不遇相伝術式で目指せアッチ側! 作:ズズツカイチェン
本格的な戦闘は三人称視点で書く謝罪として明日も投稿します。
俺の両親は何故かメロメロになるどころか最近暴力を振るってくるようになったが人類はみんな俺にメロメロだ。
そんな俺は幼稚園にぶち込まれるようになった。
どうやって同級生や先生と接すれば良いか分からないのでやんわりと避けてるため俺は孤独を極めている。
メロメロだろお前ら俺に構い倒せよ。いや構われたら構われたで困るんだけどさぁ。
幼稚園では歌を歌ったり折り紙折ったり本を読み聞かせてもらったり色々してはいるものの暇を極めている。
やっていることが些か中身に対して難易度の低い物ばかりな上に幼稚園児のフリをするのに少し羞恥心を感じる時期もあったがおやつで出てくるお菓子が美味すぎてそんなもん消し飛んだ。
家じゃ水道水しか口にしてない日もあるし仕方ないと思う。
「ねーねー。まぁまごとしぉ」
寝ているフリをしながらエネルギー操作の練習をしていると本物女児が恐らくおままごとしようと遊びの提案をしながら俺の体を揺すってきた。
揺するだけなのに入れる力が強すぎるんだけど?子供ってそう言うとこあるよね、理解は示すけど偽物男児は吐きそうですやめてくださいほんとにまじで。
「やー」
「やーじゃないよ」
「でも、やー」
「やーじゃないのよ。わんだよ」
俺、犬役なんだ。
しかし犬役ならわんわん言ってるだけでいいし付き合ってあげても良いか。
「……わん」
「おー。かわいーね?よしよし」
知ってる。
しかし幼児のフリをする俺も可愛すぎるな。たぶんこの言動を50歳まで続けても許される。
本当に女児すら魅了する俺のプリティーさには申し訳なくなる。この子の将来の基準が俺になったらどうするんだよ。わんわん。
「ねーねー。おててゆかにつけて」
四つん這いになれってことね。まぁそれぐらいならしてあげんこともない。わんわん。
俺が四つん這いになると、幼女は小さく笑い声を上げながらぴょんぴょんと小さくジャンプした。
「ねーねー。おなかみせて?」
今度は仰向けってこと?まぁ猫とかお腹見せてくるの可愛いし俺も可愛いけど可愛いの種類が違うじゃん。
いやまぁ一度やったんだし、とことん付き合うけどさ。わんわん。
素直に俺が言うことを聞いて仰向けになると本物女児は声を出して笑い始めた。
「わんわんはわたしのね?しんじゃうまでわたしがぎゅーってしてあげるのよ」
女児が上に跨って首に腕を回して抱きついて来た。
ぐぇ。ちょっと締まってるんだけど?この女児、偽物だったかもしれねぇなこれ。
因みに俺は幼女に興味ないからね?.....あ、わんわん。
偽物疑惑が浮き出た女児と戯れ、エネルギーを体内のあちこちに移動させるのを繰り返して練習をしているといつのまにか帰る時間になった。
迎えは母が来るか父が来るか分からないのだが今回来たのは母親だったようだ。
遠くで知らない男と仲良さげに手を繋いでいたが、それを解いて笑顔で手を振りあっているのが盗み見ることができた。父親が迎えに来たときも知らない女の人と同じことをしていたのを盗み見たぞ。
なんでこの二人結婚したのか分からなかったが、こう言うとこなんだろうなと思った。
「今日はお母さんなんですね」
「そうなんですよ。いつもありがとうございます」
「いえいえ。凛月くんは大人しくてむしろ蔑ろにしちゃいがちなんです。申し訳ないです」
「いえいえ気にしないでください。凛月そろそろ行くわよ」
「うん」
母が手を差し出してきたので取り敢えず握り返しとく。
こう言うところで良い親子関係を築いているのを見せておかないと体についた痣の言い訳ができないとか考えてるんだろうね。
浅ましい母の考えはプリティーでジーニアスな凛月君には丸分かりやぞ。
幼稚園の先生と別れて暫くすると母が歩きスマホを始めた。手は既に離している。これはチャンスだな。
いつもの帰り道にある裏路地にはそこそこデカい異形のバケモンが居るのをよく見かけるのだ。
母がスマホに文字を打っている、たぶん今日一緒にいた不倫相手だろうね。
母から離れてこっそりと裏路地の方に進んだ
例の裏路地はじめじめとしていて、ちょっとした腐臭が鼻を刺激する。
それを無視して近寄り、覗くとそこには異形が家の外壁に張り付いていた。
その異形は薄い円盤状の体に無数の人の舌のようなものが裏と表にびっしりと生やしており、その中心部にある口の中には血走った目が今か今かと獲物を探し求めているのが見えた。
うん。グロい。
こいつを見ると前世で最後に見ていた漫画である呪術廻戦の″呪い″を思い出す。
