「実はな、バッテリー上がったんだ」
そうお兄ちゃんが言った。えっ、バッテリー上がったってことは、走れないってこと?!
「そうだ。明日の朝一に積載車乗って友達が来るから命は助かる。」
そう自信満々に言うバカ兄。すると後部座席から可愛らしい声がする。
「お兄さん、これからどうしますか?私、わがままですがお腹すきました...」
丁寧に答えたのは霧島まい。今現在父親が捕まって、お兄ちゃんが無謀なナイトドライブを決行したせいでこんな事になった被害者の一人だ。もちろん私も被害者。
今は外は寒いので、私達は車中に入っている。バッテリーが上がっているから電気とか暖房とか何も付かないけど、月明かりが優しく照らしている。あとスマホの光。
「晩御飯食べてないのか?....そっか....」
「私も食べて無いや....」
既にお腹はペコペコだ。何か持ってきてないのかな。
すると、お兄ちゃんは何かを悟ったように、こちらへ顔を向けてきた。
「腹減ってるんだったら、トランク開けてみろ。こういう時のために水と携帯トイレとカロリーメイトが2日分ある。」
さすが兄貴!尊敬します!
「では、ありがたくいただきます!」
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「うさちゃんのためなら俺なんだってやります!!サー!」
私は慣れた手つきでトランクを開けると、そこには段ボールに詰まった言われた通りの物がある。
「本当にたくさんあるね...うさぎちゃんのお兄さんってどんな仕事してるの...?」
「ただの大学生だよ...。バイトはしてるみたいだけど。」
「ふーん....。あ。ねぇ、その隅っこにおいてある段ボールは何?」
ん?あ、よく見ると前作った
「ねぇお兄ちゃん、この隅っこの箱何?」
「おあ?ああ、それはうさちゃんへのプレゼントだよ。欲しいって言ってたじゃん。うさちゃんのためなら、いくらでもお金をかけれるZE!!」
私、なんか頼んだっけ、と思いつつ、その怪しい段ボールとカロリーメイトと水を持ってまいちゃんと車内に入る。2ドアだから、勿論椅子を倒して後部座席に入ってもらうしかない。
「ごめんね。まいちゃん、後ろ狭いでしょ?」
「狭いけど、私の寝る場所よりは広いかな。」
苦笑しながら言ってくるのが余計怖い。というか申し訳なくなって来る。
というわけで、カロリーメイトを食べる前に段ボールを開けてみよう。手で頑張って破り、中を見る。そこにあった物は...
で た わ ね
う わ で た
そしてもう一つ入っていたのは
「まいちゃんって、プラモデルの事になると人格変わるな...(ボソボソ)」
「しっ...!でも私もそう思う...(ボソボソ)」
「ねぇ!早速組もうよ!ねぇ!」
そんなこと言ったって、モチのロン、ニッパーしかない。
「ええ...でも、ニッパーしかないし....」
「あっ........」
ようやく気付いたなこいつめ。私はデザインナイフもスミ入れペンもヤスリも持ってきていないぞ!というかそんなのだったら用意周到すぎて怖いよ!
「じゃ、じゃあ、私達...暇だよ?」
「ガンプラだけが遊びってわけじゃないよ!!」
ガンプラ以外の遊びをあまり知らないのかもしれない。というか趣味じゃないかそれ?
「確か、まいちゃんはスマホ持ってなかったんだよな?」
「はい。そうですけど...どうかしましたか?お兄さん。」
態度クッソ変わるな。二重人格かよ...
「そんなら、もう寝よう!」
「「?!!?!?!?!?!?!?」」
私達は驚愕してしまった。急にどうしたよ。なんでこの流れでそう行き着く!島流しにでもあって島の方向わからなくなったみたいな?!
「いや...だって、もう午前12時30分だぜ?
「えっ?!嘘、」
急いでスマホを確認する。そういえば前に確認したときは午前12時だった。
「じゃ俺は寝るから。毛布用意してるから、好きに使ってな。」
こういう時にだけ薄情なのか。なんでなの!
すると、まいちゃんもお兄ちゃんも横たわってすぅすぅと寝息を立てている。
というわけで、今日はおやすみなさい。
ちなみに、カロリーメイトは食べました。口がパッサパサになりましたが、水で流したらとても美味しかったです。