不遇相伝術式で目指せアッチ側! 作:ズズツカイチェン
みんな文の初めに空白を入れているので、何故入れるのかわかってないんですけど私も真似しようと思います。
それで今までの話を読み返していて、加筆できると思うところが多々ありましたので、いつかは加筆修正しようかなと思ってます。
加筆修正されたとしても物語の大筋を変えるつもりはないので、編集されたとしても読み返す必要はない思います。
五条悟に俺が拾われてから2年の月日が経ち、俺は5歳になった。
五条に拾われてから住む所が変わって人と関わることがなくなったことに環境の違いを大いに感じているが、自分を鍛えるということに関しては変わっていない。
呪術の勉強や赤血操術の練習とか今までだと考えられないほどに鍛錬の種類は増えたけどね。
因みに今日は術式の練習をするように五条から言われているため、外に出て俺は赤血操術のマニュアルに書いてある基本の技を反復練習している。
木漏れ日が差し込む森の中、今俺が練習しているのは赤血操術の奥義であり基礎の技”穿血”だ。
“穿血”とは掌を合わせ、そこから圧縮された血液をビームのように放出する技だ。そしてまずこの技を扱うには百斂という加圧した球状の血液を作成する必要がある。
「ふぅぅぅ……」
深呼吸をして、この二年間で慣れ親しんだ草木の匂いを感じながら集中をする俺を囲むように、百斂が空中に1個2個と浮いていく。
そのまま百斂の数を徐々に増やそうとするした瞬間、俺の後ろに気配を感じた。
「よっ、1週間ぶりぃ〜。どう?良い感じか?」
俺の後ろに立っていたのは3ヶ月ほど前に20歳となった五条悟であった。
「なんだ……五条かよ……。ああ、術式を自覚してからは良い感じだよ。逆に自覚してなきゃ無理だね、あれは耳を動かせって言われてる気分だったよ」
本当に自覚前での術式の使用はできる気がしなかった。
五条が「とりあえず出血して、それを操るところから始めれば?」とか言いながら包丁の刃をこっちに向けて差し出してきたときは本当に殺してやりたいと思った。
俺はその時の意趣返しとして嫌味を言ったのものの何故か五条の気分は逆に良さそうだ。
「じゃあ簡単だな。いやぁ俺の教えが良かったのかなぁ?」
俺の言葉を聞いた五条は得意気な顔をしながらも耳をぴくぴくと動かした。
お前できるのかよ……。
「……まぁいいや。で?今日はどうしたの?」
「そうそう。今日は2年前に言ってた接触したい子と話に行くことにしたんだよ。何時間後かに向かおうと思ってんだけど……。その間、凛月に任務を受けてもらいたくてね」
「ほーん。任務って五条と最初に会った時のあれと同じ感じだろ?余裕余裕」
補助監督とやらが現場の下見をして情報を予め教えてくれるやつ、それなら楽勝だろうと思って俺は笑みを浮かべた。
「凛月の場合は補助監督とか居ないけどね!」
五条の言葉に俺は笑みを浮かべたまま固まった。
「え……?なんで?」
頭の中が真っ白に染まりながらも、一つだけ浮かんだ疑問を俺はただ五条に問いかけた。
「俺は言ったろ?凛月を普通の呪術師にするつもりはないってさ。凛月には呪術が使える事を俺以外には秘密にして欲しいんだよねぇ」
「えぇ……?なんか秘密にする理由とかあんの?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
五条は首を傾げながら逆に俺に聞いて来た。「言われてねぇよ!」と言いながら五条を睨みつけて俺は理由を話すように促す。
「呪術界の上層部って腐っててね。脳みその凝り固まりまくった上の人らは赤血操術みたいな如何にも呪術!無難!古臭い!って感じの術式が大ッ好きなんだよね。で、そんな術式を持った凛月を俺1人で強くしたら悔しがるかなーって思ってさ!」
「えぇ?上の人達に対しての嫌がらせが理由なの?」
俺は戦慄した。五条の性格の悪さに。
「まぁまぁ!俺が渡したケータイに任務の詳細は送っとくからさ!俺が出掛けてる間に終わらせといてよ!因みに凛月が会うのを楽しみにしてた俺が今日話に行く子も凛月と合わせるつもりないから!そこんとこもよろしくぅ!」
