森本先輩の背中を見ている。
つい先程合流したのであるが、心が遠いところに残されていた。
私の目前にいた大きな虫。
その顔が脳みその中に存在している。
そして、二人の少女の顔もあった。
彼女らはどうにも知り合いにしか思えない。
しかし、話をする前に巻かれてしまったのである。
「こっちの用事は済んだけど、何か欲しいのあるか?」
他所事を考えていると、先輩が袋を片手に声をかけてくる。
彼の顔は満足げであるが、私の調子を伺う雰囲気もあった。
「えっとそうですね。あんまり音楽も聴きませんし大丈夫です」
あくまで私は単に付き合いに過ぎないのである。
「そうです」と言葉を続ける。
「ゲーセンでも行きましょうよ、ゲーセン」
「良いね、でも珍しいな」
「そうですか?」
「なんだろ、イメージがない感じ」
イメージと自分を考えると、どうにも納得がいかなかった。
私自身は結構ミーハーである自覚があるのである。
「確かにあんまり行くことはないですけど、結構好きですよ。あの太鼓のゲームとか楽しいですし」
その適当な会話の間に、私は摩耶と佐久良そのどちらにもメッセージを送った。
内容を端的に言うと、放課後にお茶を飲みに行こうといったことである。
少し考え事をしながら、中学の校門辺りに立っていた。
歩いて行く中学生はどれも見慣れない制服である。
さて、幾許か待つと、やっと目的の人物が出てきた。
彼女は私を見ると、げっとでも言うかのように顔を顰める。
私は彼女と摩耶にした誘いは断られてしまった。
それならと摩耶に押しかけても、彼女にはのらりくらりと躱され、御しやすそうな方へと押しかけたのである。
「やっ、待ったよ」
少し手を挙げて佐久良の表情を見る。
この辺りで流石に馴れ馴れしいなと思ってしまった。
「あの、どうしたんですか突然に」
こちらに歩み寄ってきてくれた彼女に、多少安心に似通った感情を持っていたことを否定しない。
一抹の不安が感じられる顔に、私はこのように返した。
「一緒にお茶飲み行かない?」
「えっと、そうですね……」
彼女の悩む声に、少し心を痛めた。
実際問題私が彼女に聞きたいことは、きっと些末なことに過ぎないのだ。
私が誰に救われようが、それは結局結果こそが全てで誰かは重要でない。
私は救われたのみを考えればよいのだ。
私の未知を探ればよいのだ。
これは一重に、この頃連続する色々な出来事、そしてふと巻き起こった一つの感情のためだ。
私は未知に関わることで、何者かになれるかもしれない、と。
様々な事柄が終わり、お久しぶりです
これから再開できたら嬉しいです。