魔法科高校の劣等生~4の名を持つエレメント~ 作:ウンニーニョ
2日連続投稿。
夏休み偏ラストです、ではどうぞ。
朔夜と真由美の婚約発表から3日がたった。
昨日にはここに集まっていた分家のほとんどが帰っており、今残っているのは黒羽貢と津久葉冬歌の二人だけ。もちろん朔夜も真由美も達也も深雪も東京に帰った。
明日から新学期が始まるからだ。
真夜は書斎ではなく広間で名残惜しそうにコーヒーを飲んでいた。
(みんな帰ると静かになるわね。以前は平気だったのに朔夜と東京に住んで騒がしいのに慣れたからかしら?)
カップを口につけてから中身が無くなっている事に気づく。
「ふふふ」
「真夜様、お注ぎ致しましょうか?」
「いいわ。ねぇ葉山さん、朔夜は上手くやっていけるかしら?」
「朔夜様なら立派に四葉当主としてやっていかれると思います。」
「もう。そうじゃなくって___」
「失礼いたします。当主様、黒羽様から何者かが結界を抜けて侵入したと報告がありまして。」
真夜の許しを待たずに報告に来た家政婦をとがめる事も無く真夜は話し出す
「なんですって?」
(物思いにふけって見逃すなんて私も落ちたものね)
「貢さんと、…冬歌さんもまだいたかしら? 呼んできてちょうだい。」
「かしこまりました。」
そういって家政婦が下がると準備していたのだろう2人はすぐにやってきた
貢の報告によると感知できたのは4人だそうだ。すでに貢の配下と冬歌のガーディアンの内1人を向かわせたそうだ。
葉山は真夜の警護から動けないとして冬歌は戦闘能力がないので門までたどり着かれた場合は貢1人で対処することになる。
しかしここにいる者は心配していない。ゆるしなく四葉の敷居をまたげたものはいないのだから。
「あらぁ。四葉の皆さんに気づかれちゃいましたね。」
「結界を越えたからなァ」
「深冬、深雷、お願いできますかぁ?」
「「…」」
2人は何も言わずに魔法を行使する。
深冬は左側、深雷は右側。
魔法式の展開は直ぐに終わる。
左は氷付け、右は感電し、痙攣している
「さすがですよ。2人とも♪ でも倒れない人が2人いたみたい。」
「おこちゃまにしては良くやったよなァ。残りは俺が____」
「いい。私たちがする。2人は先に行って。」
「そうですか。それじゃ、2人ともがんばってくださいねぇ。」
満夜がやろうとするのを深冬は自分達がやると止める
夏深は嬉々としてスキップで四葉邸へ向かい、満夜は少し苦々しい顔をするが歩き出すとニヤリと笑い先程の顔は無かったかのように歩き出す。
深冬も深雷もわかっているからここを引き受けるのだ。2人の優しさを。
これから先、もっと強敵になるだろうからここに自分たちをおいていく為に支持を出した夏深。
この残りの相手は周りのように命を奪わないわけには行かないだろう。それをさせないように引き受けようとした満夜。
これまで4人で暮らしてきたのだ2人の優しさも、壊れていく様も見ている。
だから協力するのだ。
家族だから。
「大丈夫? 深冬?」
「うん。お姉ちゃんだからね。深雷ちゃんこそ大丈夫?」
「うん。もう、戻れないから。」
そう言うと2人は魔法式を展開する。
深冬の周りに複数の魔法式が展開されたかと思うと空気中の水分を集め氷の剣が次々と空中に創られる。
深雷の方は自分の下に大きな魔法式が描かれ、地面から砂鉄を磁力によって拾い上げると自分の周りに漂わせる。
それが完成すると二人は前に踏み出した。
深雷は|周りで気絶したりコールドスリープ状態にある者のリーダーと思われる男《貢の配下》、深冬は
深冬は氷の剣を飛ばし牽制すると周りの剣の内2本を器用に動かし切りかかっていく。
深雷は砂鉄を纏い格闘戦に入る。
四葉邸に向かった2人に気を向けようとした相手にそうはさせないと向かっていった。
「凄い音ですねぇ。気になりますか?」
「気になるわけないだろォ。それよりコイツは俺がもらうぞ?」
「いいですよぉ。早めに戻ってきますから死なないでくださいねぇ」
「死ぬかよ。」
四葉の門の前で待ち受けていた貢に向けて満夜は風の刃を飛ばす。
「お前の相手は俺だ。あっちを気にしてる暇なんてないぜェ」
貢も仕方なく夏深を行かせる。満夜が片てまで相手できる実力では無いと先程の攻撃で分かったからだ。
