オレと結婚してくださァァァァァァい!!!!   作:男子生徒

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第六話

 

 

 

 

 

 「……………暇だ」

 

 ゲヘナ学園にあるベンチに座りながら空を見上げる。

 上空では鳥が気持ちよさそうに飛んでいた。それが今のオレに対する当てつけのように思えて、ほんの少しイラっときた。

 

 オレは大丈夫だと言ったんだ。なのに、空崎さんをはじめ情報部のみんなから怪我が完治しきるまで部活動を自粛するよう言われたから……

 それに氷室さんが少し怖かったのもある。『怪我完治まで大人しくしなければ監禁しますよ』とド真面目な顔で言われたら流石に怯む。

 いや、冗談なのは百も承知なんだけど、あの人が言うと洒落にならなそうで……

 

 「出来ることといえば情報の整理ぐらいだけど……」

 

 それも空崎さんが全部やっちゃうからな〜。

 オレがしたことといえば各学園の危険人物の顔と名前を確認した程度だ。

 えっと、確か小鳥遊ホシノさん……だったっけ?空崎さんから要注意人物だと忠告された人は。

 あの鷹を彷彿とさせる鋭い目つきはそうそう忘れることはないだろう。ただ、どことなく空崎さんに似ているんだよな、あの人……

 

 「にしても暇だ。空崎さんともっと話したいし、もっと一緒に訓練だってしたいのに〜!」

 

 嗚呼、誰かこの退屈を埋めてくれる人はいないのか……

 

 「温泉!温泉!」

 『温泉!温泉!』

 

 なんかバカみたいな掛け声が聞こえる。

 こんなバカげた掛け声をするとこなんか一つしか思い当たらないんですが……

 

 「温泉!おんせ───あっ!?モルくんだ〜!!」

 「ご無沙汰ですね、下倉さん」

 

 『やほー!』と能天気に手を振って挨拶する彼女は下倉メグさん。大の温泉好きの集まりである温泉開発部に所属している。

 

 説明しよう!温泉開発部とは!

 ───ゲヘナ学園のみならず各地の源泉を探求する集団であり、温泉開発のためなら建物や土地、市街地、終いには他校自治区すらも破壊するという、『もうモロでテロ集団やん』と言われても否定できないほどに過激な、ゲヘナ学園でもとびっきり危険な部活動である!!こんな天真爛漫な子がどうして……どうして……

 

 「って、モロくん風紀委員会だから逃げなきゃ!じゃあね「あっ、今活動自粛中だから捕まえたりしないですよ」じゃあ温泉掘りに行かない!?!?」

 

 文脈どこいった???

 にしても、温泉か……

 

 「街中で掘り出さないなら良いですよ」

 「え!?ほんと!?てっきりいつもみたいに断られると思ってたよ!」

 「そりゃ職務中に勧誘してくるからでしょ……」

 「ふふっ、そっかそっか!今日は山中を掘る予定なんだ。だから大丈夫!」

 

 山中なら、まぁ……

 

 「決まりだね!善は急げっていうし、早速行こー!」

 「はー「団欒の最中申し訳ございませんが、彼は私たちが戴いて行きますね」い〜???」

 

 聞き覚えのある声が右耳の鼓膜を揺らした瞬間、風景は急速に右から左へ。これまでの経験上、拉致されたのだとすぐに理解できた。

 

 「ご免あそばせ、モルさん。お聞きしましたよ?風紀委員会は自粛中なのだと。ならば今日こそ一緒に食事を摂りましょう!」

 「さぁ、お昼を食べに行きますよ!モルさん☆」

 「もう今日何なの……」

 

 黒舘ハルナさんと鰐渕アカリさん───温泉開発部とどっこいに悪名を轟かせる美食研究会の皆様のお出ましに、思わず手を仰いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程、あのデパートの倒壊で……」

 「あっ、ご存知なんですね」

 「もちろんですよ!あそこには行きつけの店もあったのでショックです……」

 

 めっちゃ“らしい”理由で安心したわ。

 

 今は彼女たちのイチオシの蕎麦屋さんに訪れていた。

 流石は美食研究会を名乗るだけある。めちゃくちゃ美味しい。

 何故蕎麦屋さんなのかを聞いたら『お好きでしょう?』と言われた。どうやら気を遣ってくれたらしい。

 ………………黒舘さんたちに好物の話したことあったっけ???

 

 「ではその包帯は……」

 「まぁ、頭がペシャンコにならなかっただけマシってことで」

 

 もう済んだことなので笑い飛ばせど、黒舘さんの憂い顔はそのままで。鰐渕さんは……食事に夢中だ。やはり癒し枠なのか……

 

 「やはり風紀委員会は危険極まりない。野蛮という他ありません。美食研究会(私たち)ならそんな思いさせませんのに……」

 「君たちがやってることも大概だけどね」

 

 まさかあの学生食堂爆破事件から立派なテトリストになるなんて思いもしなかったよ。

 

 「何度も誘ってもらって悪いけど、今のところ辞める気はないです。オレには「成し遂げたい夢があるから、ですか?」………よく分かりましたね」

 「ふふっ、何となくそんな気がしただけです。女の勘、というやつですよ」

 

 女の勘……実在したのか。創作上のご都合要素だと思ってた。

 

 「一心に何かを目指す姿は輝かしいものがありますね。ですが、その一心不乱な心の中に、ほんの僅かにでも私の存在を思い出して下さると嬉しいです」

 「あはは、流石に黒舘さんを忘れることはないですよ。あなた程濃い人もそうそういませんから」

 「そういうことではないのですが───ちょっと待ってください。今の発言について詳しくお聞きしたいのですが?」

 「HAHAHA……鰐渕さん助けて!!」

 「逃げちゃダメですよ〜☆ちなみに私に対する印象も、じっくりと、それはもうじっくりと聞いてみたいですね〜?」

 

 空崎さんごめん、オレ死んだかも^^

 

 「…………ん?なんか揺れてません?」

 「話を逸らさないで────あら、確かに揺れてますわね?」

 「地震でしょうか?」

 

 地震というか、なんかこっちに近づいているような────

 

 「モルくんみ〜〜〜〜っけ!!」

 

 紅蓮に燃ゆる煉獄の如き紅が輝く。

 今も爛々と咲き誇る太陽と比喩できる眩しい笑顔を携えながら、蕎麦屋の壁をぶち抜いてやって来た彼女は、やはりオレの知り合いで。

 

 「あなたたちは───!」

 「温泉開発部!?完全に振り切った筈なのに……!」

 「ふっふ〜ん!勘頼りで掘っている温泉開発部を舐めてもらっては困るね!ということでモルくんはもらっていきま〜〜す!!」

 「待ちなさいッ!くっ、追いますよ、アカリ!!」

 「は〜〜い☆」

 

 かくして、温泉開発部と美食研究会によるゲヘナ学区横断鬼ごっこが始まったのであった。

 オレ?当事者のくせにほぼ蚊帳の外ですが何か?

 

 ちなみに、この鬼ごっこは空崎さん及び風紀委員会により鎮圧され、オレは救急医学部に監視付きの監禁という処遇になった。氷室さんの目が怖いです……

 

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