小城探偵事務所   作:無月

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キリがいいのはとりあえずここまで。

ストックはまだあるけど、投稿のタイミング悩ましい。


日常

 黒死蝶殺人事件後、いくつかの事件を経て、小城は今に至っていた。

 所員も徹、舘羽、揚羽以外に檜山達之(『墓場島殺人事件』における犯人『亡霊兵士』)、狩谷純(『金田一少年の決死行』における犯人『巌窟王』)、千家貴司(『魔犬の森の殺人』における犯人『ケルベロス』)など増えた。

 その経緯はいずれ語ることになるだろうが、事件の縁もあって剣持刑事や明智警視ともかかわることなり、流れるように金田一少年を彼らによって押し付けられアルバイトとして雇うことになってしまったのだ。

 

「所長、今戻りました」

 

 檜山の声に顔をあげれば、そこには顔に紅葉を咲かせた檜山が立っており、千家と共に金田一をぶら下げるように捕まえていた。

 

「おかえり、綺麗な紅葉だね。

 良い紅葉日和じゃないか」

 

「所長・・・?」

 

「今度皆で温泉旅行なんてどうかな? 露天風呂から秋景色を眺めないか。

 勿論僕の奢りで、彼女さん達も誘ってね」

 

「しょ・ちょ・う?」

 

 現実から目を逸らす小城へと『こちらを見ろ』と言わんばかりの低い檜山の声。

 現実はいつまでも小城の逃避を許してはくれない。

 

「それで千家くん、誰が死んだんだい?」

 

「檜山さんの尊厳と俺のデートです。あと多分、俺の心も・・・」

 

 荒んだ目で報告する千家に小城は内心で合掌する。

 

「おいおい、忘れもんだ。

 こいつの半身もこれから死ぬんだよ」

 

 ニッコリと笑い首元を掴んだ金田一をソファへと投げ、檜山は愛用のサバイバルナイフを取り出した。

 

「千家、お前は右をやれ。俺は左だ」

 

「はじめ、お前にはデートがいらない体にしてやるよ」

 

 普段温厚な千家までもが爽やかな笑顔を浮かべて、死刑宣告を行う。

 

「ヤダ俺、女の子になっちゃう・・・!」

 

 ここまで来て、ふざけることの出来る金田一にはもはや称賛すらしそうだ。

(死ぬのは下半身なんだね・・・)

 

「揚羽くん、狩谷くんを起こしてきてくれ。資料室にいる舘羽くんと徹にも伝えてくるようにね」

 

 とりあえず、女性に見せるものではないと報告がてら避難をさせ、小城もソファの方へと歩み寄る。

 

「それで金田一君、君は何をしようとしたんだい?」

 

「それはさぁ、所長。男の子のひ・み・つ♪」

 

「・・・千家くん、この間買っておいたバズーカが奥にあるから持ってきてくれるかい?」

 

「はーい、所長。

 あとペンチとかいります?」

 

「剥いだあとに刺す用の鉄串もかなぁ」

 

「はーい、ちゃんと炙って持ってきまーす」

 

 上機嫌なまま奥へと行く千家を止めずに、小城は指示を出す。

 

「ここ、本当に探偵事務所!? 拷問部屋とかじゃないですよね?!」

 

「何言ってるんだい、金田一くん。

 今からここは処刑場だろう?」

 

「ごめんなさい! 正直に話すから、命だけは!」

 

 ニッコリと笑う小城に本気で焦った金田一もふざけることをやめる。

 

「で、何をしようとしたんだい?

 美雪ちゃんも心配してるし、檜山の顔は紅葉が咲いてるし、千家くんは荒んでるし」

 

「えーっと・・・ その・・・ 仲間達と芸術的な鑑賞会をですね・・・」

 

「剣持さんと明智さん、どっちがいい? 君、未成年でしょ」

 

 気まずそうに告げる金田一の言葉で小城は全てを察し、警察に行こうかと柔らかく告げてやる。

 だが、そうなると成人している檜山の紅葉が説明つかない。

 

「すいませんごめんなさい! だから美雪には黙っててください!!」

 

「それは僕じゃなくて、千家くんに頼むべきだったね」

 

 

「あぁ、七瀬? 金田一、見つかったよ。

 それがさぁ、どこだと思う?」

 

 

 こちらにも聞こえるように大声で電話を始めている千家に金田一が慌てだす。

 

「待ってくれ! 千家! 誘わなかったのは悪かった!

