最強の盾は橘福福しか見えなくなる。〈旧題:最強の盾〉   作:カブトムシの相棒

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感想、誤字報告、ここすき評価、いつもありがとう御座います。

特に感想、マジで見てますから。どんな内容でも送って下さい。それだけで結構嬉しいです。



では、本編です。


夢を語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「────あぁそうだ。福福、少し聞いておきたい事があるんだ」

「え?」

 

 

 

夕飯の時間を終え、ちょっとした休憩時間。

居間に携えるのは儀玄、藩と釈淵、そして福福だ。

 

犬太郎は現在『空いていた部屋』に居る。

自身の寸法に合う道着を見繕って貰っている。今日着用した服は洗い乾かさなければなので、道着を今日の寝巻として着させようとの事だ。

 

犬太郎を除く、皆は既に風呂は済ませてある。犬太郎は先に護衛屋の予約を整理したいのと、道着をゆっくり着用したいとの事らしいので、先に皆が入ったのだ。

 

雲嶽山の皆が居間に戻る。

そんな中で、儀玄がソファーに座りながら、福福にそう言い放つ。

 

 

 

「お前さん、どうやってあの犬太郎と知り合ったんだ?」

「あっ、言っていませんでしたっけ?えっと……以前あたしとお師匠さまで澄輝坪の日陰で占いをしていた時があったじゃないですか、その休憩時間であたしがチャーシューまんを買いに行った帰りに、その……彼とぶつかりまして」

「成程、その瞬間が姉弟子と犬太郎さんの出会い……と云う訳ですね」

「はい。そして、あたしがお詫びとして彼にチャーシューまんを差し上げて、それから────そ、それから、連絡先を交換して、今日……お出掛けをしたって感じですっ」

 

 

 

少し小恥ずかしそうに笑いながら、そう告げる福福。

あはは…と笑い、後頭部を掻く。その様子は非常に照れ臭そうだが、同時に今の状況へと導けた事への嬉しさも滲み出ていた。

 

 

 

「成程なぁ。しかし、あの福姐がまさかあんな少年を連れて来るたぁ、俺は未だに信じられんなぁ」

「言えてますね。姉弟子さんは良くも悪くも純粋な御方ですから。こういってはアレですが、私は一瞬姉弟子さんが彼に誑かされているのだと思ってしまいましたよ」

「むっ!なんてこと言うんですか!彼はとっても優しい方で、凄くカッコいい人なんですよっ!」

「すまんすまん、そこまでの意味は無かったんだ福姐。ただ……未成年ながら喫煙と飲酒は、些か問題だと個人的には思うぞ?」

「………それはそうですね」

「これに関しては、残念ながら宜しくはありませんからね」

 

 

 

福福がどれだけ彼について言っても、タバコと酒が邪魔をする。何なら悪名を高めてしまっている。

まぁこれに関しては本当に良くはない。色々と言われるのも、致し方のない事。

 

 

 

「なに、犬太郎は私と福福に誓った、もう煙草も飲酒もせんとな。それで、福福。お前さんはそう誓ったあの男を信じ切る気前と覚悟はあるのか?」

「ッ!勿論ですっ!あたしには雲嶽山の最古参である肩書があるんですからっ!一度お痛をしてしまった方の誓いを、決して無碍にはしません!それに────」

 

 

 

福福は、むんっとした顔立ちで、儀玄に発語する。

 

 

 

「────あたしは犬太郎くんが!だっ!!……だい………あっ……~~…っ!」

「ん?なんだなんだ、急にショートしたぞ?ほら、言ってみろ」

「あまりイジワルをしてはいけませんよ、師匠」

「だっ、だぁぁ………あぁえ?!そのっ………」

「福姐、俺等はとっくの当に気付いてるんだ。役に立つかは分かんないが、色恋相談なら喜んで乗るぞ?」

「あわっ……~~~~~~っっ!!!」

 

 

 

この感情は、もう皆に知られている。

ただ、口に出せない。出せる筈が無い。

 

────好きに成ってしまった。こんな、自分でも受け止めるのに心が苦しくなるのに。人に何て、尚更。

 

そう口にする事の難しさ。そう公言する事の恥ずかしさ。

それも……家族同然の皆に。

 

 

 

「……あたしって、そんなに分かり易いですか…?」

「ふっ、まぁお前さん程分かり易い人間はそうは居ないな」

「あうぅ……情けないですっ」

「犬太郎さんはそういう姉弟子さんに惹かれた、そうとも捉えられますね」

「福姐の純粋性は常軌を逸してる瞬間があるからなぁ~」

 

 

 

もじもじしながら、福福は悩み事を吐露する。

いや、悩みじゃない。この想いの答えは既に出ている。

 

でも、こんな感情……どう対応すれば良いのだ。

 

 

 

「まっ、師匠として云える事は特に無い。何せアレだ、私は恋という理を経験した事のない女だ。つまり、今はお前さんの方が私よりも先輩という訳になる」

「へぇっ!?」

「おっと、じゃあ俺もそうだな」

「私もですね。流石は姉弟子、雲嶽山の最古参というだけの器なだけはあります」

「もっ、もうっ!!皆何を言っているんですかー!あたしは、そんな…凄い感じっではっ…!!」

 

 

 

