最強の盾は橘福福しか見えなくなる。〈旧題:最強の盾〉   作:カブトムシの相棒

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出来ればで大丈夫です!皆さんの意見を教えて下さい。

感想で少し教えて欲しい事があるのですが……『星見雅』って何歳なんですか?

私としては、旧友である朱鳶と同じ〈24歳くらい〉だと思っているのですが、PVでは8~10歳っぽくも見えますので、もしかしたら10代後半の可能性(飛び級)もあると書いてる人も居たので確かにと思いました。

私としては雅は24歳くらいだと超ウルトラ激熱なんですが、皆さんはどう思いますか?良ければ教えて下さいっ!


感想、誤字報告、本当にありがとう御座います!!


では、本編です。


デートの下準備、そして……当日。

 

 

 

☆Random Play店内……。

 

 

 

 

 

 

「────()()ってどんな感じでビビデバビデブー?」

「またあんたは懐かしいネタを」

「せめて言葉を繋いでほしいな。緊張してるのは分かるけど」

 

 

 

不意に発した犬太郎の発言にツッコむアキラとリン。

 

現在、犬太郎は皆に相談をしていた。

それは……明々後日の、福福との【六分街でデート】の件についてだ。

 

急に決まった事。理由は不明。

 

だが福福のあの感じを鑑みるに、どうやら彼女はマジな雰囲気だった。

 

それは童貞な犬太郎でも分かった事。故に……己も覚悟を決める時。

 

 

 

「あぁ、すまん………女の子って、どういう告白とかが良いのかなって。単純に気になったんだ」

「ふむ……思い出に残った出来事を綴り、最後に共に居たい意志を伝え、正面からお付き合い下さいと申せば、それは立派な告白であると私は思います」

「なるほど……ふぅぅーーーー…………思い出を綴り、正面から……あぁ、そうですね。全く以てその通りっすわ」

「緊張は本気と同様。犬太郎さまにとって、それ程のチャレンジである事ですわ。リナに出来る事がありましたら、どうか御申しつけ下さいませ」

「え、ガチ?………女性的目線で聞きたいんだけど、男の香水ってどう?」

「そうですわねぇ~……犬太郎さまには然程必要はないかもしれませんわ~」

「え?なんで?」

「まぁ犬太郎が付けるってイメージも湧かないし、女の子って別に男の人の香水とか気にする人そんな居ないしね」

「うぇ!?そうなん!?」

「そうなのか?」

「そうなのかい?」

「男性陣に衝撃が走っちゃったよっ!あ、人によると思うよっ!」

 

 

 

エレンの発言は犬太郎に衝撃を覚えさせた。

それだけでなく、ライカン以外の男性陣が驚愕を覚える。リン含め、女性陣には溜息が漏れる者も居た。

 

とはいえ、エレンが言ったのは飽く迄も個人の主観だ。香水をつけてほしい人も居れば、付けないでほしい人も居る。それだけの話なのだ。

 

 

 

「後は前回とはまた別のお出かけ用の私服でしょうか。見繕いは必要ですか?」

「んー……いや、いいよ。リナちゃんやリンさん達には前回で色々と教わったしな。決戦日の服は俺が決めたい」

「っ!そっか!」

 

 

 

そう言う犬太郎の発言と瞳は不屈の芯があった。

それは、学びを得て、自分で決めたという確かな意思があった。

 

リンは彼のその意思を汲み取り、それ以上は聞かなかった。

 

 

 

「……でもめっちゃ緊張するわ。俺女好きで通ってるけどバキバキ童貞だからな」

「思ったんだが、それで女好きは通っちゃダメだろ」

「そのナリでチェリーはちょっと面白いけどね」

「うぅっ……エレンちゃんに嬉しいのか悔しいのか分からん事言われた……」

「まぁ、私は素敵だと思いますわ。それだけ自身の純潔を保っていたと言う事ですもの」

「リナちゃんッッ……俺、将来ヴィクトリア家政に入ろうかな。それか邪兎屋」

「邪兎屋は辞めといた方が良いんじゃないかい?でも犬太郎がヴィクトリア家政か……」

 

 

 

そう言うと、リナがパァァーっと笑顔をみせ、告げる。

 

 

 

「あら♡犬太郎さまでしたら何時でも歓迎ですわ。ね?ライカンさん」

「えぇ。仕事時、オンとオフが確りと出来ている犬太郎さまは、いずれ我々からも勧誘をと思っていました。貴方さま自身でそう仰って下さるのは、我々として願ってもない事。加え犬太郎さまは戦力、不規則時での対応力、社会性、常識、そして何より家事全般を得手とした凄腕の持ち主でありますので」

