いつかは訪れる、優しい眠りを 作:夢破れた羽
現代パロのタグを入れたかったですが、世界観が現代に近いだけなのでタグには入れてません。
時系列は旧都陥落からです。
ある時だ。
俺はあの落下の後に別の世界に来たと自覚したのは。
今では零号ホロウと呼ばれる旧エリー都の市街にて、俺はある人物の両親に拾われる事になった。
何故か顔は覚えてないが、その両親の子供は脳裏に焼き付いたまま離れなかった。
藤丸立香。ああ、俺と同じ立場に居た奴と瓜二つの顔をした子供だった。
カルデアのマスター、その人だ。だが、この世界では誰でもない、変な事もないただの人間だった。
同じ屋根の下で過ごして行くうちに情が感染った……というべきか。
ある時は勉強を教え、ある時は一緒に街で食べ歩き、ある時は……ヴォーティガーンとして悪役ごっことしてやられ役に興じたり、たしかに楽しいっと思うような日々だった。
「ごめんね、オベロン……」
ホロウ災害が起き、目の前でエーテル侵食にて肉体がエーテリアスになっていくのをただ黙って見ることしか出来なかった。
瓦礫に押し潰され、左腕が完全に千切れ飛んだ。
守ってやるとか色々言ってた気がするが、なんてことはない。この世界でも、口に出した言葉がねじ曲がるらしい。
うんざりする。まだこんな運命にいるだなんて、吐き気がする。
目の前で、事切れたであろう存在まで、朽ちた身体で向かう。
両親は既に虫のように潰れて死に、
化け物に落ちる前に、介錯する。
「……
残っていた、ヴォーティガーンとしての力で。死の安らぎとして。
長い、永い、須臾の夢に。幸福の中で眠ってくれ。
決して口にしてはいけない。大切だから語らない。それが、
「やぁリン、アキラ。今日は催促かい?」
「帯炉さん!」
ある時、ビデオ屋『Random play』に帯炉と名乗る客が来た。
プロキシとして仕事を始める時に、羊飼い共々仕事の斡旋をしてくれた人物である。
今では定期的にビデオを借りて返しに来ながら、誰も居ない事を確認してから仕事の事を話すようになっている。
「と、今日は仕事も何も無いんだよね。探せばあるだろうけど、僕だって忙しいからさ」
「治安局の捜査がプロキシ業に来ないようにしてるだけでも大助かりなんだけどね。そっちでも苦労させてごめん!」
「いいさ、僕らの仲だ」
帯炉。名前までは不明。羊飼い同様の仲介業者のような人物。優男もびっくりな綺麗な顔に、マントの下に蝶の様な翼を持つシリオンだ。
見た目は目立つが、色々な場所に顔が効く存在でもある。治安局にさえ顔が効くので、偉い存在なのかも怪しい。
だが彼の紹介で来た仕事の安全性はピカイチ。あの羊飼いでさえそこそこのリスクが付き纏うのに、彼の仕事はリークの心配が無いという安全性がある。
直前の仕事で、防衛軍のトリガーですら彼に仲介を頼んだレベルだ。その彼から羊飼いに話が行った訳だが、結局治安局からの目を掻い潜る事が出来ている。
それは、別の情報を治安局に流しているからだ。しかもその情報の信憑性も高い。欲を欠いた野良のプロキシやホロウレイダー達がそれに釣られて捕まったりしてるが、パエトーンの仕事に影響が無い。
治安局も仕事が出来て評判も上がるし、パエトーンとしての評判も上がって万々歳。
「でも、パエトーンは死んだ。……と言うことかな?」
「それで合ってるよ。アカウント乗っ取りがあったんだけど、治安局に伝わる様に引っかからせてハッカーを潰したんだけどね」
「相変わらず良い取捨選択だ。1からだけど、そうなっても良いレベルのアドバンテージがあるとみた」
「実際そうなんだけど、仕事の問題が出てきちゃってね……」
リンと、その兄であるアキラ。二人でパエトーンなのだから。
1からの出発点に、ちょっとしたノイズが追加された。
「じゃ、事情も聞けたしそろそろ行くよ。治安局が慌ただしかったし、パエトーンが捕まったとか聞いたから驚いてね。ま、偽物の方が牢屋送りだったみたいだけど」
「心配させてごめんね!仕事があったら斡旋してよ」
「お安い御用さ。アカウント一新したから安いのしかしばらく無理かもしれないけど、それなりのを持ってこよう」
「お願いするよ。帯炉さんのが安心だからね」
そう言ってビデオ屋から出ていく彼を見て、爆増した電気代に頭を抱える二人であった。
※実はアルトリアでしたかったネタをオベロンにした形です。
女子や女性エミュが難しかったんじゃ。堪忍して……
過去回想を最低限にした形にして、飽きない文章にしたいで候。
でも過去が思いっきり重要なゼンゼロでそれは難しいので、細かい部分や段階的に入れる形式にしてみようと頑張るぞい。