儀玄、藩、釈淵がそう発語する。

次第に、3人が福福に言を投げていく。

 

 

 

「ところで福福、お前さん今日のあの服装……悪くは無いんだが、些か質素すぎやしないか?」

「なっ!なんてこと言うんですか!あれでも頑張って見繕ったんですよ!」

「いやあの服、4年くらい前に私が買ってやったヤツだろ?それも時が進むに連れ若干痛んできている……常備服(いつもの服)とパジャマしか買わなかった故、それしか見合う服が無かった。違うか?」

「……………えへへ!」

「流石にその誤魔化しは苦しいぞ福姐……」

 

 

 

今日の福福の洒落服は、些か子供風味に掛かったいたモノ。

それは儀玄や藩から見てもそう言い切れるほどの服装であった。犬太郎が対照的に大人っぽい服装だったから、若干、兄妹にも見えなくなかった。

 

 

 

「ふふっ、ですが、それも姉弟子さんの良さでしょう」

「兄弟子ぃ、何か妙に福姐に甘くないかぁ?」

「何はともあれ、今度お前さんに見合う衣服を買いに行くとしよう。きちんと、あの鋼鉄の盾にも聞いておくがいい。どういう趣向の服が好きかをな」

「は、はい……っ!」

「まぁ、犬太郎ならば、お前さんがどんな服を着てようが喜びそうだがな」

「~~~~~っっ!!も、もうっ!お師匠さま~!」

 

 

 

そうイジる儀玄は、非常に楽しそうに微笑んで。ぷんすか怒る福福が可愛くって。

愛弟子であり、己の……娘の様な存在である福福。

今、己は…共に崩壊した雲嶽山の復興の立役者でる福福の、人生の別れ目をみている。

 

 

 

「(なんだ福福……お前さん、そんな顔が出来るのか)」

 

 

 

────熱苦しく、カッコいい虎と云う在り方を求めて、修行に励むような奴だったお前さんが……たった一人の男の為に、洒落た服を着こむよう行動に移すとはな。

 

 

 

そう、心の中で儀玄は福福を見て思う。

 

自分でも知らない、知らなかった、そんな顔をする福福に……何か嬉しいとも、寂しい感情を創造させる。

 

恋する乙女。恥ずかしそうにしているのに、凄まじく楽しそうで、嬉しそうで。

 

一人の男に、こうまで変えられるのか。

儀玄は一つ、恋というのに可能性を見出した。

 

それも、まさかあの男に作らせるとは。

全く以て、想像すらしなかった。

 

 

 

「(私も、些か興味が湧くな────恋、か)」

 

 

 

果たして、己にもそんな感情を持つべき相手が現れるのか。

そういう経験を、己はするのか。

 

儀玄のそんな想いは、誰も知る事が無く、彼女の心の奥隅に淡く残った。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

「しかし福福。お前さんはまたとんでもない男に魅入られたものだな」

「んえ?」

 

 

 

少しの時間が過ぎ、談笑を嗜む面々。

 

その中で儀玄が福福にそう言った。

とんでもない男。それは即ち、犬太郎の事。

 

 

 

「えっと、犬太郎くん……ですよね?とんでもない男って」

「他に誰が居るんだ」

「うっ……で、でも、とんでもないって……確かに彼はタバコとか飲酒とか、他にも治安官の人達にも迷惑を掛けているのでそう言わざるを得ないかもですがっ!でもそんな言い方は……っ」

「そう言う事ではないわ阿呆……いやすまん、そう言う意味でも通るな。ただ私が言っているのは犬太郎の戦闘力の事だ」

 

 

 

儀玄が福福にそう告げる。しかし、福福はイマイチ理解が追い付かない。

それは藩も釈淵も同様。儀玄の言いたい事を些か噛み砕けないでいる。

 

そんな3人の様子に、儀玄は告ぐ。

 

 

 

「犬太郎は正面からなら私より────」

 

 

 

”バァァンッ!!!”

 

 

 

「────ヤバいヤバイヤバいヤバイッッ!!皆!ちょいと良いか!?」

「ふえぇっ!?」

 

 

 

儀玄が発語しようとした途端、犬太郎がドアを開けて居間に入って来る。

面々が一斉に彼の方に目を向ける。なにやら焦燥を滲ませている様子で、儀玄の言葉に耳を傾けていた皆はその焦りに早く気付けない。

 

一体なんの騒ぎだと思うと、犬太郎が発語する。

 

 

 

「ふっ!福福!!どうしよう俺、ヤバいかも!」

「ど、どうしたんですか!?ま、先ずは落ち着いてくだs………ぶふっ!!!?」

 

 

 

すると、犬太郎に目を向けた福福が吹き出す。

 

それは何故か?儀玄たちも彼の全体像を見る。すると……彼が発語する。

 

 

 

「────ちょっ!!ちょっとコレ(道着)、小さすぎたかもしれんっ!!は、はちっ!はち切れそうっっ!!た、たすけ……助けてくれぇぇぇ!!!」

「おっ……ぐぅ…!」

「ふ。ふっ………」

「お前さん、一体全体っ……何がどうして、そうなったんだ…?」

「儀玄ちゃん聞いてくれっ!!俺さっき着させて頂く道着のサイズを確認してたのに、チャック付きの道着見て魔が差して、勢いよく上半身裸のまま着用したら………なんか、ファスナー壊れちゃって!!変態みたいに成っちまったんだ!」