「いや~そんな、照れますなぁ………あの、なんでそんなガチな目で俺を見るん?」

 

 

 

すると、話題は犬太郎へと変わる。

 

 

 

「後はお言葉遣いと美学に関する知識でしょうか……いや、それ以上に過剰ともいえし戦力を加味すれば或いは……」

「ライカン?少し気が早いですわ。彼はまだ護衛屋、自営業を担っている男の子ですよ。前のめりに為り過ぎです」

「っと……これは大変失礼致しました。私とした事が、些か先を見てしまっていた様です」

「いやあの、先ず俺が未来でヴィクトリア家政の下で働いてるって事にツッコんでも良いか?」

「なに、ヤなの?」

「え、エレンちゃん?」

「あの……私、犬太郎さんが入るのでしたらっ……うれしい、です…っ!」

「ちょ、カリンちゃんまで!?いや別に俺風情が居なくとも事は回るだろ!あんた等はッ!」

 

 

 

何故かヴィクトリア家政の面々は犬太郎が自分達の陣営に入る事を決定している。

犬太郎は訳が分からないでいる。だが、異を唱えるは……。

 

 

 

「ちょいと待ちな。俺を抜きに、犬太郎の所属先を決めるのはな」

「ライトさま……」

「そ、そうだライトさん!言ってやって下さい!俺は護衛屋d」

「犬太郎はカリュドーンの子の未来、その一人だ。そして俺の弟分である以上、そう易々とこの子をあんた等には引き渡せんな」

「ライトさん!?いや何か、凄い捏造がある様な気がするんすけどッ!」

「やはり、立ちはだかるのは貴方ですか」

「私としては、彼ほど優れた執事は居ないと断言出来ます。それに私の下でしたら彼の長所を生かせると断言しましょう」

「ほう?悪くない評価だ……だが、犬太郎は御奉仕キャラより最後の砦が似合うだろうよ」

「いやリナちゃんもライカンさんも良いってそのノリ!!ライトさんも!ってか俺執事じゃねぇし!そういうのは【治安局】の人達か『アホ雅』だけで十分だって!ちょっ、アキラさんにリン!あんた等も何か言ってくれ!」

 

 

 

ライトも犬太郎の所属組織(身勝手)に対して言を投げる。恐らく悪ノリしている。

最早収拾が着かない。犬太郎はアキラとリンに助けを求めるも……。

 

 

 

「いや、犬太郎には普通に私達の助手として働いてほしいのはあるから……何も言えないんだよね」

「僕もリンも、犬太郎の御奉仕には本当に助けて貰った時期があるから余計にね。特に、君が作る料理は本当に絶品だ。胃袋を掴まれたとはこういう事だと、身を以て知ったさ」

「いやあんた等もかい!何かめっちゃ嬉しいから複雑だよ!って……俺の話はッ!!?」

 

 

 

そうして、何故か犬太郎の組織が引っ越しする羽目に成り掛けた所で、今日の”犬太郎、恋の相談”は終わりを迎えた。

 

まぁ結局は────素直に成れ、と言う事だ。

 

自分の事を知ってもらう。それは福福にとっても言える事。

 

それ故、皆は彼に大きなプレッシャーを与えなかった。

そう言う感じで良いのだ。と、心の中で彼に伝えて。

 

……だが、此方の陣営に入ってほしいという願望はマジである。

 

・家事全般、特に料理は凄腕の実力。

・オフ時はあれだが、仕事モードは確り者。

・怪物級の戦闘力。

・自営業を続けられる技量の持ち主。

・女好きだが、男性や子供にも優しい。

 

こう書けば分かり易く、彼は意外と欠点がない。

敢えて言うのであれば……顔が怖い事、戦闘時に口が悪く成る事か。

 

そんな自分を客観視できていないのが……皆にとって、歯痒いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────……一方その頃、雲嶽山の方では……。

 

 

 

 

 

☆拠点道場、大広場。

 

 

 

 

 

「────言っちゃいました言っちゃいました~~~っっっ!!うわぁぁぁ!!!ど、どうしましょうっ!?は、はし……はしたない女の人って…思われ……うわぁぁぁぁんっっ!!」

「えぇい、喧しい……今度は何だ福福。発情期か?」

「違いますよっ!!それは後1週間後ですからっ!!そうですお師匠さま聞いて下さいっ!あたし……下品な虎だったんです~~~っ!」

「うん、先ずは事の経緯から全て話せ。なんも分からん」

 

