オレと結婚してくださァァァァァァい!!!!   作:男子生徒

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暇つぶしに書いていました。
何番煎じ目の男子生徒オリ主です。ものごっつ恋愛です。
それでも大丈夫という方はごゆっくりお読みください。


第一話

 

 

 

 

 

 学園都市キヴォトス───ここは青空のように透き通った世界。ほんの少し紛争とか銃撃戦があるぐらいで、基本的に優しい世界。

 

 しかし、そんな世界にも悪人はいる。彼らがその最たる例だろう。

 ゲマトリア───自身を探究者と名乗り、その知的探究心を満たすためなら、どんな非合法的で非人道的な行為も行える、正真正銘のクズの集まり。

 

 彼らはこの世界に宿る“神秘”を、その“崇高”を研究している。しかし、その研究は行き詰まっていた。

 

 彼らは目的を果たすべく、ありとあらゆる手段を用いて様々なことをした。それこそ、考え得る限りの全てのことを。

 それでも、彼らが求めるものには至らず、計画は頓挫。またしても振り出しに戻りながら研究に没頭する。

 彼らの知略を以てしても届かない領域。探究者ならその過程を楽しんでこそだろうというマジレスはご勘弁。いくら異常者である彼らでも限界というものがあるのだ。彼らにも徐々に焦りと苛立ちが湧いて出る。

 

 そこで、何をとち狂ったのか、彼らはふと思い付きました。

 

 

 

 

 

 

 

 ─────そうだ、試しに自分たちの研究成果をぶち込んだモルモットを作ってみないか、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「────で、オレが生まれたってわけ」

 「その通りです」

 

 拝啓、何処とも知らぬ誰かさんへ。

 目覚めたらイカれたコスプレ野郎にガン見されていました。助けて。

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

 「初めまして、異界の魂(同胞)。私はゲマトリアと名乗る者です。突然のご無礼お許しください。あなたは我々の研究成果をふんだんに詰め込んだ器に適合し得る魂でしたので、この世界にお連れしました。本来なら現地にいる者の魂が好ましかったのですが、()()()()()()()()()()不採用となったことをご了承ください。さて、早速ですが試験を行いますので戦闘服にお着替えください。最初は基本的な身体能力の確認をさせていただきま─────」

 「はぁ〜待て待て、なーんにも分かんねぇじゃん。頼むぜ、黒服の人」

 

 絶対生後数秒でかける言葉じゃないでしょ。

 

 「黒服……?」

 「あぁいや、あまりに真っ黒だったのでつい……」

 「……クックック、いいですねぇ。気に入りました。これからは黒服と名乗ってみましょうか」

 

 なんか知らんけど黒い物体の名付け親になってしまった件。すぐにでも返上したい。

 

 「いや、自己紹介云々より、ここは何処ですか?連れて来たってどういう……」

 「その通りですね。では、順を追って説明いたします」

 

 それから、目の前のモヤモヤ人間から色々と聞いた。

 

 ここは【キヴォトス】という場所らしい。途中で“神秘”だの“恐怖”だの“生徒”だの説明されたけど、よく分かんなかったので省略。

 そして、オレがそんな場所にいる理由。どうやらコイツには仲間がいるらしく、そいつらとある日、『ワイらもオリジナルの生徒作ってみね〜?』と提案し、それぞれの研究成果をケチャドバしながら器を作っていたら何か上手くいったらしい。大学生のノリかな?

 

 とまぁ、何やかんかあって器は完成。あとはその器を動かす司令部、つまり魂を入れるだけだったのだが、ここで問題発生。どうやら魂が器に拒絶反応を起こしたらしい。

 ()()()試してみてダメだったみたいだ。ぶっちゃけ、その試した人たちの魂がどうなったのかとか、お前ら何人モルモットにしたんだとか色々気になったけど聞いていない。世の中知らない方がいいこともあるよね。

 魂がなければ、このボディを動かすことは出来ない。しかし、並大抵の魂では耐えられない。クズどもは思考する。そして思い付く。この世界の魂ではなく、外の世界の魂ならどうか、と。

 

 で、偶然連れて込まれたのがオレってわけ。完全に巻き込まれでした本当にありがとうございました。

 

 「ご理解いただけましたか?」

 「パン粉ぐらいには……」

 「それだけあれば上々ですね」

 「すっごい適当こくじゃん」

 

 それにしてもキヴォトス……聞いたことのない地名だ。

 銃社会らしいが、キヴォトスとは◾️◾️◾️◾️の地名だろうか。それとも◾️◾️◾️?なんかぽいもんな。まぁ、生まれも育ちも◾️◾️の箱入り男であったオレには難しすぎる問題……………あれ。

 

 「オレって…………何処に住んでたんだっけ」

 「ふむ……記憶の混濁、もしくは喪失でしょうか。試しにご自身のお名前を口に出してみては?」

 