「誰がどう見ても変態な不審者だ、常軌を逸した阿呆者が」

「ぶふっふっふ!!!」

 

 

 

犬太郎の現状を説明しよう。

 

・福福の上着の様な道着を胸筋に被るまで着ている。

・それの所為で服がパツパツ、悲鳴を上げている。

・ファスナーが壊れて、脱げなくなっている。

・へそ丸出し、ズボンは何故か半ズボン。

 

全てが奇抜。それも全くふざけてなく、真面目に困っている事。

 

 

それを全て理解した福福は、笑みを零さずにはいられなくなる。

藩、釈淵もソレは同様。ツッコミを入れた儀玄は若干の引き攣った表情に成る。

 

 

 

「このままじゃオイラ、天空の〇ラピ〇タの某親方みたいに成っちまうゥゥ!!」

「お前っ……お前さんは本当のたわけ者だな」

「まっ!先ずは落ち着っ…ぶふぅ!w……ほっ、ほんっと、なにしてるんですか一人で……っっ!」

「いや確かに脳死で着用したのは愚かだったけども!まさかこうなる何てマジで思わなかったんだッ!!しかも、この道着キツいから乳首擦れて…むっちゃ擽ったい!」

「人の道場の道着で感じるな、変質者め」

「せめて阿呆って言ってくれんね!?なんか嫌だその眼と言い方ぁ!死にたくなるぅぅ!!」

「犬太郎……俺は心配だよ、お前さんの将来と福姐を頼んでも良いのかどうか……」

「全く、貴方は実に愉快な方だ」

 

 

 

突如、居間の雰囲気を意味不明なモノに変えた犬太郎。

 

その後、犬太郎は儀玄の技術によって何とか道着を破裂せず、藩と釈淵と一緒に道着を見繕って貰った。

 

探せば、普通にあった。つまり犬太郎の確認不足による只の茶番だったのだ。

 

 

そうして、アクシデントも含め、夜は次第に更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「して……師匠、さっき何と言おうとして……」

「ん?いや、それはまた今度伝えるとしよう。きっと、いつの日か犬太郎とホロウに入る時が来る。その時に見ると良い、奴の()()()()をな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆数時間後……。

 

 

 

 

「────さて、犬太郎くん。色々と片が付いたところで……コレ(タバコ)について、二人で少しお話しましょう」

「むっ………も、もしかしt」

「先に言っておきますけど、絶対に吸わせませんからねっ!そこんところ期待しないようにっ!」

「ういっす……」

 

 

 

時刻は夜の9時を周り、居間を離れた道場の縁側。

 

そこで月日に照らされた犬太郎と福福が、空気が澄んでいる縁側で腰を下ろし、二人並んで座っている。

風呂も入り、部屋の布団も掛け、着替えも干した。後は寝るだけに成った現状で、福福は犬太郎に二人で話したいと彼に伝え、今に至る。

 

そこで、福福が手に彼が所持していたタバコの箱を持って告げる。

 

どうやら……内容はやはりタバコの様だ。

 

 

 

「無論この…フォイライト?って凄い量のタールのタバコは、あたしが確り責任を持って【保管】させて頂きますから!」

「うわぁあ!!でも仕方ないk………え?今【保管】って……」

 

 

 

彼女の発言に、一瞬理解が拒む。

福福は今、タバコを保管すると言った。聞き間違いとかではなく、芯を持ってそう言った。

 

故に問い返してしまう。一体、なんでそんな事を?普通は処理ではないのかと、そう思ってしまって。

 

 

 

「もちろん、最初は処分しようと思いましたよ?未成年の貴方が吸うのは無論いけない事ですから!でも……後数ヶ月で20歳を迎える事実も無視は出来ません」

「福福……」

「……それに、大好きな事を取り上げて、最後に処分は……何か、可哀想なので」

 

 

 

その言葉は、余りにも、余りにも優しすぎて。

普通ならば有無を言わさず既に処分している。それ程の愚かな事だ。

 

それすらも、福福は憐れみを感じてしまう。真正の善良な女の子なのだ、彼女は。

 

 

 

「なっ!なので!20歳を迎える1()2()()3()0()()までタバコは禁止!我慢ですよっ!あとお酒も!分かりましたか?」

「………うん、分かったよ福福。俺がんばる」

「宜しい!とはいえ……お手々、もう震えてますが………大丈夫ですか?」

「あ、あぁ……これか?コレは武者震いってヤツだ」

「一応聞きますが、何のですか?」

「その、今日から禁煙禁酒生活が始まるって思うと、すげぇワクワクしてるみたいでな。ふは、ふっははは」

「……頑張りましょうね?犬太郎くん」

「……うん」

 

 

 

禁煙してそろそろ1日が経とうとしているが、既にコレだ。

だが、禁煙と云うのは最初の1日~4日間が一番辛いと聞く。(個人差はあります)

 

それを信じて、先ずは最初の鬼門を越えよう。

傍には福福が居る、きっと、何とかなると信じる。

 

 

 

「実は何ですけど!藩さんにおねだりして頂いたお菓子があるんです!もしかしたら少し誤魔化しが利くかもしれませんっ!」

「ん?お菓子だぁ?ソレって一体………あっ」

 