 

 

門下生がまだ来ていない時間帯。その日の雲嶽山も、何やら騒がしかった。

 

その正体は福福。雲嶽山の一番弟子だ。

犬太郎との電話を終えた福福は、外に飛び出して泣きながら武術の修行を行っている。そう、泣き叫びながら。

 

叫び声を聞いて、様子を伺いに来たのは師である儀玄。

何時もの光景ではあるが、些か様子が違う。犬太郎関連であるのは良く分かった。

 

福福がバグってる、その理由として、彼女が彼に発した……言葉の数々。

 

 

『犬太郎くんの、御飯が…食べたいですっ…!』

『これは犬太郎くんがちゃんと禁煙と禁酒を護っているかの調査でもあるんですからね!?だ、だから……あ、あんまり、浮かれない様に!』

 

 

と、言ったのだ。

 

 

 

「なにが……なにが浮かれないようにですかぁ……あたしの方が浮かれてぇ……!」

「まぁ、そうだな。泣いてると謂うのに、酷く嬉しそうに笑っているんだ。浮かれているのは誰が見ても分かる」

「くぅぅぅっっ!!……氣も巧く扱えませんっ………今日はダメダメな日です…っ」

「私には絶好調に見えるんだがな……なんだ、付き合ったのか?」

「付きあ……ふぎゃっっ!!!!!??!??!」

 

 

 

儀玄の何気ない一言。

それが、福福により狂乱を呼び寄せる。

 

 

 

「ま、まだ付き合ってませんよっ!!だ、だだだだ!だって!あたし、あぁぁ、あたしっっ!!彼が言ってくれるって、言って!それで、あたしっ……ま、ま、待って、待ってるんですからっ!!」

「お、おぉ、そうか……」

 

 

 

鮮烈な剣幕で儀玄に詰める福福。

その迫力は、僅かながら虎を見たほどだ。

 

儀玄が福福に言する。

 

 

 

「で……何があったんだ?その様子じゃお前さんのやらかしと見るが」

「あう……えっと…あたし、またテンパっちゃって……犬太郎くんに────」

 

 

 

そして、福福は儀玄に事の経緯を話した。

 

 

 

「………成程な。まぁ大丈夫だろ。お前さんと犬太郎には硬い絆の糸で結ばれてるってヤツだ」

「適当館だからって適当言わないで下さいよっ!あ、あたしっ!本当に……っ!」

「分かっている。はぁ、全くお前さんは……アドバイスとは云わんが、積極的なのか消極的なのかハッキリ分けんか。相手にとって中途半端は対応がムズイんだぞ」

「あぅぅ……分かってはいるんですけどっ………」

「第一…『犬太郎くんの、御飯が……食べたいですぅぅぅ~~♡(恋愛経験皆無アラサーのキャピ声)』…って何だ。最早新手のプロポーズだろ、それは」

「いやあたしそんな風に言ってませっ…ぐっw……言ってませんからっ!それに……そういうのは、彼からって言ってて、あたしは……そ、それまで待っててって言われてるんですっ!」

 

 

 

儀玄によるうわキツの声真似に若干ツボりかけたが、福福は否定。

 

まぁ確かに福福の発言は言い方含め、そう捉えられても可笑しくはない。

煽っている風に見えて的確なアドバイス。福福は何とか言い訳の言を投げるも、それには大きな力はない。

 

 

 

「……”飲食男女はヒトの大欲”とは言ったモノだ。それがヒトのあるべき姿なのかもしれんがな……まぁなんだ福福。以前にも言ったが、雲嶽山の宗主として色恋に執着するなとは言わん。若きお前さん達は様々な経験を積むべきだからな。それに、あの少年の邪気は目立つが決して悪意の類ではなく、何なら正善の精神を併せ持つ至天たる傑物。私としても信頼に値する男だ……が、色恋だけに現は抜かすな。それだけだ」

「お、お師匠さま………」

「さて、今日の修行は一時中断だ。福福、街へ回る支度をしろ……藩!釈淵!陽の傾き頃に来る門下生の修行を一時お前さん等に任せたい。良いな?」

 

 

 

それだけ告げると、儀玄が踵を返して拠点道場の室内へと入って行く。

 

儀玄がそう発言すると、奥から藩と釈淵が二人並んで歩いて来る。

 

 

 

