一つ本を持って帰路についていた。
モニカの為に面白そうな本を図書室で借りてきた。
二年生になって恥ずかしいことだが、たぶん初めて本を借りたと思う。
「なんで部活をさぼったの?」
電車の中で送ったメッセージを見る。
まだ既読はついていないようだ。
今朝は確かに見たから体調が悪いわけではないだろう。ただ未読なだけだ。
少し速足で歩く。
子供っぽくて嫌なのだが、暗闇があまり好きではない。
何かトラウマがある訳ではないのだが、小さなころからこれは変わらない。
夜の街は特に怖い。人がいれば大丈夫なのだが、帰路はいつも一人だ。
街路樹が揺れる。この音が怖いのだ。
ちょっとの恐怖を抱えて、私はついに玄関の扉を開く。
駆け足で自分の部屋に着く。そこには本を読んでいるモニカがいた。
「ああ、アズサ。おかえり」
彼女は本から顔を上げると、こちらを一瞥して言った。
それに随分と安心に近い感情を抱いた。
「どこまで読んだの?」
モニカの手にある本を指して言う。
残りのページ数を数えて、こちらにまた顔を向ける。
「あとがきのところだけだ。あまり面白くないが」
文学小説のあとがきと言えば、作者の解説とかだろうか。
どちらにしろあまり面白いものとは言えないだろう。
「読むの早いね」
「そうか?」
「うん、私はたぶん一週間くらいかかりそう」
「そんなにかからないだろう。読みだしたらすぐだ」
読書好きならそうなのかもしれないと思いながら、借りてきた本を取り出す。
一度タイトルを確認してからモニカに手渡す。
「これ借りてきたから暇つぶしに読んでね」
「これはどんな話なんだ?」
「さあ。太陽のせいで人を殺しちゃったみたいな?」
あらすじの特徴的なところを読む。
あまり理解できなかった。
モニカも同様なようで、追求をしようという様子が見えた。
「あっ、もうこんな時間。ご飯の準備しないとだからまたあとでね」
私は下の階に逃げた。
冷蔵庫の中を見る。あまり食べれるものが入っていない。
うどんなんかは食べれるだろうか?
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人気のない路地裏で、東楓はぬいぐるみ然とした熊に声をかける。
彼はどこからともなく姿を現すと、ない声帯から声を発する。
「ご苦労さま。やっぱり君は手際よく殺せるね」
その言葉の選択に、少し眉を顰める。
彼もそれに気づいたらしくしたり顔で言う。
「何か他の子たちみたいに、退治とかいう語句を使った方がよかったかな。究極的にはなにも変わらないのにね」
やはり話しているうちに、私は彼のことが嫌いだと思う。
でも、この性格でよかったとも思う。きっと、他の子たちについてるのと同じものならば、私はきっと自殺でもしていたかもしれない。
「ぼく自身君には期待しているんだ。そんな面白くない価値観の共有はしたくないだろう」
「そう。ところで前に話してた対象の手掛かりは見つかった?」
「ああ、あの逃げた子ね。それがどうもね。君の後輩ちゃんにも頑張ってもらってるんだけど、手掛かりすらつかめてないよ」
中々世の中上手くいかないものだ。
いずれにしろその対象とやらは見つけないといけないのだろう。
「あっ、また新しい仕事だよ」
嘯きに溜息を吐いて、時計を見る。まだ12時だ。