2人がかりでやられて2人行かせるよりも1人の足止めを選んだ。
葉山と冬歌のガーディアンが1人いる。大丈夫だと考えての行動だ。
貢は満夜の掌底をかわす。掌底の時の手の平に暴風が渦巻いていたからだ。
貢は一旦後ろに下がるがそれを満夜が追撃する。
しかし攻めていないとやられそうだと満夜は焦っているのもある。
(早く帰ってこいよ。夏深ィ)
そう思いながら満夜は攻め続けていった。
「ありましたありました。コレですコレです。」
「狙いはそれだったの。でも持っては行かせないわよ?」
ここは真夜の自室。葉山と朔夜以外誰も入ったことの無い部屋。それこそ葉山も一度入ったことがあるだけの部屋だ。
ここに夏深の探している本があった。
「どこで知ったの? それ。」
「以前ここにいた使用人の頭を何人かいじった時に知りました。捨てたようなこと行ってましたが朔夜を溺愛している貴女が捨てられるわけありませんから」
「任務中に死亡が確認できていない者の何人かはあなた達だったの。」
「そう言うことです。それでは貰っていきます。誰も連れてこなかったのは失敗でしたね。」
「させると思う?」
真夜はそう言って手を前に出し、流星群を発動しようとする。
しかしその瞬間、夏深の姿はぼやけて消える。
話している間に蜃気楼を利用して移動していたのだ。
真夜は舌打ちすると踵をかえし、葉山たちの元へもどる。この部屋にはあまり人を入れたくないため無理を言ってきたのだから心配をかけるのもほどほどにしないといけないから。
満夜と貢の戦闘は一進一退の攻防が続いていた。
そこに敵を倒したのか深冬と深雷がやってきた。
深冬は氷で足を止め、氷の剣で串刺しにした。
深雷は相手のガードを誘い、ガードされる瞬間に纏っている砂鉄をチェーンソーの用に高速に動かしガードごと心臓を突き破った。
そして時を同じくして夏深も合流する。
「手に入れて来ましたよぉ。あらあら、深雷ちゃんすごい返り血浴びてるじゃないですか。がんばりましたねぇ。もちろん深冬ちゃんもですよぉ。」
そういって夏深はハンカチを出すと深雷の顔を拭き始める。
「手に入れたなら引くか。」
「そうですねぇ。あなたを殺してからでもいいんですけど、今は機嫌がいいので見逃してあげます。」
そういって貢をニコリと見る夏深。
それだけで貢は金縛りに会ったように動けなくなってしまう。
4人が去ったあと、貢は膝をつき、大きく息をする。少しの間、息をするのを忘れていた? いや、できなかった。
四葉邸から戻ってきた夏深はそれほどの威圧感をもっていた。
膝の震えが止まると貢は四葉邸にもどって行く。当主の安否の確認と、自分の失態の報告をしに。
「それが例の本かよ?」
「はい。言うならば魔法書です。」
「でも、CADですよね?」
「コレは朔夜の作ったCADの第一作目。無邪気で子供だった朔夜がみんな魔法がつかえたらいいのに。と作った悪魔のCADです。」
「悪魔…の?」
深冬と深雷は悪魔と言う部分に引っかかり首をかしげる。あのやさしい朔夜が作ったのに悪魔のCADなんてと。
「無邪気な子供が作ったがゆえですね。実際このCADは魔法の才能が乏しい四葉の家政婦でさえ強力な魔法を発動、使いこなしたそうです。」
「それってすごくねえか? 少しでも魔法師の素質があれば誰でも強力な魔法師になれるわけだ。」
「いえ、なんの素質も無くてもです。だから魔法書。だけど魔法を使うために自分の寿命をサイオンとして出力する。」
「それって…」
「まさに悪魔の魔法書。朔夜みたいにもともと莫大な魔力があればなんとも無いですが自分の実力以上の魔法を使えば命を削る。それが分かってすぐに破棄したことになっていましたが、朔夜を溺愛している真夜は捨てられなかったんでしょうね。」
3人は言葉をなくす。それが本当なら子供の時に朔夜はトーラス・シルバーなんて目じゃないほどの技術を持っていたことになる。
それに、この魔法書を、命までも使おうとする夏深の憎しみの深さに。
この後は会話も無く4人はアジトにしている家へとかえる。
ただ、夏深がうっとりと魔法書を見ながらこう口にした。
「あとはあの人たちを利用して朔夜に仕掛けましょう♪」
あとがき
これで夏休み偏終了です。次回より横浜騒乱偏です。
お楽しみに。