「ん?全然いいがお師さん、何か用事か?」

「あぁ、この時期最も熱い福福の恋模様……おっと、まぁアレだ。背中を少しばかり押してやろうと思ってな。1時間ほど山を下り服屋へ行ってくる」

「成程、そう言う事ですか。承知しました。此方の方は我々にお任せを……1時間と云わず、御二人で必要な時間を過ごして下さい」

「悪いな。だが弟子たちが来る手前、用が済んだら直ぐに戻るさ」

「了解だ!気を付けてな!御二人さん!」

「あ、あの、一体何の話を……??」

 

 

 

その発言の意味を福福が理解出来ない。

儀玄がハァ…と息を吐き、告げる。

 

 

 

「────お前さんの服を買いに行くんだ。まさか、この間の服装で行くとは言うまいな?」

「へ……?」

 

 

 

そうして、儀玄と福福によるファッション選びが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆衛非地区のとあるお店。

 

 

 

 

 

「────ふむ、やはりスカートは鉄板か。だがお前さんの様なタイプにはブカブカのパーカーが似合うが……犬太郎も好きそうだが、果たして……」

「あ、あのっ、お師匠さまっ!あたし……も、もうちょっとカッコいい服が……」

「大丈夫だ、ここは私に任せておけ。お前さんに見合う服を身立てて買ってやる」

「そ、それ言えば済むと思ってませんっ!?あ…あたしにこんな可愛いのっ、似合わないですよっ………って、な、何ですかソレ!?」

「ん?何って……この地区に住んでいて、何の疑問形だ?」

「い、いや、それはそうですが…でもっ!それは……あの、お師匠さま!先ず大前提として、あたしは六分街に行くのであって、べ、別に…そのっ!あぁ、えっとっ!か、かか、彼に……色仕掛け……するとかじゃっ!」

「色仕掛けとは失敬な。これは歴史ありの由緒正しい服装だぞ?それに福福、お前さんは犬太郎が喜ぶ顔が見たくないのか?」

「っっ!!!そ、それは……」

「自分の為に、福福がこんな素敵で()()()な服を着込んで来てくれた。単純で純粋で且つ助平で大馬鹿者の犬太郎はさぞ喜ぶだろうなぁ?」

「っっっ………き、着ますぅ……」

「そうかそうか。よし、じゃあ着てみろ。あぁそうだ、金の心配はしなくていい。私の奢りだからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────そうして、犬太郎側は……。

 

 

 

 

 

 

”きゅるるるる………”

 

 

 

「────え?」

「っ………」

「………」

「あー……すまん、リンだ」

「ライトさん!!そこは庇う所でしょッ!!」

 

 

 

ヴィクトリア家政が別件の仕事で居なくなり、数時間が経ったRandom Playで、一際可愛らしい腹音が鳴り響いた。

 

その正体は……リンだった。

 

 

 

「俺にあんな可愛い腹の虫は似合わん。悪いな、女心が乏しくて」

「もうっ!!絶対にわざとの癖にィ……!」

「凄ぇ、息を吐くようにイチャつき出したぞ」

「……ライトさんなら、僕はっ……クッ!」

「無理すんなアキラさん。だが俺は保証する、ライトさんは良いぞ」

 

 

 

時刻は5時を過ぎ、既に外は夜の帳を下ろす準備を進めている。

少し早いが、リンはどうやら腹が減ったようだ。まぁ、今日の午後はほぼ犬太郎たちと共に語り尽くしていた。カロリーは大分消費したのだろう。

 

 

 

「……なぁ、ちょっといいか?」

「ん?なんだい?」

 

 

 

そこで、丁度良いと思った犬太郎はとある提案を持ち込む。

 

 

 

「────今日のあんた等の夕飯、俺が作っても良いか?」

「え?」

「へ?」

 

 

 

それは、夕飯の提供をしても良いかどうかだった。

 

 

 

「明々後日とは言え、ちゃんと美味い飯を福福に提供したい。俺の腕前を見てほしい」

「え、本当に?本当に良いの?」

「あぁ、あんた等が大丈夫って言うんならだが」

「もっ!勿論!やったー!お兄ちゃんやったね!数か月ぶりの犬太郎の手料理だよっ!」

「あぁ、僕としても有難いの一言だ。まさか君からそんな提案を頂けるとはね。願ってもない事だ」

「そんなにか?まぁ嬉しいが」

 

 

 

アキラとリンは犬太郎のその発言により、一気に活性化。

そう、犬太郎は実のところ……一時期Random Playに住み込みで家事全般を担当していた時期があったのだ。

 

何故か?それは……彼が住んでいた賃貸のアパートがシンプルに大火事を負い、全焼。

 

