不遇相伝術式で目指せアッチ側!   作:ズズツカイチェン

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間違えて意図せず一瞬だけ投稿してしまいました。
申し訳ない。


目指せ呪術師!

 

 冷たい夜風が吹き、月明かりの薄い光に照らされる深夜の幼稚園。

 その庭に佇む白髪目隠しの不審者と暗闇に差し込む一筋の光こと田中中田 凛月(たなかなかた りんつ)君。 

 

 うん事案だね。

 

 中身が高校生でも肉体年齢はしっかり3歳なんだぞ。非合法なんだぞ。

 俺がここに居るのも非合法だけどなガハハ……マジでどうしよ。

 

 俺がどう言い訳して逃げるかを考えていると、近くで男の驚きを露わにする声が聞こえてきた。

 

「ごっ五条さん?!門の周辺に子供達が4人いるんですけど?!!この子達って誘拐された子達ですよね?!車に乗せちゃって良いんですか?!」

 

「おっともう来たのか。チビっ子、ちょっと隠れてて」

 

 言われた通り、どこか隠れられそうな場所を探して見渡すと遊具の残骸がそこら辺に散らばっていた。

 全体的にバラけているためか物陰に隠れられる程の大きさがない。どこに隠れれればいいんだよ。

 

 俺が右往左往していると、残骸の中から蛇福(じゃふく)鋏兜(はさみかぶと)が出てきた。

 どうやらあの残骸の中に空間があり、そこに隠れられそうだ。

 

 2匹にお邪魔させてもらい、俺も中に入って隠れた。

 

「うっし隠れたな、そんじゃあ!」

 

 俺が隠れたのを確認した五条が何もない地面を急に踏んだことに疑問に思っていると、地面から見張りのお姉さんが生えてきた。

 

 いやなんで???

 何がどうなったらそうなるの?

 俺の疑問が更に増えた。

 

「任務はもう終わったよ。外に俺がガキ共を並べておいたし、もう1人の補助監督と一緒にガキ共車に乗せて帰って良いよ」

 

 お?五条とかいう人はどうやら僕を匿ってくれるっぽい。不審者とか心の中で言ってすまん。

 

「ああ、わかったよ。ただ……あまり周りに迷惑をかけるような行動はするなよ?」

 

「ハハッ!何を言ってるのか僕ァかわからないよ、まったくいったい何をどう解釈したのか……」

 

「あるんだろう?君がここに残り、尚且つ私達に早く帰って欲しい理由が。心配はしなくていい、私は私に害がない限り黙認するからね」

 

「じゃあ大丈夫だ。心配しなくていい」

 

 五条の言葉にお姉さんは手を顎に当てて吟味する。

 

「……ふむ。信じてあげよう、くれぐれも大事にはしないでくれよ?」

 

「それは保証できないね」

 

「そうかい、まぁ私達は行かせてもらおう。おーい!もう1人の補助監督が誰か知らないが聞いてたねぇ?!帰るぞぉー!」

 

「あ、はーい!子供達は既に車に乗せましたから大丈夫でーす!」

 

 男から帰ってきた返事に満足そうに頷くと、見張りのお姉さんは外に歩みを進めた。

 少しの時間をおいて車の発進音が聞こえてから俺は一緒に隠れていた2匹と共に残骸の中から這い出た。

 

「やっぱりその呪霊、お前が調教したやつか。蠅頭とは言えその年で良く調教できたね、どうやった?」

 

「よく分かんないけどエネルギーをつかわずにたおしてたらなかまになったよ!」

 

「ふーん、蠅頭のわりには賢いし多分だけど生まれた環境の呪力の質が良かったのかな。あっそれと変に子供のフリしなくて良いよ、もっと賢いだろ?」

 

「……うっす」

 

「ヨシッ!それじゃあ!行こうか!」

 

 五条が明後日の方向に指を指して決めポーズをした。

 

「どこに行くのかしらないけど、親にないしょで来てるからかえっていい?」

 

「まぁまぁ!そんなこと言わずに!ちょっとぐらい良いでしょ!」

 

