〆の七話。
事件から数か月後の某日、金田一達は送られてきた招待状に導かれるようにある会場を訪れていた。
「うわ~、すっごい人! これ、みんな左近寺さんのマジックを見に来た人!?」
「無理ないさ、例の事件で奴はワイドショーに出ずっぱりだったからな」
人混みの中ではぐれないように行動する中には金田一と美雪、佐木兄弟とマガドリ様というあの列車に乗っていた面々。そして、小城の姿があった。
「小城さん、大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ」
「少し人混みに酔ってしまってね・・・」
(いやそもそもこの招待券って、誰が送ってきたんだよ・・・ あの左近寺が送ってくるとか考えにくいし、まさかこれも彼の差し金か?)
金田一から手渡された何故か小城の分も用意された招待券に従ってついてきたが、小城はもう既に青い顔をしていた。
「事件の当事者ってことをうまく利用して、ちゃっかり自分を売り込んじまったってわけさ」
「金田一くん、気持ちはわかるけどそんなことを言わない。
言ったところで彼がどんな人間であるかなんて、舞台に立っている時は関係ないんだからね」
「でも、所長!」
「あら、金田一くん達じゃない!」
軽蔑していることを隠しもしない金田一の物言いを注意すれば、後に続いた言葉に金田一が言い返そうとしたところで聞いたことのある声にそちらを振り向いた。
「さとみさん!」
「久しぶりー、元気してた?
あっ、と・・・ こちらの方は?」
金田一達が挨拶してる中、小城に気づいた残間が金田一に聞くと小城の方から手を差し出した。
「初めまして、僕は金田一くんのバイト先の上司で・・・ 「俺のバイト先の探偵事務所の所長で、俺が一番頼りにしてる人だよ」 金田一くん、人が話してるところを割り込まない」
「へー! やっぱり探偵事務所で働いてるんだね!
あっ、すみません。私は以前の列車の事件で金田一くん達と知り合った、今は流森奇術会ってところに所属してます。マジシャン見習いの残間 さとみです」
「これはご丁寧に。
僕は小城探偵事務所の所長をやっている、小城拓也というものだよ」
名刺を手渡しつつ自己紹介をし、お互いに頭を下げれば小城は金田一達に譲るように一歩下がる。知り合い同士での会話の方が弾むし、楽しいだろうという配慮に金田一達がさとみへと前に出た。
「他のところに所属して、さとみさんはマジックを続けているんですね」
「そりゃそうよ、あたしからマジックを取ったらなーんにも残んないもん。
『幻想魔術団』ほど有名じゃないけど先生は良い人だし、楽しくやらせてもらってるの」
「それなら今度、是非足を運ばせてもらってもいいですか?」
佐木一号が一歩踏み込む形でそんなことを言えば、残間はすぐに顔を赤くするがしっかりと頷いた。
「も、勿論! ショーがある時、連絡・・・ あっ、でも私は流れの仕事だから」
「これ、僕の連絡先です」
「えっ! い、いいの?」
「えぇ。あなたのマジックを是非撮らせてほしいんです」
佐木一号も表情は真剣でありながらほんのわずかだが頬を赤らめながら告げている様子から、撮影ばかりの彼にも恋愛感情というものが存在していたらしい。
(なんだこの展開・・・ 俺はこんな佐木一号を知らない)
知らない間に生まれていた
(まぁ幸せそうなら、なんでもいいか)
「兄さんの恋路! 僕は全力で応援し、それら全てを大切な記念として撮らせていただきます!!」
「あらあら」
「あの佐木一号がなぁ。つーかこいつ、ちゃんと恋愛とかそういうのに興味あったのか」
金田一と意見が一致していることを少し複雑に思うが、それは仕方ないのかもしれない。そうしたやりとりを聞いていれば、ガヤガヤと騒がしい集団がこちらへと近づいてきた。
(見たくない・・・ もう全然見たくないし、関わりたくない・・・)
だが、小城が見なくても金田一達は見るのである。
「いや~ショックでしたよ、信じてた仲間が殺人鬼だったんですから」
「しかも左近寺さん自身も命を狙われたそうですね」
「えぇ、でも僕は彼にも少し同情しているんですよ。
孤独な生い立ちで、恐ろしい被害妄想に取り憑かれてしまったんでしょう。彼には心を入れ替えて、一日でも早く社会復帰してほしいものですね~」
左近寺の口から出てくる白々しい言葉の数々に小城は冷めた視線を送り、存在感を消すようにさらに一歩下がった。
「おやぁ~? 君達、お揃いでようこそ!
