小城探偵事務所   作:無月

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独自解釈、原作改変、盛沢山。

二話目ー!
しかし、今回は文字数的には短いし、さっくりとした片付け方かも?
そして、後書きでちょっと考察語ります! 読みたくない方もいると思うので警告警告!


首吊り学園殺人事件 (後編)

 宇多子からの依頼を受けて、すぐに小城は四ノ倉学園について可能な限りの情報を集めることから開始した。

 学園の基本情報から在籍講師や現在の生徒数、さらに年間の自殺者に加えて可能な限りの詳細情報やその原因の追究。得た情報の中で小城が最も驚いたのは原作であれば既に亡くなっている筈だった『深町 充』の生存だった。

(どうして生きているんだ?

 いや、生きているに越したことはないし、今はそこは問題じゃない)

 原作との差異がある以上、念のためにと浅野 遙子(原作における犯人)について調べればそちらとはガッツリ肉体関係があることが判明してしまい、小城は再び頭を抱えた。

(だからさぁ、いい大人が自分の年齢の半分も下の学生に手を出してんじゃねぇよ・・・)

 

「小城さん、大丈夫ですか?」

 

「ありがとう・・・ 揚羽くん」

 

 紅茶と茶菓子を持ってきてくれた揚羽にお礼を言いつつ、日々集まってくる四ノ倉学園の情報に所員達は正直うんざりしていた。

 志望大学などの合格率等の数値に偽りはなく、勉学で励んだ結果成功を掴んでいる生徒がいるのは事実だった。

 が、その一方で陰の部分だとばかりに同じだけ存在する自殺者や陰湿ないじめ問題が存在し、ここ二年間だけでで七人もの生徒が自殺していた。

 

「しかし、とんでもない土地ですよね。

 五十年前は戦犯者を収容するための監獄で、そこでも自殺が絶えなくて、以後も持ち主が変わっても自殺等が絶えないなんて」

 

「こんだけ人の死が連鎖してんじゃ、あの薄気味悪い依頼人じゃないが霊とかいても不思議じゃねーよなぁ」

 

 檜山が乱暴に頭を掻いていると、資料を見ながら徹が考え込む。

 

「兄さん、何か気になってるの?」

 

「いや・・・ 敷地内の図を見ても慰霊碑らしいものが一切見つからないのが妙だな、と思っただけだよ」

 

『えっ?』

 

 徹の何気ない発言に小城も目をむき、慌てて資料の中にある敷地図を見直すと確かに慰霊碑が存在しない。

(なんでだよ!? 本当にここ、日本の建築会社が手掛けてるのか!?)

 現代においても建物を作る際は地鎮祭・上棟式・竣工式など、神様に許可と安全、感謝と繁栄を報告しながら行われるほど、日本人は目に見えない何かに対しても礼儀を払い、慎重に扱うものなのだ。

(この土地は呪われてる? そりゃそうだろ!

 慰霊することもなく、手を合わせることもなく、『そんな事実はなかった』とされたら死者は生者に手を伸ばす・・・ これは人間が自ら作り上げた呪いだ)

 本来なら信じたくない呪い云々を考えなければいけないことに頭を抱えたくなるが、徹に聞いた舘羽は首を振った。

 

「でも、オカルト的な意味合いも間違ってないにしても、少なくともここ二年のいじめ問題の主犯は誰かは掴んだわ。

 所長、どう動くの? これを依頼人に渡して『ハイ、終わり』なんてしないんでしょ?」

 

「デスガ、いじめ問題で主犯を罪に問えるノデショウカ?」

 

 マリアの言葉に沈黙が降り、その沈黙は『罪に問うことは難しく、そうすることに意味はない』ことを示していた。

 

「かといって、これを学園に伝えたところで何か行動すると思えねぇよな」

 

「主犯共に警告しても同じだろうしね。

 言って聞くような相手ならそもそも問題なんて起こさないだろうし」

 

 あれこれ意見が出る中で、小城は呟く。

 

「・・・僕らが動けないなら、遺族を動かせばいい」

 

 皆が反応する前に小城は立ち上がり、自分の表情を皆から隠すように窓から外を見るように体を向ける。

 

「子どもが将来という夢を叶えられるようにと願って学園に預けた親からしたら、大切な我が子を奪ったに等しい学園やいじめの主犯はどう見えるのかな?

 『受験ノイローゼ』、そんな言葉で片付けられた我が子の死が誰かのせいだったら。何かに原因があるとわかったら、どうするかな?」

 

 その声はいつもの彼の声とは程遠く、どこか冷たい怒りを宿していた。

 

「・・・なんて、こんな焚きつけるようなことは本当はしちゃいけないんだけど、皆はどう思う?」

 

 少しだけ振り返る小城の顔はいつもの少し困ったように笑っていて、何かに迷っているようだった。

(こんなことも聞くのも責任転嫁だ・・・ 駄目だな、僕は。いつも迷ってばかりだ。

 所長である僕が、彼らに責任を押し付けるようなことはしちゃいけないんだ)

 

「すまない、忘れて「あなたは間違ってない」 徹・・・」

 

 発言を取り消そうとした瞬間、徹が強く言い切った。

 

「あなたはこれまで何度も誰も助けてくれなかった者に手を伸ばして、真実だと明かされることなく終わる筈だった過去を白日の下に晒し、諦めていた未来を与えてくださった。

 今回だってあなたは依頼人に対しても亡くなった命に対して誠実に向き合い、本当なら解決に導く必要などないこの一件のために尽力している」

 