 名前……名前なら………、…………………

 

 「……………思い出せないです」

 

 他は分かる。たとえば前の世界では目の前にいる黒のモヤモヤ野郎なんかいなかったし、今のオレの状態はおそらく“監禁”の類にあるということも。

 そう、一般的な常識はちゃんと理解している筈なのだ。

 ただ、自分の名前、出身地、年齢、職、かつての家族構成等々。自分を証明するもの全てが抜け落ちているかのように欠けているだけで。

 

 自分は一体何者なのか、そんな漠然とした不安が両肩にのしかかる。

 

 「そうですか。では、私があなたに名前を贈りましょう。なに、先ほど素晴らしい名を与えてくださったのです。私の知恵を総動員してあなたに相応しい名前を考えたいと思います」

 「く、黒服さん……!!」

 

 彼の提案はまさに晴天の霹靂。地獄に垂らされた蜘蛛の糸がなんとも心強いことか……!

 なんだよ、めちゃくちゃいい人じゃんか。スッゲー親身に寄り添ってくれる優しい人じゃんか。誰だよ、こんな善人を疑ってた奴。はい、まごうことなくオレですね。

 

 後で謝ろう。内心めちゃくちゃ胡散臭い人だと罵っていたってことを、誠心誠意謝ろう。

 そして、自分が出来得る限り、この人の研究とやらに協力しようと、たった今心に誓っ────

 

 「そうですねぇ………モル、なんていうのはどうでしょうか?由来は実験対象の“()()モット”から付けました」

 「人の心とかないんか???」

 

 あんた本当は“黒服”って名前気に入ってないだろ。むしろ嫌いだろ。めっちゃ意趣返し喰らった気分なんだけど。

 

 「名前も決まったことですし、ひとまず簡易的な検査から参りましょう。まずは市販されている銃弾から」

 「─────え?」

 

 ゴソゴソと懐から取り出したのは、彼の姿にも劣らない漆黒の鉄の塊。

 彼はまるで旧友に挨拶をするような気軽さで、その機械をオレに向け────

 

 「イッタァ!?!?!?」

 

 聞き馴染みのある、しかし確実に生後数分とは思えない絶叫が冷たい鉄の部屋に木霊する。

 額が熱い。鈍く重い痛みが精髄を伝って全身に広がる。

 

 「おや?()()()銃弾一つでこれですか?少し予想と反しましたね」

 

 分かる、分かるとも。その黒い物体はオレの世界にはなかったものだ。

 否、なかったわけではないが、あまりにも非日常的な物品で、映画やゲームでしか見たことがなかった。

 銃、銃だ。何で銃が。何で撃たれた。何でオレは死んでいない────

 

 「試しに数十は撃ち込んでみますか」

 「ひっ……!」

 

 あの痛みをあと数十回も味わう。

 いや、この人は『実験』と言った。つまり、あの痛み以上のことが起こる確率がものすごくあるということ。

 冗談じゃない。オレは痛みを受けて悦ぶ性癖異常者ではないんだ!

 

 「あっ!後ろにUFO!」

 「ん?…………成程。古典的ですが思わず釣られてしまいましたね」

 

 

 

 

 

 ハッタリもハッタリな出まかせで何とか逃走することに成功した。

 何だ、意外とチョロい────

 

 『防衛プログラム作動。防衛プログラム作動』

 

 鳴り響くサイレン音と共に機械音の音声が流れた後、背後からゴロゴロとロボットが近づいてくる。漏れなく全員が銃口を向けている。全く嬉しくない歓迎だ。

 

 だが、少し遅かったな衛兵。

 奥にある光を見ろ。あれは間違いなく外の光だ。つまり、ここさえ切り抜ければオレの脱走は成功したということよ!

 所詮は意志を持たない機械なんだよ、お前らはな!本気になった人間様に勝てると思うなよ!

 

 「─────げっ、前からも!?」

 

 などと思っていた時期が私にもありました。

 

 まさかの挟み撃ち。ゴロゴロとローターを滑らせながら約数十体の部隊が波のように押し寄せてくる。

 なんて卑劣な作戦だ。こんな戦法を考えた奴は余程性格が悪いとみえる。

 

 しょうがないので、途中で分岐している別れ道を突き進むことにした。

 しかし、ここで予想外のことが起きる。何と機械どもが対面衝突を引き起こし、詰まっていた。

 ここは一本道だ。人一人が通るには十分な間隔だが、二人は難しいであろう狭い通路を、小回りの効かない機械が数十体通ろうとするとどうなるか?つまりそういうことなのだろう。嬉しい誤算だ────?