僕のマジシャンとしての新しいスタートを見に来てくれたんだ?」
(やっぱりこいつが招待券を送ってきたわけじゃないのか? じゃぁやっぱり、この招待券は・・・)
「あぁ、見に来たよ。あんたが近宮玲子から盗んだマジックをね!」
金田一からの挑発に左近寺はやはり悪びれることなく、トリックノートは近宮から貰ったものだと言い張り、挙句には仮に自分が細工していたとしても落ちたのは偶然だと言い張る。
「僕には彼女がそこに足をかけるように仕向けることなんて出来っこない。
要するに運がなかったんだよ、あの人はね」
笑いながらそんなことを言って去ろうとする左近寺に小城は自分の芯が凍てついてくのを感じながら、一歩踏み出そうとした瞬間、小城の頭の上にいたマガドリ様が(`⊙ω⊙´)カッ!!と目を開いて纏っていた雰囲気が変わり、その場の空気すらも変えていく。
【誇り高く、叡智持つ偉大な師を手にかけ、師が遺した遺産を自らのものだと騙る姿はなんと醜悪なことよ。
愚かで罪深き道化師よ、狂言弄する貴様の末路は既に決まっている。
誇りなき演者が舞台に上がることが如何に罪深いか、その身をもって知るだろう】
どこからか地響きのような声に左近寺を囲む撮影者には聞こえないのか、金田一らと左近寺達は声の主を探すように周囲を見渡した。
「な、なんだよ、この声。
おい名探偵! お前、まさかまたおかしなトリックを俺に披露しようってんじゃないだろうな?」
冷や汗を浮かべた左近寺は金田一に向かって問うが、金田一も周囲を見渡していることに気づく。だが、自分の周りの撮影者達が彼の言ってることに意味がわからないとばかりに首を傾げていることに気づいて、どうにか余裕の笑みを顔に張り付かせた。
「な、なーんちゃって。
おかしいなぁ? まさか僕の新しい門出に山神さん達も応援に来てくれてるのかな?」
【ほう? 我の言葉を都合よく、死者の言葉と見做すか。
本来であれば不敬とし、自ら罰を下すところだが・・・ 貴様には
貴様には偉大な師自らが罰を下し、その魂を業火に包むだろう】
言うだけ言って( ˙-˙ )スンッと場の空気も表情の変化と共に元に戻り、左近寺はマガドリ様の言った内容に冷や汗をかきながらも何事もなかったかのように去っていく。
「ねぇ所長、今ミコトちゃんが言った内容って・・・」
「いや、わからない。というか、事件の概要は君から聞いてるけど、どういうことだい?
