそう問われて突っ伏して震えていた舘羽が顔をあげれば、その目には涙すら浮かんでいる。

 

「おい、舘羽」

 

 膨れた顔から出てくるのは不機嫌な檜山の声で、顔と声のアンバランスさに金田一が噴出した。当然、檜山もどきは金田一へと視線を向けるが、睨みつけているそれすら金田一の笑いを誘った。

 

「あー笑った笑った。それにしても聞いてた以上にひっどい顔になってるわね、檜山。

 麗美ちゃんにはもう見せたの?」

 

 声を出しても笑われるため、檜山はポケットからメモを取り出して何やら書き殴って舘羽にメモと共に報告書等が入っているだろう封筒をまとめて放り投げる。

 

『見せられるわけねーだろ! お前、マジで覚えてろよ!』

 

「檜山、文句を言いたい気持ちはわからんでもないけど医者には行ったかい? 労災として対処するから治療しておいで。

 事後報告は舘羽くんにしてるみたいだし、事情はそっちから聞くから」

 

 小城の言葉に檜山はやや渋るようになかなか頷かないが、小城が『狩谷に車を出させるから』というと頷いた。

 

「では舘羽くん、報告を」

 

 小城事務所のやり取りを見ていたさつきとるい子は笑いが零れ、報告に目を輝かせているやらで室内は混沌極まっていた。

 

「今回の件、元々は奥さんから旦那への身辺調査・・・ ざっくり言うと浮気調査からだったのよ。

 始まりはありきたりで奥さんが旦那さんのスーツから拾った名刺だったんだけど、奥さんは最初てっきりキャバクラだと思ってたし、仕事の付き合いだってあると思ってたんだけどどうにも様子がおかしくて・・・ 私物から女物の化粧やら、イヤリングとかの装飾品が出てきて調査を依頼したみたい」

 

 笑いが止まらない様子の舘羽から語られる依頼は、もはや始まりからおかしい一件だ。

 が、誰もが皆、先の展開が気になっているため口を挟まない。

 

「事前調査の段階でそもそもそこの店がキャバクラじゃなくオカマバーであること、依頼人の旦那さんがお客さんとしてじゃなくて従業員として仕事をしていたのが判明。

 で、一応現地の状況を理解するために今回は檜山が現地調査に行ったんだけど、旦那さんは接客中。話を聞いてるとどうやら旦那さんの会社の同僚で会社規定にひっかかるから副業をしないように説得してたみたい」

 

 そこで舘羽はさっき檜山が投げつけてきた封筒からボイスレコーダーを取り出し、電源を入れる。

 

『この店のことや今のお前の姿についてとやかく言う気はないが、ここで働いてることが上司や他の連中にばれたらヤバいだろ。

 それに奥さんになんて言うんだよ、子どもだっているじゃないか』

『これは副業なんかじゃない! 本当の俺の姿で、天職なんだ!!

 それに嫁だって話したらわかってくれる、子どもたちだってきっと・・・』

『なら家族にしっかり説明して、今の仕事を辞めてからにしてくれよ・・・』

 

 そこで一度ボイスレコーダーを止め、舘羽は補足する。

 

「そこに奥さんが突撃しちゃって」

 

 ボイスレコーダーから椅子が動くような音と、直後に肌と肌がぶつかる音がした。

 

『いくら何でも男と浮気するなんて酷すぎるわ!』

『え・・・ いや、ちょっとやめろって』

 

 ここで檜山の制止の声が入り、そこにあちこちが壊れるような音と殴り合いのような音。

 

『それにその人、親友って言ってたのに! まさかその人が浮気相手なんて・・・!