 

 

福福が懐からゴソゴソと漁り、二人分のとある食品を取り出した。

それは……犬太郎にとって、よく見かけるお菓子。

 

福福がキラキラした顔で、それを手渡して来る。

 

 

 

「────これです!()()()()()の飴ちゃん!えへへ!丁度台所のタンスに二つ眠っていたんです!あ!消味期限はまだ大丈夫ですから安心して下さいね!」

「……咥え飴か」

 

 

 

そう、それはまさかのロリポップだった。

犬太郎からすれば、それは……己の憧れ(ライト)がよく愛食しているもの。咥えれる飴のお菓子だ。

 

 

 

「みかん味とブドウ味がありますが、犬太郎くんはどっちを食べたいですか?」

「………あ、じゃあ…ブドウ味を」

「はーい!ではあたしはみかん味を頂きますね!」

 

 

 

そうして、福福は犬太郎にブドウ味を手渡す。

メーカーは少し違う、この土地特有に進化したロリポップの製品。

 

福福と共に飴の袋を外し、そのまま咥える。

 

 

 

「う~~ん!美味しいですね~!」

「あぁ、美味いな……くはッ!あぁ、()()()コレは良いんだな。これからは、不意に吸いたくなっちまったらコイツを舐めるとしよう」

「あはは、出費を考えると少し痛手ですが……これも一種の方法ですから!必要な出費と言えますっ!」

 

 

 

二人で話しながら、飴を舐める。

月日は二人を照らして、何とも悪くない雰囲気を作り出す。

 

そこで、ふと…福福が疑問符を浮かべる。

 

 

 

「ん?()()()って、どういう……?」

「いや、実は何だが……メーカーは違うんだが、俺の憧れの一人が同じ飴を好んで食っていてな。元々、その人も喫煙者だったらしいからこういう飴は禁煙のお供に向いてんのかも?って、思っただけだ」

「はぇ~成程~!そう言う事ですか……犬太郎くんにも居るんですね!憧れる御人!」

 

 

 

流石に食いつくか。

福福は犬太郎の言葉を確りと聞いて、その中に憧れの人物に興味を標した。

 

彼女の瞳を見る。

エメラルドよりも綺麗で、周囲を照らす月をも凌駕する程に輝かせて犬太郎を見ている。

どうやら凄まじく気になるようだ。

 

 

 

「まぁいいか。あぁ居るよ、憧れの人は………二人な」

「そうなんですか!?良かったら教えて下さい!どんな御二人なのか、気になります!」

 

 

 

犬太郎は少し迷ったが、少し濁して言えば良い。

そう思い、告げた。

 

 

 

「一人は郊外で【無敗のチャンピオン】って謳われる、ライトって男でな。さっき言った、元喫煙者の人だ。で、どう出会ったか何だが………まぁ、俺って幼い時はそりゃぁ荒れててさ。色んな所に喧嘩吹っ掛けたり迷惑掛けたりした。まぁ、どうしようもないクソガキだった訳だな」

「な、何だか容易に想像できますね……」

「気付いた時には、俺は郊外に居た。当時14だったか?各組織に追われて、眼をギンギンに開いて近付くなオーラ全開の、マジの荒れ期真っ盛りな俺を拾ったのが────そのライトって御人でな………その人に俺は、返し切れない恩がある」

 

 

 

犬太郎は続ける。

 

 

 

「飯も、服も、心も……何もかも頂いた。大恩人だ。郊外にて誰よりも強く、どんな逆光でも耐え、死んでも倒れないその背中に俺は憧れた。戦闘スタイルは余り学べなかったが、基礎的な力も教えてくれた。あの人が居なかったら、今の俺は、存在していなかったかもしれん」

「っっ……そんな凄い御方が郊外に!あたし会ってみたくなりましたっ!」

「ふはっ!きっと粗利があると思うぞ。ライトさんは案外ノリ良い人だしな。因みに俺がちゃんとタバコを吸い始めたのも、100均ライターからZippoに買え替えたのもライトさんの影響をバリバリに受けたからだな。あー後は酒もそこか。ははっ、自分で言ってて何か恥ずいな」

「………色んな意味でその人に会いたくなりましたよ」

 

 

 

そう、ライトは犬太郎にとっての憧れ。

 

色んな観点を用いて、彼に着いて説明する犬太郎。

その眼は、非常にイキイキしていて。

本当に大好きなんだと、理解出来る程に。

 

しかし良い部分に影響されてる半面、確りとダメな部分も影響されている。

これは、ちゃんとお話をしなくてはいけなそうだ。

 

福福は、郊外【無敗のチャンピオン】こと『ライト』の名を、脳に保存した。

 

 

 

「ま、ライトさんについてはこんなモンかな」

「些か気になる点はありましたが……貴方がすっごくその人に憧れているんだと理解しましたよっ!」

「んぐっ……まぁ、うん…」

「ライトさんって御名前なんですね、覚えました。その、写真上から見てもその覇気は伝わるんですが……やはりお強いんですか?」

「めちゃくちゃ強いぞ。何てったって、俺に基礎戦闘技術を叩き込んだ師にあたる人物だからな。正面からのステゴロ勝負じゃ先ず誰にも負けん」

「はえ~~~!!そんなにお強いんですか!」

 