まさかあの事件の真っ最中も君を助けた以外に、マガドリ様は何かに気づいてる素振りがあったりしたのかい?」
「いや、別に思い当たる節は・・・ ん? そういえばミコトちゃん、なんかずっと高遠のことばっか見てた?」
本人に確認するように視線を向けるが、マガドリ様はもう関心をなくしたのか人の賑わいを見て楽しんでおり、答えてくれそうにない。
「罰を下す、か・・・
神様が言うなら、これはもう避けられないところまで来てるのかもね」
「所長・・・ その、ずっと聞けなかったんですけど、高遠遙一と知り合いですか?」
「『地獄の傀儡師』と僕が? どうしてだい?」
「奴が警察に連行されてる時に言ったんすよ、『小城くんによろしく伝えておいてください』って」
そこでサァーッと小城の顔から血の気が引き、声が震えだす。
「殺人鬼である彼が?」
「所長、そんな顔しなくても大丈夫ですよ。奴はもう捕まってんですから」
「いや、君は慣れているかもしれないけど僕は殺人事件とは無縁の一般人だからね? 面識のない筈の殺人鬼に顔と名前が知られてたら、怯えるのが普通なんだよ?」
「いや、小城さんも一般人っていうのは無理があるのでは?」
「ですよね。出雲とか長野、青森での出来事もありますし、結構いろいろ巻き込まれてますもん」
佐木兄弟の否定の言葉を聞こえなかったフリをして、そのまま残間と共に会場へと向かっていると今度は剣持が声をかけてきた。
「おぉ小城、お前まで来てたのか」
「えぇ、どこから送られてきたかもわからない招待券が僕の分まであったそうなので」
「それはそれは・・・ また随分と意味深ですね」
剣持の隣にいた明智が興味深そうに目を細め、小城も肩を竦める。
「えぇ、本当に。
死神に愛された金田一くんに影響されて、僕も何かに愛され始めたのかもしれません」
「所長! それ、どー言う意味っすか!」
小城の言い草に金田一が噛みつくが明智に座るように促され、小城が明智の隣に、金田一らは剣持側に座った。
のだが、佐木一号はしれっと残間の隣に座った。
「あれ? 佐木一号?」
「フフッ、竜太くんって意外と積極的なのね」
「何お前、抜け駆けしてんの!? 俺もおっさん達よりさとみさんの隣で見たいんだけど!」
「それなら遠慮なく、もっと離れた席へとどうぞ。
僕は小城くんと静かに楽しませていただくので」
「なんで所長が明智さんと一緒に見ること確定してんのか、意味わかんねーんですけど!」
にこやかにそんなことを言う明智にすぐさま金田一は噛みつくが、明智は舞台へと視線を移しながらつぶやく。
「もっとも僕は別に左近寺のマジックを見に来たわけじゃありません。
ただ何か・・・ 何かが起こりそうな気がしてね」
(やーだー、もぉー・・・ 金田一然り、明智さん然り、こいつらの嫌な予感って的中しかしないやつじゃん。マガドリ様も変な予言しちゃってるし、もうマジで帰りたいんだけど)
小城の内心の嘆きを嘲笑うように開演を告げる音が鳴り、舞台が幕を開けた。
開演を告げるのは当然左近寺であり、得意げにマントをなびかせて堂々と舞台に立つ傍らにはアシスタントを務める桜庭の姿があった。残間の話によると別のマジック団から声がかかっていたのだが、左近寺が法外な報酬を使って無理やり引き抜いたらしい。
「なるほど。
左近寺からしてみれば一番厄介な証言者を金で絡めとり、手元に置くことで自分に不利な発言をさせないようにしたんでしょうね」
「フッ、金の力は便利ですからね」
「おい、小城」
「僕もよくやることなので、なんだか少し親近感がわきますよ」
『あんな人と
残間以外の声が揃ったので、周囲が軽くざわめくが慌てて周りに謝罪し、黙って左近寺のマジックショーを見ることに集中した。
様々なマジックが次々と飛び出し、観客達の拍手喝采を他人事のように聞きながら、いよいよ最後のマジックが始まる。
「皆さんはベルギーの画家、ルネ・マグリット作の『ピレネの城』という宙に浮かぶ巨大な岩を描いた名画をご存知ですか?
