雨が降っているのを眺める。
私はやっぱり梅雨が嫌いだなーと思う。
道行く人たちの喧騒を聞きながら駅の外を眺める。
私は今街の方に出てきていた。それも摩耶と遊ぶためだった。
まだ待ち合わせには時間があるから、一人寂しく彼女を待っている。
それにしても近頃はよく雨に降られる。
以前モニカと出かけた時もそうだった。
雨に降られて随分と苦労をした思い出がある。
そういえば、あのあとニュースで聞いた話だが、私たちが帰った後出火したらしい。
恐ろしいことだが現場に居合わせずに済んでよかった。
時計を見る。集合時間まであと十分ほどある。
少し早く来すぎてしまったろうか、と思いながらもSNSを見る。
五分ほどした頃合いだろうか?
「ごめん!」というメッセージの通知が現れた。
何度か瞬きをしてからメッセージを見る。
自転車をスリップして壊した云々と書いてあった。
「もう少し待ってくれたら着くから待ってて」
そんなメッセージが最後に続いてあって、少し言葉を失った。
この雨の中自転車に乗っていたことと、そうなってまで来ようとしている彼女の心についてである。
「大丈夫?」
返信をすると、すぐに既読が付いた。
「ちょっと打っただけだから、大丈夫!」
「今日やめにして、またにしようか」
「ごめんね」
OKとスタンプを返してから、これからどうしたものかと思い悩む。
折角ある程度のお金を払ってここまで来たのだから、何もせずに帰ることはどうにも納得できない。
私はここらでウィンドウショッピング、あるいは散歩をすることに決めた。
梅雨が嫌いだと言った。
これは一重にジメジメとした空気のためだろう。
ただ私は雨は嫌いではない。春の雨なんかは好きだ。
今聞いているような雨が傘を叩く音、これは子気味良い。
高いビルが重い雲を突いている。
これを不気味だと思うものの、しかしきっと好きだ。
訪れる夏を想像すると、とても快い気持ちになれる。
ところで私はゲームセンターに入ることを決めた。
あまりこういった所には来たことがないのだが、小さい頃から興味はあったのだ。
ただ近所になかったからこそ来たことがなかった。
親に頼もうと思ったこともあったが、どうにも忙しそうに思えて申し訳なかった。
それも彼らがいつも家を空けていて、時折帰ってきても疲れているように思えたからだ。実際、疲れていたかは分からないが。
騒々しい店内で、見慣れない機械に少し眩暈がした。
ちかちかするというべきだろうか……。まぶしいものたちに少し驚いた。
それから太鼓を模したゲームにお金を入れる。
よくよくできた方だと思うが、中々難しいものだった。
ただ楽しくはあった。
それからも幾らか遊んでお店を出る。雨足は強まっている。
ほぼ無風なのが救いだろうか?
それにしても、良いことを知れた。
摩耶と遊べなかったのは残念だが、ゲームセンターというのは面白いものだ。
何だかスキップでもして気持ちを表現したくなったが、恥ずかしくてやめた。
もう帰ろうかなと思い始めたところであろうか。
かすかにものが落ちる音が聞こえてくる。
結構大きな音が落ちたような鈍い音だ。
そのために心を惹かれたというか、野次馬精神で音の鳴った方向に歩いた。
辿り着いた場所は路地裏としか形容のできないところだ。
「大丈夫ですか?」
考えるより先に声が出たというべきだろうか。
私は傘もささずに座り込む女の子に声をかけていた。
章タイトルを作りました。たぶんのちに話毎のサブタイトルもつけるかもしれません。
本編でタイトル回収できないので、章タイトルでタイトル回収をしようという邪な考えです。