 こんなお店で女装までして相手しようとするなんて、最っ低!』

『いや違いますって! そもそも俺、男になんて興味な・・・』

『ここにいるのは皆、女よ!』

『いやいや、ちょっと落ち着けって。それにちょっ、あぶなっ!?』

 

 引き続き言い合いの声と檜山や他従業員の制止の声、破壊音や同僚の言葉、それに対してどこかずれた旦那の声らしきものが入り、その現場もまた混沌極まっていたことがわかる。

 ボイスレコーダーを聞き終わると室内は笑いをこらえる者や困った顔をする者に別れ、頭を抱えた小城の深いため息が零れた。

 

「・・・これは事務所で話し合いの流れ、かな?」

 

「いえ、私達は報告書を郵送して代金を請求。

 あとは弁護士を紹介出来るって伝えればいいんじゃないかしら?」

 

 要するにあとのことは全て弁護士に丸投げし、全ては夫婦とそれらに関与した者だけで片付けろということだが、探偵に出来ることはここまでである。

 

「素晴らしい采配だね、それで行こう。

 るい子ちゃん、さつきくん、結果にはご満足いただけたかな?」

 

 事の顛末を知りたがっていた二人に聞けば、さつきは苦笑い、るい子は満足そうに微笑んで頷いた。

 

「えぇ。ある意味で想像を上回った予想外の展開で、とても素晴らしかったわ」

 

「るい子ちゃんが美雪ちゃんに苦手意識持たれてるのは、そういうところだと思うなぁ」

 

「フフフ、知っているわ。

 でも、事件ホイホイである金田一くんから離れない辺り、あの子もどこかで私と同じ気質だとは思うわよ?」

 

「・・・それ、絶対美雪ちゃんには言わないようにね?」

 

「るい子先輩、俺のことゴキブリホイホイみたいな言い方しないでほしいんですけど!?」

 

 るい子の発言に金田一が反応し、聞いてた舘羽が茶々をいれる。

 

「ゴキブリホイホイは寄ってきたゴキブリを減らせるけど、金田一くんの場合はどうかしらねぇ?」

 

「舘羽、それは言っちゃいけないお約束だよ」

 

「皆、ひっでー!」

 

 いじられた金田一が再びギャースカ言えば、そこで笑いの輪が出来る。

 そこからこっそりと離れさつきが小城に近寄り、小声で話し始める。

 

「あの後、九十九さんから連絡が入りました」

 

「・・・何か、あったのかい?」

 

「父は九十九さんに全てを話さなかったみたいで、母が病死したことと遺言として葬儀をしないことを告げられたそうです。

 それから魔神具についても父達が村から持ち出そうとした時に突然魔神具目掛けて雷が落ちてきて、幸い誰も怪我はしなかったらしいですけど魔神具は粉々になったと聞きました」

 

(だからかーーー!!!

 っていうか、もうマガドリ様ってば磨陣村を見限って鞍替えしてませんか!? まさかウチを次の安住の地になさるおつもりか?! いや神様だから鞍替えじゃないな! なんだっけ、遷都・・・じゃない! 奉遷!? 自ら神使遣わして奉遷したの!?)

 

 烏が置いて行ったくだりに納得しつつも恐怖を抱き、内心で小城が絶叫する。

 

「ホント、嘘ばかりで呆れちゃいますよね。

 九十九さんも何かを察しているみたいで、退職をして村を離れることにしたそうです」

 

「そうか・・・」

 

 小城が何とも言えずにいると、さつきは明るく笑って見せた。

 

「なんだかようやく、全部が終わった気がするんです。

 進路のことは考え直さなきゃいけないけど、私はもうどこにだって行けて、何だって出来る。

 そう思うとなんだか肩が凄く軽くて、目の前が明るくなったみたい」

 

 そこに無理をした様子は見られず、小城はそんな彼女を眩しそうに目を細める。

 

「それも全部、小城さん達のおかげです。

 改めて、ありがとうございました」

 

「いいんだよ、そんなこと。

 大人は子どもを守るもので、君達子どもはもっと頼っていいし、甘えていいんだ。

 村でも言ったけどこれからも僕らをしっかり頼って、君を可愛がりたがってる舘羽くん達に甘えに来なさい」

 

「はいっ、これからもよろしくお願いします」

 

 さつきの晴れ晴れとした笑顔に、小城はようやく事件の終わりと一時の穏やかな日々の始まりを感じることが出来た。

 

 




(用語説明)
奉遷 → 神体などを他の場所に移すこと
     本来なら神社それぞれの儀式をもっておこなわれる

つまり本来は、神様が自分からホイホイ来たりはしません(;^ω^)


がっつりとした事件の後はちょっと軽めの話へ。
次話の次話は書き出しが今、頭に浮かんでるんで書いてきます。
救いたいなぁ・・・ 幸せにしたいなぁ。
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