さて、まさにその不思議な絵の如く、この巨大な岩が宙に浮かぶとしたら?」
そう言って指を鳴らした左近寺の合図と共に幕が上がり、説明通りの巨岩が現れる。
「へー!」
「きっとこれも近宮さんのノートから盗んだのね」
感心する佐木二号に対し、しれっと本心から、事実だけど口にしてはいけないことを言ってしまうのが
「今から岩の中に僕が入ります。すると岩はふわりと浮かび上がり、ひとりでに炎に包まれて燃え尽きてしまうのです。
マジックタイトルは名付けて『無重力岩 天外消失』!」
マジック名を宣言し、中に入った自分は一切問題なく、マジシャンは消えることが商売だと言ってのける。タネも仕掛けもないことをアピールしながら、自分が何も出来ないように両手足に手錠をかけ、桜庭の手を借りてしっかりと岩を閉じた上に厳重に南京錠をかけさせて、岩は宙に浮いていく。
そうして高く浮き上がった岩が左近寺の説明通りに炎に包まれていけば、突然岩の中から扉を叩く音と共にパニックになったような左近寺の声が叫ぶ。
「おい! 事故だ!! 開けろ! 熱い!!」
だが、そんな叫びは前もって言われた説明によって観客は演技だとしか思わず、すぐに救助に動くことはない。
(これが彼の・・・ いいや、彼女が愚かな弟子達に贈った炎の鉄槌、か)
小城同様にどこか呆然と、淡々と冷めた視線で燃え盛る岩を見るマガドリ様は、ある意味で神様の一面として正しい無慈悲で無関心なものだった。
「開けてくれぇ~! 桜庭ぁ! 早くしろ! 熱い! 助けてくれぇ!!」
いよいよ耐え切れなくなったのか、岩の中にいた左近寺が中から扉を開けて逃げようとする。だが、彼の体は既に炎に包まれて黒い何かにしか見えなくなっていた。慌ててスタッフや金田一らが駆け寄り、消火器をかけるが既に焼け石に水。もはや救急車も意味がなく、左近寺は舞台で焼死した。
「ど、どうなってんだよこりゃ。リハーサルの時は何もなかったのに!」
『左近寺には近宮玲子本人が裁きを下すでしょう、燃え盛る「炎の鉄槌」をもってね』
金田一は高遠が言い残した言葉が脳裏をよぎり、ついさっき聞いたばかりのマガドリ様の言葉も再生された。
『貴様には偉大な師自らが罰を下し、その魂を業火に包むだろう』
「の、呪いだ・・・!」
アシスタントをしていた桜庭が舞台の隅で怯え、体をガタガタと震わせていた。
「先生が自分を死に追いやった左近寺さんを・・・・!」
混乱極まる舞台を眺めながら、小城は他人事のように観客席からゆっくり立ち上がり、観客の混乱を少しでも鎮めるために動き出した。
左近寺の焼死事故が起こってから数日後、明智と剣持に呼び出された小城らはファミリーレストランで食事を取りながら、今回の一連の事件と事故について話し合っていた。
「あの・・・ 僕は事故にしか立ち会ってないんですが? 明智さん」
「君の冷静な意見が欲しいんですよ、小城くん。
それに事件に立ち会っていないのなら、事件を第三者目線から見ることが出来るでしょう?」
「はぁ・・・」
そこからまず明智から明かされたのは左近寺が焼死したあの日、高遠が旭川留置場からまるでマジックのように姿を消し、逃亡したこと。
「ま、高遠の脱出方法こそわからずじまいですが、『左近寺殺害』マジックのからくりはわかりましたよ」
美雪も含めその場にいる全員が偶発的な事故などではないと確信していたこともあり、明智によってトリックが説明されていく。
あの巨岩のマジックは本来であれば火がついてすぐに脱出し、安全なところからあたかも自分が炎に包まれているように演じてから、どこからともなく無事な姿を見せるというもの。
『ひとりでに燃え盛る炎』は内側から発火温度の低いリンで作りだしており、リハーサルでは成功したにもかかわらず、本番では左近寺が脱出する前に炎がついてしまったのだ。
「ど、どうしてかしら?」
「スポットライトか!」
『スポットライト?』
「その通り」