そういえば呪いは呪いでしか払えないって伏黒というキャラクターも言っていたけど、蛇福や鋏兜なんかをどれだけ叩いても死ななかったのに対し、目からビームを撃たれた極太棒人間がすぐに死んでしまったのはそのルールのせいなのだろうか。
……いやいやそれは漫画の話だ。きっとこのエネルギーがたまたま似たような性質を持っているだけなのだろう。
よく見てみればそれは鋭い爪を持った人の手......否、人のような手だった。
胴体と顔は握り拳程度の大きさしかないのに対して腕や足は長く大きく全体的にアンバランスである。
目や口がびっしりと生えた小さい胴体と頭。
その目のうちの一つと目が合った気がしたその次の瞬間全ての目が残像を残すほどの速度で俺に目を合わせた。
「ッ!」
背中に寒気が走って鳥肌が立った俺は気付けばずっと前に進んでしまった母の背を追いかけて走った。
今日は下見をしただけ。
最近は両親が家に鍵を置きっぱなしにして家を出る上に知らない人が家に来る日でない限り幼稚園を休みたいといえば寧ろ喜んで俺を休ませてくれる。その後すぐに出かけるのだけど。
何にしろ戦おうと思えばすぐに戦えるのだ、焦る必要はない。俺は上がった口角を戻そうと手で口を抑え、家へと歩みを進めた。
家に帰って洗面台で手を洗っていると蛇福と鋏兜が俺に擦り寄って来た。君たちプリティーエンジェル凛月君のこと好きすぎんか?
「ただいま〜」
声をかけると二匹とも俺の足に頭を擦り付けて来た。
それにしても鋏兜を仲間にしてから一年経ったわけであるが2匹とも大きくなったものである。
蛇福は少し細くなって25センチくらいまで大きくなり、口の中に更に口ができた。ちょっとキモい。
兜鋏も角合わせて15センチくらいまで育っており、少し細長くなって足が太くなった。
将来的にインフレした二次元美少女みたいな体型にならないか心配である。
「あれ?おまえらいがいのエネルギーかんじないんだけど?ほかに3か4ひきぐらいいたろ?あいつらはどこいったん?」
こいつらはどうやら少しだけしか人語を理解できていないようだが感情を読み取ることは出来るらしく大凡のことは理解してくれるので2匹に質問をすると2匹揃って口を開けた。
え?……食ったってこと?なんで?名前もつけていないほどには見た目がキモくて愛着も湧いてないので割とどうでも良いんだけどさ。
「あー。おまえらみたいにせいちょうしてたけど、おまえらとちがってこうげきてきになってたから、おれにおそいかかろうとするまえにってかんじね?」
2匹が目からビームにて俺が棒人間を屠った箇所を指刺したため推測で話すとどうやら正解だったようで2匹は頷いた。
あ、蛇福が指の代わりに羽で指していたため飛行が継続できずに落ちた。
お前そのビジュアルでドジっ子属性なんだ。
手洗いうがいを済ませた俺はリビングに向かう。
父も母もこっち側に用事がないとだいたい部屋に篭っているので実質的にここが俺の部屋になっているのだ。
さぁ、帰って来て俺が何をするかというとエネルギー操作の練習と筋トレだ。
スマホとか漫画とか玩具とか買ってくれないのでこれしかやることがないとも言う。
最近は身体が成長したことによって筋トレで出来ることが広がってきており、エネルギー操作よりも格段に肉体の進歩が早い。
しかし今日、呪術廻戦という漫画を思い出した俺は一つの考えが浮かんだ。それはエネルギーで身体能力を強化できるのではないか?ということだ。
伏黒が虎杖に対して呪力による強化なしでの素の身体能力でアレかと驚いているシーンに基づいて考えたものである。
だがこれには一つ問題がある。
「どうやってやるんだよ。きょうか」
呪術廻戦の1話において呪力の強化方法は描かれていない。いや1話の途中までしか読めなかったので、もしかしたら最後の方に描かれているのかもしれないけど。
まぁこのエネルギーが呪力と全く同じものか確証がないので同じようにやっても強化できるのかは分からないし自分で考える他ないだろう。
とりあえずいつも通りエネルギーを操作して指先から肩に移動させてみる。うーん……変わった感じはないなぁ。
エネルギーを身体に留まらせて置くだけでは駄目ということがわかった。凛月君賢い。
だがならばどうやって強化すると言う話だが、身体を覆うと言うのはどうだろうか。
エネルギーの放出で異形の怪物に対してダメージを与えられたと言うことは物に干渉が可能であると言うことに他ならない。
ならば自らの身体を覆うことによって自らの肉体に干渉する……いや怖いな?俺の身体が棒人間よろしくボロボロに溶けないだろうか?