 そう言いながら立ち上がった徹は、小城の肩を掴んで自分の方に無理やり向けた。

 

「たとえ誰が『あなたの行動を間違っている』と言っても、僕はあなたの行動を肯定する」

 

「徹・・・」

 

 原作において父の仇である男と血の繋がった妹三人を殺し、黒死蝶となる筈だった男は小城によって母と和解し、妹達と共に暮らすこととなった。そして、この事務所の副所長となり、今や小城にとってなくてはならない右腕に等しい存在となっている。

(一人じゃない、か・・・)

 徹の背後には学生である金田一と千家以外を除いた面々が居て、誰も彼もが声に出さずとも徹と同じ想いだと表情で語っており、それでもやはり小城は困ったように笑う。

 

「ありがとう、皆。

 さて、それじゃ・・・ 仕事に移るとしようか」

 

 

 

 

 小城が動いたことによって四ノ倉学園は自殺した生徒達の遺族らと裁判することとなり、この土地が呪われ、死神に魅入られた土地であることがメディアによって取り上げられた。四ノ倉学園は閉校こそ免れたが、現在の場所で続けることは出来ず移転することが決定。また遺族に対する賠償や慰謝料を払った結果、経営の規模縮小となって講師の人数も減らさざるを得なくなった。

 退職した講師の中には浅野という数学教師がいて、美大に進学するために別の予備校へと通うことを決めた深町少年がいたのは余談だろう。

 

 

 

 

 まるで他人事のように四ノ倉学園について書かれた記事と献花を手にして、更地になった四ノ倉学園の跡地に立っていた。

 

「小城サン」

 

「マリアくん、付き合わせて悪いね」

 

「イエ・・・ ワガ神もしなければならないことがあるそうナノデ」

 

「そっか・・・

 それならここに縛られている霊とかも、もう心配しなくていいかな」

 

(慰霊碑を置ける分だけ土地を買うつもりではあったけど、それもあれだけの人数が亡くなっていることを考えると不安だったから、マガドリ様が何かしてくれるならよかった・・・)

 確実な人数は五十年前の五十人とここに二年の七人だけだが、十年前に学園が出来る前にあった施設でも人の死はあった。一体、何人がこの土地で死んだかなどもう誰にもわからず、もし宇多子が言っていたように魂が縛られている者が居るなら解放されてほしいとは思うのだ。

 そんなことを考えているとマガドリ様が突然小城の肩から飛び降り、小さいぬいぐるみのような姿から羽を広げて伸びをする。そして、(`⊙ω⊙´)カッ!!と目を開いて、マガドリ様の体のサイズ感が人間サイズになった。

 

「え?」

 

 初めて見る大きなカラスの姿になったマガドリ様に( ・´-・`)『カッコいいだろ?』とばかりに得意げに翼を広げられ、何故か白い羽が飛んできたのに気づいて隣を見るとマリアの背中にはほんのり金に色づいた白い翼を背負っていた。

 

「っ!?」

 

 突然、隣にいた彼女が天使になって驚いているというのに、当のマリアは心配はいらないとばかりに優しく微笑んだ。

 

「心配はいりませんよ、小城さん。

 この姿の私達は小城さんや一部の方にしか見えておりませんから」

 

「そ、それはよかった・・・?」

 

(いや、そっちはあんまり心配してないというか・・・ 別に見えててもコスプレにしか思われない、筈)

 大きなカラス姿は見えていたら問題になるが、美人が翼背負ってたら喜びこそすれおかしなこと言う人間はそうはいないだろう。

 マガドリ様が大きな声で鳴き、マリアを従える形で飛翔。二人で土地の上でしばらく舞い踊るのを見守り、静かに献花を置いて、手を合わせるのだった。

 

 




今回はキャラ説明するほど原作のキャラが出てないので省略します!




↓ この下から考察行きます ↓

この事件については正直救うか迷っていました。
悲劇ではあるんでしょうけど亡くなった深町充に関しては『いや逃げろよ』と思うし、抱きしめるだけ・愛を確かめ合うだけで彼の状況を改善させようと動かなかった浅野遙子にもモヤモヤしました。というか、二人の関係がバレた時こそ最大のネタ提供になることをわかっていなかったのか?と。それだけ教師や講師という立場が生徒に手を出すということはリスクがある(でも、数話前も書いたように割とあるのが金田一ワールド)
この二人は互いのことを愛し合っていたというし、それは事実なのでしょうけど、互いを大切にはしていなかったと感じてしまう。互いの立場を守り、想っているのなら尚更学生と講師という状況で一線を越えるべきではないと思うのです。
くわえて、小城自身が勉強をしない・出来ない・予備校に通いながらも勉学以外に励むこの事件の関係者に理解を示すことは困難だと判断していました。おそらくやれば出来てしまう彼にとって、『勉強をしない=意味不明』 『勉強が出来ない=努力不足』 『勉学以外のことを~=君は馬鹿かい?』じゃないかなと。そのため、彼らに直接かかわることなく、非常に珍しい遠回しな救い方となりました。それもあって今回、小城はこの二人を救おうと行動してません。
いじめをしている彼らは許せない・罰せられるべきと思わなくもありませんが、それらも証拠がなければ立証されず、暴行罪や恐喝、窃盗罪などにならなければ罪にすら問えないのが現状でもあるのです(´Д`)ハァ…
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