まさか電灯で炎がつくとは思っていなかった美雪と佐木兄弟が驚くが、明智の話ではリハーサルではついてなかったスポットライトがずっとつけられ、その熱によって発火したリンが左近寺を燃やしたのだ。
「でも妙だな? あのマジックも例のトリックノートから使われたんだろ? 本当にそんな欠陥マジックが天才・近宮玲子のものなのか?」
「・・・もし、僕が近宮玲子なら」
金田一が明智へ向けた問いかけに、小城は突然口を開いた。
「狙われているとわかっているトリックノートを、わざわざ二冊も用意しない。
ましてや自分が死ぬ数日前に本物を息子に贈るような用心深さを持っているのなら、尚更」
「所長?」
「それでもノートを二冊用意するのなら・・・ 僕なら罠を仕込んでおくよ。
そのノートの価値を理解し、
小城の顔にいつものにこやかさや穏やかな表情はなく、どこか冷たい印象を持つ顔に明智とマガドリ様を除いた面々が驚く。
「流石小城くん、その通りですよ」
そう言って明智はテーブルの上に高遠が留置場に残していった二冊のトリックノートを置き、金田一は『無重力岩 天外消失』が記載された最後のページをめくった。だが、左近寺が持っていたノートにはあるそのマジックの詳細が、高遠の持っていたノートには記載されていなかった。
これこそが高宮玲子自身が仕組んだ死の制裁であり、『炎の鉄槌』だったのだ。
「高遠はあの日、奪われたトリックノートの最後のページを見て、それに気づいたんでしょう。だからこそ彼は、あっさりと捕まったのです。
この恐ろしい『死のマジックショー』の華々しい最後のトリを、彼の母親に譲るためにね」
その場にいる全員が恐ろしい何かを感じる中で、小城はとっさに煙草を探すような仕草をしてしまい、口元に手を当てる。
「また随分と、末恐ろしい犯罪者が現れてしまったものですね・・・」
「えぇ、本当に。
あの男は天性の犯罪者です。このまま野放しにしておけば、いずれまた何かをしでかすかもしれません。『地獄の傀儡師』としてね」
「上等だぜ、そん時はまた俺が捕まえてやるさ! ジッチャンの名にかけて」
真剣な顔をする金田一を見ながら、小城はやれやれと溜息を零す。
「そうさせないための僕ら大人なんだけどね・・・ 君が立ち向かう必要なんて本来ないんだよ」
「所長! でも俺は・・・!」
「わかってるよ、君が何もしないでいられないことは。でも、もっと大人を頼りなさい。
君が立ち向かうというのなら、僕は・・・ いいや、僕らは全力で君を助けるし、危ないことに突っ込もうとするなら止めることは出来なくても、君が怪我をしないように助けになる。実際、今回はマガドリ様が君を助けてくれただろう?」
小城の言葉に同意するようにマガドリ様が嘴を開いて鳴く仕草をして、彼の頭をワシャワシャと撫でる。
「あんまり無茶して周りを心配させないように、君に何かあったらいろんな人が悲しむんだ」
「所長、そんなこと言われたら・・・ 俺、もうどうしたらいいか・・・」
そんなことを言いながら金田一が手を伸ばしたのは、何故か美雪の胸。
「きゃあ!?」
悲鳴を上げるとともに反射的に美雪のビンタがとぶのだが、何故か既に金田一の手には彼女のブラがあった。
「金田一ぃ! お前、俺達の前でずいぶんなことをするな?」
「窃盗罪、ですかね」
「あっ、やべっ」
ついいつもの調子でやってしまったとばかりの金田一は、静かに立ち上がる警察官二人から逃げるべくダッシュでファミレスから逃亡。彼らを追う形で佐木兄弟も出ていき、美雪と共に取り残されてしまった小城は溜息をついた。
「彼はマジックショーを見て、随分あれなことを覚えてしまったね・・・」
「こ、小城さん、その・・・」
「舘羽くんに連絡するよ。男と二人っきりでその状態じゃ、どこかに行くのも嫌だろう? 少し待っててくれるかい」
「すいません。ありがとうございます」
羞恥で赤くなる美雪にマガドリ様を手渡して胸のあたりで持ってもらい、舘羽が来るまでの少しの間を小城は酷く長く感じるのであった。