魔法科高校の劣等生~4の名を持つエレメント~   作:ウンニーニョ

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夏休み②

「おっまたせー♪」

 

「って、誘った奴が遅れてくるってどうなの?」

 

「まーまー。待つのも男の甲斐性ってやつでしょ。」

 

「あのな。…はぁ。」

 

いつも通りレオとエリカの痴話喧嘩が始まりそうなのだが今日は初対面の相手もいる。レオが飲み込もうとしたところで美月が話し出した

 

「ごめんなさい。先に知り合いと合流したんですけど、エリカちゃん待ち合わせ時間を同じにしちゃってたみたいで…」

 

「大丈夫だよ、柴田さん。それより後の二人が?」

 

「はい。______」

 

「あーゆう大きな器を持ちなさいよ。あんたも」

 

収まりかけていたレオだがエリカの一言に爆発しそうになる。

いつもなら周りから温かい目で見守られる痴話喧嘩だが、その光景を不安そうに見ている2人の目線に気づいた幹比古はレオの服の裾を軽く引っ張る。

レオも分かっているとヒクつきながらも笑顔をつくる。

それを見て美月は気を取り直して2人の紹介をはじめた。

 

「彼女達がこの間はなした深冬ちゃんと深雷ちゃんです。」

 

美月が紹介すると幹比古、レオ、深冬と深雷はお互いに簡単な自己紹介をする

初めて会った時にエリカと深冬は意気投合し、連絡先を交換してちょくちょく遊んでいた。

そして今日、お馴染みのメンバーに紹介し、親交を深めようと思ったわけなのだが…

 

「でもごめんね、深冬。深冬が会うの楽しみにしてた深雪とそのお兄さんの達也君とか、この前の朔夜君とかはどうしてもはずせない用事があるらしくて。 また今度紹介するね」

 

「そんなこと。 エリカと遊ぶだけでも楽しいし今日は二人もお友達を紹介してもらったし。」

 

笑顔でそう返しながら深冬は少しほっとしている。達也と深雪、それに朔夜も、会いたい反面自分の素性がバレてしまわないか不安に思うと言うのが大きい。

朔夜とこの間少し放した時も内心ドキドキしていたのだから。

自己紹介が終われば後は遊ぶだけだ今日はスポーツレジャー施設で思いっきり遊ぶことになっている。

いつものエリカや美月と4人でのショッピングなども楽しいが、男子が加わって思い切りはしゃぐと言うのは学校に通っていない深冬と深雷はとても楽しみだった。

 

3対3でバスケやフットサルをしたり、ローラースケートを履いて魔法の補助なしに追いかけっこをしたり。

途中盛大にこけるレオやエリカ。もちろん深冬もこけたのだが、痛さなどよりも楽しさが勝ち、目いっぱい楽しんだ。

楽しい時間というのは早く過ぎ去っていくもので、昼前に集合したにもかかわらず、あっという間に夕方、夏とはいえ日が暮れ始める時間になっていた。

 

「あー。遊んだ遊んだ。」

 

「しかし、あんたの転びようはすごかったわ。」

 

「お前もこけてたじゃねーか。だけど一番すごかったのは…」

 

「「深冬だよな(よねぇ)」」

 

「もぅ。そのことは忘れてってば。」

 

半笑いで口に手を添えてそう言うエリカとレオに必死で講義する深冬。もうすっかり仲良くなっていた。

 

「まーまー。深冬…ぷっ」

 

「もー深雷ちゃん。それに美月にミキまで」

 

慰めようとした深雷もこらえられなかったようで笑ってしまい、飛び火して幹比古や美月も笑っている。それだけダイナミックだったのだ。深冬のこけ方は。

幹比古が「だから僕は幹比古___」と言っているが誰も取り合わない。その光景はエリカと深冬、それに深雷。合わせたら今日だけで何回見ただろうか。

そうして笑いながら歩いてるうちにキャビネット乗り場まで来てしまい、別れの時間がやってきてしまう。

ここから深冬と深雷はキャビネットに乗り、残りは歩いて帰路に着く。

 

「じゃあ、深冬、深雷。こんどは今日これなかったメンバーも誘っとくから。」

 

「…うん。それじゃ、さよなら」

 

深冬の言葉の後にドアが閉まり深冬と深雷は行ってしまった。2人はずっと手を振っていた。

 

「エリカちゃん。どうしたの?」

 

キャビネットが行ってしまってから少しボーっとしていたエリカに美月が声をかける。

 

「え、なんでもない。さ、帰ろ帰ろ。」

 

エリカはさっきの別れに少し違和感を感じたが、美月の言葉に「ま、気のせいよね。」と先に歩き始めているレオと幹比古の方へ美月の手を引っ張り歩いていった。

 

 

 

 

 

☆★☆★

 

 

 

 

「深冬、今日は楽しかったね。」

 

深雷のそんな言葉に深冬は言葉を返さない

 

「本当に…本当に楽しかったよね」

 

深雷の涙ぐんだ言葉を聞いて深冬はギュッと深雷の手を握る。

深雷もその手をギュッと握り返す。

楽しかった夏休みの日々も、もう終わりを告げる時間なのだ。

 

 

家に帰ると2人の姉、兄である2人が出迎えてくれた。

 

「深冬、深雷、今日は楽しかった?」

 

2人は何も返さずに二階へと上がろうとする

 

「明後日、本を取りに行くわ。あなた達も準備しておきなさい。」

 

深雷の方がビクっと震えるがそれを隠すように深冬が肩を抱くと2人は2階へ上がっていった。

 

 

「夏深…」

 

何も言わない夏深に満夜が心配そうに声をかける

 

「大丈夫。…分かってはいるのよ。学習装置を受けても人によって感じ方が違う。事実あの子達は四葉や朔夜に恨みを抱いてはいない。むしろ司波の兄弟には憧れてさえいる。私は憎しみに向けるしかなかった感情をあなただって違う方向に向けているでしょう? でも、私は自分の憎しみを抑えられない。 それに…私たちには時間がない。」

 

「…俺はいつでも姉さん(夏深)の味方だよ。」

 

学習装置で刷り込まれる過程や知識が同じでも固体によって感じ方が違う。

満夜も朔夜に憎しみや恨みを抱いてはいない。満夜を戦いに導いているのは(夏深)への依存。

真夜の為に崑崙方院及び大漢に命を賭して報復を行った四葉元造や深雪を守る達也、達也のことを思う深雪のように四葉の血がそうさせるのかは分からない。しかし満夜は夏深に誰も味方につかなくても、自分だけはと決めているのだ。

だから、自分を偽る。朔夜を憎んでいると。

 

「…ありがとう」

 

こうして夜は更けていく。

 

 

 

 

2日後、世間では知られていない夏休み最後の事件が起こることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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