魔法科高校の劣等生~4の名を持つエレメント~ 作:ウンニーニョ
朔夜と真由美は急いで九校戦メンバーと合流すると2時間半ほどバスに揺られ、無事会場入りをはたした
無事とはいってもトラブルは多々あった
炎天下の中、外で待ってくれていた達也と摩利に礼を言った後、バスに乗り込み、バスが発進する
ここまでは二科生の癖に遅れてきやがって的な視線はあったものの、仲良くしているメンバー付近に座れ(達也が技術スタッフ用の車に乗ることになったため機嫌が悪い深雪の隣が空いていたためだが)後は寝るもよし深雪やほのか達と話すもよし、二時間バスに揺られていればいいだけのはずだった
バスが発進してすぐ、真由美の隣の席にいた鈴音が疑問を口にしたのだ
「闇藤君と一緒だったんですね」
遅れるとしか伝えていなかったのだから当然と言えば当然、バスにいる全員が抱いているであろう疑問だろう
「ええ。・・・家の用事で・・・お見合いだったのだけれどその相手が朔夜君でね。驚いたわよ。だいたいいつも相手の名前も知らずに行くのだけれど知らない人だし、だいたいは年上の方なのよね。軽く話した後丁重に断わって終わりだし。なのに今日は襖を開けたら朔夜君が入るんだもの」
「しかし、いつもと同じだろう? 結婚とか婚約とかまだ早いし考えてもいないって言ってたじゃないか」
摩利が鈴音とは反対側、通路を挟んだ向こうから話に入ってきた
「・・・えっとね」
ここで真由美は正直に爆弾を落とす。 仲のいい友達との恋話のように、周りの生徒が聞き耳を立てているとも知らずに
「お話を受けたの」
鈴音が固まり、摩利がくわえていたポッキーをポロリと落とす。摩利の向こう側から二年生の千代田花音が確認の質問を言う
「お話を受けたって、婚約したってことっですか?」
「ええ。まぁ朔夜君は結婚できる年齢じゃないから許婚のようなものかしら?」
真由美は顔を赤らめそう口にする
その話は一気にバス中に広がり所々殺気のこもった目が朔夜に向けられることとなり、雫やほのかに質問攻めにあうことにもなる
そんな中、外の出来事に気づいたのは、自分は許婚と同じバスではないことに少しふてくされながら窓の外を見た花音と、朔夜が質問攻めにあっているのを微笑ましく思いながら自分の兄のことを思い窓の外を見た深雪だけだった
「危ない!」
叫んだのは花音だった
花音の声にバスの中の全員が外を見る
パンクか脱輪でも起こしたのだろうか。反対車線の大型車(とは言ってもこのバスよりは小さい車だが)がこちらに近づいてくる
しかし反対車線とは堅固なガードで阻まれている。誰も危機感などもっていなかった
その瞬間、どんな力が加わったのか、車はガードにあたると宙返りし、こちらの車線に侵入すると、燃え盛り、スピンしながらこちらへ向かってくる
バスは急停止するが、あの体積のものがぶつかれば大惨事は免れないだろう
「吹っ飛べ」
「消えろ」
「止まって」
「っっ!」
何人かの生徒が魔法を発動する
しかし、とっさの判断、未熟であるが故、優秀さが裏目に出てしまう
自分の魔法ならなんとかできる
しかし同一の対象に無秩序にかけられた魔法は効果を表さない。それどころか通常その魔法式が消えるまでは魔法式の上書きはできない
圧倒的な力で上書きする以外は
朔夜は対処の相談をする克人と摩利、真由美に「自分がやります」と声をかけると、3人の了解の声も聞かずに魔法を発動する
発動された魔法により構築された魔法式はそれまでに掛けられていた魔法式を吹き飛ばし瞬時に構築される
そう名づけられた魔法は瞬時に燃え盛る炎を鎮火し車を氷柱に閉じ込める
こうしてバスや技術スタッフ用の車に被害もなくこの件は幕を閉じた
ともいえ無事に着いた一同は宿泊先のホテルに荷物を運び込む
運び込んだ後は夕方から予定されているパーティーに出席する
九校戦参加者全員参加の懇親会だそうだ
同室だった達也にさとされ、朔夜は婚約者である真由美を迎えにむかった