郊外にでも行って少しの間泊めて貰おうかと思った犬太郎だが、そこでリンに遭遇。

事情を説明し、ほぼ強制的に連れられ、自身の住処が決まる少しの間はRandom Playに住んでも良いと言われたのが主な理由だ。

 

そうして、1ヶ月は住んで、特に二人が虜に成ったのは……そう。

 

 

 

「犬太郎の料理、本当に美味しいんだからっ!私、もうお腹空いて来ちゃったもん!」

「さっきから空いてr…あ、いえ」

「ははっ、でも言えてるね。味もそうだけど、僕たちは余り自炊をしないタイプだから、あの1ヶ月で体調管理の大事さを痛く学んだのを思い出すよ」

 

 

 

既に胃袋を掴まれていると云っても過言では無いだろう。

味は保証する。そう息巻くアキラとリン。

 

 

 

「そういえば、ライトさんって犬太郎の料理食べた事あるの?」

「勿論。アキラも言ったが犬太郎の料理は絶品だ。深みがあり、口内全体に広がる香ばしい味わいは唯一無二だと俺は思っている」

「……なんか照れる」

 

 

 

想像以上の褒めちぎりに、思わず赤面を見せる犬太郎。

面々はニヤニヤしてるが、その言葉に嘘はない。

 

 

 

「と…取り合えず食材を買ってくる。どうせ冷蔵庫に大したモンは入って無いんだろ?」

「うっ……」

「ったく、まぁいい。何が食いたい?何でもいい、リクエストをくれ」

「うーん……ドンドン浮かび上がるな」

「そうだね……あっ!あたし回鍋肉食べてみたい!」

「回鍋肉な。了解、他には?」

「僕もリンと一緒で頼むよ。ライトさんは?」

「ん?俺か?いや俺は……」

「ライトさんも一緒に食べようよ!久しぶりの犬太郎の手料理だよ?」

 

 

 

アキラとリンの進言。

そして、弟分である犬太郎の事情。

 

それ等が重なり……ライトは。

 

 

 

「……では、御言葉に甘えるとしよう。俺もリンと一緒で良い、お願いしても良いか?」

「くはッ、良かった……勿論です。では食材を買ってくるのでライトさんは二人と一緒に待ってて下さい」

「手伝いは居るかい?」

「いや、大丈夫だ。それと金が要らん。俺の相談に乗ってくれた、その御礼として料理を頂いてほしい」

「そう?分かった」

「気を付けて行ってらっしゃい」

 

 

 

”ガチャン……”

 

 

 

そうして……アキラとリン、そしてライトは、今日は犬太郎の料理を頂くと言う事に成った。

 

犬太郎はそのまま店を出て近くのスーパーに向かった。

歩きで、それなりの距離はあるから……恐らく30分は掛かって来ないだろう。

 

彼が出て行って数秒の間……ライトが告げる。

 

 

 

「アキラ、リン。今日も犬太郎の為に時間を作ってくれたありがとうな。助かる」

「いいの!私達も犬太郎の助けには成りたかったし」

「それでもだ。正直、俺じゃ恋の悩みは役に立たんからな。あんた等やヴィクトリア家政が居てくれたお陰で、アイツは……楽しそうだしな」

「そこにはライトさんの存在も大きいよ。あまり、自分を下げてほしくないな」

「そうだよっ!犬太郎もだけど、ライトさんと犬太郎は自分を下げる癖があるからねっ!そう言う所も似てるんだからっ!」

「っと、これは失敬。以後気をつけさせて貰うよ」

 

 

 

似てる。

それは良くも悪くも、犬太郎がライトを無意識の内に意識していると言う事。

所作や口調、様々な要所で犬太郎はライトを尊敬している。

 

命を頂いた大恩人。そして、第二の親でもあるから。

 

 

 

「……そうえいばライトさんって、犬太郎といつからそんな師弟関係?みたいな感じになったの?」

「ん?俺と犬太郎がか?」

 

 

 

すると、リンがふとそう問うてくる。

 

リンが今湧いた疑問、そんな顔ではなく……何かを聞き出すような表情でそう聞いてきた。

 

 

 

「あぁ、確かに。それは僕も聞いてみたいな。ライトさんと犬太郎が郊外で知り合ったのは聞いたけど、どうしてそんな関係に成れたのか」

「………そうか、犬太郎は言っていないのか」

「え?」

「てっきりアイツの事だから、プロキシのあんた等にはもう言ったもんだと思っていたが……そうか………それ程まで、隠したいんだな」

 

 

 

そう発語するライトは、何か想いを馳せる様な口調でそう告ぐ。

リンもアキラも、そんな彼に疑問を浮かべる。

 

