世界再編 〜現代は異世界と混ざりそれでも進む〜   作:お粥のぶぶ漬け

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第14話:秘密の菜園と、贅沢すぎる朝食

翌朝。蓮と紬は、期待に胸を膨らませて下流域の「秘密の山葵田(わさびだ)」を再訪した。

 そこには、昨日の芽からは想像もつかないほど、青々と立派に育った**【古の山葵】**が、清流の魔力を吸って静かに光っていた。

 

「……うわぁ、一日でこんなに。神域の成長速度って、やっぱり異常ですね」

「ああ。異世界の魔力が、ここでは完全に『肥料』に変えられてる証拠だな」

 

 蓮は『神域の小出刃包丁』を抜き、根を傷つけないよう慎重に一本を収穫した。

 すりおろす前から、ツンとした刺激の中に、どこかフルーティーで甘い、高貴な香りが漂う。

 

『蓮よ、そいつは琵琶湖の底で数千年の眠りについていた品種の末裔。……さあ、昨日のカニと合わせろ。贅沢にいけ!』

「了解、神様。……佐伯さん、今日はここで朝飯にしよう」

 

 蓮は手際よく準備を始めた。

 昨日の【鉄槌のサワガニ】。その太い脚の身を贅沢に解体し、小出刃の背を使って『古の山葵』を丁寧にすりおろしていく。

 

「……あ、霧島さん。その包丁、すりおろす時も光ってる……」

「本当だ。食材の『細胞』を壊さずに、香りだけを解放してるみたいだ」

 

 完成したのは、【鉄槌サワガニの氷結洗い・古の山葵を添えて】。

 さらに、カニの殻から濃厚な出汁を取り、道中で採取した「清流ミント」で香りを整えた**【カニ殻の清汁】**。

【ログ:料理『神域の紅白朝食』が完成!】

【品質:極上(神託クラス)】

【効果:全ステータスの微増(永続)、および「神の視点」の一時的な付与】

 

「いただきます……っ!」

 

 紬がカニの身にたっぷりと山葵をのせて口に運ぶ。

 瞬間、彼女の目が見開かれ、背後の盾が共鳴するように共鳴音(チャイム)を鳴らした。

 

「……っ!! 山葵が全然辛くないです! いえ、辛いんですけど、その後に波のように甘さがきて、カニの旨みが……脳を直接叩いてるみたい!」

「俺も……。これ、レベルは上がってないけど、体の『芯』が太くなった感覚があるぞ」

 

 異世界のシステム的なレベルアップが「外付けの強化」だとすれば、蓮の料理による強化は、自分自身の魂の格を底上げする「内側からの進化」だ。

 これこそが、八百万の神々が仕組んだ、マッチポンプへの最大級の皮肉。

 

「ふぅ……。霧島さん。なんだか私、もうどんな攻撃が来ても防げる気がしてきました」

「ハハ、頼もしいな。……でも、油断は禁物だ。このワサビ、まだ数本ある。大事に育てて、ここを俺たちの『補給基地』にしよう」

 

 二人が満足げに完食し、残ったワサビを丁寧に手入れしていると、保津川の上流から、今まで聞いたこともないような「高く澄んだ鈴の音」が聞こえてきた。

 それは、第一階層の奥深く、**「滝の主」**が動き出した合図だった。

 

 

【ステータス・中間報告】

• 霧島 蓮: レベル1.50(調理時の魔力操作が「職人級」に到達)

• 佐伯 紬: レベル1.42(山葵の効果で「精神耐性」が大幅アップ)

• 現在のメニュー: 古の山葵(極上品。他県ならこれ一本で家が建つレベル)

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