「わざわざ強調して恩着せがましいなこいつ、しかもやってること普通に監禁だし。でもまぁ、任務は楽しそうだし行ってあげるわ」
俺の答えに五条は笑顔を浮かべて首を満足そうに縦に振る。
「じゃあ俺は準備するから小屋に戻るわ。
俺達の住む家の中にいるであろう二匹に声をかけたその突如、五条の纏う雰囲気が変わった。
急に五条が真面目な雰囲気出すの心臓に悪いから普通にやめてほしい。
「……2匹とも連れて行くつもりなの?」
五条が眉を顰めながら聞いてくる。俺は首を縦に振って肯定し、どうしてそんなことを聞いてくるのかを言うように促す。
「良いか?凛月、呪霊は呪霊だよ。もう教えたと思うけど呪霊は人間の悪感情から生まれる。前に調教したとは言っても凛月の場合は軽いモノしかしてこなかったみたいだし、もし凛月がこれから任務でピンチに陥ることがあれば……。2匹とも凛月を平気で裏切る」
「……」
五条が今話している内容は”心配”だ。実際に”裏切る”とか”裏切らない”とかの話じゃない。だから俺は蛇福と鋏兜を庇うこともせず、黙って五条の言葉を受け止めた。
「前みたいに2匹共蠅縄レベルだったんならそれも無視してたけどさ、この2年で2匹とも三級もしくは準二級レベルになってる。たぶんだけど凛月の侵食する呪力が空気中に勝手に侵食して流れ込む事によってそれが広がり、2匹の成長の手助けになってる。
本来なら二匹共呪力によって分解されるはずなんだけど、摂取した呪力が薄いことで侵食する呪力が逆に吸収されてるんだよね」
「つまり?」
「これからはあの2匹との付き合い方を考えしょうっつー事だよ」
いつの間にか俺の背後にいた、蛇福と鋏兜を睨みつけながら五条が言った。
「……もし俺が負けそうになったら裏切るってのは本当?」
俺が蛇福と鋏兜に問いかけると2匹はお互いを見合った後に再度、俺の方に向き直る。そして鋏兜だけが力強く頷いた。
蛇福はそんな鋏兜を見て大きく口を開け、驚いたような表情をしていた。
「……鋏兜”は”裏切るんだな?」
俺の言葉を聞いた鋏兜は右往左往と焦ったように動いた後に、今も尚驚いたフリを続けている蛇福を角で突ついた。
その様子がおかしくて俺はつい笑ってしまった。
真面目に心配してくれた五条には申し訳ないが俺達は大丈夫だと、未来のことなんて分かるはずもないのに何故か俺はそう思えた。
***
埼玉県のとある廃墟。
ここに
龍雄は呪術師の家系に生まれた男の子である。しかし龍雄の両親は呪術を良く思っておらず、龍雄が呪術を使わないように言い聞かせて育てていった。
龍雄はそれに対して疑問を抱くことなく、健やかに育っていき立派な少年へと育った。
そんなある日のこと。
龍雄に1度目の転機が訪れる。
それは龍雄が公園で遊んでいる時に起きた。
なんと低級の呪霊が人に呪いを振り撒いていたのだ。
それを見た龍雄は胸に疼くモノを感じた。
しかし幼い龍雄はその感情を正確に理解することができず、結局はそれを正義感だと定義し、使わないよう両親から言い聞かせられていた呪術を使い、呪霊を祓った。
それから龍雄の胸の中で疼く感情は一時的に消えたものの暫くの時間が経つとまた疼くようになり、龍雄は胸が疼く度に呪霊を祓うようになった。
そして更に十数年という時間の間、両親に内緒で呪霊を祓うことが日課になった日々の中を龍雄は過ごし、遂には家を出て一人暮らしを始めてから更に数年が経ったある日のこと。
2度目の転機が龍雄に訪れた。
いつも通り呪霊を祓おうとした戦闘の最中、たった1つの判断ミスによって龍雄は無様に殺されそうになっていた。
己の死がゆっくりと近づいていくことを自覚し、顔から血の気が引いていくのに反比例するように龍雄の胸に疼く感情はどんどんと大きくなっていく。
龍雄はこの時、初めて己の気持ちを正しく理解した。
(俺は……。俺ァただ闘いたかったんだな。それも勝ちだの負けだのそんなのはどうでも良くてただ、ただただ闘いたかったんだ。
ああ、俺ァどうしようもねぇ馬鹿だな。そんなことも今まで分からずにやってきたなんてなァ……!)
