A.O.Zじゃだめなのかっ!!!   作:サクナ

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第二話「ジム・クゥエル、そのいち」

こんにちは。松原うさぎです。

 

あの事件(一話参照)から1日、目が隠れた同年代の女の子、霧島まいちゃんから色々教えてもらいました。ガンダムのこと、それがまいちゃんの趣味なこと、アドバンスオブゼータは『ぜーたがんだむ』の番外編みたいなものだと。

 

そして今、

 

何故か私の部屋にまいちゃんがいます。呼んでないのに。

 

意味分かんないでしょ。なんかちょっと大きい箱(・・・・)持ってるし。

 

「あはは....来ちゃった!」

 

「来ちゃったじゃないよ!」

 

何てへペロしてんだ。まだ部屋も片付けてないのに....

 

「そういうわけで、今回はうさぎちゃんにもっっっっっっとアドバンス・オブ・ゼータのことを知ってもらいたいから、とっておきのプレゼントを用意しておきました!」

 

えっ何嬉しい!なにそれ!だったら毎日来てもいいし居候しててもいいくらいだよ!

 

そして、まいちゃんが見せてくれたものは、少し青っぽく、黒っぽく(ティターンズブルー)もあるロボットが描かれた箱絵が姿を表した。頭にはオレンジ色のサングラス(バイザー)をかけているようだ。

 

そしてもう一つ取り出したのは、ニッパーが入ったブリスターパック。パッケージには『片刃ニッパー』と書かれている。ニッパーは聞いたことがある。一年生の技術のときに確かはんだを切るのに使ったなぁ。あと、ヤスリとデザインナイフも用意してあるようだ。

 

「これね、偶然中古ショップにダメ元で言ったら1300円で投げ売りされてたの!名前はね、『HG(ハイグレード)ジム・クゥエル』って言うんだ!」

 

「はえー....ジム....」

 

昨日そういえばまいちゃんの話に何回か出てきた『量産機』って言われるやつか。

 

「じゃ、早速作ってみようよ!」

 

「えっ、でもプラモデルなんだったら接着剤が....」

 

「ガンプラは接着剤いらないんだよ!」

 

私は驚愕した。マジで?!それめっちゃ楽!お兄ちゃんのプラモデルなんて接着剤ばっかりだったのに!

 

「というわけで、作業開始!」

 

そこからはだいぶ壮絶だった。ニッパーを使わずに手でパーツを取ろうとすると怪我するし、ニッパーの使い方も一苦労。2年ぶりに触ったから使い方すら忘れていた。

 

「ランナーは二度切り、デザインナイフでゲートを整えて、金属ヤスリで残りの部分を削って、600番から1000番の紙ヤスリで綺麗にするよ」

 

「600番....?1000?」

 

「あっ、言い忘れてたけど、600とか1000とかはヤスリの目の粗さの数値だよ。600で削ったあとに、徐々に目を細かくして、綺麗にするんだよ。」

 

まぁ、ご想像どおりプラモデル初心者にはかなり難しかった。金属ヤスリで既に失敗したと思ったし、1000番まで進めてやっとツルツルになった。

 

途中でまいちゃんが手伝ってくれたけど、だいぶ難しかったよ。

 

「じゃ、次はスミ入れ!」

 

おいおい。ただ一つのガンプラにこれだけ手間かかるのかよ...

 

「なんか、作業内容多くない?」

 

そう聞いてみた。するとまいちゃんは、

 

「多くねェ!もっとガンプラを楽しめよ!AOZを楽しめよ!」

 

えぇー....

 

どうやら、文句を言って逃げれることもできなさそうだ。

 

私は渋々、『墨入れペン(素組み用)流し込みペン ブラック』と書いてあるペンを手に持つ。

 

「ペン先をモールド部分にちょんとするだけで簡単に墨入れができるんだよ。はみ出した部分は普通の消しゴムで消せるから失敗しても大丈夫。」

 

え、それめっちゃ簡単じゃん。やってみよう。

 

私は、その胸のような部分にある『モールド』と呼ばれる所にペン先をちょんと当ててみた。

 

すると、塗料がスーッと流れて、あっという間にモールドが黒くなった。

 

えなにこれめっちゃ気持ちいいんですけど?!

 

その後は気持ちよさに浸りながら無心でモールドというモールドに塗料を流し込む。

 

あーキモチエエ!Fooooooooooooo!!!

 

「どうしたの?うさぎちゃん、急に上向いて固まっちゃったりして....」

 

どうやら気持ちよすぎて感情が高ぶり無意識に上を向いてしまっていたようだ。

 

「ごっ、ごめん....。あ、全部墨入れできたよ!」

 

「おお〜。流石うさぎちゃん、仕事早いね!」

 

「それほどでもないけどねぇ....」

 

こんなに褒められるの本当に久しぶりだな.....エヘヘヘヘ....

 

「それじゃ、組み上げちゃおうか!」

 

「やっと終わる.....」

 

私は思わず遠い目をしていた。午後4時に帰ってきてからずっとしてるから、もうかれこれ2時間....

 

2時間!?

 

「ちょちょ、まいちゃん帰らなくてもいいの?!」

 

「うん。今日はいいの。」

 

よく見るとベッドの横にボストンバッグが置いてある。なんで気づかなかったんだ私!

 

「ちょっと待って親に聞いてくるから!」

 

私は部屋を急いで飛び出し階段を駆け下りた。

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