 

 

確かに見た目からでも分かる、その隙の無さ。

 

郊外のライト……そういえば、少し聞いた事がある。

以前【グランプスの黒枝】に所属している『盤岳』が彼の事を少し気にしていた、様な気がする。福福はそんな事を少し思い出した。

 

 

 

「あーそうだ、写真でも見るか?」

「え!?良いんですか!」

「あぁ、ちょいと待て………ホラ、この金髪サイドテールのお嬢様(ルーシーちゃん)に雑用されてる人がライトさんだ。マジでカッコよくね?」

「おー、確かにカッコいいですね~。この隣に居る方はライトさんのお仲間ですか?」

「そうだな。他にも数人いるが……ライトさんは郊外を活動区に置く【カリュドーンの子】って組織に所属しているんだ。荒野で走るバイクに車、これが最高でな……いつか、福福も連れて行きたい場所の一つだ。きっと気に入ると思う」

「やったー!えへへ!是非連れてってくださいっ!実はあたし、ちょっとバイクとか興味があって…!」

 

 

 

犬太郎と福福は会話を弾ませる。

 

福福も、新エリー都の郊外には行った事のない身分なので、彼の話が非常に興味深く面白く感じる。

 

 

 

「ふふっ!貴方がライトさんって方に憧れている理由、何となく分かった気がします」

「ん?何だ急に……Zippoやタバコの件でって話か?」

「えっと、そう言ったイケナイ部分にも影響受けているのは確り理解はしたんですけど、それよりも……ライトさんについて話す犬太郎が、ふふふっ……とっても楽しそうで、何だか可愛く見えてっ!本当に大好きなんだなーって!」

「んっっ……否定し辛い事をつらつらと並べるな福福、どう反応すりゃいいか分からん」

「おっ!恥ずかしいんですか?あたしは良いと思いますよ!大好きって、素直に思えるのって!」

 

 

 

犬太郎は福福の顔を見る。

 

この子は、ただ純粋に自身が思った事を、犬太郎に伝えているのだ。

そこに何の捻りも無く、それ以上の意味は含まれていない。

 

だから……非常に厄介なんだ。

 

 

 

……いつか、俺も貴女に対し、ハッキリそう言えたらな

「ん?すみません、いま何か仰いました…?」

「ふはっ、いんや何でも。この飴、美味いなって思っただけだ」

「あぁ、なるほど!この時間帯に食べる、何とも言えない背徳感!ってやつですね!」

「ぷっ!随分と浅い背徳感だ。貴女は夜に台所に侵入して、肉でも盗み食いしてそうだがな」

「むっ!あたしはそんな意地汚くありませんからっ!雲嶽山の一番弟子であるあたしが。そんな事する訳ないじゃないですか!全くもう!」

「そうか?いやなに、台所の冷蔵庫に鍵が掛かってたから、そうなんじゃないかって思っただけだよ。すまんな」

「……………」

「………おい?」

 

 

 

急に黙った福福。

だらだらと脂汗を垂れ流す。どうやらこのリアクション、この女……やっている。

 

ぶっちゃけ鼠対策か何かかと普通に思い、犬太郎はふざけてそんな事を言ったのだが……どうやら福福はシンプルに盗み食いを働き、藩は鍵付き冷蔵庫を採用したのだろう。英断だ。

 

 

 

「ん゙ん゙!あ、あたしの事は良いんですよっ!そ、それで……2人目の憧れている方と云うのは?」

「っと……あぁ、そうかもう一人か」

 

 

 

すると、話題は戻り、犬太郎の事。

福福が聞くはもう一人の憧れの人物について。福福は彼の事を確りと知りたい為、何の糸も介せずにそう問う。

 

それが、彼にとっての後ろ暗い事と知らないで。

 

 

 

「あぁ、俺の憧れはもう一人居る。その人は……弱いんだ!これがまた!」

「え?よ、弱い?」

「おう。福福の様に身体能力が高い訳でもなく、かと言って儀玄ちゃんの様に特別な戦技術がある訳でもない。病弱で、若干のエーテル適応体質なだけの、普通の人間。ガキん時の俺よりも弱ぇ男だった」

「はえ~……でも、その方の何処に、貴方は憧れて…?」

「────在り方だな…………なぁ、福福!」

「え?……っ!!」

 

 

 

すると、犬太郎がとびっきりの笑顔を、福福に向け告げる。

 

 

 

「俺には、夢があるんだ!誰かの為に在り、弱き者を、救いを求める者を、己が死んでも護り抜く!鋼鉄にも勝る【最強の盾】に成るって夢が!」

「────っ!!」

「今は車に置いて来て持ってないが、俺と初めて会った時に背に掛けていた【大剣】を覚えているか?アレはな、その男から継がせて頂いた代物なんだ。その男は当時から市民が誇る盾だった。まっ、盾と云っても強くないから、戦地じゃ直ぐにダウンしていた。だから市民からは【最弱の盾】なんて呼ばれていた。はっ!笑えるな」

「………」

「だけどな、そう呼ばれようとも愛されていたんだ。必死に護る背中を、市民は見ていたから。だからカッコ良かった。俺は、そんな男に憧れ、同じ夢を見た……最強の盾となる、どう成るのか定かじゃないイイ加減な夢をな」