己の気持ちを理解し、死の淵を経験した龍雄は呪力の核心を掴む。
まるで空気を吸うが如く自然に、そして滝のような激しい呪力の操作が可能になった龍雄の前に呪霊の力は歯が立たず、撲殺された。
この経験を得てから龍雄は呪霊や術師を区別なく殺すようになり、呪詛師と呼ばれるようになった。
それから呪詛師となって30年と少しの時が経ち、龍雄は廃墟に住み着きながらも呪霊と術師を区別なく、未だに殺しを続けている。
「やっぱり術師は良いなぁ。
人が住み着くことがなくなったゴーストタウンの一角に聳える、不気味な雰囲気を醸し出す、ビルのような大きさを持つ廃墟の一室。
そこに龍雄は己が殺した術師を投げ入れる。
その部屋には既に死体の山が腐臭を発しながら積み重ねられており、投げられた術師の死体が山の頂点に落ちると山が崩れ、肉片と血液が部屋中に飛び散る。
「はっはっは!この量!実に爽快!」
とうに感覚の狂った龍雄の嗅覚は舞う埃と腐臭に反応することはなく、龍雄は上機嫌に振り返り部屋を出ようと足を前に出す。
『凛月、赤血操術の強みって近中遠距離まで柔軟に対応可能な万能さだけじゃないだよ?もっと磨くところあるでしょ。……ん?俺が赤血操術で一番注目してる強みはなんだって?……あー、それは一択だよ』
赤が音を出しながら壁を穿ち、そのまま龍雄の左肩を貫いた。
(なっなんだ?!儂の呪力感知に反応はなかったぞ……!)
焦りの色を見せる龍雄の左肩からは、決して少なくない量の赤が流れ落ちて今も尚、黒ずんだフローリングを赤に染める。
『俺が最も注目している強み。それは隠密性の高さだよ』
赤血操術とは生得術式に呪力を流し込むことにより、自らの血液を操る術式。
赤血操術の弱点として血液の凝固反応を強く起こす場合、術式使用者の血栓症のリスクが高まる。
これは赤血操術の使い手であったとしても全ての血管に意識を向ける事など不可能であり、血液を強く凝固させると併せて意識外の血管内にある血液が凝固してしまう可能性が発生する。これがその理由だ。
しかし、これは赤血操術は血液に篭めた呪力を操るのではなく、血液そのものを操っていることを逆説的に意味する。
故に赤血操術によって操作された血液の持つ呪力自体はないに等しく、呪力感知によって把握することが困難になる。
(ここに居座るのは不味い、一方的に攻撃される。だが怪我は浅い。さてどうするか)
もっとも呪力によって強化されていない血液による攻撃はこのように対象の急所に当てない限り、致命傷を与えることはできない。
龍雄はいつもより重く感じる扉を開けると呪力感知を最大限まで引き上げ、隙間風が吹き抜ける廃墟の中を左肩から流れ落ちる血液を振り撒きながら音を立てて走る。
それから薄暗い廃墟の中を走り続けて数秒、目的の部屋を見つけた龍雄はわざと大きく音を鳴らしながら扉を開けた。
(ここだ……!この部屋は防音機能を高めるために他の部屋より頑丈な作りになっている。あの程度の破壊力で壁を壊した上で中にいる俺を攻撃することは不可能だ)
またもや大きく音を鳴らしながら扉を閉めて龍雄は部屋に入る。
窓から差し込む日差しが部屋をほんのりと明るく灯していて意外と中は明るい。
龍雄は目を細めた後にゆっくりと、日差しを通している窓に近づくと軽く握り拳で叩いた。