 俺も行きたい気持ちは一応ある、ありまくる。

 

 何故なら五条が呪力と言う言葉を発していた、これは呪術廻戦の世界にて出て来た単語である。

 つまりこの世界は呪術廻戦の世界である可能性が俺の中で浮上して来たのだ!だがしかし、これだけで判断するのは時期尚早というやつだろう。

 

 もう少し確信させるための材料が欲しいと思った俺は五条に質問を問いかけた。

 

「……ねぇ?じゅぶつって知ってる?」

 

「ん?呪物?知ってるよ。有名なやつをあげるなら両面宿儺の指とかがあるよね」

 

 え……?両面宿儺の指ってあれだよな?あの伏黒が探していたあれだよね?この世界ってやっぱ呪術廻戦なんだな?!なぁ!!!おい!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……い……ます……」

 

「え?もっかい言って?」

 

「ついてぇ!いぃっきまぁぁす!!!!」

 

「ッ!!!!!そうこなくっちゃ!!!よっしゃあ!行こうぜ行こうぜー!」

 

 この世界が呪術廻戦の世界だと確信した以上もっと人脈を広げてゆくゆくは主人公である虎杖の物語を知りたい。

 だから俺に着いて行かないという選択肢はないのだ。

 

 俺は前にドンドン進んで行く五条の後ろを追いかける。

 

「あっはははぁ!まてまてー」

 

「うっふふふふぅ!捕まえてごらーん」

 

 砂浜の上を恋人と追いかけっこしているみたいに俺達は目的地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?何ここ、廃墟じゃん」

 

 目的地についたは良いけど、どこに連れて行かれるのかと期待した俺の目の前には森の中に佇むボロボロのボロ小屋しか映らない。

 その驚きは舌っ足らずが一瞬だけ直るほど大きい。

 

「遠慮せずに入って入って、中は外面ほどボロくないからさ」

 

 眉を顰めながらも、俺と一緒について来た蛇福と鋏兜と共にズカズカと中に入っていく五条を追いかけた。

 

 中に入るとダンボールが何個か無造作においてあり、中央にあるゲーム機器などを乗せた机を囲むように椅子が二つあるった。それだけじゃなくモニターに小さい冷蔵庫まで存在している。

 

「俺が今通ってる高専を卒業したらさ、君とは別に接触したい子がいるんだけど、ここはその子のために準備した場所なんだよ」

 

「ふーん……。今、五条ってなんさいなの?」

 

「もうちょいで19だね、うちの高専は四年までだから俺がその子と接触するのは20歳になる」

 

「あと1年と少しでその子がここにくるってこと?その子も五条とか俺みたいにじゅりょく使えるの?」

 

「そう!まず話したいのはソコだよ。その子は俺と同じく特別な力を持って呪霊を祓う呪術師って奴になるんだけどさ、君も興味ある?呪術師」

 

「はぁい!あります!あります!あります!」

 

 五条からの質問に俺は元気良く答えた。

 だって興味ないはずがないだろ!漫画の世界でバケモノと勇猛果敢に闘えるなんてオタクの妄想みたいで最高じゃないかよォ!

 

「それは良かった。でも俺は君を普通の呪術師にさせるつもりはない」

 

 テンションをぶち上げる俺とは真逆に五条は冷たい雰囲気を漂わせて言った。

 

「ということで、まずは呪術師や呪術について教えようか」

 

「おねがいしまぁす!」

 

「まず君が放出してたり身体に纏わせているそれは負のエネルギー、呪力っていう名称だね。それで、身体能力を強化する方法とかは……飛ばしちゃって良いよね、君できてたし」

 

「おー、呪霊と戦ってるときに流すだけじゃなくてさいぼうの一つ一つをつつむようにやったらできたよ」

 

「それが普通は流すだけで身体能力の強化はできるんだよ。できなかったのは君の呪力特性が悪さしたせいだね。

君の侵食の性質を持つ呪力はただ身体に流すだけだと身体強化よりも身体全体に侵食、広がることを優先しちゃう。だから君が身体能力を強化するには細胞を囲んで内側に侵食させる必要がある。」