 

 

 

語る犬太郎のその瞳は、まるで、夢を追う青い少年。

キラキラしていて、本当に成りたいんだと、意気揚々と喋る。

 

 

 

「なんて……ガキ臭い夢だよな。すまん、今のは忘れてくれて構わん……」

「か、かっ………」

「ん?ふ、福福?」

「────カッコいい~~~っ!!」

「おわぁぁ!?」

 

 

 

ずいっっ!!と、犬太郎の顔に近付き、興奮した様子を見せる福福。

正に感涙。どうやら福福の心に打たれる何かがあったようだ。

 

犬太郎は突如顔を近づけた福福に狼狽える。そのご尊顔を不意に近づけられ、つい意識してしまう。

 

 

 

「カッコいい!かっこいいですよっ!はわぁぁ~~~っ!!貴方にそんなすっごい夢があっただなんてっ!あたし、感動しましたっっ!!お師匠さまから貴方が【鋼鉄の盾】と世間に謳われているとお聞きしましたが、その意味、確りと理解出来ました!そうですかそうですか!【最強の盾】、ですかっ…………犬太郎くん!!あたし、その夢を応援したいですっ!」

「────ッ」

 

 

 

混じりっ気の無い純粋性の言葉で、そう発語する福福。

眩しい笑顔で、可憐な笑顔で、そう言う福福。

 

それが、限りなく……犬太郎の情緒を崩していく。

 

 

 

「よ……よせ、俺は………」

「あっ!また自分を卑下するんですかっ!誇れば良いじゃないですか!だって最強の盾ですよ!最強の盾!!ものすっごくカッコいい夢であり目標じゃないですか!!あたしっ!ほんっとうに感激しました!」

「っっ……も、もういい!」

「憧れの御二人から見出したその夢!とっても素敵です!!あ!だから今日お師匠さまの悪戯からあたしを庇う形でだきっ……だ、抱きしめて下さったのですねっ!え、えへへ!そう言った場面でも貴方の在り方があったとは驚きです!」

「ッ、福福!!!」

「ふにゃぁ!?」

 

 

 

”ガシっ……!”

 

 

 

瞬間、犬太郎が福福の両肩を掴み、言葉の発生を止める。

かなり力強く掴まれ、身動きが取れなくなる。

 

福福はビクッと身を震わし、そのまま、何もせず犬太郎の動向を伺う。

 

 

 

「……も、もう大丈夫、それ以上は言わなくて良いッ」

「え?」

「ふぅぅ……先ずは、ありがとう福福。別に卑下した訳ではない、ただ……俺の夢は、ライトさん以外には話した事が無いんだ。だから、ちょいと恥ずかしかっただけなんだ……そ、それ以上は、俺の心が持たんッ」

 

 

 

誠心誠意、先ずはそう言ってくれた事に感謝を。

 

だが、これ以上福福の誉め言葉を受けてしまえば、どうにかなってしまいそうだ。

それは駄目だ、きっと己が己じゃなくなる。此処まで着てすべて水の泡は、嘘だ。

 

 

 

「あっ!そうだったんですね!それはとんだ勘違いを…ッ……あ、あの、犬太郎くん、ちょっと痛い…です……っ」

「ッ!!あ、すまん!!け、け、怪我は!?」

「あ、いえ!怪我は全く!ちょっとだけ痛かっただけですので!えへへ……」

「すまん……ちょっと強すぎたな。出来るだけ弱く掴んだと思ったが……」

 

 

 

ガッチリ掴まれた両肩。

福福が少し摩る。本当に力が強かった。今迄で一番だ。

 

しかも、本人曰く出来得る限りで弱めに掴んだと。

 

体型からでも分かり易いが、彼の筋肉はかなりある。

だがそんなもの、この新エリー都では余り気にはならない。

 

元々体躯の良い人も居れば、シリオン系統で元来の強さを持つ者もいる。

だが……彼は普通の人間だ。体躯があるとはいえ、その馬鹿力は流石の福福も驚愕を覚える。

 

 

 

「あ、ってかすまん!貴女を抱いた時にも聞くべきだったが、俺に触れられて嫌じゃなかったか?」

「へ?い、いえいえ!!そんなの全く気になりませんよっ!いつでも…は良くありませんけど!あたしに触れる位は全く大丈夫ですからっ!」

「そうか……良かった、嫌だったらどうしようかと」

「……あっ!!でも、他の女の子にこんな事しちゃダメなんですからね!触って良いのはあたしだけ!はいっ!復唱!」

「ふ、復唱?……福福だけしか、触っちゃダメ?え、いいぜ?いいんだぜそんな事して?」

「は、い……~~~~!!ぁ……や、やっぱなしです!そんな、助平みたいじゃないですかっ!!」

「いや言えって言ったの福福なんだが」

「がおっ……!!」

 

 

 

変な鳴き声で呻く。

そうだ、言えって言ったの自分だ。

 

反論の余地は無し。故に……もう進むしかない。

 

 

 

「そ、そうでしたっ……~~~~っ!!はいっ!!!」

「……ん?」

「あ、あたしは!どんな、すっ、助平な貴方でも!あたしは受け入れますからね!!」

「────は???」

 

 

 