……いや大丈夫か。自らの体の中でエネルギーを散々操作したが溶けるようなことは一度もなかった。
毒持ちの生物が自分の毒で死ぬことがないのと同じだろう。……いやでも胃酸って胃の中から出ると自分の身体も溶かすよな?アレェ?!なんか怖くなって来たぞォ!!どうすりゃいいんだよ凛月君はヨォ!
「……いや?どうすりゃいいってどうもしなくていいじゃん」
別に必要性もないんだしやらなくて良くない?何をあんなに焦ってたんだよ俺は。
だいたいエネルギーによって身体を強化する必要なんてないだろう。
親は酷いもんだが俺はこの生活に満足し……て……。
いや!それにこんなことに本気なんて出さなくても良いじゃないか!
——本当に……そうか?
前世の俺は闘うことを本気で楽しんでた。
それは本気で自分を鍛えたからだ。
本気で鍛えた自分を曝け出せるからだ。
だが、老いて衰えればどれだけ鍛え上げようとしても衰えに勝てず、出せる本気も弱々しくなっていく。
本気の俺はかっこいいと。本気の俺はイケメンだと。
本気を本気で出せなくなった自分は果たしてそう思えるのか?そう考えると恐ろしくて堪らなかった。
だから少しでも老いの衰えと同じスピードでついていけるくらい、肉体に鍛える余白を残した。弱いままでいいと思った。
身体に一生治らない怪我を負ったらそれこそ本気で本気を出せなくなる。
俺の選択は間違ってないはずなんだ。
でも。でもだ。
俺が逃げた後に見た漫画のアイツらは何であんなにかっこよく輝いて見えたんだろうか?
気がつけばエネルギーを身体に纏わせていた。
だって何故かっこよく輝いて見えるのかなんてわかっているし自分でずっと言っていた。
本気で本気だからだ。
リスクを取れ。本気で本気ならば。
消えない怪我をした?それは本気で本気を出した結果だろうが。そこで止まってしまうからこそ本気ではなくなるのだ。
最初から最後まで本気の本気ならば。怪我を負うリスクを取って怪我を負ってもなお自らを鍛え上げる。
これしかないだろ。
「……なんだよ。けがなんてしないじゃんか」
目に映るはエネルギーを覆う左腕。
まるで何ともないような、それを見ると達成感からか口から息が漏れ出る。
両親に見つからないようこっそりと外に出ると爽やかな風が俺の髪を揺らした。
前髪をちょいと弄った後に右腕にエネルギーを纏わせ、石に勢いをつけて振り下ろした。
「……いたくないな?こんせではまだこぶしをかたくするたんれんとかしてないんだけど。これがエネルギーでうでをおおったこうかかね」
全力で大きめな石を殴ったにも関わらず無傷で痛みもしない俺の拳。
そして無傷の石。
俺の身体を硬くするだけで身体能力の強化とはならなかった。
あれだけ覚悟を決めたというのに失敗した。
でも前よりも俺自身がかっこよく輝いている、そう思えた。
◦舌の呪霊
身体から粘着性の高い粘液を出し、それで壁にくっついている。
四級程度の実力しかない。
主人公は虎杖が指を飲み込む1ページ前まで漫画を読んでました。