 

「ふーん、みんなは流すだけなんだ。楽勝じゃん」

 

「いや?それも違う。一定以上の実力を持つ呪術師なら流すだけじゃなくて君みたいに呪力を篭もらせる。だから君の身体能力の強化の技量はその一定以下の術師よりも優れてる。

しかも内側に侵食する作用のお陰で君の呪力は細胞に良く馴染んでる、だから身体能力の強化幅も普通より大きいと思うよ」

 

「相手だけじゃなくて俺じしんにもしんしょくするんだ、はじめて知ったわ」

 

「うんうん、君は近接格闘術はほぼ完成されてるからな。呪術の知識を知ってドンドン強くなってこう」

 

 自分で完成されきっていると言うほど自惚れてはいないが、五条から見ても俺の格闘術はまだ未完成らしい。

 

 五条って実は強いのでは?と思いつつ一つ疑問を投げかける。

 

「じゃあお姉さんが地面から生えてきたやつ、あれ教えてよ」

 

「あー、あれね。あれは術式、つまり特殊能力だよ」

 

 なん……だと……?!

 特殊能力!欲しい!というか欲しくないオタクなんていないだろ!

 

「因みに君も持ってるよ、術式」

 

「マァジで?!なんでわかんの?!いや今はいいや!俺のとくしゅのうりょく知りたい!おしえて!」

 

「フッフッフッ、教えてあげよう!君の術式の名はァ……パンパカパーン!赤血操術!ダーッ!」

 

「かっ……かっけぇ……!なにができるの?!おしえて!五条せんせーい!」

 

「この先生を目指す五条悟が教えてしんぜよう!赤血操術はその名の通り自分の血液を操ることができる加茂家の相伝術式。因みに相伝術式ってのは代々受け継がれて来たその血筋の人にしか発現しないスペシャルな術式だよ」

 

 血を操る術式というのは非常にカッコよくて文句ないのだが、五条から発せられた言葉に俺は疑問を覚えた。

 

「俺、加茂って知らないんだけど?」

 

「だと思ったよ。君ほどの才能を持つ御三家の子供が生まれたなら僕の耳に入らないはずがない、にも関わらず俺は君の名前を知らないからね。で、君名前なに?」

 

「いまさら……まぁいいや、田中中田凛月だよ」

 

「……偽名?」

 

「うそじゃないわい!本名だわ!」

 

「めんご!加茂家から赤血操術のマニュアルをコピーして持ってくるから許して!」

 

「許すけど、そんなもんコピーさせてくれるって仲良しなんだな。加茂家と」

 

「いや内緒でささっとコピって来るけど?」

 

「だいじょうぶなの?それ」

 

 バレたら怒られるで済むレベルで収まらなさそうな事を平然と実行しようとする五条に俺は引いた。

 

「まぁまぁ、4から6歳で術式の使い方を自覚するんだけど逆に言えば自覚しなきゃ碌に使い方もわからない状態から始めなきゃいけないし、まだ自覚してない凛月には必要だろぉ?それにバレなきゃ問題なーっし!」

 

「やるのはべつに良いけど、それがバレたときに俺のせいにしないでよ?」

 

「しないから安心しなさいっと。それじゃあ、こっからはまた真面目な話ね?」

 

 急に五条の纏う雰囲気が変わり、俺もつい姿勢を正した。

 

「呪術師って言うのは呪霊を祓う者の名称だ。呪いは呪いでしか祓えなくてね、国家が黙秘している存在しなくてはならない仕事なわけだけど何も殺すのは呪霊だけじゃない。呪詛師っていう簡単に言えば呪術を悪いことに使う奴らと対峙して時に殺さなくちゃあいけない。君みたいな子供に問うのは酷だけど、人を殺す覚悟ってある?」

 

 五条の澄み渡るような青い瞳の視線が俺を真っ直ぐと突き刺し、俺は五条の言った言葉を咀嚼する。

 

