モニカの世話をすることになった訳であるが、服であったり色々な困りごとが残った。
「ねえ、モニカは明日何か予定ある?」
「ないぞ」
彼女は首を横に振りながら答える。
何となくわかっていたが都合がよい。
「明日買い物に行こうか」
明日は幸いなことに、土曜日である。
部活もないし、本当に運がよい。
「あっ、今日は私の服を着てくれる?」
少し大きな服をクローゼットから取り出し、モニカに見せる。
彼女は少しだけそれを見ると、顔を顰める。
「可愛いものだな」
その言葉の通りだと思う。
私が今より小さい頃、何らかの気紛れによって買った随分と可愛らしい寝間着だ。
結局のところ一度も着た記憶はない。
「こういうの嫌い?」
「あまり好きじゃない」
「似合うと思うのにな」
モニカは少し複雑そうな顔をした。
嬉しさ半分といった様子だ。
「私は格好いい方が好きだ」
珍しい子だと思う。
モニカくらいの年ごろならば、可愛いものの方が好みだろうに。
ふと時計が目に入る。
もう十二時を回っていた。
「あっ、もうこんな時間。ベッド使って、私は布団出してくるから」
「問題ない。床で寝れる」
いくらカーペットが引かれていても、それは厳しいだろうと思う。
寒いだろうし、それに私が申し訳ない気持ちになる。
「取り敢えず、お布団持ってくる」
久しぶりに出した布団は、少しばかり埃臭かった。
来客があまりなかったせいだろう。
重い布団を頑張って運んだために少し疲れてしまった。
それから話し合いの末、私がベッドで寝ることになった。
申し訳ないという感情もありつつ、少し嬉しかった。
ところで、寝る前に少しスマホを見ていたのだが、学校の近くの公園が放火されたらしい。
SNSのことだから本当なのかは知らないが、知人のアカウントだからこそ酷く現実味を感じた。
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スマホを見ると、既に時刻は一時になっている。
これは明日は寝坊してしまうな、と思いながらもコーヒーを一息に呷る。
「楓どうしたんだい?」
目前の熊のぬいぐるみのような存在が疑問を呈する。
話しかけられた少女、東楓は溜息を吐いた。
「何でもない」
「そうなのかい?」
「私が嘘ついたことがあったかな」
無理やりに、目前の存在を納得させる。
実際、何かがあったかと言えばあった。
少し可愛がっている後輩の恋愛事情を知ったのだ。
これは面白いとも思うし、当然驚きもする。
「どこか元気がないように見えるけどな?」
ウザイ追及をしてくる。
話していて面白い話でもないだろうに。
「シロ、捨てるよ」
「ええ、やめよ。それに、僕はシロ何て犬みたいな名前じゃないよ」
それから彼の言葉を無視し、スマホを覗き見る。
つい先ほどだというのに、例の公園のことがもうニュースになっている。
もう深夜だというのに暇なものだ。
「それで、他に仕事は?」
「うーんとね、あっ、一つだけあるよ」
続きを促す。
すると、少し面倒くさそうにしながら続きを言う。
「一匹逃げたらしいから、それの捕獲だね」
「捕獲?」
「うん、その通り絶対に殺しちゃいけないよ。君は乱暴だからね」
煩い奴だと思う。
元々力を渡してきたのはそちら側だというのに。
「それで場所は?」
「さあね。逃げたって言ったろう」
どうにも癪に触って、彼を数度殴ることにした。
……さて、今日は天気が良い。
綺麗な三日月も見える。
短絡的だが、幸先の良さを想起する。そんなものだろう。