世界再編 〜現代は異世界と混ざりそれでも進む〜   作:お粥のぶぶ漬け

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第1話:神託のアップデート、あるいは世界改変の通知

 

 その日、世界中のスマートフォンが同時に鳴動し、空には見たこともない「ステータス画面」が投影された。

 

 隣接する異世界――魔力に満ち、スキルが理を支配するハイファンタジーの世界。その主神は、死にゆく自らの世界を救うため、神秘の枯渇した「現代」を飲み込むことを決意した。

 

 彼は魔力を注ぎ込み、都市のど真ん中にダンジョンを穿ち、魔物を放った。恐怖、混乱、そして絶望。人は極限の恐怖に陥った時、超越者に祈りを捧げる。その「信仰」こそが、神が求めたガソリンだった。

 

「さあ、力を与えよう。私を敬い、跪き、そのスキルで魔物を狩り、私の糧となれ」

 異世界の神は、自らの完璧な「マッチポンプ」の成功を確信し、現代という名の新しい牧場を見下ろした。――だが。

 

「……あー、テステス。ヤマトの子ら、聞こえるか? ちょっと横から失礼するよ」

 

 新宿の空を覆う巨大なステータス画面に、突如として「毛筆書き」の通知が割り込んだ。

 

【緊急更新:八百万OS 1.01 適用開始】

• システム変更: 異世界主神「システム」の独占権を、八百万の神々が共同管理(シェア)します。

• 新規項目: 「レベル」の横に「徳(経験値)」を追加。

• 限定加護: 日本国内の全ユーザーに「産土神の身代わり御守」を無料配布。

• 特記事項: 異世界の魔物は、本日より「期間限定・奉納用特産品」として扱われます。

 

「……は?」

 

 異世界の神が呆然とする中、地上ではすでに劇的な変化が起きていた。

 新宿の地下から溢れ出した、近代兵器を寄せ付けないはずの巨大な「岩石竜」。それがビルを薙ぎ払おうとした瞬間、近くの小さな花園神社から、眩いばかりの黄金の光が吹き上がった。

 

「よっと。うちの氏子に手出しは無用だ、余所者の神さん」

 

 光の中から現れたのは、現代的なスカジャンを羽織り、首からスマホを下げた十代の少年の姿――その背後に顕現する、暴風の権能を纏ったスサノオの幻影。

 少年がスマホをスワイプすると、異世界のシステムが「エラー」を吐き出し、強制的に書き換えられた。

 

【スキル:十拳剣(雷神Mod)】展開。

【判定:神罰につき、敵の物理耐性を無視。ドロップ品を「特級魔石の御神酒」に変換します。】

 

「おっしゃ、初獲物! 経験値(お供え)ゲットだぜ!」

 

 少年の一振りが、竜を断ち、空を裂いた。散った魔力の火花は、異世界の神に還ることなく、地脈を通じて日本の八百万の神々へと「奉納」されていく。

 

 同じ頃。

 北欧では「ラグナロク・イベント」としてダンジョン攻略がエンタメ化され、エジプトではピラミッドが「対神話級防衛レーダー」として起動していた。引きこもっていた地球の古き神々は、異世界の神が流し込んだ魔力を「絶好の再起動用バッテリー」として美味しく完食し始めていたのだ。

 

「支配? 救済? いやいや、これは『お祭り』だろう?」

 

 空に浮かぶ八百万の神々の笑い声が、電子音混じりの神託となって響き渡る。

 かくして、異世界の神による侵略計画は、地球の神々による**「全神話参加型・魔改造RPG」**へと成り果てた。

 混迷と熱狂の、新時代が幕を開ける。

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