魔法科高校の劣等生~4の名を持つエレメント~ 作:ウンニーニョ
生徒会での食事風景も最初のころとは、様変わりしていた。とは言っても二週間たっていないのだが…
最初は摩利だけだったお弁当も、今では達也と深雪、続いて真由美も持ってくるようになった
そして今日、新たに1人、朔夜が机の上にお弁当を出した
「まさか、君が持ってくるようになるとは思わなかった。」
「本当ね。朔夜君も料理するのね。」
摩利と真由美が意外そうに言う
「いえ、これは母が。」
カラン…
朔夜が発した言葉に驚き、深雪が達也に渡そうとしていた箸を落としてしまった
達也も驚き、固まってしまい、箸を拾えずにいた。
朔夜の母とは極東の魔王、夜の女王と呼ばれる四葉真夜なのだ。それを知っている2人がこうなってしまうのも無理はない
「昨日、生徒会でのことを話したら母が張り切ってしまって。」
朔夜はそれに触れず続ける
達也と深雪が気を持ち直し、食事は何事も無く進…まなかった
摩利が達也がカフェで女の子を口説いていた。などと言い出したときから空気が冷たくなった
しかしそこから話は急展開を見せた
達也が話の流れで《ブランシュ》と口に出したことからだ
極秘情報を一般人である達也が知っていたことに、真由美と摩利は驚愕している
朔夜は何事も無いとタコさんウインナーを口に運ぶ
それに真由美は「朔夜君も知っているの?」とたずね、朔夜はそれを肯定する
摩利は額に手を当て「何者なんだ君たちは」とため息をついていた
この後、ブランシュの話がメインで食事が進んだのだった
☆★☆★
次の日の昼休みは生徒会室へは行かなかった
エリカ、レオが授業の居残りをしているためそれに付き合っているのである
とはいっても朔夜は美月とともに眺めているだけでアドバイスをしているのは達也であるが
この課題は基礎単一系魔法の魔法式を制限時間内にコンパイルして発動すると言うもの。制限時間は1000ms
はじめは朔夜も教えてくれと頼まれ、達也がレオ、朔夜がエリカを教えることとなったが、朔夜の教え方が擬音による説明で教えるのは向いていないということで達也が二人とも教えることとなった
ただいまの結果、レオ1060ms、エリカ1052ms
2人とも頭を抱えながら達也のアドバイスを受けている
そこへ他のクラスの友人達がやってきた。深雪、ほのか、雫である
達也は3人に「これで終わるから待っててくれ」とエリカとレオにプレッシャーをかける
無事、宣言どおりに課題をクリアさせ、2人は胸をなでおろす。
「2人とも、お疲れ様。
お兄様、ご注文のとおり揃えて参りましたが…足りないのではないでしょうか?」
深雪がそう言って達也にビニールの袋を渡す
達也は昼休みの時間がなくなるのを見越して深雪にサンドイッチなどを買ってきてもらっていたのだ
A組の3人は先に食事を済ませているのでE組の5人でありがたくいただく
食事をしながら話していると、エリカが「参考までにどのくらいのタイムかやってみてくれない?」と深雪に頼み、深雪がやって見ることとなった
深雪がコンソールに手を置くと計測が開始される
計測していた美月が「235ms?」と少し疑問げに言った。
「何回聞いてもすごい数値よね…」
「深雪の処理能力は、人間の反応速度の限界に迫っている」
ほのかと雫は驚くのは仕方ないと言いたげに話す
しかし、驚いていた理由はそこではなかった
「さ、朔夜の方が早くない?」
エリカのその言葉にほのかと雫は言葉をなくすが、深雪は知っていますと微笑む
「朔夜君のタイムも見せてもらっていいですか?」
ほのかが頼む。隣で雫もコクコクとうなずいている
朔夜は残りのサンドイッチを口に放り込むとコンソールの前に立つ
計測されたタイムは173ms
それを聞いたほのかと雫はまたも言葉をなくす
深雪も想像を超えていたのだろう。言葉をなくしている
「何か言ってくれよ。悲しくなる。」
「みんな驚いて言葉も出ないんだよ。みんな朔夜が幻の新入生総代ってことも知らないからな。」
朔夜が反応の無さに落ち込んでいると達也が茶化しながらフォローする
このことにより、仲間内には朔夜がなぜ二科生なのか知られることとなる
しかし、朔夜は他の人に言わないでくれと頼む
この話は、確かに実力は証明されるかもしれないが、同時にバカだといわれているようなものだ
実力は、今後おのずと知れ渡るだろう。あえて、バカだといって回ることもない
もちろん達也もわかっている。仲間内、気の知れたもの同士の笑い話で持ち出しただけ
バカにするものなどいない。むしろ、一目置いたのではないだろうか
「風紀委員に選ばれただけはあるってことだな。」
レオがそう話す
「しかも、生徒会長様の補佐なんてしてるんでしょ? 嫉妬もあるわよぉ。こりゃ」
エリカが茶化し始める
「おい、エリカ、どこでそんなこと聞いたんだ?」
「噂になってるわよ。生徒会長に媚売って取り入った二科生がいるって」
「なんだよ、僕は半ば強制的に補佐にされただけなのに…」
エリカの言葉に落ち込む朔夜の肩に達也はそっと手を乗せ、頷く。半ば強制的に風紀委員に入れられ、一科生から妬みや影からの攻撃をされたことから思うところがあるのだろう
そんな話をしている内に予鈴がなり、午後の授業が始まるのだった