何と福福は、犬太郎に向け両手を広げ、抱きしめられる状態になる。

それは、即ち抱擁待ち。付き合いたてのカップルがする様なアレだ。

 

それを、ぐちゃぐちゃに成った頭で執行してしまったのが、福福だ。

 

 

 

「い、いや……いやいやいや!!ばっ!何してんだ!!!」

「ひゃぁぁ!!」

「若ぇ女の子がそんな、俺の力はさっき味わったろ!俺が貴女を抱いたら死ぬぞ!」

「そっ!そんな軟な鍛え方はしてませんっ!!確かにあたしは小っちゃいですが、コレでも虎らしく戦えるんですよっ!!」

「俺の話を聞け!!このおバカ!」

「何ですって!?」

 

 

 

瞬間、何故かヒートアップしてしまう二人。

巻き起こるのは、なんと言い合い。ガキの喧嘩だ。

 

 

 

「誰がおバカですか!あたしよりも年下で、未成年で喫煙と飲酒の常習犯だった癖に~~!!」

「んなにをぅ!?ならさっきのハグ態勢はどう説明すんだ!?そうやって何も考えず、まだ友達の関係の中でそうすんのはおバカ以外に何にも言えねぇだろうが!!」

「はぁ~~!?あ、あたしが何も考えずこの態勢を取っていると思っているんですか!?」

「じゃなきゃ可笑しいだろうが!!」

「おかしくないですもん!!あたしだってちゃんと考えてるんですよ!」

「じゃあなんだ!」

「あたしは…っ!!あ、あたし……あたしは…っ」

 

 

 

そして、福福が……告げる。

 

 

 

「………あたしはっ、貴方が……犬太郎くんがっ!」

「あっ……」

「あたしはっ!貴方の事が…んっっ!!」

「ふ、福福…!」

 

 

 

瞬間、犬太郎が手を用い、福福の口を閉ざす。

それは瞬間的で、手を覆われて尚むぐむぐと福福が喋り続ける程だった。

 

 

 

「……それ以上は、言わなくっていい」

「んひゅ…!!」

「その先は俺の仕事だ。お前ッ…貴女は、言わないでほしい」

「んっ……ぁぅ…!」

 

 

 

互いに、一切の余裕なし。

 

ドクン、ドクン…と両社の心拍音が聞こえそうな程、二人は緊張している。

 

最初は御説教だった。

次に親睦をさらに深め、犬太郎を褒める時間。

そして何故か喧嘩をし、その後に……この妙な雰囲気だ。

 

恋愛とは、いつもこういう展開を作る。

 

それが素人の二人ならば、それは予測不可能。

犬太郎が告げる。

 

 

 

「────もう少し、待って欲しい。もっと……もっと貴女を、福福を!ちゃんと知りたいから…ッ!」

「~~~~~っっ!!!」

「だから貴女も、俺と云う男を確りと知ってから……その先の関係に、じゃ、ダメかな…?」

 

 

 

恥ずかしそうに照れながらそう言う犬太郎。

全身から脳まで沸騰しそうな感情になり、真っ赤っかな福福。

 

 

 

「ひゅ、ひゅん!ふんふん!!」

「あーーっと……俺の我儘を聞いてくれたって、事で良い……のか?」

「ふん…ふんふんっ!」

「わ、分かった……手、離すぞ?」

「んっ……ぷはっ!はっ、はっ……はっ、はっ…はっ……!」

「だ、大丈夫か?」

「だ……だいじょうぶですっ!で、でも!いきなり手を嗅がせないで下さいっ……変な気分になっちゃうから……っ

「え?変な気分って……それって、大丈夫なのか?顔も赤い……熱じゃないよな?」

「あ…~~~~~~!!!!なんでそう言うのは聞こえちゃうんですかぁぁ!!」

「うぇぇぇ!?」

 

 

 

何故か心配して怒られた犬太郎。

訳が分からずに居る。犬太郎は只、彼女が心配だったから聞いたのに。

 

だが、福福が怒るのは正当な理由がある。それを言ったらお終いだから言えないが。

 

だからこそ……この馬鹿には、もう怒るしかなくなるのだ。

 

 

 

「ふーー!ふーーー!!」

「……自己紹介?」

「シャァァァァァァァァァ!!!」

「ぎゃぁぁぁ!!ひ、引っ搔くな理由もなしにぃ!」

「理由ならあります!!この鈍感でふざけてて助平で変な所で真面目でおバカさんで律儀でズルくてズルくてズルいズルいズルい犬太郎くんが悪いって正当な理由があるんですからぁぁぁ~~~!!」

「なんじゃそりゃ!?どういう意味だっぺ!!?ちょ、ま、待て!ギィィヤァァァァァァ!!!」

 

 

 

そして、犬太郎の顔は福福の鍵爪でシンプルに引っ掛かれた。

まぁ、致し方なし。

 

この絶好のタイミングで福福の告白を止め、それを理解した上で、それは自分が言いたいと言って意味不明な我儘を言って、しかも自分の邪な考えを男の癖に理解できない鈍感さを見せて来て、最後の最後にふざけ出す。(本人は至って真面目)

 

幾ら福福でも、我慢の限界がある。

 

福福は……此の先、この男に振り回される。

それを、今、やっとこの身に染み渡って理解した。

 

気付けば床には舐め切った飴の棒が転がっている。

 

 

その棒の天辺が……チョンっと二つ、くっ付いて。

 

 

その様子はまるで……。

 

 

 

「ちょっ!!待て待て!落ち着け福福!!」

「誰の所為ですか誰の~~~!!!」

「……え、もしかして俺!?」

 

 

 

”プチッ!”