同時に……何か、聞いてはいけなかったかのような雰囲気を察知。

 

 

 

「……犬太郎は────」

 

 

 

ライトが犬太郎との関係を話そうとした瞬間。

 

 

 

『────ヤメロッ!!やめ、やめてくれッッ……なんで俺を助けるッ!!!』

 

 

 

壊れかけてしまったあの日の少年を、思い出す……。

 

 

 

 

 

 

『────俺なんか、俺なんかに…優しくしないでくれっっ……!』

 

『────こんな旨そうな飯を食う資格なんて、俺には……生きる資格すら、ないってのにッ…』

 

『────俺は人殺しだッ!!親父を殺して、妹も殺したッ!まだ5才だったんだッ!!!友達もころしてっ!爺ちゃんも、おっさんも…ババァも、あの人もっっ……俺が、俺が………ッッ……もっと何かできたはずだったんだっ…!俺にもっと、力があればよかった、はなし…だったんだ………っっ……助けられたはずだったのにっ……!』

 

『────もう……生きたくないッ……いきたくないよ…』

 

『────俺が死ねば…………産まれなきゃ、良かったのに……』

 

 

 

 

 

 

 

 

「────……そうだな、まぁぶっちゃけるとだが……郊外に迷い込んだ時の犬太郎は空前絶後に荒れていた。直ぐ喧嘩するは俺に啖呵切るは、隠れて一丁前にタバコ吸うし、無断で車を運転するは酒は暴飲するはで、今よりも手の付けられんクソガキだったさ」

「へぇ~……でも何か納得かも」

「やっと禁煙禁酒したから、今よりも素行はマシかも知れないね」

「あぁ……言えてるな」

 

 

 

言える筈が無い。

 

言える筈が無いのだ。

 

それは犬太郎にとって、父との誓いを破るに等しかったから。

あの日、あの時…彼が吐露した、自分が犯した罪の数々。

 

ライトは、それを罪とは……思う事が出来なかった。

 

まだ9歳の幼子が、どうしてこんな地獄を見る。

 

辛うじて生きていた父親と妹は手遅れで、エーテリアスに成る前に殺し。

それと同様の友も、そう懇願され殺し。

その次も、その次も、その次もその次もその次もその次も………皆、犬太郎に殺してくれと懇願して逝った。

 

最終的に変貌してしまったエーテリアスも殺して、その村は犬太郎の手によって、一夜にして滅んだ。

 

皆、心の何処かで思っていたんだ。

エーテル適応が脆弱な自分等は、いつかこうなって死ぬと。

 

せめて人の形で死にたい。最期の我儘……それが。

 

犬太郎を蝕んでしまった。

 

 

 

「……それでも、犬太郎は強く成る事を望んだ。其処からだな、俺との修行を積んで今があるのは。もう戦闘力は俺を優に超えている……アイツは心身共に、本当に強く成ったよ」

「ッ!……ふふっ、何かライトさん嬉しそうだね」

「ん?そう見えるか?もっと濃いサングラス掛けて来れば良かったか」

「いやいや!今のライトさんが良いの!少しの期間はそのままで居てよっ!」

 

 

 

それでも、犬太郎は折れなかった。

ライトに吐露して、もう生きたくないと発してしまっても……寸でで耐える事が出来た。

 

それにはライトとビリーが大きく噛んでは居るのだが……また、それは追々話そう。

 

 

 

「リン、犬太郎があんたにだけ距離を置いて居るのは……理由はある」

「ッ…」

「しかし、それは俺からは言えない事だ。犬太郎にとっては、些か重い事だから………だが、いつかきっと本人の口から聞ける日が来る。その時まで、気長に待てばいい……犬太郎はあんた等パエトーンが大好きだからな」

「ライトさん……うん、分かった」

「彼から言ってくれる事を切に願うよ」

 

 

 

ライトは必要な事だけを告げた。

こう言う所がライトさんだ。サポートに徹すれば最早右に出る者はいない。

 

”俺が居れば、他はいらん”

 

最高です。分裂してくれ。アキラとリンはそう思った。

 

 

 

”ガチャッ!”