どうやら割れる様子はなく、コンコンと音が鳴った。
(……強化硝子だ。当たった瞬間に呪力で守ったとは言え、攻撃を受けた箇所は骨折どころか出血で済んでいるんだ。これでもあの程度の威力は十分に防げるだろう)
龍雄は扉を正面に据え、肩幅に合わせて足を開き構えをとると今までの静寂が嘘のように感じるほどの声を発した。
「わざわざこっちの場所を把握しやすいように音を出し、血痕も残したのだ!来るならば早く来い……!」
言い終わった後に再び訪れる静寂の中、龍雄自身の漏れた呼吸の音がやけに大きく感じる。
僅かに身体が震えるのを自覚している龍雄は次の瞬間、驚愕する。
ゆっくりと開かれる扉から濁流の如く中に入り込む、膨大で世界を塗り潰すような呪力。それを発する者の足が部屋に一歩踏み込み、その姿を現す。
現れたのは黒色の頭髪に、透き通るようで深い色味である緑色の瞳を持った幼い子供。
その子供はイケメンや可愛いというよりも、宝石のような綺麗という言葉が正しいと感じさせられる。そういう顔をしている。
現れた幼い子供、凛月と対面し、驚愕と共に生まれた己の僅かな隙を龍雄は引き締める。
龍雄が最も、凛月に脅威を感じたのは膨大な呪力でも幼いながらに呪力を滑らかに操作する呪力操作でもない。
龍雄が最も脅威に感じたのは、その線の細い身体から立ち上る……。
濃密な闘気。
その闘気から武の技量の高さが理解できる。
その武の技量の高さから、バランス良く鍛え上げられた肉体が理解できる。
そのバランス良く鍛え上げられた肉体の完成度から、強固な精神力が理解できる。
——たった今、龍雄は理解したのだ。
龍雄と凛月が合図されたように同時に構えを取る。
——この幼子は……。
龍雄と凛月から立ち昇る闘気同士がぶつかり、空気を震わせている。
それは、まるで空気そのものが2人の闘気に恐怖し怯えているようだった。
——
もっと詳しく!〜赤血操術にて血液を操作するだけならば、血液に呪力を篭める必要はないという解釈をするまでの軌跡〜
血液を強く凝固させた場合、意識を傾けていない血管内の血液も凝固するので血栓症のリスクが高まる。
↓
血液を操るのに呪力を篭める必要があるならば意識外の血管内にある、呪力の篭められていない血液が凝固するはずがない。
つまり操る血液に呪力が篭める必要がないがために、呪力を篭められた血液と呪力の篭もっていない血液を識別できず、意識を傾けていない血管内の血液も凝固してしまう。と解釈をした。
赤血操術は血液を一つの内臓と解釈するので呪力が篭められてる篭められてないとか関係なく凝固するので、血栓症のリスクが高まるのでは?
↓
それならば血液を凝固させた瞬間に全身の血液が凝固してしまうので、渋谷事変にて血液を凝固させたお兄ちゃんがその瞬間に死んでいないことも「原作で全ての血管に意識を向けることができないので血栓症のリスクが高まる」と逆説的に全ての血管に意識を傾ければ血栓症のリスクは生じないと説明されたことに矛盾が生じると考えた。
pixiv百科事典に呪力を篭めた血液を操ると書いてある。
↓
見落としがなければ、血液を操るのに呪力を篭める必要があるとは原作に描かれていませんでした。
だいたいこんな感じで1人で脳内ディベートして決めました。