 

 

 

福福、キレる。

 

 

 

「フシャァァァァ!!!貴方以外に誰が居るって言うんですか!!」

「えぇ~~~!!?」

「大体ですね犬太郎くん!!あたしが貴方の喫煙を初めて見た時言い忘れてましたけど!あれ普通に路上喫煙ですから!!路地裏でもダメなものはダメですからね!まさか、いつもあんな風にタバコを吸っていたんじゃないですよねっ!!」

「それは………ないんじゃねーかな~~……」

「け~ん~た~ろ~う~く~ん~~~~ッッ!??」

「ゆ…許してくれぇぇ!!」

「そこに直りなさい!!!貴方にはもう一度タバコの危険性と社会のマナーと云うモノをキッチリと叩き込んであげます!!!覚悟して下さいっ!!」

「おいちょいと待て!!もう夜の9時を過ぎてんだぞ!?」

「関係ありません!!あたしは11時まで起きれます!」

「2時間続ける気か!?ってか11時まで起きれるって…ぷっ!!なんか子供っぽ~」

「あー!あーーー!!言いましたね遂に貴方も!!もう許しません!」

「はーーー!!しくった!ま、待て福福、すまなk………いやぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!」

 

 

 

そうして、二人だけの熱い夜()が始まった。

 

福福は犬太郎を正座させ、犬太郎は消沈して大人しく彼女の説教を受ける。

 

その様子は、悪さをした子供が母親にバレて叱咤を受けている様子。

 

 

 

「………アイツ等、ずっと騒がしいな」

「元気なのは良い事ですが、時間を考えて頂きたいものですね」

「若いってのは良い事だなぁ!」

 

 

 

それをそ~っと見る、儀玄、藩、釈淵の3人組。

 

騒がしい事この上ないので、なんだなんだと様子を見に来てみれば……この有様だ。

 

この感じ、先は思いやられるな……そう思った、儀玄達であった。

 

 

 

 

☆おまけ

 

 

 

 

「……なぁ、福福」

「ん?はい、なんですか?」

「色々あって、説教も有難く頂いたが、やっぱ……その、ありがとう」

「え!?な、なんの御礼ですか!?」

 

 

 

縁側、2時間はいかない程度の説教が終わり、また少しの会話を行う二人。

 

時刻は10時40分を周る。

福福が少し眠くなってくる頃合い。もう、お開きになるだろう。

 

それを悟った犬太郎が、最後に言いたい事を言う。

 

 

 

「今日、デートをしてくれた事」

「っ…!」

「俺の夢を、カッコいいと、応援すると言ってくれた事」

「犬太郎くん……」

「そして……俺と、お友達に成ってくれた事」

 

 

 

犬太郎は続ける。

 

 

 

「────ありがとう。心より、感謝を込めて伝える」

「そ、そんな畏まらなくっても!あ、あぁ、あたしも!ありがとう御座います!」

「……福福」

 

 

 

すると……犬太郎が、右手の掌を見せる。

 

 

 

「寝る前にお願い、聞いてほしい」

「ッ……いいですよ、何でも言って下さい」

「ありがとう………握ってほしいんだ、俺の手を」

 

 

 

それは、懇願だった。

かなり珍しい、彼のマジなお願い。

 

それは、握手……ではなく、ただ握ってほしいという願い。

 

 

 

「────はいっ」

 

 

 

それを、全力で応える福福。

両手いっぱいに、犬太郎の右手にギュっと握って。

そのまま、制止する。ぎゅ~~っと、握って。

 

 

 

「……ゴツゴツしてて、硬いです」

「……スベスベしてて、柔らかい」

「沢山の潰れた肉刺があって、あの大剣を使って頑張っていると伝わります」

「厳しい修行下でも掌のケアを怠らず、自分磨きに奮闘しているって伝わる」

「っっ……カッコいい、強い、素敵な手です」

「…あざす」

「えー!?そこはあたしにも同じような事を言って下さいよ~!」

「ぷっはは!だって何か恥ずいんだもーん!」

「も~~!」

 

 

 

そんな、見てらんないイチャイチャをして。

互いにもう、距離は無くなっていって。

 

確実に、だが少しずつ……進歩している。

 

 

 

「俺は好きだよ、福福の勇ましくて可憐な、カッコいい手は」

「んっ、ぁ……~~~ッッ!!……ありがとう、ございます…っ」

 

 

 

だからこそ、思う。

二人は、今はこの距離感が、特別に好きなんだと。

 

ずっと続けばいいのにって、そう思って。

 

だが、このままじゃ駄目だ。

いつか、己の感情を言う日が来る。その日の為に、もっと男を磨くんだ。

今日の濃い一日を得て、そう決めた……犬太郎であった。

 

 

 

 

 

 

次回

 

禁煙の恐ろしさ。そして……




1万文字超えてしもた。もっとコンパクトにしたいんすけどね……難しい!


いつも読んで下さり、誠にありがとう御座います!

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