週末も終わってしまい、学校へと登校していた。
校門の桜はついこの前まで咲いていたと思うが、今は深緑になってしまっていて時間が流れるのの早さを思う。
「ねえ、アズサ話聞いてる?」
「えっ、何だっけ。ぼーっとしてた」
「ええ、酷い。折角、私の週末の楽しみを話してたのに」
ぷりぷりと怒った様子の友人、浅野摩耶に平謝りをした。
それから一つ言葉を付け加える。
「でも、どうせ摩耶だし、猫を見てたとかでしょ」
「ええ、摩耶だしって何さ。というか、話聞いてたでしょ」
偶然ではあるが当たっていたようだ。
イメージ通りである。
「いえーい、予想通り」
ピースをして少し煽る。
それで更に怒ったぞと言いたげの顔に、もっと笑ってしまった。
校舎で靴を脱いで、階段をのぼりながら話を続けた。
「それにしても暑くなったよね。この前まで肌寒かったのに」
思えば、その通りだと摩耶の言葉に頷く。
「そろそろ夏服出さないとだね」
「ええー、私あれ嫌いなんだけど。全く涼しくないじゃん。去年で思い知ったよ」
「だって普通の服なんだから、期待しちゃだめだよ」
「もっとこう、一瞬で体感温度マイナス十度とか」
「無理無理、そんなのあったら革命だよ」
「やっぱりここはアズサに作ってもらうしか。リケジョとして」
「じゃあその前に文系として、寒くなるほどの怪談でも話してもらわないと」
馬鹿な話をして、教室の前で別れた。
それから、少し友達と話すと、ホームルームが始まってしまった。
そこで、担任の先生は金曜日のことと銘打って話を始めた。
ニュースで見たことと同じだが、放火事件が起きたから云々という話である。
気をつけろという趣旨なのだろうが、気をつけようがないだろうという気がした。
授業中はたぶんモニカのことを考えていたと思う。
昨日一緒にしたゲームが楽しかったとか。あるいは今何をしているだろうかとか。
今日は部活があるから少し遅くなってしまうから、モニカは大丈夫かなと少し心配になった。
そのため、授業中ながらちらっとスマホを見る。
連絡を取る手段がないと気づいたのは、SMSを開いたところだった。
それからは少しまじめに授業を受けた。
何度か欠伸が耐え切れなかった。
だが、七限までしっかりとやり切り、ついに部活の時間になってしまった。
すぐに部室に行くのは気まずく、ジュースを買ってから向かうことにした。
少し歩いて自販機にやっと辿り着いたところで、見知った顔と出会った。
「あっ、先輩、何か奢ってくださいよ」
生意気なことを言いながら声をかける。
「げっ」
話しかけられた張本人、そして私が告白した人。森本大翔先輩は嫌そうな顔をしている。
心外である。
「何ですか? 可愛い後輩ちゃんですよ」
「そういうことを言うのは可愛くないよ」
「ええ、酷い。可愛いものは可愛いでしょう」
「それで、何飲みたいの?」
実際冗談であるから、少し焦った。
乗り気になられるとは思わなかったのだ。
「えっ、いや」
どうしたものかと少し悩んでいると、森本先輩は笑った。
「冗談に決まってるよ。奢る訳ないじゃん。こちとら金欠学生ぞ」
「揶揄わないでくださいよ。期待しちゃったじゃないですか」
責めるようなことを言いながら、だいぶ安心していた。
先輩は依然として笑っていて、逃げるように走り去ってしまった。
それを見た後、自販機で甘すぎるココアを買った。
そっちの方が私らしいと思ったためだった。
一口飲んだ後、やっと部室に行くことを決めた。
思ったよりも私は私らしくいれた。これは一つ驚きである。
ゆっくりと校舎を歩いて、遂に部室の前に辿り着いた。
扉のすぐ脇にはオカルト研究会と書かれている。
オカルト研究会である。ただ、研究会という割には実際活動はあまりしてないと思う。
たまり場というのが近しいというべきだろか。
顧問としても年一回の会誌さえ出せばよいという程度だ。
扉を開くと、予想外にも誰も居なかった。
手持無沙汰になり、適当なところに座る。
空を眺めると、白い雲がゆっくりと流れていっている。のどかだった。