 

 

 

「────おっ!おっ!!おっ!!!俺、帰宅、ナ~~ウ!カモ―ン!!」

「っと、丁度バカが帰って来たぞ」

「早いし、上機嫌だなぁ……禁煙で頭おかしくなってない?」

「頭おかしくなってないか?はっ!言うじゃねえか!ってかリンさんちょっと丸くね?太っただろ?」

「は?(全ギレ)」

「おっと、犬太郎の料理が食えん可能性が生まれたな」

「リンにだけノンデリって点は……前から一貫しているんだけどね」

 

 

 

そうして、リンにフルボッコにされた犬太郎はその後、ちゃんと料理を作った。

 

問題の味は……やはり美味しかったと好評だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽そうして、3日が経った……デートの日。

 

 

 

 

 

☆六分街、とある場所…。

 

 

 

 

「────やっべ、緊張しすぎてゲロ出そう」

 

 

 

そう独り言つのは、一人の大男。

気付けば大事な2戦目、デートの日になっていた。

 

こう、あっという間の時間だった。この2日間で護衛屋の仕事で培った現金を財布に入れ、更なる貯金も崩した。

 

服は前回と違い、今回はかなり仕上げて来た犬太郎。

 

・髪をオールバックにし、ワックスでそれなりに整え。

・青色のジャケットを着込み、シャツは黒色。

・ズボンも同様に黒色で、靴は戦闘用の革靴。

 

といった感じだ。

前回とは少しテイストを変えた服装。犬太郎が自分で決めた服だ……しかし。

 

 

 

「っ……なんか、ちょっと胸がキツイな……サイズは合ってる筈なんだが……」

 

 

 

ジャケットをボタンでファッションなので、胸元が強く強調される服装だ。

だが、それが起因しているのか、犬太郎は少し苦しそうだ。

 

サイズはXLのジャケットだが、筋肉が凄まじい犬太郎にとって、些かキツイ様だ。そこまで見ていなかった故、これは彼の誤算。

 

 

 

「とはいえ、問題なし……あと20分か………うわぁぁ、心がズクズクする…ッ」

 

 

 

集合場所は問題なし。

後は時間だ。集合時間はノックノックで二人で決めて、12時にした。

 

此処から衛非地区は時間がかかる。

ゆっくり向かい、到着と同時にお昼ご飯を食べようという感じだ。

 

時刻は11時40分を過ぎている。残り20分で彼女が来るはず……この待ち時間、非常に辛い。

 

 

 

「(……食材の量は十二分に買い占めた。デートのルートも徹夜で考え、ゴムも買った)」

「あ…あのー……」

「(問題は告白だ……どのタイミングが良いんだ?俺の家に来るまでには言った方が良いのか、それとも家に行ってからが良いのか………)」

「あ、あれ?犬太郎…くん?」

「(ってか今の俺が告白なんて上等な事、しても良いのか?まだ最強の盾にも至れていない、俺風情が……いやだが、福福は俺を……好き、なのか……この関係をもう少し維持してからでも遅くはないんじゃ……焦る必要はあるのか?そうだ、福福はまだ俺と友達で居たい筈だ。お互いを知るって、まだこの1ヶ月かからない程度の期間じゃ分からないし……いや待て、俺は今、何の話をしている?落ち着け落ち着け、もう少しで福福が来るんだぞッ……こんな情けない姿、見せる訳には行かないだr)」

「────おーい!犬太郎くんっ!!」

「おわぁぁぁぁ!!??!?」

「わぁぁ!?び、吃驚した……っ!」

「それはコッチのセリ…フ………ふっ、福福…?」

 

 

 

残りの時間を今日のプランの復習に費やして思案に暮れる。

体感1分は超える思案だったが……何と此処でイレギュラーが発生。

 

身体を揺さぶられ、名を呼ばれる。

その声に覚え有り。だが唐突な事だったので、犬太郎はビビり声を上げて驚く。

 

それに呼応するように驚く女の子……その子こそ。

 

 

 

「えへへ!やっぱり早かったですね。福福、ただいま参上しましたっ」

「……あ、あぁ……良かった、無事に着いて」

「ふふっ……はいっ!」

 

 

 

そう、橘福福。その子だ。

 

気付いたら目の前に立っていた。

全く気付かなかった。思案に暮れ、彼女の事を思っていたのにだ……それ程までのめり込んでしまっていたらしい。

 

犬太郎は福福との再会に何とか言葉を繋ぐ……が、それ以外に言葉が出ない。

 

 

その、理由は………。

 

 

 

「……あ、あはは……すみません、そのっ……こんな格好で……え、えへへ」

「…………」

 

 

 

福福の服装が────()()()()()だからだ。

 

黄色を基調とし、ロングスカート型で……そして、右腿を露出させた、大胆なスタイルに成っている。

 

靴はヒール。肩を出して、且つ魅惑的な雰囲気も出している。

そして…くびれを強調し、小さいが……胸も浮き出ている。

 