 けどお前、美人な彼女いるじゃん!」

 

「その彼女とのデートが潰されたんだよ! おまえのせいでなぁ!」

 

 男・千家、魂の叫びである。

 

「じゃぁ、檜山の紅葉は?」

 

「それは俺から説明します。

 これがどこにいたかはもう所長にもわかるでしょう?」

 

「うん、十八禁コーナーだね」

 

「そこに張ってたら、俺の彼女と鉢合わせしちまいまして・・・」

 

「・・・うん、いい紅葉が咲いたんだね」

 

「えぇ、スナップの利いた良い一撃でしたよ。

 挙句、浮気者って店内で大声で言われるし、いつの間にか仲良くなった千家の彼女にも連絡するって言いやがって・・・」

 

 死亡者に含まれていた千家の心の理由がわかり、小城は目に手を当てて天井を仰いだ。

 

「うん、君の下半身が死んでも仕方ないね。

 金田一くん、覚悟は決めたかい?」

 

「そもそも何で俺が出掛けると全員で捜索にかかるんですか!?」

 

 それにはあえて誰も答えず、千家が元気よく手をあげた。

 

「電話終わりましたー! 七瀬はこの後来るそうでーす!」

 

「終わりましたじゃねぇよ! 何してくれてんだ千家えぇぇーーー!」

 

「速水玲香にも連絡しようぜ、千家」

 

「流石に番号知らないですよ、檜山さん」

 

「知ってたらやんのかよ!」

 

「アイドルをこんなことに巻き込むんじゃない」

 

 一瞬、ガチギレで小城が注意を促せば、二人も渋々静まる。

 

「所長・・・ 玲香ちゃんのファンなの?」

 

「意外だな、所長が今時のアイドルに興味あるとか」

 

「揚羽さんが知ったら泣きますね、あと徹さんキレそう」

 

「一般常識での話だよ」

 

 矛先が小城を向くと同時に、事務所の扉が勢いよく開いて七瀬美雪が飛び込んでくる。

 

「小城さん、すいません!

 はじめちゃんがまた迷惑かけたみたいで、私もすぐに舘羽さんを頼っちゃって・・・」

 

「いや、かまわないよ。

 揚羽くん、美雪ちゃんに紅茶を出してあげて」

 

 その後ろに報告を終えたであろう揚羽が続き、小城は物騒な物をすぐさま隠す。

 

「え、ちょっと待って? 今、マジでバズーカあった? 鉄串も?

 ねぇねぇ、どういうこと? 小城さーん? 所長ー?」

 

 小声で聞いてくる金田一に視線を合わせ、にこりと笑う。

 

「金田一くん、いいね? 君は何も見なかった」

 

「変わったパーティーグッズですね、はい。

 今度、向こうの河原でバーべーキューしましょう」

 

「肉はテメーの奢りだ、金田一」

 

「バイト代が!?」

 

「前借りしておくね」

 

「来月の分も!?」

 

「ほら、るりちゃんと緑さんの分もあるから。多い方がいいだろう?」

 

「僕の彼女と森下の分もね。あと犬も」

 

「犬まで勘定したらキリがねぇよ!」

 

 金田一の悲鳴が上がる中で、小城は気が済んだように自分の席へと座りなおす。

 そうすれば自然と揚羽がお茶を差し出し、騒がしくも穏やかな日常が流れ出す。

 

「はぁ、まったく・・・ 楽しいじゃないか」

 

 




金田一のふざけっぷり、結構好き。
こいつの台詞はふざけてる時も真面目な時も考えるの楽しい。



救いたい、死んでほしくない、そんな気持ちから生まれたこの作品。
あなたの死んでほしくなかったキャラは誰でしたか?
作品に影響とかはなく、あなたが死んで悲しかったキャラを知りたい。
私が死んでほしくなかったキャラは、これから明かすことが出来るでしょう。
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