 まず最初に考えたのは前世での家訓”死を恐怖してはならない”だ。

 これには複数の意味が込められていて、その一つ目をわかりやすく言うと死を恐れずに修行すればすっごく強くなれるよ!という内容である。

 

 故に家訓を幼い頃から叩き込まれた俺は自分が死ぬとき恐れることはない。実際に一度殺されたけど怖がったりしなかったしね。

 

 二つ目の意味は死は恐ろしいモノではない、だから死んだ者を想って悲しむ必要はないという内容だ。

 だから俺は身近な人が死んでも悲しもうとはしないし、俺が死んだ時に俺を想って悲しんでいるとも考えない。

 

 

 

 ——うん、いける。

 

 

 

「できるよ、俺はひとを殺せる」

 

 だって死は恐ろしいモノではなく、むしろ尊いものだから。

 

 今このときも人が生まれては死んでいる。

 それに俺が少し関わるだけだ。

 

「……ハハッ。いいね、近接格闘術だけじゃなくて精神の強さもほぼ完成されてる。どんな親の元で育ったのか知りたいよ、ホント」

 

 ……親?……あ。

 

「お母さんとお父さんにいってないけどなれるの?じゅじゅつし」

 

「そうだねぇ……勝手に凛月を持ってくって訳にもいかないだろうし」

 

「ん?それはできるとおもうよ?たぶん今俺がゆうかいされても被害届とかださないとおもう」

 

「……え?マジぃ?……それじゃどうする?ここに住み込みで呪術師やっちゃう?」

 

 一瞬呆気に取られた五条は冗談を言うみたいに俺に聞いて来たので「冗談じゃなくてマジだよ」と意志を込めて真顔で返す。

 

「すむんだったらふべんじゃない?改築よろしく。トイレとおふろ別がいいな」

 

「……マジなんだ……。まぁいいけど、ただ住所教えてよ。監視してみて明日の朝に君がいなくて騒いでいるようだったらすぐに帰らせてあげるからさ」

 

 ダンボールの中に仕舞ってあった紙とペンを五条から貰ってそれに住所を書いた後に椅子を二つ並べて俺はそれに寝っ転がった。

 

「ん、それじゃ改築とコピーとかんしよろしく」

 

 蛇福と鋏兜がヒラヒラと机の上で舞をしているのを眺めながら五条に手を振った。

 対する五条は何か言いたげな顔をしていたが無言で外に出て行く。

 

 こうして俺は五条に誘拐されることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に凛月がいなくなっても何もなかった。どうなってんだ?あの家」

 

 凛月の住む家の監視を終えた五条悟は速やかに移動し、加茂家になんとか忍び込んで相伝術式のマニュアルをコピーするついでに家系図について調べていた。

 

「田中中田……やっぱそんなもん書いてあるはずがない、か」

 

 このまま長居した末にバレて怒られることを危惧し、凛月の出自については諦めて出て行こうとした時、一つの紙束が五条の目に入った。

 

「これ……加茂憲倫が生きてた時代のやつか」

 

 御三家最大の汚点、加茂憲倫。

 かつて悪名を轟かせた呪術師である。

 

「はぁーん、これは……」

 

 五条悟が見つめるのは、とある記録。

 その記録の内容は加茂憲倫が当主になる少し前、その時に1人だけ加茂家の名を捨て家を出て婿入りした者がいるというモノだった。

 

 その婿入りした後の苗字は上からぐちゃぐちゃと線を描かれているため普通ならば見えないが、サングラスをずらした五条悟の六眼がそれを見極た。

 

「やっぱりだ、時間が経ってから二重に書かれて筆圧が深くなってる箇所やらを照らし合わせると、たぶん田中中田になる。というか苗字の長さがモロだ」

 

 五条悟は顔がニヤつくのを抑えるために口を手で覆った。

 

 

 

「加茂憲倫と田中中田家には何か関係がある……。面白くなってきた……!」

 

 

 

 五条悟は加茂家をこれまたバレぬように気を使いながら出る。

 その顔は今までにないほどの笑顔だった。

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