 

何よりも、その服を着ている本人…福福だ。

顔を真っ赤に染め、恥ずかしそうにモジモジしている。

その調子で此処まで来れたのか、と……そんなツッコミすら出ない程に、今の福福は犬太郎にとって………

 

 

 

「────綺麗だ」

「え……ぇ…?」

 

 

 

────目を奪われてしまう程、美しかった。

 

 

 

「凄く似合っている。可愛いし綺麗で可憐で、その…マジで美しいし、似合っててカッコいいし……その…本当に、そんな言葉しか出てこない」

「あっ………~~~~~!!ぁ……ありがとう…御座います………っっっ」

「……あっ………す、すまん。素直に、言い過ぎたかも知れん……いやじゃ、ないか?」

「い、いえっ!!えと、あたしっ!う……うれしい…ですっ」

「そう、か……良かった」

 

 

 

犬太郎の連撃に、更に真っ赤に染まる福福。

自分がド直球に言い放った事に、後から気付いて紅潮を見せる犬太郎。

 

福福は嬉しかった。

儀玄に選んで貰った服が、こんなにも好評で。犬太郎が嬉しそうで。

そして同時に恥ずかしかった。似合わないと思っていた服と、少しはだける服装を、余り着た事が無かったから。

 

犬太郎は嬉しかった。

福福がこんなにも可愛くって綺麗で、美しい服装で来てくれた事が。

そして同時に後悔した。もっと言葉選びがあっただろう。もっと捻りある言葉があっただろうと……思えたから。

 

 

 

「あーっと……と、取り合えず飯に行こう!お腹、空いてるだろ?」

「っっ!は、はいっ!えへ、えへへ……た、楽しみ過ぎて、朝ご飯もちょっと抜いて来てるんですっ!だから、えと、おっ!お腹ペコペコですっ!あたしっ!」

「そうなのか?それは、あーっと……何て言うんだ、えっと……美味い飯屋に連れてかなきゃな!お、オススメなんだ!は、ははは!」

「本当ですか!?やっぴゃ…やっ………やったー!いき、行きましょう!え、えへへへへっ!」

 

 

 

そうして、二人のデートが始まった。

 

お互い、何かを意識しているのだろう、上手く言葉が出ないで居る。

 

犬太郎の案内の下、二人は並んで歩く……と、福福が告げる。

 

 

 

「あ、あの……犬太郎くん!」

「な…なんだ?」

「………犬太郎くんの服も、凄くすっごく!似合って……ますっ!カッコいいですっ!」

「ッッッ!!!ぐおっはぁぁ!!!」

「へっ!!?だ、大丈夫ですか!?犬太郎くん!」

「だ、大丈夫だ……そう言われたのが、嬉しかっただけだ。マジで……あぁ、ありがとう」

「あっ……えへへ、いいえっ!あたしの服を褒めて下さりましたから……あたしも言いたい事を言ったまでですっ!」

「……本当に、綺麗だ」

「ぁ……~~~~っっっ!!そ、それ以上はぁ……だめ、ですよ…?…恥ずかしいので……っ

「…っ、あ……分かったッ」

 

 

 

照れて、感謝して、また照れて。

それを繰り返して、二人してモジモジして。

 

最初のデートで手を繋いだのが奇跡だったかのように、二人の距離感は非常にもどかしい。

 

だが……明らかに良い雰囲気ではある。

そして、何よりも……もう楽しい。

 

それは……犬太郎も、福福も、思っていた。

 

 

 

 

 

 

☆おまけ

 

 

 

 

 

「────じれったいよ~~~……っっ!!」

「まさか、此処までの甘酸っぱい物語を見せられるとは……恋愛系のビデオを見ている気分だよ」

「しかし……あの御方が、犬太郎さまが仰っていた橘福福さまですか……何とも、お似合いな御二人だ」

「あらあらあらあらあらあら♡♡♡ わたくし、年甲斐もなくドキドキしてしまいましたわ~♡」

「ふーーーーん……思ってたよりもめっちゃイイ感じじゃん?」

「橘福福さん……綺麗で、かわいいですね……っ」

「………バレたらその時だな」

 

 

 

尾行する、いつもの面々。

 

上からリン、アキラ、ライカン、リナ、エレン、カリン、そしてライト。

 

彼の恋の相談で更に仲良くなった面々。

もどかしい想いを抱え、尾行を開始したのであった…。

 

……因みに無許可である。

 

 

 

 

 

次回

 

────虚狩り






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このデートの発案者である福福に何があったのか、次回に犬太郎に話します!


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