 

 『降下、降下、降下』

 

 しかし、ここでも受難は続く。

 

 映画でよくあるお決まりのパターン。突如急降下してくるシャッターだ。

 見える限りシャッターは三つ。これらを突破すれば、あるいは────

 

 一つ目───中腰で駆け抜ける。

 

 二つ目───前転で雪崩れ込む。

 

 そして三つ目────鼻先を掠めながらもスライディングで滑り込み、何とか突破することができた。

 

 先に見えるのは()()()()。そして微かに感じる外の匂いと冷たい風。

 この道のどれかに外へ繋がっている。しかし、間違えれば再び地獄行き確定だ。慎重に選びたいが、いつまた新たな罠が発動するかもわからない。

 

 ならばどうするか。

 

 ───決まっている。

 

 「男は黙ってド真ん中だ!!」

 

 五つある道の真ん中、つまり三つ目の道を駆け抜けた。

 この先何が待ち構えているのか、全くもって未知数。しかし、何処か心が浮き足立つ自分がいたことも確かだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ギャハハハハッ!!!死に晒せ!!!」

 

 「テメェがな!!!」

 

 「見て見て〜、この前買ったロケットランチャー!ドカーン!!」

 

 「行くぞヘルメット団!このデパートにあるありとあらゆる物を乱獲するのだ!」

 

 

 【悲報】地獄の先もまた地獄でした。

 

 

 最後の扉を開いたら、何処かの路地裏に出た。賭けに勝ったことに喜ぶのも束の間、目の前に広がる地獄絵図が強制的に地の底へと叩き落としてくれた。

 

 やばい。ここ、やばいです。

 なんか血走った目で建物破壊してるし、満開の笑顔で人にロケットランチャーを撃ってるし、何ならデコレーションされた戦車もある。

 ちょっと可愛くなった世紀末みたいで脳がバグる。ぶっちゃけ可愛さで打ち消せてないので、ただただ不気味でしかないけど。

 

 「じょ、冗談じゃない!こんな所にいられるか!こんな街出て行ってやる!」

 「おいテメェ、見ない顔だな。何者だ?」

 「アッ……」

 

 大声で叫び散らかしてしまったからだろうか。背後には如何にもな女子生徒が三人、オレにガンを飛ばしていた。

 彼女たちの手には黒服さんが持っていた拳銃とは比べ物にならないくらい大きく、ゴツい銃が装備されている。

 予想しなくても分かる、当たったら絶対痛いやつだ。腰が抜けて立てなくなる。

 

 「何だコイツ……?まぁいいか。最近は雷帝の野郎に抑圧されて鬱憤が溜まってんだわ。テメェをボコしてストレス発散でもするかァ!」

 

 ゆっくりと向けられる銃口に思わず目を瞑り、せめて顔面はやめて欲しいと願いながら、痛みを堪える体勢を取る。

 あぁ、ここで意識を飛ばされたら研究所に逆戻りだろうな。そして、今後日の目を見ることなく、生涯モルモットとして暮らして行くんだ。

 毎日三食付き、雨や寒波を凌げる家で、ふかふかのベットで起きて眠る生活を送ることになるんだ。

 ……………………案外悪くないかもしれない。

 

 

 ─────銃声。

 

 

 そして、人の倒れる音。もちろんオレではない。今さっき目の前にいた女子生徒たちだ。

 

 

 ワケが分からず、そっと視線を前へ戻せば─────

 

 

 「あなた、大丈夫?」

 

 

 ────世界の時が止まった。

 その声はありとあらゆる音を収束させ、薄暗い路地裏に響き渡る。

 

 彗星の如く流れる銀髪と、冷徹さと理知が同居したアメジスト色の瞳が妖しく光る。

 身長は低く、その童顔から児童と見紛うほどに幼い。しかし、彼女から発せられる威圧感がそれすらも捩じ伏せた。

 

 彼女は美麗な容姿に相応しい綺麗な眉を僅かに顰めながらオレの顔を見る。受け答え出来ていないことに違和感を感じたのだろう。

 

 今すぐにでも応えたい───しかし、練り潰されたかのように声を出すことができなかった。顔が、熱い。

 

 嗚呼、魂が震えるとはこのことを言うのだろう。

 銃煙まみれの灰色の世界が色付いていく。

 銃声まみれの喧々しいラッパは何かを祝福するようにオレと彼女を包み込んだ。

 

 「──────オ」

 「お?」

 

 無意識で、されどこれでもかと意志を詰め込んだ意味のない一言。

 

 この感情は何というのか。このけたましく燃え上がる太陽の如き感情は。

 

 嗚呼、これは、きっと─────

 

 

 

 

 

 「オレと結婚してくださァァァァァァい!!!!」

 

 「え」

 

 

 

 

 

 オレ、この子に一目惚れしちゃいました。

 




タイトル回収(これから何度もする予定)
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